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用語の解説

生活行為向上マネジメント(Management Tool for Daily Life Performance)

 生活行為向上マネジメントは,一般社団法人日本作業療法士協会が,2008年からの厚生労働省老人保健健康増進等事業の補助金を基盤に,地域包括ケアに貢献できる作業療法の形を国民にわかりやすく示すために開発を重ねてきたものである。また生活行為向上マネジメントは,暗黙知であった作業療法士の包括的な思考過程を形式知として顕在化させたもので,対象者の24時間365日をイメージしつつ,本人のしたい生活行為に行動計画の焦点があたるように設計された各種シート類(生活行為聞き取りシート,興味・関心チェックシート,生活行為向上マネジメントシート,生活行為申し送り表,等)からなっている。
 ここでいう生活行為とは,「個人の活動として行う,排泄,入浴,調理,買物,趣味活動等の行為」と定義され,個人の意思が関与し,一連の工程をもち,その人らしさに影響するような活動と参加のいくつかの項目と換言することもできる。継続可能な地域生活を考えた場合に,生活行為の制限・制約への対応は,きわめて重要な意味を持つので,本マネジメントの理念は,政策的に,生活行為向上リハビリテーションという形で取り上げられることにもなった。
 生活行為向上マネジメントのプロセスは以下のようになっている。(1)インテーク(対象者や家族の望む生活行為を聞き取る),(2)生活行為アセスメント(目標となる生活行為の制限要因を分析する),(3)生活行為向上プラン(生活行為ができるための支援計画を,多職種での分担関係を明らかにした上で立案する),(4)介入,(5)再評価・見直し,(6)終了・申し送り(今後の生活行為の向上に必要な支援の方法などを申し送る)
 生活行為向上マネジメントを用いた介入の効果検証として,230名を対象にしたランダム化比較試験が実施された。その結果,介入1年後の増分費用対効果は23.8万円/ QALYとなり,十分な費用対効果が認められた(能登 2013)。

小林 隆司(首都大学東京健康福祉学部教授)

認知症初期集中支援チームにおけるプログラム

 2015年1月,認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)が厚生労働省より発表された。そこでは住み慣れた場所,なじんだ場所で生活していくことを基本とした,認知症啓発の推進,認知症ケアパスに基づく時期・容態に応じた医療・福祉の提供,認知症の人の立場に立った介入の推進などが明記されている。特にこの中でも認知症の人を適切なサービスや社会資源に繋いでいく認知症ケアパスと啓発は要となる事項である。そして,認知症ケアパスをスムーズに稼働させるための起点として,多職種で構成される認知症初期集中支援チームの働きはこれからますます重要になる。
 認知症初期集中支援チームで対応する認知症の人は,在宅の初期認知症の人,もしくはこれまで医療・福祉に接点のなかった認知症の人である。かかりつけ医や包括支援センターから情報を得て,基本的に医療職と介護職のペアで対象となる方の自宅に赴く。身体機能や認知症の度合い,認知症以外の疾患の有無,住宅の環境や家族の思いなど様々な情報をチーム員で連携しながら短期間で把握・整理する。モデル事業では評価として記憶や日常生活,日常関連動作などを主に評価するDASC21(認知症総合アセスメント),BPSD(心理・行動障害)を評価するDBD13,家族の介護負担を評価するZarit8,その他身体機能,環境の評価などが行われた。その評価をもとに,その後の具体的な支援の方向性を提示する。チームの関与は長くて6カ月ほどであり,介護や医療サービスなどにうまく繋がればそこでいったん終了となる。
 認知症の初期は単なる年のせいとして見過ごされることも多く,ある程度認知症が進んでサービスにつながることが多い。しかし,初期の頃より認知症に理解のある環境にいることが混乱や不安を少なくし,そのことで認知症の進行を緩やかにすることも可能であると言われている。そうした意味からも認知症の理解を深めるしっかりとした情報を発信し,初期の頃から相談ができる雰囲気づくり(啓発)が認知症初期集中支援の鍵ともいえる。

小川 敬之(九州保健福祉大学保健科学部教授)


主題・副題:リハビリテーション研究 第164号

掲載雑誌名:ノーマライゼーション・障害者の福祉増刊「リハビリテーション研究 第164号」

発行者・出版社:公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会

巻数・頁数:第45巻第2号(通巻164号) 48頁

発行月日:2015年9月1日

文献に関する問い合わせ:
公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会
〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1
電話:03-5273-0601 FAX:03-5273-1523