厚生労働省 生活支援ニュース第6号
発行日:平成23年(2011年)5月10日(火)
厚生労働省
Ministry of Health, Labour and Welfare
出典:
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000014uzs-att/2r9852000001bgqt.pdf
「住まい、しごと、健康のためのお知らせです。」
震災から2か月が経ち、これからの生活を考え始めた方もいらっしゃるかと存じます。第6号では、 住まいやしごとの支援など今後の生活を考える上で大切な情報を中心にお知らせします。
健康や福祉のことなどの情報も掲載しておりますので併せてお役立てください。
なお、避難所はもちろん、ご自宅に避難されている方にもお読みいただければと思います。
みなさんのまわりに、目や耳の不自由な方や、身のまわりの状況が即座には 把握しにくい、といった方はいらっしゃいませんか?
そうした方は必要な情報を得ることが難しく、支援の手がさしのべられないおそれが あります。目の不自由な方には口頭で、耳の不自由な方には筆談で情報を伝えるなど、 周囲の人の手助けが必要な方に、ちょっとした心配りをお願いします。
もくじ
お知らせ
健康のための口の体操(4回シリーズ) ④ 唾液腺 マッサージ
唾液の分泌をよくすることで、口の渇きを防ぎ、食べ物がのみ込みやすくなります。 マッサージをして、唾液の分泌をうながしましょう。
耳下腺への刺激
人差し指から小指までの4本の指を頬にあて、上の奥歯のあたりを後ろから前へ向かって回す(10回)。
顎下線への刺激
親指をあごの骨の内側のやわらかい部分にあて、耳の下からあごの下まで5か所ぐらいを順番に押す(各5回ずつ)。
舌下線への刺激
両手の親指をそろえ、あごの真下から手をつきあげるようにゆっくりグーっと押す(10回)。
参考資料:財団法人8020推進財団「はじめよう口腔ケア」
経済面での支援
ホテルなどの宿泊施設も避難所になります
学校や公民館以外にホテル、旅館などの宿泊施設を避難所として提供しています。
応急仮設住宅など、新たな住まいが見つかるまでの間、利用できます。
特に高齢の方、障害のある方、妊産婦、乳幼児がいらっしゃる世帯におすすめです。
利用料は食事も含めて無料です。詳しくは、市町村へご相談ください。
住宅が被災した方への支援
応急仮設住宅
家が全壊などにより住むところがない場合に、入居できる住宅を現在建設中です(2年間無料)。室内は、バリアフリー仕様で、高齢者や障害者の方も安心してお住まいいただけます。
既存の住宅の借り上げによる住居の提供
民間の賃貸住宅や公営住宅などを借り上げて、応急仮設住宅と同じように提供します(2年間無料)。希望に合う物件があればすぐに入居できます。
住宅の応急修理費用の支援
住宅が半壊以上の被害にあわれた方に、1世帯当たり52万円分の応急的な修理費の支援を行います。居室、台所、トイレなど日常生活に必要最小限の場所の修理が対象です。
いずれも詳しくは、被災時に居住していた市町村へお問い合わせください。
※「応急仮設住宅」「既存の住宅の借り上げ」と、「住宅の応急修理」との併用はできません。また、別の「応急仮設住宅」や「借り上げた既存住宅」に再入居することはできません。
※「応急仮設住宅」「既存の住宅の借り上げ」とも入居後の食費、光熱水費は自己負担となります。
※「応急仮設住宅」「借り上げた既存住宅」の入居に際しては、日本赤十字社から生活家電セット(テレビ、洗濯機、冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、電気ポット)が寄贈されます。入居前に市町村へご相談ください。
災害弔慰金・災害障害見舞金が支給されます
災害弔慰金
この震災で不幸にも亡くなられた方のご遺族に弔慰金が支給されます。
< 受給額>
- 生計維持者が亡くなられた場合 500万円
- 上記以外の方が亡くなられた場合 250万円
<受給遺族>
配偶者、子、父母、孫、祖父母
災害障害見舞金
この震災で不幸にも重度の障害(両目失明、両上肢ひじ関節以上切断など)を負った方に見舞金が支給されます。
