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-第6回全国盲老人ホーム利用者実態調査報告書(4)-

◆◆看護的対応◆◆
(21).内服薬の服用介助
問45 内服薬の服用介助を、どの程度行いましたか。

内服薬を服用する必要はなかった 介助しなかった 毎回確認をしたが服用は本人が行った 口元までもっていって服用させた 飲みやすいよう工夫して服用させた 無回答 件数
14.6 46.7 31.0 4.9   2762
問45の帯グラフ

 

内服薬の服用介助についてたずねたところ、実際に内服薬を服用した人は8割台半ばで、46.7%は「介助しなかった」、また「毎回確認をしたが服用は本人が行った」31.0%で、服用自体の介助を行った割合は数%にとどまっている。

 視力の程度別では大きな差異は見受けられない。

<視力の程度別 内服薬の服用>
視力の程度 介助しなかった・必要なかった 一部介助をした 全面介助をした 拒否したりするので手がかかった 無回答 件数
合計 88.4 6.3     2762
失明 87.8 6.8     1904
弱視 89.5 5.4     743
晴眼 92.8     69
視力の程度別 内服薬の服用の帯グラフ

 日常生活の自立度別では、内服薬を服用した割合は、〔生活自立〕で若干少ないほかはさほど大きな差はみられない。「介助しなかった」については、〔生活自立〕では過半数を占めているのに対し、重度の寝たきりになるほど少なくなる傾向にあり、「口元までもっていって」「飲みやすいよう工夫をして」服用させた比率が高くなっている。

<日常生活の自立度別 内服薬の服用>
寝たきり度 内服薬を服用する必要はなかった 介助しなかった 毎回確認をしたが服用は本人が行った 口元までもっていって服用させた 飲みやすいよう工夫をして服用させた 無回答 件数
合計 14.6 46.7 31.0     2762
生活自立 J-1 23.6 52.1 23.2       263
生活自立 J-2 20.1 55.0 22.3       467
準寝たきりA-1 14.3 48.9 33.0     1219
準寝たきりA-2 7.5 36.4 45.2 7.5   440
寝たきり B-1 7.7 24.2 42.9 20.9   91
寝たきり B-2 12.5 17.9 21.4 35.7 8.9 56
寝たきり C-1 6.5 6.5 12.9 58.1 12.9 31
寝たきり C-2 11.5 26.9 42.3 11.5 26
日常生活の自立度別 内服薬の服用の帯グラフ

(22).外用薬の与薬・塗布の介助
問46 外用薬の与薬・塗布の介助を、どの程度行いましたか。

外用薬の与薬・塗布する必要がなかった 介助しなかった 1日1回程度介助した 1日2回以上介助した 無回答 件数
38.1 49.2 8.0 2762
問46の帯グラフ

 

外用薬の与薬・塗布の介助について、与薬・塗布を行ったのは6割程度で、介助を行ったのは1割程度となっている。

 視力の程度別では、〔弱視〕で外用薬の与薬・塗布した人が多くなっているものの、介助を行つた割合は〔失明〕と同程度である。また、〔晴眼〕では介助をした割合が、他に比べ若干低くなっている。

<視力の程度別 外用薬の与薬・塗布>
視力の程度 外用薬の与薬・塗布する必要がなかった 介助しなかった 1日1回程度介助した 1日2回以上介助した 無回答 件数
合計 38.1 49.2 8.0 2762
失明 41.5 46.0 8.2   1904
弱視 29.2 57.3 7.9   743
晴眼 40.6 53.6     69
視力の程度別 外用薬の与薬・塗布の帯グラフ

 日常生活の自立度別では、介助を要する人は、〔寝たきりB-2〕〔寝たきりC〕で多く、3割前後を占めている。

<日常生活の自立度別 外用薬の与薬・塗布>
寝たきり度 外用薬の与薬・塗布する必要がなかった 介助しなかった 1日1回程度介助した 1日2回以上介助した 無回答 件数
合計 38.1 49.2 8.0 2762
生活自立 J-1 41.4 53.2     263
生活自立 J-2 36.2 56.3   467
準寝たきりA-1 36.3 52.0 8.0   1219
準寝たきりA-2 35.5 46.1 10.9 5.7 440
寝たきり B-1 49.5 36.3 9.9   91
寝たきり B-2 35.7 32.1 21.4 7.1 56
寝たきり C-1 45.2 19.4 19.4 12.9 56
寝たきり C-2 38.5 15.4 11.5 19.2 15.4 26
日常生活の自立度別 外用薬の与薬・塗布の帯グラフ

