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盲老人ホームのケアサポートプラン

~ 盲老人の幸せのために ~ NO.3


(8)ケアサポートプラン関連資料

1 ケア指針
2 ケアチェック状態区分像
3 ケアサポートプラン状態区分総括表(参照)
4 ケアレベル3段階事例
5 記入要項

1 ケア指針

(1)生活向上と自立

[指針]
盲老人は生活動作が緩慢となり狭い世界にとじこもりがちとなる。
目的は毎日の生活が自立できるよう積極的な心構えで明るく、充実した生活が送れるように介助者が理解ある態度で接し、適切な介助を行うことにある。
1.身辺処理動作の内容は、すべての人々に欠くことのできないことと、当人のみ必要なこととがある。さらにその方法は人それぞれに異なるものであり、当人の個性的な部分はそのまま認めた上で、やりたいと思う方法をともに考えるが、それを取り入れるか否かは本人が決めるものである。
2.居室を中心として施設生活になじめるよう、繰返しオリエンテーションをする。
3.日常生活全般に残存感覚(聴覚・触覚)を利用して機能維持回復をはかること。
4.援助目標を設定し、順を追って、何度も繰返し援助して生活圏の拡大と生き甲斐の増進をはかる。

ケア項目 内容
1.オリエンテーション 本人にとっては不安と印象の確認期間として、援助を必要とする期間である。施設全体の環境になじんでもらう。安定の条件は、施設内の人間関係、家族の来園、在宅生活様式の継続とホームの機能の適応、介助者の統一的対応が必要である。
2.日常生活用具 音声時計、触知式時計の取扱、白杖使用の助言等により生活圏の拡大に、自立への喜びを感じてもらう。
3.環境確認 構造物の配置、設備、備品等の確認。
4.非常時の備え 防災の理解と協力。
(2)情報の収集と伝達

[指針]
視覚障害により社会生活全体の80~90%の情報が遮断される。
利用者への情報の伝達と収集は盲老人ホームにおけるケアの原点であり、施設全体として徹底しなければならない。介助者の点字理解、施設内における点字表示、カラーリング等環境についても配慮することが必要である。

ケア項目 内容
1.生活情報の提供 天候。予定日課。生活情報などを全体に提供。
2.点字関連情報 点字新聞。点字情報。生活情報などを提供。
3.音声関連情報 テープ、CD、貸出し、取り寄せ。
4.代筆 手紙等の代筆。内容の確認。辞書携帯。
5.代読 郵便物の代読(本人の承諾の上開封)。辞書携帯。
6.電話 電話の取扱・取次ぎ・ダイヤルの代行。
7.拡大文字・読者器 低視覚者に対し献立表、行事予定表。
8.社会資源の利用・援助 視覚障害者協会、視聴覚情報提供施設、盲学校等の情報収集と伝達。
(3)コミュニケーション障害

[指針]
盲老人には聴覚障害を伴う方が多く、コミュニケーション障害の大きな原因となる。
聴覚障害は隠れた障害である。誤解やトラブルが生じやすく、孤立しがちになる。グループワーク活動等にはパナガイド(ワイアレス式聴収器)、ループライン(補聴器誘導システム)、テレビ、ラジオには補聴器の正しい活用が望ましい。

ケア項目 内容
1.聴覚障害への援助 会話の前には関心・注意を向けること。ノイズを避けゆっくりと、はっきりと会話。了解したかどうか確認する。
2.その他の障害の援助
補聴器のチェック




難聴者の公衆電話
指点字・指文字

・補聴器の耳栓の部分が湿気や油で影響を受けていないか。
・乾電池を交換すること。
・音量が適切に調整されているか。
・チューブが破損されていないか。
・補聴器使用の場所(背景)が適正か。
・シルバーホンの活用。
・音聾唖者。
(4)移動

[指針]
移動とはある場所から目的地へ移動することを言う。ケアサポートプランでの移動は施設及びその敷地内を想定している。
晴眼者にとっては移動は精神的、身体的に苦痛を感じるものではない。しかし盲老人にとっては、常に危険と遭遇し、精神的不安を伴う。それは障害物の有無、自己の位置、方角といった環境を把握する(定位)ことが困難なためである。これらの精神的、肉体的負担を軽減する手段を講じなければならない。

