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ひと目でわかる障害関連情報:アジア太平洋28の国と地域のプロフィール

序論

「アジア太平洋障害者の十年(2003-2012)」は、障害問題に対する福祉に基づくアプローチから権利に基づくアプローチへのパラダイムシフトの促進を掲げてスタートした。その地域政策ガイドラインである「アジア太平洋障害者のための、インクルーシブで、バリアフリーな、かつ権利に基づく社会に向けた行動のためのびわこミレニアム・フレームワーク(BMF)」は、このパラダイムシフトを反映するとともに、7つの優先領域および4つの戦略領域を含む総合的な原則・方向性を示した。こうした原則には、権利に基づく政策・法制を整備すること、障害関連法の整備に加えて各分野の法律・政策に障害の視点を取り入れること、国内調整機関(national coordination mechanism)を強化すること、障害統計に関するデータ収集・分析能力を国レベルで強化することが盛り込まれている。

BMFの4つの戦略領域の一つである「計画のための障害統計と障害に関する共通定義」は、多くの重要課題を指摘するとともに、国際比較分析を可能とする、各国の障害関連のデータ収集・分析システムの開発および障害定義の確立を提言している。障害に関する適切なデータの不在を懸念する声は、その後このテーマで開催された一連の地域フォーラムにおいても繰り返し取り上げられている。

諸問題を解決するとともにBMFの原則・方向性に対する各国の取り組みの度合いを検証するため、ESCAPは2004年、実践状況に関する調査に着手した。域内の政府およびこの分野で活発に活動しているNGO内の障害問題担当部署に対してアンケートが送付された。これまでに28の政府および18のNGOが調査に回答を寄せ、これらの回答の定量分析が、「アジア太平洋障害者のための、インクルーシブで、バリアフリーな、かつ権利に基づく社会に向けた行動のためのびわこミレニアム・フレームワーク(BMF)の目標および戦略の実践における各国の進捗状況評価2004年」と題する論文にまとめられ、2004年10月13~15日に開催された「アジア太平洋障害者のための、インクルーシブで、バリアフリーな、かつ権利に基づく社会に向けた行動のためのびわこミレニアム・フレームワーク(BMF)実践モニタリング地域ワークショップ」に提出された。

本書「ひと目でわかる障害関連情報:アジア太平洋28の国と地域のプロフィール」は、こうした回答から得られた豊富な情報の上に成り立っている。本書の狙いは、障害関連の統計データおよび政策関連の情報を提供することにより、特定の国や地域において障害定義および関連統計データ収集がどのように行われているか、ならびに、とくに適切な制度的枠組みと政策の整備という観点からBMFがどのように実践されているかを、読者が詳細に理解できるようにすることである。障害問題に対する域内政府の取り組みの現状を評価するための関係機関の対話継続の基盤として、また、さらなる行動に弾みをつけるものとして本書が役立つなら、我々の望外の喜びである。

地域的には、ESCAPは2007年にハイレベル政府間会合を開催し、「十年」の中間評価を行うとともに、「びわこプラスファイブ」と題する、後半5年(2008~2012年)に向けた戦略を策定する予定である。世界全体で見れば、私たちは国際的な障害政策の枠組みの歴史において重要な岐路に立っている。ESCAP加盟国は「国連障害者の権利条約」の交渉を行っており、草案作成プロセス終了後、各国政府は署名・正式受諾・批准プロセスを比較的早期に開始すると見られている。現在の草案が強調しているのは適切な障害データ収集の重要性であり、それによって障害者のプライバシー保護が保障され、条約で謳われている各国の責務遂行が支援され、障害者が直面するバリアをなくすための情報提供が可能となる。

本書は、ESCAPが継続している域内の障害関連のデータ・情報の蓄積および分析の第一歩である。域内各国からのデータ・情報の提供と更新、ならびに「バリアフリーで、インクルーシブな、かつ権利に基づく社会」の促進に有効と思われる他の情報を、引き続き歓迎する。


 7つの優先領域は以下のとおり:1)障害者の自助団体および関連の家族・親の会、2)女性障害者、3)早期発見、早期対応および教育、4)訓練および自営を含む雇用、5)各種建築物・公共交通機関へのアクセス、6)情報、通信および支援技術を含む情報通信へのアクセス、7)社会保障および持続的生計プログラムによる貧困の軽減。4つの戦略領域は以下のとおり:1)障害に関する国の行動計画、2)障害問題への権利に基づくアプローチの促進、3)計画のための障害統計と障害に関する共通定義、4)障害原因の予防、リハビリテーションおよび障害者のエンパワメントのための地域開発アプローチの強化。

 これらの会合は、ESCAP統計局の主催による。詳細は下記のサイト参照。
  http://www.unescap.org/stat/meet/past_meet.asp

 この論文では、2004年9月までに寄せられた23の政府の回答が分析されている。下記のサイトで入手可能。
  http://www/worldenable.net/bmf2004/docworking2.htm

 これは、現在作成中の条約草案のタイトルである。下記のサイトより入手可能。
  http://www.un.org/esa/socdev/enable/rights/ahc7ann2rep.htm