用語の解説 障害者雇用支援センター SELP/社会就労センター

用語の解説

障害者雇用支援センター

 障害者雇用支援センター(以下「支援センター」)は、授産施設等の福祉関係施設入所者、養護学校卒業後在宅で福祉的サービスを受けたり小規模作業所に通所していたりしてこれまでの雇用対策では対応が困難であった障害者や、職場に定着することが困難な障害者など就職が特に困難な障害者の職業的自立を図るため、市町村レベルで福祉部門と雇用部門との連携を図りながら、就職、職場定着に至るまでの相談、援助を一貫して行う人的支援のシステムを具現化する組織である。

 この支援センターの設置は、障害者雇用の促進に関する法律の改正により、公益法人として、平成6年6月14日成立、同月22日に公布、同年10月1日より施行された。

 支援センターの業務では ①支援対象者の把握 ②地域障害者職業センターへの職業評価の依頼 ③基本的な労働習慣の習得及び職業能力維持のための作業実習の実施 ④職場見学等の実施 ⑤雇用の場の確保 ⑥就職後の通勤援助 ⑦住宅確保等職業生活上の問題の相談、などを含めた幅広い相談を実施する。

 これらの業務は、地域障害者雇用推進総合モデル事業の一環として県が公益法人として指定を受ける。現在では、熊本、滋賀、埼玉の各県で業務を展開している。

 今後は、これら業務を遂行するうえで人的援助体制の整備、重度の精神薄弱者や精神障害者等特性に応じた職業リハビリテーションシステムの充実、整備、関係機関との密接な連携を進める中で、これまでの雇用対策では対応が困難であった特別重度障害者の職業的自立をいかに図るかということが期待される。

(野々宮要/埼玉障害者職業センター所長)

SELP/社会就労センター

 障害者の福祉的就労の施設「授産施設」に関する制度改革は1980年代半ばより活発な論議と研究が取り組まれてきた。これらの制度検討は、「授産施設」関係者の自主的で主体的な提言によって推進されていた。

 厚生省は、これらの提言活動を受け、1991年3月に「授産施設制度のあり方検討会」を設置し検討を開始し、翌年7月に「授産施設制度のあり方に関する提言」を発表した。

 この提言は、ノーマライゼーションの理念に基づき「授産施設」の基本的なあり方として「通所」を基本とすることとし、「授産施設」という名称については「国民に馴染みにくいので名称変更の検討を行うことが必要である」ということであった。

 全国社会就労センター協議会(略称:セルプ協、旧:全国授産施設協議会)は、この間CI戦略(社会的な存在意義と理念を明確にして、名称の改革を行う戦略)を導入し、「授産施設」に変わる新名称の検討をすすめてきた。その結果、昨年の6月に「授産施設」に変わる制度名称として「社会就労センター」、社会とのコミニュケーションと事業展開の名称として「SELP―セルプ」を決定した。

 「社会就労センター」は、わが国で最も古い歴史を持つ授産施設「社会事業授産施設」、国際障害者年のテーマとなった「社会参加」、制度のベースとなっている「社会福祉」などのキーワードの「社会」と、働く意味を最も広く表す「就労」を組み合わせた名称である。

 「SELP」は「SELF-HELP」の造語であり、意味づけとしては「Support of Employment, Living and Participation(就労と生活、社会参加を支援)」するセンターとして、施設の性格づけをしている。

(鈴木清覚/全国社会就労センター協議会調査研究研修委員長)


(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「リハビリテーション研究」
1996年4月(第86号)46頁

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