ケア項目 内容
1.移動介助手引き 身体状況による無理のない介助。
2.手がかり 常時の環境。戸びらの半開きの禁止。
3.心理的地図
(メンタル・マップ)
環境理解。事故防止。低視覚者。
(5)食事

[指針]
食堂は共用部分として一定の変わらぬ環境整備が必要であり、衛生管理が必要である。利用者は食事が最大関心事であるが、その特殊性を配慮しつつ、食べやすく、楽しく、くつろいだ気分で食事ができるような環境、雰囲気づくりが必要である。テーブルと椅子、テーブルとお盆との位置関係にも注意する必要がある。
和食・洋食・中華の食器の基本的配置、食器の形状、色彩等についても配慮したい。

ケア項目 内容
1.見守り・声かけ 残っているもの・詰まりやすいものの説明。
2.献立説明 時計の文字盤により献立説明(一般的説明)。
汁ものについては「気をつけてください」とつけ加える。
3.難聴者への説明 個別説明(コミュニケーション障害の項目参照)。
4.誘導 指定席。
5.手、指の消毒 おしほりの配布、手洗い。
6.食事の工夫と配慮 食べやすさに心がける。希望の求めに応じ小骨とり。適温食の提供。調味料。
(6)入浴

[指針]
共用部分として浴室は一定の変わらない環境が必要である。プライバシーが尊重され、快適な入浴をしてもらう。夜間浴等にも工夫したいものである。安全面、衛生面から見守り、声かけが必要であり、脱衣室での脱衣、浴室での浴槽の位置、蛇口の位置確認、履物の確認等の配慮が必要である。

ケア項目 内容
1.見まもり・声かけ 安全面を含め全体としての流れを目配りしていく。
2.情報の提供 入浴の案内。待ち合い室、脱衣室の調整。
3.誘導 脱衣室、浴室内。
4.着脱衣 前後・裏表の間違いがないか。
(7)排泄

[指針]
清潔、衛生、換気等環境整備に努める必要がある。プライバシーが尊重され、安心して排泄できる環境が必要である。見まもり、声かけの盲点になりやすい。落とし物、ペーパー、衛生用品により詰まりの原因となることが多い。床は濡れていないか等の安全面にも配慮する。要介助者に対しては便器、衛生用品を提供し自立を支援する。

ケア項目 内容
1.声かけ・誘導 失見当者。
2.衛生 履物。便器。手摺り。タオル。衣類。
(8)居室

[指針]
生活の中心になる私的な場所であるが、変らない環境調整が必要である。電気器具、配線が安全か。衛生面、掃除が行き届いているか。家具等が定位置に置かれているか。利用者と確認する。家具等を整理、移動する必要のある時は共同して行い配置を理解してもらう。

ケア項目 内容
1.安否確認 定時、随時の声かけによる援助。
2.衛生 食品の定期的な衛生管理。害虫駆除等。
3.清掃 主として清掃困難な部位の援助。
4.私物整理確認 共同確認。
5.電気器具の安全使用 消し忘れの確認。点字、その他の取扱いやすい表示、コンセントの維持管理。
(9)健康管理

[指針]
盲老人には特に状態観察(皮膚の状態、打撲はないか等)が必要である。利用者が訴えやすい人間関係と信頼関係を高める努力をする。小さいことでも医務室に情報提供する。各職種が連携することが必要である。

ケア項目 内容
1.健康相談 利用者の心理過程を常に理解し、表面的な現症のみで判断しない。
2.健康増進 リハビリ。散歩。ラジオ体操。
3.観察・パイタルサインのチェック 顔色・表情(目)・行動・食欲・睡眠・排便の有無。
4.服薬の管理 わかりやすく、飲みやすく分包。薬の説明。服用したかの確認。理解困難者には定時に与薬確認。
5.通院 誘導。診療介助。薬品の受取説明。診療結果説明。支払。
6.心の健康づくり 規則正しい生活。受容的対応。
7.口腔衛生 自歯・義歯、歯磨き。口臭予防。
(10)相談・援助

[指針]
心理的影響に配慮し同じ視点に立つことから始めたい。
利用者はどこかで「援助の手を差し伸べてほしい」というサインを出しているはずである。プライドを傷つけることなく、そのサインの波長に同調できることが求められる。

