特集 第38回総合リハビリテーション研究大会 総合リハビリテーションの深化を求めて ―明日から一歩を踏みだそう― パネルディスカッション 生活機能向上にむけたサービスと相互の連携:総合リハビリテーションとしてのあり方を考える

パネルディスカッション
生活機能向上にむけたサービスと相互の連携:総合リハビリテーションとしてのあり方を考える

【座長】
木村 伸也(実行委員長,愛知医科大学リハビリテーション科教授)
高岡 徹(横浜市総合リハビリテーションセンター副センター長)

【パネリスト】(発表順)
田中 雅子((公社)日本介護福祉士会名誉会長)
菊地 尚久(横浜市立大学附属市民総合医療センターリハビリテーション科部長)
栗原 久((一財)フィールド・サポートem.代表理事(前 箕面市障害者事業団常務理事))
野口 宏(愛知医科大学名誉教授)

要旨

 地域包括ケアシステムの整備に向けて,総合リハビリテーションの観点からは,サービス主体でなく当事者主体で,将来の可能性の中から目標指向的にアプローチすることを重視する必要があると考える。介護職,急性期・回復期・慢性期のリハビリテーション医療,就労支援,救急医療と地域医療連携といった各専門職の立場,あるいは個々のサービス事業体の立場,そしてそのサービス間の連携という三つの次元での連携あるいは協働といった面でどのような課題があるのかについて各パネリストから発表していただいた。
 各専門職が当事者を見る目を養い,サービス利用者の真の姿を映し出すリアルな生活状況の情報共有を図っていくことが必要である。

はじめに

 2025年を目途に厚生労働省が地域包括ケアシステムの整備を進めているが,本当の意味での連携という点では未だ課題が残されている。今回は総合リハビリテーション(以下,リハ)として,サービス主体ではなく当事者主体という視点で,将来の可能性の中から目標指向的にアプローチするということを重視する必要があると考え,パネルディスカッションを企画した。
 各専門職の立場,あるいは個々のサービス事業体の立場,そしてそのサービス間の連携という三つの次元での連携あるいは協働といった面でどのような課題があるのかについて,4人のパネリストに発表いただき,その後にフロアを交えての討論を行なった。

1. よくする介護を支える介護職の専門性とケアプログラム―介護専門職と地域住民自主グループとの関わりから―

田中 雅子

 私は日本介護福祉士会を平成6年に立ち上げました。ある意味,専門職の団体としてはようやく幼児期を過ぎて児童期に入ろうかなという団体です。私自身は,現在富山県に住んでおりまして富山で働いています。どちらかというと現場の介護士の自信とプライド,そして何よりも高い専門性を目指す質の高い専門職を育成するということを目的として活動しております。併せて,介護福祉士会が目指しているのは,「地域に根ざす」という言葉です。地域に根ざして本当に信用される専門職をどう育てるかということで,事業経営者の方々とともに職能団体を運営しております。
 そうした中から,実際に介護士が従来の身体介護や生活支援にとどまらず,予防という観点にまで関わることの必要性があるのではないかという活動についてもご紹介していきたいと思っています。
 一般的に,介護士とは身体介護を中心とした実行者と見られてきました。どちらかというと食事,排泄,入浴等の身体介護に重きを置きますし,あるいはヘルパーさんたちが実際に行なっている生活援助,家事援助とも言われているわけですが,できないことに対する支援者というイメージがあったと思っています。
 しかし,私どもはほかの職種と違う特徴があると言うことができます。それは,介護を必要とする利用者の生活圏をともにするということです。ともにするというのは協働ということですが,協働関係の時間の長さ,その人の社会歴,職歴,価値観,そういったものにも触れる,ある意味では個人として隠しておきたいことにも触れざるを得ないような専門職だと思っています。そこで大切なのは,利用者自身がどうしたいのか,どう生きたいのかといった思いを受け止めながら支援をすることです。
 さて,ケアの場面というものを考えたときに,いくつかの大きな変革があったと思っています。従来の在宅ケアあるいは施設ケアという枠を離れて,今,必要とされているのは地域ケアという視点ではないかと思っています。施設ケアなのか在宅ケアなのかといった狭い分け方ではなく,利用者本人への働きかけ,人的環境への働きかけが必要となっている時代になっていると言えます。
 とりわけ物的環境への働きかけというものを考えると,
①今自分でできないことをできるようにする。
②できないことのうち利用者が機器等を使って自分でできるようにする。
③人でなければ支援できない部分については介護者が人手で支援する。
 このような支援の考え方があると思っています。①や②は,これまではリハ専門職の領域とされ,③については,従来の介護の領域だと考えられていました。しかし,①と②が見えてこなければ,私たち介護専門職が行う範囲を見極めることはできません。自立支援の介護のためには,実は我々介護専門職の介護技術はリハ専門職と一体となりながら提供されるべきものであります。
 介護保険制度の介護報酬の中において,リハ専門職との連携が報酬加算の一つになりましたが,現実の請求としては数として上がってこないと言われています。おそらく,受け皿であるべき介護福祉士をはじめとする介護職の技術不足があるのだろうと考えています。もちろん,本当の意味での自立支援の知識・技術がまだまだ十分理解されていないという現状があると思っています。
 今後は,介護専門職が自分たちの職務としての介護のみならず,地域との関わり,あるいはその先における住民の方々の人生への関与というものがますます重要になると思います。