<受給者> 生計維持者
<受給額>250万円
<受給者>上記以外の方
<受給額>125万円
いずれも詳しくは、被災時に居住していた市町村へお問い合わせください。
災害援護資金制度が利用できます
負傷または住居・家財に被害を受けた世帯主には、状況に応じて150万円から350万円までの範囲内で、災害援護資金から資金をお貸しします。無利子(保証人を立てない場合は年利1.5%)で、貸し出し後7年目から13年目までの返済となります。
ご相談は被災時に居住していた市町村へ。
お知らせ
義援金
全国からお寄せいただいた善意による義援金の支給が行われています。詳しくは、被災時に居住していた市町村へお問い合わせください。
屋外で作業を行うみなさんへ
震災で発生したがれきの処理や撤去作業は、くぎなどを踏み抜く、倒れてきたり 落ちてくる物に当たるなど、多くの危険を伴います。また、粉じんが舞い上がったり、 有害な物質が露出して、健康に悪い影響を与える可能性もあります。撤去作業を 安全に進めることができるよう、注意すべき点をまとめました。安全に十分 注意して作業にあたってください。
服装
- 長袖、長ズボンで、肌があらわにならない服装を。
- けがを防ぐため、ヘルメット、安全靴など底の厚い靴、丈夫な手袋を着用する。
- 防じんマスクやゴーグルを着用する。
作業中
- 足元をしっかり確認し、安定の悪い場所、高い所では作業しない。
- 腰を痛めるので、重いものを無理に一人で運ばない。
- 倒れた柱など、長いものを運ぶときは、まわりに人がいないか注意。
- 倒れそうな建物には近づかない。丈夫そうに見える建物も、被災した場合はダメージを受けているケースが多い。
- ブルドーザー、パワーショベルなど、作業中の重機には近づかない。
- 断面が露出した建材などには、石綿が含まれている危険がある。散水などで粉じんの飛散を防ぐとともに、原則的には割らずに片付ける。
- 液体の薬品、液漏れした機械、古いトランス、コンデンサーなどには有害
- 物質が含まれている可能性があるので、見つけた場合には不用意に触らないこと。
その他の注意事項
- 緊急地震速報が出た際には、作業を中止して安全な場所に避難する。
- 暑い日の作業では、水分、塩分、休憩をこまめにとる。体調が悪くなったら、無理せず作業を中止する。
- 破傷風の恐れがあるので、傷を負った場合は、すぐに消毒・治療を。
- 粉じんが舞う場所では、ものを食べたり、たばこを吸わない。
- がれきが燃えているような場合は、風上に立ち、燃焼部には近づかない。
- 燃えた後のがれきを片付ける際には、防じんマスクを着用。
- 汚水、雨水、海水、河川の水、腐敗しやすい物がたまっている場所などは、酸素濃度が低かったり、硫化水素濃度が高い可能性があるので、近づかない。
保護者の方へ
お子さんががれきの中で遊ぶと危険です。また、ほこりや粉じんが多く発生しています。お子さんが外で遊ぶ際には注意してください。
心身の健康を保つために
「体を動かしてみませんか?」
~生活不活発病予防に「いつでもどこでも体操」~
震災後、「疲れやすくなった」「歩きにくくなった」と感じることはありませんか?
避難生活では思うように体を動かせず、心身ともに縮こまってしまいがちです。 とくに高齢の方の場合、毎日少しずつでも体を動かすよう、意識しましょう。
ここでは、いつでもどこでも手軽にできる体操をご紹介します。その日の体調に応じ、寝ころんだまま、またはいすを使って、体を動かしてみましょう。
寝ころんでする体操
1
①あおむけになり、おなかの上で指を組む。
②息を大きく吸いながら、組んだ両手を頭の方に伸ばす。
③両うでが耳のそばまできたら、そのまま3つ数える。
3回繰り返す。
2
①あおむけになり、“気をつけ”の姿勢になる。
②両ひざを伸ばし、つま先だけを自分の方に向けるように足首を起こす。
③そのまま3つ数える。3回繰り返す。
3
①あおむけになり、“気をつけ”の姿勢になる。
②片方のひざを両手で抱え、太ももをおなかにつける気持ちで3つ数える。
③反対側も同じようにする。左右で1セット、3セット繰り返す。
4
①あおむけになり、両ひざを立てる。両手はおなかの上に置く。
②足の裏で床を踏みしめるようにし、お尻を持ち上げる。