ケア項目 内容
1.自己の障害に対する不安
・環境の変化に対する不安
・家族との別離に対する不安
・老いへの不安
・利用者との人間関係の悩み
「傾聴することの大切さ」
厳しい「条件」を生きていくことの苦しさにふれて共感。
(11)身だしなみ

[指針]
清潔で不快感を与えない身だしなみが大切である。この助言は人前でなされないことが大切である。通院、外出時、訪問客がある場合は助言が必要である。衣服の色あわせ、装飾、履物等のコーディネートは周囲からの信頼と自信につながる。また食後の口の周りの食べかすの付着等の確認や手洗いの助言などが大切である。

ケア項目 内容
1.衣類の助言 清潔で、正しく着用する。特に女性はブラウス、シャツ類にも気を配る。ストッキングや靴下は色違いやよじって履かないように助言する。
2.整容・整髪・化粧 散髪。パーマ。カット。耳そうじの日常的支援。
3.爪きり 定期的に爪きり。
4.髭剃り・顔剃り 剃り残し介助。電気カミソリの清掃と点検。
(12)洗濯

[指針]
共用部分として、環境、設備の管理、を安全確認と機器習得の援助が必要である。
スイッチ等の区分表示により活用を容易にする。全自動も有効である。

ケア項目 内容
1.機器の取扱援助 繰返し習得の援助。
2.衣類と洗剤等の区分け 素材・表示による洗濯方法についての理解。
3.物干し、取り入れ 物干し場の環境の理解と活用。
4.クリーニング 名前の記入。取次ぎ。品名の確認、集金、配布。
(13)衣類の管理

[指針]
衣類はわかりやすく管理工夫することが大切である。
常に着用する衣類は手前の出しやすい所に、あまり使わないものは奥に保管するように助言すべきである。収納スペースを確保して自己管理できることが望ましい。
思い違いもあるので、保管リストを備えておくことが望ましい。

ケア項目 内容
1.衣類の整理・整頓 古くなった衣類であっても処分は本人の自己決定。取り出しやすいように援助する。汚れもの、繕いものがあれば説明する。
2.衣類の入替え 共同作業。必要ない衣類は施設側で保管管理する。
3.探し物介助 色、形状の説明を受け一緒に探す。
4.名前の記入・繕い 一定の部位に目立たぬよう記名。
(14)日用品の取扱い

[指針]
日用品の取扱、購入については、商品説明、代行購入、取次ぎによる場合が多く、金銭の受渡し等取扱は特に注意を要する。

ケア項目 内容
1.売店 商品説明。お金の受渡し。
2.ショッピング 外出を兼ね、地域の店に買物に出る。
3.代行購入 注文、買物、商品説明、お金の支払、領収書の受取。
4.日用品手入れ 使い慣れた品は可能な限り施設で手入れ。業者の取次ぎ。
(15)余暇活動

[指針]
とじこもりがちになりやすい利用者の日常生活を充実するためには触覚、聴覚で楽しめるプログラムを提供することも必要である。視覚、聴覚の特性を配慮し、雰囲気づくりを工夫する。また、体験、過去とのつながりを尊重することが大切である。

ケア項目 内容
1.クラブ活動 参加できる喜びを共有すること。雰囲気づくり、状況説明、場の説明。
2.生涯学習 点字教室、老人大学、放送大学、ワープロ、パソコンの習得。
3.趣味活動 可能な限り支援する。
4.行事 季節行事、定例行事。
(16)委任事務

[指針]
盲老人ホームは業務の中で委任事務、代行業務の部分が多くを占める。誤解のないように取り扱わねばならない。全面管理、一部管理、自己管理とあるが、自己管理の方向で支援していくことが大切である。

ケア項目 内容
1.金銭の取扱・利用料・年金
等各証書の取扱・保管
利用者の立会いのもと、複数職員で事務処理する。
必ず記録を残す。預かり金の管理。
残高照会(点字照会も含む)。
2.役所等の対外業務 各種事務手続き代行(説明、了解の上)。
(17)ボランティアのコーディネート

[指針]
盲老人ホームにおけるボランティアの果たす役割、期待は大変大きい。ボランティアに適切な助言をすることが大切である。どんな活動をしたいのか、何ができるか、活動の日時等目的意識を持ってもらい、活動の調整が必要である。ボランティアの研修会、受入れの諸条件を整えることが必要である。