2. 急性期・回復期・慢性期におけるリハビリテーションチームのあり方

菊地 尚久

 私は高度救命救急センターを擁する大学附属病院のリハ科の医師として診療をしています。また,回復期リハ病棟を擁する病院での診療や総合リハセンターの地域リハにも関わって仕事をしています。こういうことから,急性期・回復期・慢性期におけるリハサービスと地域連携について検討してみました。
 今回私が話をするのは,障害者が主な対象だと思いますが,最初の急性期,回復期はまだ障害者とは言えません。私は,障害者になる可能性があるというところを念頭において,治療やリハを進めていくべきであるという考えのもとで普段から診療をしています。 救命救急センターの急性期リハの対象疾患は,脳卒中以外にも,脳外傷,脊髄損傷,骨関節疾患を含む多発外傷,心肺停止蘇生後の低酸素脳症,あるいは熱傷などの幅広い疾患があり,これらに対してリハを行なっています。
 医療でのリハの場合,まずは当然医師からの指示が出て始まるわけです。現在はリハ医がかなり不足している状況なので,恐らく多くの場合は主治医の救命医の先生からリハをやってくださいという形で始まり,あとはよろしくという形態が多いのだろうと思います。しかし,セラピストは医療的な管理には不安があり,彼らだけで全体の最終的ゴールを設定するのもさすがに難しいと思います。
 また,急性期では転院先が非常に大事になります。在院日数に制限があるので,回転させていかなければいけません。急性期はどういう目的とゴール設定でやったのかということを,次の病院にしっかり伝えられることが重要と思います。転院先検討という点では,私たちのところは救命医のカンファレンスにリハも必ず出てくださいということになっています。主治医と病棟の看護師,ソーシャルワーカー,それから医師だけではなくてPT,OT,STも含めたリハで一緒にやっています。その結果,適切な転院先を選択することが可能な状態になっています。
 急性期の場合にはチーム医療が不可欠ですが,その一員としてリハ医も含めたリハチームが有効に活動すべきであり,急性期の医療スタッフと密な連携をすることが非常に重要です。さらに,転院先としての回復期リハとの連携も重要なので,転院先の選択にリハチームを加えるのが理想だと思います。
 次は回復期です。リハ専門職だけでなく,看護師など病棟内のすべてのスタッフが回復期リハを行える状況に多くの病院がなっていると思います。皆で共有した共通の目標でアプローチすることができるというのが利点と思います。身体機能の向上を図る,可能な部分は日常生活動作を改善する,また,困難な部分は代償手段を獲得する,さらに可能であれば応用歩行や家事動作も練習して帰るというのが回復期のリハの内容です。
 しかし,生活自立に向けての機能というのは大変充実していますが,社会参加という視点で見ると,しっかり考えてやっている病院はもちろんあるのですが,一般的にはそこを見越してやるという点が不足しているという印象です。最終ゴールは家に帰ることではなく,地域で活動したり社会参加をしたりすることですから,そういう視点で見るというのがリハとしては大事なことだと思います。特に気になるのは,就労可能な場合です。回復期リハからそのまま維持的リハでよいというような考えがどうしても多いのが非常に気になっているところです。
 回復期リハは,生活自立度向上を目指すことがもちろん大きな目標ですが,退院後の社会参加,社会復帰を含めたゴール設定を行なって,それに対するアプローチもできるような観点からやっていただけるといいと思います。
 最後に慢性期の話です。介護保険対象者は介護保険制度のリハがどうしても主体になっていると思います。現在は外来のリハはもうやっていませんという病院も非常に多いので,実際上なかなか医療でのリハは困難になってきていると思います。総合支援法に基づくさまざまな施設の利用ももちろん可能ですけれども,それが医療者に十分周知されていません。自立訓練や就労移行支援,就労継続支援などを利用して社会参加を促すということは非常に重要だと思っています。
 病院を退院したらそのまま機能維持という考えは,非常にシステマチックな面もありますけれども,たぶんそうじゃないと思います。自宅に帰ってからよくなる人もいるし,逆に低下してしまう人もいます。医療連携という点から見ると,退院するとほとんどかかりつけ医の診察だけという方が非常に多く,リハの視点からしっかり診られるというのはなかなか難しいというのが現状と思います。機能維持に対して十分にリハができている環境にあるかとか,福祉用具が適切に利用されているか,住環境に問題はないか,そういうことを必要に応じて評価・対応できるようなシステムがないとうまくいかないと考えます。特別なシステムがない地域でも,必要時の相談の窓口や受付を行政がもう少し深く入り込んでやっていただき,実際に動くのはリハに関係する病院なり施設なりとする,というシステムが確立すれば何とかなるのではないかと思います。
 慢性期リハでは介護保険主体となる場合が多いと思いますが,身体・精神機能や生活機能の変化に対するリハの観点からのモニタリングが必要なので,そのときに対応できるようなシステムがあるのが望ましいと考えます。