③お尻が持ち上がったら、3つ数える。3回繰り返す。
いすを使う体操
1
①いすに深く座り、両手を組んで頭の後ろに添える。
②胸を開きながら、3つ数える。3回繰り返す。
2
①いすに深く座り、両手で座面を押すようにしてお尻を持ち上げる。
②お尻が少し浮いたらそのまま3つ数え、ゆっくり元に戻る。3回繰り返す。
3
①いすの背もたれにつかまって立つ。
②背もたれにつかまりながら、両足でつま先立ちになる。そのまま3つ数え、ゆっくり戻る。3回繰り返す。
参考資料:茨城県シルバーリハビリ体操
妊婦さん、赤ちゃんを持つお母さんへ
長引く避難生活では、「ストレスをためないように」といっても難しいでしょう。ささいなことでも、誰かに聞いてもらうだけで気持ちが軽くなることがあります。妊娠や出産、子育てについては、助産師がご相談に応じます。どうぞ遠慮なくご利用ください。
日本助産師会「 子育て・女性健康支援センター」
□岩手県
電話:019-647-5142( 受付時間:毎月第2、4土曜日 9:00~16:00)
□宮城県
電話:022-297-1551( 受付時間:月、水、金 10:00~16:00)
□福島県
電話:024-522-4361( 受付時間:月~金 10:00~16:00)
被災地の妊婦さんや、産後早期のお母様の一時的避難場所として、受け入れ可能な助産所 を紹介しています。被災地や避難先で出産した方や、出産を予定している方で、生まれた ばかりの赤ちゃんを連れて帰る場所がないという方は、日本助産師会までご相談ください。
日本助産師会「妊婦・産後の母子助産所受け入れ」窓口
□電話:03-3866-3062 (受付時間:月~金 9:00~17:00)
被災地にお住まいの妊婦さんで、今後の受診について相談したいという方や、ほかの 地域の病院へ転院を希望される方は、まずは日本産婦人科医会へご相談ください。
日本産婦人科医会 本部
□電話:03-3269-4739 (受付時間:月~金 10:00~17:00)
参考:日本産婦人科医会 県支部
□岩手県
電話:019-651-1455( 受付時間:月~金 10:00~17:00)
□宮城県
電話:022-227-1591( 受付時間:月~金 10:00~17:00)
□福島県
電話:024-522-5191( 受付時間:月~金 10:00~17:00)
支援や配慮が必要な方はいませんか?
高齢者や障害のある方で身のまわりの支援が必要な場合や、ベッドやポータブル トイレ、授乳室などが必要な場合、避難所の管理者や市町村までご相談ください。
里親制度について
子どもは親の愛情のもとで育つのが理想ですが、さまざまな事情により、保護者 と暮らせない子どももいます。そのような子どもを家庭に迎え入れ、保護者に代 わって養育する人を「里親」といいます。
里親には、一般的な「養育里親」のほか、「養子縁組希望里親」、「親族里親」があります。 里親になるには、児童相談所で申請し、都道府県知事(政令指定都市の市長)の認定 を受けます。養育対象は原則18歳未満の子どもですが、20歳まで延長できます。
- 養育里親
保護が必要な子どもの養育を希望し、研修を修了した人 (4親等以上の親族も含む)
※養育里親のうち、虐待された子どもの養育など、専門性が必要と なる里親は「専門里親」という - 養子縁組希望里親
養子縁組によって養親となることを希望する人 - 親族里親
保護者が死亡・行方不明などで養育できなくなった子どもを養育する3親等内の親族(祖父、祖母、おじ、おばなど)
【支給される手当】
里親となると、食費や洋服代などの「一般生活費」が月額47,680円(乳児は 54,980円)、加えて教育費や入学金、医療費などが支給されます。このほか、 養育里親の場合は、「里親手当」として月額72,000円(2人目以降:月額36,000円) が、それぞれ都道府県(政令市)から支給されます。
里親制度について、みなさんのご理解・ご協力をお願いいたします。
詳しくは、最寄りの児童相談所にお問い合わせください。
車椅子が体に合わない、使っている義足の調子が悪い、杖が曲がってしまった など、ご使用の補装具や日常生活用具でお困りのことはありませんか?