ケア項目 内容
1.外出介助 個別希望。
2.クラブ指導 陶芸・生け花、音楽等各種クラブの支援。
3.専門技術奉仕 美容、理容等の支援。
4.行事 各種諸行事。交流会・地域交流。

2 ケアチェック状態区分像

1 生活向上と自立

1.オリエンテーション

[ケアレベル1]
入所当初に施設全体の環境になじんで頂くための介助者側で行う説明や案内に対しての理解や習得率が高く早期のうちに自立した生活を過ごしている。

[ケアレベル2]
介助者側の説明や案内への理解が一部にとどまり、時々オリエンテーションが必要である。

[ケアレベル3〕
介助者側の説明や案内の理解が長期にわたって困難であり、日常生活全般にわたり継続的な援助を要している。

2.日常生活用具

[ケアレベル1]
視聴覚障害者用日常生活用具を積極的に活用し、自立した生活を過ごしている。

[ケアレベル2]
視聴覚障害者用日常生活用具を活用しようとするが、使用方法に慣れず時々介助者の援助を要す。

[ケアレベル3]
生活用具の活用には関心を示さず、必要な場合は常に介助者が援助を行っている。

3.環境確認

[ケアレベル1]
施設内を中心とした建物構造や設備・備品等の確認もおおむね理解し自立した生活をしている。

[ケアレベル2]
理解が一部にとどまり、行動にあたり介助者の援助を時々必要とする。

[ケアレベル3]
理解がほとんどできず、日常生活行動にあたり介助者の援助を常に必要としている。

4.非常時の備え

[ケアレベル1]
防災に対する理解や関心も高く介助者に協力した生活行動がとれている。

[ケアレベル2]
理解や関心は示すが、生活行動にあたり介助者側の時々の助言や介助を必要としている。

[ケアレベル3]
理解や関心はほとんどなく、生活行動にあたり介助者側の援助を常に必要としている。

2 情報の収集と伝達

1.生活情報の提供

[ケアレベル1]
日常生活上の予定や日課等、施設で提供する生活情報をよく理解されて自立したを日常生活を過ごしている。

[ケアレベル2]
施設で提供する生活情報の理解が時々できず、介助者の個別の助言や援助を時に必要とする。

[ケアレベル3]
施設で提供する生活情報等に全く関心を示さず、介助者の個別の助言や援助に頼っている。

2.点字関連情報

[ケアレベル1]
点字も習得していて、点字新聞等の情報誌に載る社会情報を積極的に収集し自立した生活を過ごしている。

[ケアレベル2]
点字は習得しているが、点字を使っての社会情報の収集には積極性がなく時々介助者の支援、援助を必要としている。

[ケアレベル3]
点字を使っての社会情報の収集には全く関心がなく、関連情報を介助者に常に頼っている。

3.音声関連情報

[ケアレベル1]
テープ、CDの貸出・問い合わせ等、音声での社会情報収集活動に積極的で自ら行動し、介助者は見守る程度の自立した生活をしている。

[ケアレベル2]
情報収集に関心は示しているが自立して行うことはできず、介助者側の助言、援助を時々必要としている。

[ケアレベル3]
音声関連情報には全く関心がなく、必要な情報は全て職員に頼って生活をしている。

4.代筆

[ケアレベル1]
手紙・文書等による墨字の通信情報活動にも関心が高く、介助者への手紙の代筆依頼等も自分自身で宛名を確認し正確にやりとりする事ができる。

[ケアレベル2〕
手紙等の通信情報にも関心はあり、介助者の代筆・代読等の援助はあるが時折、宛先確認等をする必要がある。

[ケアレベル3]
関心はほとんどなく通信情報活動の際には介助者側の援助を常に必要としている。

5.代読

[ケアレベル1]
手紙の代読等、介助者側の支援、援助に対し積極的に意思表示を示し、内容もよく理解されて相手方との交流も保たれている。

[ケアレベル2]
介助者へ支援、援助の意思表示があり、内容も理解されているが、相手方との交流には時に援助する必要がある。

[ケアレベル3]
関心はほとんどなく、通信情報活動の際には介助者の援助を常に必要とする。

6.電話

[ケアレベル1]
電話の発信・往信、取り次ぎも自分で全て行い自立した生活をしている。

[ケアレベル2]
介助者の見守りと一部援助がなければ相手との通話ができない。