(23).通院にかかわる介助
問47 通院にかかわる介助は、過去1カ月間にどの程度行いましたか。

通院しなかった 家族だけで連れて行った 月1回以下の頻度で介助 月2~3回程介助した 週1回以上介助をした 無回答 件数
56.7   22.4 12.4 2762
問47の帯グラフ

 

通院にかかわる介助についてたずねたところ、過去1カ月間で通院した人は4割程度である。「家族だけで連れて行った」は0.9%にすぎず、他は、頻度の差はあっても、施設職員による介助で通院している。問18-2の治療期間「9カ月以上」が7割を超えていることを考えると、かなりの介護量になると考えられる。

 視力の程度別では、〔弱視〕で通院者が多く、家族以外の介助での通院をしている割合が高くなっている。

<視力の程度別 通院の介助>
視力の程度 通院しなかった 家族だけで連れて行った 月1回以下の頻度で介助 月2~3回程介助した 週1回以上介助をした 無回答 件数
合計 56.7   22.4 12.4 2762
失明 60.6   21.0 10.7 1904
弱視 46.8   26.6 16.2 743
晴眼 68.1   20.3 8.7   69
視力の程度別 通院の介助の帯グラフ

 日常生活の自立度別でみると、〔準寝たきりA-1〕〔寝たきりB-2〕で通院した人が多いため、家族以外での介助による通院が4割前後と若干多くなっているほかは、さほど大きな差はみられない。

<日常生活の自立度別 通院の介助>
寝たきり度 通院しなかった 家族だけで連れて行った 月1回以下の頻度で介助 月2~3回程介助した 週1回以上介助をした 無回答 件数
合計 56.7   22.4 12.4 2762
生活自立 J-1 61.6 19.4 11.4 263
生活自立 J-2 62.1   14.3 12.2 5.4 467
準寝たきりA-1 51.8   27.1 13.9 1219
準寝たきりA-2 62.0   18.4 11.4 440
寝たきり B-1 65.9   16.5 12.1   91
寝たきり B-2 53.6   17.9 17.9 7.1 56
寝たきり C-1 61.3   19.4 12.9   6.5 31
寝たきり C-2 65.4   11.5 11.5   11.5 26
日常生活の自立度別 通院の介助の帯グラフ

(23)-1通院介助の状況
問47-1 1回の通院介助時間(通院に出る準備から戻ってきての介助まで)に要する時間はどのくらいでしたか。(問47で「3」「4」「5」の方だけ)

1時間未満 1~2時間未満 2~3時間未満 3時間以上 無回答 件数
10.8 39.9 30.5 16.9 1069
問47-1の帯グラフ

問47-2 1回の通院で、通院先まで同行して介助する職員の人数は何人でしたか。
(問47で「3~5」の方だけ)

1人 2人 3人以上 無回答 件数
66.1 26.1 5.1 1069
問47-2の帯グラフ

 

家族の介助以外で通院した場合の介助時間をたずねたところ、「1~2時間未満」が最も多く39.9%、次いで「2~3時間未満」30.5%、また「3時間以上」に及ぶ場合も16.9%を占めている。
 一方、通院に要する職員数については、「1人」が66.1%を占めているものの、「2人」も26.1%となっている。通院の期間や時間からも、通院の介助にはかなりの負担が強いられていると考えられる。

(24).入退院にかかわる介助
問48 病院への入退院にかかわる介助を行いましたか。行っているものをすべて選んでください。

件数=2762 問48の帯グラフ
入退院の手続や付き添い 4.5
病院との連格・話し合い 2.5
必要物品・洗濯物の持参 4.3
見舞い 2.6
入退院介助はしなかった 0.5
入退院はなかった 80.5
無回答 11.3

 