被災された障害者や高齢者のみなさんが使用中の福祉用具に関する支援を 行うため、関係団体による「障害者等福祉用具支援本部」が発足しました。 器具の調整・フィッティングや、申請手続き、避難所など新しい環境下での 使用に関するご相談など、お近くの専門スタッフが直接対応・支援にうかがい ますので、お問い合わせください。
障害者等福祉用具支援本部(中央本部) 社団法人 日本義肢協会内
電話:03-3811-0697 FAX:03-3814-5250
お知らせ
国家試験
震災の影響で、管理栄養士国家試験を受けられなかった方を対象に、7月31日(日)に追加試験を実施します。3月 20日の試験を宮城県で受験予定だった方は宮城県会場で、それ以外の会場で予定していた方は東京都会場で試験を行います。
詳しくは、東北厚生局022(716)7331(宮城県会場)、関東信越厚生局048(740)0810(東京都会場)へ。
しごとの支援について
事業所が震災によって休業状態となった場合、特例的に、休業している方に失業 給付を支給しています。給付日数は、現行制度でも原則60日分を延長して支給して いますが、今回、これに加えて、さらに60日分を延長する特例措置を実施します。
震災を原因とする休業を対象に、これまでの支給日数にかかわらず1年間で最大300日 助成金が利用できる特例措置を設けました。また、この特例を含め、これまで実施して きた震災関係の特例の対象として、被災地域の事業主や被災地域の事業所などと 一定規模以上の取引がある関連事業主に加え、関連事業主と一定規模以上の取引が ある事業主(2次下請けなど)を追加しました。詳しくは最寄りのハローワークまで。
「被災者雇用開発助成金」として、震災による離職者や被災地域に居住する 求職者を雇い入れた事業主に対して、50万円(中小企業は90万円)を支給します。
雇用・能力開発機構では、被災地に「震災特別相談窓口」を設けて、「受けていた 職業訓練が中止になってしまった。他の職業訓練は受けられるか」、「被災した 教室が復旧したので、職業訓練を再開したい」など、受講生、教育訓練機関、事業 主の方からの訓練に関するご相談に応じています。
震災特別相談窓口連絡先
□青森センター
電話:017-777-1234
(受付時間:月~金 8:45~17:00 土 10:00~17:00)
□岩手センター
電話:019-625-5101
(受付時間:月~金 8:45~17:00 土 8:45~17:00)
□宮城センター 電話:022-292-2753
(受付時間:月~金 9:00~17:00 土 9:00~16:00)
□福島センター 電話:024-534-3637
(受付時間:月~金 9:00~17:15 土 10:00~17:00)
□茨城センター
電話:029-221-1188
(受付時間:月~金 9:00~17:00)
「生活支援ニュース」掲載記事一覧
第1号~第6号に掲載した記事内容の一覧です。記事は、厚生労働省ホームページ、携帯電話からご覧いただけます。
□ホームページ : http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000017y8m.html
□携帯版 : http://mobile.mhlw.go.jp/jishin/seikatsu/index.html
健康
- こころの健康のために気をつけること(1号)
- からだの健康を守るために気をつけること(1号)
- こころの不調に気づくために(4号)
- 「糖尿病」チェックリスト(3号)
- 高血圧の薬をのんでいた方へ(3号)
- 感染症の予防(3号)
- 「生活不活発病」予防/チェックリスト(2号)
- 生活不活発病予防に「いつでもどこでも体操」(6号)
- 「エコノミークラス症候群」の防止(4号)
- がれきの処理・撤去を安全に行うために(6号)
- 食事の要望をお伝えください(4号)
配慮が必要な方
- 目の不自由な方・耳の不自由な方(1号)
- 補聴器の無料交換・点検・修理(2号)
- 発達障害のある方(1号)
- 「成年後見制度」について(4号)
- 認知症の方への配慮と工夫例(2号)
- 受給者証をなくした、障害のある方へ(3号)
女性、こども
- お子さんのいる方へ(2号)
- 妊娠中の方、赤ちゃんのいる方へ(2号)
- 両親が死亡・行方不明のお子さんについて(3号)
- 女性や子どもへの“二次被害”を防ぐために(4号)
- 「児童扶養手当」について(4号)
- 子どものこころを守るために(5号)
- 産後、落ち着いて生活するために(6号)
- 転院先をお探しの妊婦さんへ(6号)
- 里親制度のご案内(6号)
経済面の支援
- 生活費の無利子貸付について(1号、2号)
- 主な支援制度(2号)
- 住まいのこと、お金のこと、ご相談ください(6号)
- 年金についての問い合わせ先(2号)
- 年金保険料の納付期限延長、免除について(4号)
- ろうきんの預金引き出しについて(2号)
しごとの支援
- ハローワークなどの相談窓口(1号、4号)
- ハローワークの時間延長、土日開庁について(2号)
- ハローワークでの多彩な求人情報(3号)
- 雇用調整助成金など特別支援策について(1号、6号)
- 就職活動の交通費、引っ越し代の支給(2号)
- 震災も労災保険の対象(2号)
- 給料、退職金の立て替え払い(2号)
- 職業訓練・生活費支援(3号)
- 申請書類がない場合の給付や助成金(3号)
- 自治体での雇用支援(4号)
- 既卒者の雇用支援(4号)
- 雇用保険の給付日数を延長します(6号7)
- 被災した方を雇い入れる事業主に助成金(6号)
- 中小企業退職金共済制度の手続きについて(4号)
- 労働安全衛生関係の免許について(4号)
- 管理栄養士国家試験について(6号)
その他
- 「生活支援ニュース」モバイル版紹介(3号)
- 即席マスクの作りかた(1号)
- 紙スプーンの作りかた(2号)
※( )内の数字は、掲載号数・掲載ページ
◆編集部より
この「一覧」は、第1~6号の掲載記事の中から必要な情報をすぐに見つけることができる ように作成しました。これまで発行した内容を分野別にある程度整理したことを節目として、 これまでの週1回の定期発行は一旦休止いたします。