[ケアレベル3]
電話の発信・取り次ぎは、全て介助者の援助がなければ応対が不可能。

7.拡大文字・読書器

[ケアレベル1]
ロービジョン(低視覚)用に施設側で用意した拡大読書器他、拡大文字の献立表や行事予定表等を積極的に活用して自立した生活行動がとれている。

[ケアレベル2]
拡大読書器の使用や、拡大文字献立表、行事予定表等に関心があり介助者の一部介助があれば利用できる。

[ケアレベル3]
器具の活用や、拡大文字の献立表、行事予定表等に関心がなく必要な情報は全て介助者に頼っている。

8.社会資源の利用・援助

[ケアレベル1]
自らの生活向上のための意欲が高く積極的に盲人福祉関連団体等の社会資源を利用でき、豊かで自立した生活を過ごしている。

[ケアレベル2]
関連する社会資源・情報等の利用について関心があり、時々介助者側の援助を必要している。

[ケアレベル3]
社会資源・情報等について関心がなく、必要な情報は全て介助者に頼っている。

3 コミュニケーション障害

1.聴覚障害への援助

[ケアレベル1]
通常の会話でコミュニケーションが成立する。

[ケアレベル2]
視覚障害の程度に関わらず、聴覚障害(難聴)があり、補聴器使用などコミュニケーション手段に何らかの介助を必要とする。

[ケアレベル3〕
視覚障害の程度に関わらず、聴覚障害(全ろう)があり、指点字、手話といった専門的コミュニケーション介助を必要とする。

2.その他の障害の援助

[ケアレベル1]
視覚障害の程度に関わらず、その他の障害はなく通常の会話でコミュニケーションが成立する。

[ケアレベル2]
視覚障害の程度に関わらず、軽度にその他の障害を重複していてコミュニケーション手段に何らかの介助を必要とする。

[ケアレベル3]
視覚障害の程度に関わらず、重度にその他の障害を重複しているため常時専門的コミュニケーション介助を必要とする。

4 移動

1.移動介助手引き

[ケアレベル1]
単独歩行がおおむね確立でき、階段昇降にも問題はない。

[ケアレベル2]
腰痛等身体的な問題があり、一部車椅子、歩行器等使用し時々介助者の援助を必要としている。階段昇降に問題がある。

[ケアレベル3]
常時車椅子、歩行器等を使用し、常に介助者の援助を必要とする。

2.手がかり

[ケアレベル1]
手すり、点字・触覚表示、点字ブロック、誘導鈴、転落防止柵、カラーリング等の手がかりをおおむね理解、活用している。

[ケアレベル2]
手がかりの理解、活用が一部にとどまり、介助者の援助を時々必要とする。

[ケアレベル3]
手がかりの理解、活用がほとんどできず、介助者の援助を常に必要としている。

3.心的地図(メンタル・マップ)

[ケアレベル1]
施設内の心的地図がおおむね確立できていて、迷いはみられない。

[ケアレベル2]
施設内の心的地図が一部にとどまり、迷いが見られる介助者の援助を時々必要とする。

[ケアレベル3]
施設内の心的地図がほとんどできず、介助者の援助を常に必要としている。

5 食事

1.見守り・声かけ

[ケアレベル1]
全体的な見守り・声かけだけで充分である。

[ケアレベル2]
個別的に見守り・声かけが必要である。

[ケアレベル3]
お膳の残し、詰まりやすい時はゆっくり食べるように、声かけが必要である。

2.献立説明

[ケアレベル1]
全体放送による献立説明、点字献立表による献立内容確認、拡大文字献立表、他の利用者からの献立情報で理解出来る。

[ケアレベル2]
個別的にその時の献立説明が必要である。

[ケアレベル3]
個別的に1品1品の献立説明が必要である。

3.難聴者への説明

[ケアレベル1]
全体的な献立説明で理解できないが、コミュニケーション機器は使用せず、やや大きめの声で個別説明すると理解出来る。

[ケアレベル2]
全体の献立説明で理解できず、コミュニケーション機器を使用し、相手に関心を向けさせながら、説明を行う。

[ケアレベル3]
かなりコミュニケーション障害があるため、献立説明を個別にするだけでなく、食事開始の合図、場合により事前に詳しい説明を行い、また食事前、食事中でも説明が必要とする。