病院への入退院にかかわる介助についてたずねたところ、入退院した人は1割に満たないため、最も多い「入退院の手続きや付添い」でも4.5%にとどまっている。入退院をした人のみに限ってみると、9割近くが何らかの介助をしており、「入退院の手続きや付添い」「必要物品・洗濯物の持参」が半数を超えており、「病院との連絡・話し合い」「見舞い」が3割台となっている。

3.必要とする介護の量及び内容について
(1).通常必要とする介護の量・内容
問49 ご本人が通常必要とする介護の量及び内容は、あなたの観察及び判断では次のどれに該当すると考えられますか。

ほとんど介護を必要としない たまに介護を必要とする程度 通常並の量の介護を必要とする 通常かなりの量の介護を必要とする 無回答 件数
30.6 34.1 22.8 11.3   2762
問49の帯グラフ

 

通常必要とする介護の量及び内容を介護者に判断してもらったところ、「ほとんど介護を必要としない」30.6%、「たまに介護を必要とする程度」34.1%で、介護をあまり必要としない層は6割台半ばを占めている。また、3人に1人は介護を必要としており、「通常、並の量の介護を必要とする」22.8%、「通常かなりの量の介護を必要とする」11.3%となっている。盲養護でありながら、「かなりの量の介護を必要とする」が1割を超えていることは注目される。

 視力の程度別にみると、〔失明〕の人で介護を必要とする割合が高くなっており、「並の」「かなりの」を合せると、3割台半ばとなっている。

<視力の程度別 必要な介護>
視力の程度 ほとんど介護を必要としない たまに介護を必要とする程度 通常並の量の介護を必要とする 通常かなりの量の介護を必要とする 無回答 件数
合計 30.6 34.1 22.8 11.3   2762
失明 27.9 34.5 24.3 12.3   1904
弱視 34.7 34.6 19.9 9.2   743
晴眼 49.3 29.0 13.0 8.7   69
視力の程度別 必要な介護の帯グラフ

 日常生活の自立度別にみると、はぼ自立度に対応して要介護度も高くなる傾向にある。ただし、〔寝たきりB-2〕以降では「かなりの量の介護を必要とする」割合が7割台で同程度占めており、差がほとんど生じていない。

<日常生活の自立度別 必要な介護>
寝たきり度 ほとんど介護を必要としない たまに介護を必要とする程度 通常並の量の介護を必要とする 通常かなりの量の介護を必要とする 無回答 件数
合計 30.6 34.1 22.8 11.3   2762
生活自立 J-1 63.5 27.8 8.0     263
生活自立 J-2 55.7 33.0 8.1   467
準寝たきりA-1 25.8 40.7 28.1   1219
準寝たきりA-2 6.8 34.3 35.9 21.6   440
寝たきり B-1   6.6 37.4 54.9   91
寝たきり B-2   17.9 75.0 56
寝たきり C-1 12.9 77.4 31
寝たきり C-2 11.5 76.9 26
日常生活の自立度別  必要な介護の帯グラフ

(2).介護二ーズの充足度
問50 現在、寮母が実際に行っている介護によって、ご本人の介護ニーズが十分に充たされていると思いますか。それともその反対だと思いますか。

十分に充足されている ほぼ充足されている あまり充足されていない ほとんど充足されていない 無回答 件数
16.2 61.2 19.6   2762
問50の帯グラフ

 

現在の介護で利用者の介護ニーズが充足されているかどうかをたずねたところ、「十分充足されている」16.2%、「はぼ充足されている」61.2%で8割弱の人が介護ニーズが充たされていると見られている。一方、充足されていないとみなされているのは、2割程度で、大半が「あまり充足されていない」となっている。

 日常生活の自立度別では、〔生活自立〕での充足度の高さが目立っており、介護ニーズの高い〔寝たきり〕になるほど充足度は低い傾向がみられる。ただし、「ほとんど充足されていない」は最も比率の高い〔寝たきりC-2〕でも15.4%で、他の層では1割に満たない。