3. 障害者の就労・生活支援事業に地域資源と専門家の力をどう活かすか~大阪府箕面市での就労支援の経験をもとに

栗原 久

 私は現在,主に就労や福祉を担う機関の職員を対象としたコンサルや研修などをする財団法人を立ち上げ,仕事をしておりますが,今日の話は主に大阪府箕面市での就労支援の経験をもとにしたものです。
 障害者の就労については,まず一般就労・雇用があり,大体全国で40万から40数万人の障害者が働いていると言われています。賃金的には身体障害者22万,知的障害者11万,精神障害者16万円というのがデータ上でわかっており,一般の労働者よりも低いと考えます。
 2番目に福祉的就労がありますが,これは明らかに労働者ではありません。制度上一部は労働者という形で働いていますけれども,まさにこの福祉的就労というのが課題になっています。就労継続支援A型(雇用型)は主に雇用契約を結んで労働者としての立場を持っていますが,同時に福祉制度のサービス利用者でもあります。A型は利用者が全国で4万6,000人ほどいて,賃金は平均すると7万円ですが,最もデータ上多いのは月額4万円前後というのが実態です。一方,就労継続支援B型(非雇用型)は雇用ではない,純然たる利用者ということで,多くの障害者がここにおります。全国で19万人ほどいて,1万5,000円程度の工賃をもらっているわけですが,下位25%の方々は一生懸命働いても月に5,000円の工賃というのが実態です。
 また,就労移行支援というものもあります。これは,企業で働きたいという願いを持つ障害のある人にトレーニングをしていただき,企業で実習をし,就職に結びつけていくというサービスです。ところが,大変驚く実態があります。就労移行は全国で2万8,000人の障害者が利用していますが,一人も就職者を出すことができない事業所が全体の3分の1を占めているという問題です。
 3つめに中間的就労,第三の道というものもありますが,今回は割愛します。
 次に,本日の本題であるサービス間の連携について話をします。まず医療についてですが,就労分野と医療分野との連携が密であるという声は残念ながらなかなか聞こえてきません。リハ医療との関係では,特に高次脳機能障害のある福祉サービスの利用者について,もっと関係を密にしていく必要性を,実際にニーズも増えてきていますので感じています。就労支援スタッフはもとより,企業の関係者にももっと周知していくことが重要です。
 介護との関係も非常に難しいと思います。一般企業で働いている障害者が,徐々に高齢化して介護に近づいていくときには,やはり健康管理という問題があります。一方で,職場で生き生きと働いていくことそのものが健康維持に十分つながっているという実例も,目の当たりにしています。通勤にかかる介護の問題は,国の議論でも重要なテーマになっており,現在は市町村の裁量でできる地域生活支援事業において,一部の自治体が通勤介護を保障しているところですが,まだまだ普遍化されていないと思っています。
 就労という問題の特徴の一つは,支援対象が障害者だけでなく,働いてもらう側の企業も対象であるということです。障害者が頑張る力と企業が受け入れる力,それを取り巻く地域の力というものがあって初めて障害者の就労が成り立ち,定着が続くのではないかという仮説を立てています。
 障害者についての専門だけいくら身につけても,それでは就労支援としての専門性は不十分です。どこの企業が自分の市の近隣にあり,そこでどのような仕事をしているかという情報や地域資源(行政施策,企業や店舗の存在,住民意識等)を活かす力も専門家に求められています。営業力・行動力(就労先の開拓等)もそのうちの一つということです。
 最後に,まとめを3点提示したいと思います。まず1点目ですが,就労というのはもともと,24時間働いているという人はいません。つまり,その他の生活時間を有効に過ごせてこそ就労は持続可能なものであり,その意味では医療や日常生活に関わる支援とは切っても切り離せないものです。ところが,医療との連携はまだまだこれから深めていく必要性が残されていると思っています。
 2点目に,専門性とは障害に関する専門性だけがあればよいというわけではありません。しかし,すべての分野における専門性を一人のスタッフが網羅できるということは困難です。ですから,1つの支援機関において,自分達の専門性以外の部分について得意な人が複数いて,それぞれがうまくパイプを持っていくということが必要ではないかと考えます。
 最後に3点目ですが,生活機能の向上については,やはりICFの示唆するところが非常に大きいと考えます。平成28年4月からスタートする障害者差別解消法や改正障害者雇用促進法では,合理的配慮が義務化,あるいは努力義務化されます。また,既にスタートした法律としては,障害者虐待防止法があります。これらをICFにおける環境因子を介して理解すると大変わかりやすいのではないかと考えています。支援者であり専門職であるからこそ,その人の資質が非常に問われていくことを自覚しなければ,本日のテーマである生活機能の向上というものにはつながりにくいのではないかと考えている次第です。