4.誘導

[ケアレベル1〕
食堂の(自分の)席に間違えずに行くことができる。

[ケアレベル2]
食堂内、食堂の出入り口で時々迷いを生じ、声かけ、手引き誘導が必要である。

[ケアレベル3]
居室から食堂まで声かけ、手引き誘導が必要であり、また食堂内で自分の席もわからず、声かけ、手引きで誘導する。

5.手・指の消毒

[ケアレベル1]
手洗いまたはおしぼりを自分で使うことができる。

[ケアレベル2]
手洗いまたはおしぼりが時にはわからないことがあり、声かけが必要である。

[ケアレベル3]
手洗いまたはおしぼりを助言しながら介助する必要がある。

6.食事の工夫と配慮

[ケアレベル1]
自分で選択できる。また調味料も自分で利用できる。

[ケアレベル2]
自分で選択できるが、介助者が一部介助する必要がある。

[ケアレベル3]
自分で選択することはできるが、介助者が配慮する必要がある。または自分で選択することはできないため、介助者側で全面的に配慮を必要とする。

6 入浴

1.見守り・声かけ

[ケアレベル1]
全体的な見守り・声かけで入浴することができる。

[ケアレベル2]
個別的に見守り・声かけが必要である。

[ケアレベル3]
脱衣室から浴室、洗い場、浴槽、入浴動作の流れの中で、常時見守り・声かけをする必要がある。

2.情報の提供

[ケアレベル1]
週間予定、入浴日が定まっているため時々情報提供するだけで充分であり、脱衣室も見守りだけで自分で状況判断ができる。

[ケアレベル2]
入浴日ごとに情報提供をする必要があり、声かけにより判断することができる。

[ケアレベル3]
入浴日の朝に情報提供をするだけでなく、入浴の直前にも情報提供をする必要があり、脱衣室など介助者が声かけ、助言しながら調整する必要がある。

3.誘導

〔ケアレベル1]
ほぼ自立し、時に見守り、声かけが必要である。

[ケアレベル2]
一部誘導が必要である。

[ケアレベル3]
常時誘導が必要である。

4.着脱衣

[ケアレベル1]
自分で着脱衣することができる。

[ケアレベル2]
自分で着脱衣ができるが、時には衣類の前後、裏表の間違いがあるため、見守り、声かけをする必要がある。

[ケアレベル3]
衣類の準備と着脱衣に一部介助を必要とする。

7 排泄

1.声かけ・誘導

[ケアレベル1]
自立してトイレを使用している。

[ケアレベル2]
時にはトイレへの迷いがあり、声かけ・誘導をする必要がある。

[ケアレベル3]
トイレまでの声かけ・誘導、トイレ内の便器までの声かけ・誘導が必要である。

2.衛生

[ケアレベル1]
自立して衛生的に利用できる。

[ケアレベル2]
見守りで衛生的に利用できる。

[ケアレベル3]
時には便座を汚す、履物を濡らす、自分の衣類を汚す。

8 居室

1.安否確認

[ケアレベル1]
定時の声かけで充分である。

[ケアレベル2]
必要に応じて声かけで援助する。

[ケアレベル3]
常時、見守りを必要とする。

2.衛生

[ケアレベル1]
自分ででき、衛生に対して積極的な姿勢を持つ。

[ケアレベル2]
介助者と確認しながら、自分でできる可能性はあるが、衛生に対してあまり協力的な姿勢を持たない。

[ケアレベル3]
衛生について関心がなく、介助者側で行う。

3.清掃

[ケアレベル1]
自分でできる。

[ケアレベル2]
時には依頼があり、声かけ・助言が必要である。

[ケアレベル3]
注意、見守り、定期的な清掃が必要である。

4.私物整理確認

[ケアレベル1]
自分でできる。

[ケアレベル2]
定期的に複数で確認により私物整理をする。

[ケアレベル3]
日常的に私物整理の介助を要する。

5.電気器具の安全使用

[ケアレベル1]
自分で安全に使用することができる。

[ケアレベル2]
ある程度電気器具を使用することはできるが見守り、助言が必要である。

[ケアレベル3]
介助者が説明し、操作して使用が可能になる。

9 健康管理

1.健康相談

[ケアレベル1]