<日常生活の自立度別 介護ニーズの充足度>
寝たきり度 十分に充足されている ほぼ充足されている あまり充足されていない ほとんど充足されていない 無回答 件数
合計 16.2 61.2 19.6   2762
生活自立 J-1 24.3 58.6 13.7   263
生活自立 J-2 27.2 60.6 9.6     467
準寝たきりA-1 12.6 66.9 18.9     1219
準寝たきりA-2 6.6 57.7 33.2     440
寝たきり B-1 12.1 49.5 31.9 91
寝たきり B-2 8.9 46.4 41.1   56
寝たきり C-1 6.5 32.3 51.6 6.5 31
寝たきり C-2 7.7 42.3 26.9 15.4 7.7 26
日常生活の自立度別 介護ニーズの充足度の帯グラフ

 必要な介護の量・内容によって、介護ニーズの充足度をみると、「十分充足されている」は〔ほとんど介護を必要としない〕層で30.9%を占めているほかは、1割前後にとどまっている。「ほぼ充足されている」を合せた、概ね充足しているとみなされるのは、〔ほとんど必要としない〕層では9割を上回っているのに対し、〔かなりの量の介護を必要とする〕層では半数程度にとどまっている。ただし、〔かなりの量の介護を必要とする〕層においても「ほとんど充足されていない」とされたのは5.1%にとどまっている。介護を必要としながらも十分な介護を受けていない層への一層の努力と、介護をほとんど必要としないと判断されながら、充たされていないとみなされた少数層の介護ニーズの把握なども今後さらに期待される。
 前回平成4年度の調査と、必要度別に充足度を比較すると、今回の方が全般的に低い充足度にとどまっていることがわかる。前回に比べ、介護を必要とする層が増え、全体でとらえたときの必要な介護量・質が増加しており、このことが充足度に影響していると思われる。

<必要な介護別 介護ニーズの充足度>
必要な介護量・内容 十分に充足されている ほぼ充足されている あまり充足されていない ほとんど充足されていない 無回答 件数
合計 16.2 61.2 19.6   2762
ほとんど必要としない 30.9 60.1 6.0   844
たまに必要とする程度 10.5 74.1 15.1     941
並の量を必要とする 8.9 57.4 32.9     629
かなりの量を必要 10.2 39.3 45.0 5.1   313
必要な介護別 介護ニーズの充足度の帯グラフ

<ほとんど必要ない層>
十分充足 ほぼ充足 あまりされていない ほとんどされていない 無回答
平成4年 41.1 54.5 4.2     0.3
平成9年 30.9 60.1 6.0     0.6
ほとんど必要ない層の帯グラフ

<たまに必要とする層>
十分充足 ほぼ充足 あまりされていない ほとんどされていない 無回答
平成4年 13.8 72.0 13.7    
平成9年 10.5 74.1 15.1    
たまに必要とする層の帯グラフ

<並の量を必要とする層>
十分充足 ほぼ充足 あまりされていない ほとんどされていない 無回答
平成4年 8.7 64.4 25.4 1.5  
平成9年 8.9 57.4 32.9 0.5  
並の量を必要とする層の帯グラフ

<参考:「かなりの量必要」>
十分充足 ほぼ充足 あまりされていない ほとんどされていない 無回答
平成4年 11.2 53.6 31.7 3.6  
平成9年 10.2 39.3 45.0 5.1  
参考:「かなりの量必要」の帯グラフ

(2)-1 介護ニーズが充足されない原因
問50-1 ご本人の介護二ーズが充足されない原因は、次のうちどれだと考えますか。(すべて)
(問50で「3」「4」の方だけ)

件数=567 問50-1の帯グラフ
介護に従事する職員数が足りない 50.3
介護の量が多すぎて手が回らない 20.3
介護機器・設備が不足している 19.6
介護以外の仕事のため時間が足りない 62.4
職員の意欲が足りない 1.9
職員の心身の負担が大きい 16.4
職員に知識や技術が身についていない 3.4
本人が介護を協力的に受け入れない 19.6
本人の要求が多すぎて対応しきれない 23.8
本人にはホームへの入所は不向き 14.5
その他 3.9
無回答 2.8

 

介護ニーズが「あまり」「ほとんど」充足されていないとした人に、その原因をたずねた.最も多くあげられたのは、「介護以外の仕事のために、時間が足りない」62.4%、次いで「介護に従事する職員数が足りない」50.3%となっており、マンパワーの問題が他を大きく上回っている。


主題(副題):盲老人の幸せのために -第6回全国盲老人ホーム利用者実態調査報告書(4)- 146頁~158頁