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はじめに

 東日本大震災の発生から2年を迎える。
 地震、津波、原発事故等による甚大な被害がもたらされたこの震災であるが、犠牲者、行方不明者の数は合わせて1万8千人を超えると発表されている。多くの障害をもつ仲間も被災し、自治体やマスコミの調査によれば、障害者の死亡率は、住民全体の死亡率の2倍以上であるとの結果が出されている。
 津波の襲った沿岸部などでは自治体の行政機能さえもが被災したが、そのような中、必然的に、多くの民間団体や支援機関などが、被災者の支援と地域の復興に大きな役割を果たしてきた。障害分野においても同様であり、私たち日本障害フォーラム(JDF)ならびにその構成団体はもちろんのこと、JDFだけに留まらない、多くの当事者団体、事業者団体、職能団体等による、多面的な支援の取り組みが展開されており、その活動は、震災発生直後から、現在に至るまで継続している。そして、復興への道のりは長く、被災者の困難と、私たちの支援の取り組みも、また長く続くことが予想される。
 本書は、これまでの支援活動を振り返り、JDFを含む民間障害者団体・関係団体による、現時点での活動報告と提言をとりまとめたものである。約2年にわたる取り組みの中で、あくまで中間段階での総括と提言という位置づけであるが、一方で、震災の記憶・経験を忘れないためにも、今、書き残さなくてはいけないことを記している。
 本書によって障害分野のすべての取り組みが網羅されているわけではないが、各団体が、それぞれの分野において、独自に、または連携して、多様な活動を行ってきた事実の一端を、社会に広く伝えることを目指した。
 障害者の死亡率が2倍以上であるとのデータは、今回の未曽有の被害は、天災だけに留まるものではなく、私たち社会の側にも、その一因があったことを示唆しているのではないだろうか。本書が、そういった要因の検証を行う一つのきっかけとなり、今後の防災意識の啓発促進につながることを切に願うものである。
 障害者が住みやすい社会は、すべての人が住みやすい社会である−−このことは、本書の中で繰り返し述べられている。私たちの取り組みと経験が、今後の復興の過程に少しでも活かされ、誰もが住みやすい社会の構築に寄与できれば幸いである。
 多忙な活動の中、本書にご執筆いただいた多くの団体や関係者の方々に、改めてお礼を申しあげる。
 なお本書は、前述のように震災発生から1年半から2年に至る約半年をかけて、原稿の執筆と編纂を行った。各項目の記載時期に若干の前後があることについて、あらかじめご了承をお願いしたい。
 最後に、この報告書は、日本財団の助成により作成した。ここに記して深く感謝を申しあげる。

2013年3月

日本障害フォーラム
 代表 小川 榮一

 

日本身体障害者団体連合会
日本盲人会連合
全日本ろうあ連盟
日本障害者協議会
DPI日本会議
全日本手をつなぐ育成会
全国脊髄損傷者連合会
全国精神保健福祉会連合会
全国社会福祉協議会
日本障害者リハビリテーション協会
全国「精神病」者集団
全国盲ろう者協会
全日本難聴者・中途失聴者団体連合会