4. 救急医療と地域医療連携:多職種による医療システム

野口 宏

 私は救急を40年近くやってきました。重症患者さんに関しては命がけで治療をしてきましたが,完全に社会復帰する方はそう多くないわけです。その中で座長の木村先生からは,早くリハに回せということをいつも言われます。また,救急医療,特に病院前救急医療というものを立ち上げました。救急救命士という職種が25年前に作られまして,やっとの思いでアメリカ並みの医療行為ができる体制にもっていきました。
 救急患者の搬送などは長らく病院前救護ということで,何となく医療ではないということで区分されていた懸念がありますが,私どもは2000年頃から,やはりここは救急医療でしょうという提案をしてきました。多くの場合,救急はやはり消防のお世話になる,あるいは患者さんが自分でトリアージ的なことをされて病院を選んで行かれるという体制,場合によってはドクターカー,ドクターヘリで現場に行くという体制がとられます。
 消防庁が出しているデータで,2015年の人口は若干減りつつありますけれども,救急搬送要請数は右肩上がりに上がっていきます。そういう意味では,救急車の適正利用ということがかなり大事だと思います。
 こういう事態が起きる多くの原因が高齢化社会になったということです。平成19年に厚労省が,医療計画の見直しをやっています。平成20年を目途に,地域保健計画の中に入れなさいということで,有名な4疾患5事業,がん,糖尿病,脳卒中,急性心筋梗塞,それに平成24年度からは精神科疾患も重点的な疾患に入れて,これに対して体制を作ろうということです。これは予防から治療体制,早期治療にまでわたり,救急医療体制の充実というところにつながるものです。
 こういう患者を早く見つけて早く病院へ搬送させるには,いわゆる病院前救急医療体制の充実,市民教育が必要になります。ご家庭で,ろれつが回らないとか手からポロポロ鉛筆を落とすとかいうことになれば,脳梗塞を疑って救急車を呼ばなければ,あっという間に180分のゴールデンタイムを過ぎてしまうということです。一般の方に脳梗塞の初期症状,あるいは急に胸が苦しくなったとか,そんな症状だけで躊躇なく救急車を呼びなさいということで社会復帰できてしまうわけです。
 それからもう一つ大事なのは,医療の集中化と分担ということです。ドクターカーとかドクターヘリ,それから医療機関の情報,機能をリアルタイムに把握するようなシステム,すなわち情報センターの整備です。また,まだ一部しかできていませんけれども,民間搬送システムも充実させて,今後,アメリカ並みのシステムを整備してはどうかという提案もしてまいります。
 迅速な救急通報,それから市民,警察官,救急隊員,あるいは医者等の現場での処置,それから救急隊員による搬送,場合によってはドクターヘリ,ドクターカーでの救急搬送,そして病院でしかるべき処置をするということです。これはいわゆる多職種の医療チームの構成,医療システムの構成ということが必要なのだと思います。今後はぜひ学校教育の中で,健康のための危機管理上の基本的な医療意識のカリキュラムを組んでほしいと長年訴えています。
