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歓迎の辞

日本財団会長 笹川 陽平

ご紹介賜りました日本財団の笹川でございます。今、司会者からお話がありましたように、今日はESCAPとリハビリテーション・インターナショナル、そして日本財団の三者共催による国際会議でございます。13ヵ国から130人の皆さんがお集まりいただいたということで、心より歓迎を申しあげます。この会議がいかに重要な会議であるかということは、今回日本政府からも亀岡政務官をはじめ、政府からのご出席者、そして地方自治体からの幹部も出席していることで、御理解をいただけると思います。

私ども、日本財団は、アジアで最大の財団でございます。世界100ヵ国を超える国々で、人道的な活動を行っております。特に、障害者の問題につきましては、長く関心を持ち、また活動をして参りました。特に、途上国の若い方々に、高等教育を受ける機会を設け、そしてその方々が国に帰ったあとに、将来の障害者の指導者になっていただく、というような活動を長くやってきております。また、Deafの方々への支援のためには、各国の手話の辞書の作成、あるいは人材の養成ということもやってきております。

私たちは特に、「障害者と災害」という問題については、古くから関心を持ってきております。1986年に、国連の中に、笹川災害防止賞というものを設けまして、各国における災害に関しての活動を、予防的な意味も含めまして、活動している人を表彰することを長くやって参りました。

3年前の3月11日の大災害がこの地で発生しました。私どもは、過去日本で起こりました台風あるいは地震につきまして、40回の救援活動を行って参りました。しかしこの3年前の東日本大震災は、今までの40回の出動とは、違った問題がございました。それは大変広い地域に渡り、地方行政機関が、それぞれ複数存在したということであります。我々は、こと障害者のために、緊急避難用の仮設住宅を建設、あるいは遠隔手話、文字通訳サービスを行いました。また、各仮設住宅における、障害者の皆様をどのようにサポートするかと。これは初めての経験でございました。非常に残念なことに、障害者の皆さんの死亡者は、通常の方の2倍を超えたことを私たちは経験しました。日本は災害国でもございますが、しかしながら、この障害者に対する配慮というものが、この東日本大震災において、十分ではなかったということを率直に我々は、反省を致しております。国際的にも、この防災の中における、障害者の位置づけというものは、十分ではございませんでした。

従いまして、来るべき来年、この仙台で開かれます第3回国連防災世界会議におきましては、この障害者の問題をきちんと位置づけていただくということが重要でございます。そのために、今回世界から集まってくださった皆様方の専門的な知識、あるいは経験というものを発表していただきまして、これをまとめ、ぜひ来年の国連防災世界会議の中に、皆様方の意見を反映させたいと願っております。私の個人的な考えでございますが、このコミュニティの形成、あるいは社会の形成要因している人たちはどういう人か。当然、社会には老人もいますし、障害者もいますし、子どももいますし。そういう方々が集まって、社会が形成されているわけでございますから、当然、様々な社会活動の中には、そういう方々を含めて社会が形成されているのだということを理解する必要があるわけでございまして、健常な人、障害者というように、区別して物事を考えること自体が、私は間違っているのではなかろうかという気がいたします。才能を持った人が沢山いらっしゃいます。社会のなかで、尊敬される人も沢山いらっしゃいます。ただ、機会がないというのも事実でございます。そういう意味におきまして、これからのコミュニティ、あるいは社会を形成するなかで、そういう区別をしない、当然の権利として、配慮していく必要があると思います。どうぞ皆様方の2日間にわたる、活発なご意見を頂戴して、実りのある会議にしていただきたいと、心から歓迎と共に、お願いを申しあげます。ありがとうございました。