 国も救急医療体制のあり方等に対する検討会を毎年やっておられて,平成25年からはメディカルコントロール体制,救急救命士に指示をする医師の指示の仕方,内容を,先ほどの業務拡大と関係して定義しております。また,高齢者搬送の増加とか,ドクターヘリも含めて,いろいろ今後検討すべき問題と方向性について,国の委員会としても議論されてきているようです。
 平成25年の社会保障国民会議で,地域包括ケア計画が打ち出されました。これは,大変綿密なものが出来上がっています。医療法の改正の中で,地域包括ケアの構築と医療負担の公正化が出ています。地域における病床の医療機能が,高度急性期,急性期,回復期,慢性期と分けられています。その中で医師の支援というものも規定されています。
 愛知県はこれにのっとり,既に平成26年度の計画として,今の医療法改正に基づきまして,在宅医療サポートセンター,在宅医療連携システム,訪問薬剤師管理指導,訪問看護ステーション,地域医療ネットワークが予算化されて配分が見事に出来上がっています。
 私がドクターヘリとかドクターカーを使って急性期の患者さんを連れてまいりますと,半分以上の方は寝たきりになってしまうようなことがありました。野口が勝手に患者さんを連れてきて後の面倒を見るのは俺たちで,病院は慢性期の患者さんでぎゅうぎゅう詰めになってしまうと叱られました。
 そのために私は,地域,それまで医療福祉課,あるいは心理相談等がバラバラにやっていたのを一つにまとめ,リハにもこの中に入っていただきました。また,入退院のときにそれぞれの受け入れの病院,あるいは担当される,出す方の医師の方や家族にも集まっていただいて,長いこと数時間かけて1人の患者さんに説明等を行いながら,後方連携をするということをさせていただきました。
 多くの病院で今,それぞれ動いていると思いますけれども,こういうものと地域包括ケアシステムとの連携が今後,ぜひなされなければならないと思いますし,なされるものだと思っております。

まとめ

 サービスを利用される方々の,リアルな生活状況の情報共有をさらに図っていくことが必要であるというのが,各パネリストからの発表の共通したメッセージであったと考える。日常的には種々の書類作成に追われ,急性期医療では,いつの間にか転院先が決まっているというような状況もあるが,定型的な書面では伝えられないことは多い。各専門職が当事者を見る目を養い,共感を持てるような情報の共有をしていくことが大切であろう。

(文責:高岡 徹)


主題・副題:リハビリテーション研究 第166号

掲載雑誌名:ノーマライゼーション・障害者の福祉増刊「リハビリテーション研究 第166号」

発行者・出版社:公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会

巻数・頁数:第45巻第4号(通巻166号) 48頁

発行月日:2016年3月1日

文献に関する問い合わせ:
公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会
〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1
電話:03-5273-0601 FAX:03-5273-1523

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