体調の自己管理が出来、不調時には訴えることが可能。

[ケアレベル2]
おおむね体調の変化を理解しているが、自発的に訴えが出来ない。

[ケアレベル3]
体調の変化や変調など理解出来ず、なおかつ自覚がない。

2.健康増進

[ケアレベル1]
自分から進んで意欲的で、定期的に行っている。

[ケアレベル2]
自分では何かをしようとは思わないが、介助者の提供するものには応じる。

[ケアレベル3]
特に健康に対しての理解が無く、疾病についての自覚もない。

3.観察・パイタルサインチェック

[ケアレベル1]
介助者によるバイタルサインチェックの必要がない。

[ケアレベル2]
チェックの必要度は低いが、時によりチェックする必要がある。

[ケアレベル3]
自覚症状がないため、常にチェックする必要がある。

4.服薬の管理

[ケアレベル1]
薬の自己管理や服薬が出来、治療に対して正しく理解できる。

[ケアレベル2]
治療は理解出来るが、薬などの自己管理は出来ない。

[ケアレベル3]
すべて介助者がいないと服薬が出来ない。

5.通院

[ケアレベル1]
おおむね一人で通院し、病状説明が出来る。

[ケアレベル2]
付添者やボランティアの一部介助が必要であるが、病状説明は自分で出来る。

[ケアレベル3]
すべて介助者が行ない、病状説明も行う。

6.心の健康づくり

[ケアレベル1]
生活にリズムがあり、精神的健康に努めている。

[ケアレベル2]
時々、抑うつ症状、心気症状等がみられる。

[ケアレベル3]
専門医療機関に受診している。

7.口腔衛生

[ケアレベル1]
歯磨きの励行や口臭に対しての予防が出来る。

[ケアレベル2]
声かけや確認が時に必要である。

[ケアレベル3]
自分では出来ないので介助者が行う。

10 相談・援助

1.不安・悩みの傾聴

[ケアレベル1]
自分自身で対応出来る。

[ケアレベル2]
介助者と一緒になって対応していける。

[ケアレベル3]
介助者の対応でも、本人が理解出来ない。

11 身だしなみ

1.衣類の助言

[ケアレベル1]
その場の状況説明だけで、清潔で不快感を与えない身なりが出来る。

[ケアレベル2]
その場の状況で、ある程度理解できるが、何が適しているか分からないので助言が必要である。

[ケアレベル3]
その場にふさわしい服装が分からず、介助者の用意したものを着用する。

2.整容・整髪・化粧

[ケアレベル1]
常時、整容・整髪・化粧に関心を持ち、清潔にしている。

[ケアレベル2]
声かけにより、整容・整髪に注意を払うことが出来る。

[ケアレベル3]
整容に対する関心が薄く、常に介助者に依存している。

3.爪切り

[ケアレベル1]
自分で出来る。

[ケアレベル2]
自分で切れない部位があり、一部介助する。

[ケアレベル3]
自分で出来ないので、介助者が定期的に実施する。

4.髭剃り・顔剃り

[ケアレベル1]
おおむね自分で剃ることが出来る。

[ケアレベル2]
自分で剃れるが、確認と剃り残しの介助を要する。

[ケアレベル3]
自分からやろうとはせず、常に介助者に剃ってもらう。

12 洗濯

1.機器の取扱い援助

[ケアレベル1]
自分で洗濯機を利用して洗濯が出来る。

[ケアレベル2]
声掛け・見守りによって洗濯機が利用出来る。

[ケアレベル3]
洗濯機の利用が出来ず、介助者が洗濯を行う。

2.衣類と洗剤等の区分

[ケアレベル1]
自分ひとりで正しい洗濯方法で使用出来る。

[ケアレベル2]
声掛け・見守りによって衣類と洗剤の区分が出来る。

[ケアレベル3〕
自分では出来ないので、介助者が行う。

3.物干し・取り入れ

[ケアレベル1]
自分で干して、取り入れも出来る。

[ケアレベル2]
声掛け・見守りによってどうにか出来る。

[ケアレベル3]
介助者に任せている。

4.クリーニング

[ケアレベル1]
自分ひとりで利用出来る。

[ケアレベル2]
自分で利用するが、確認が必要。

[ケアレベル3]
全面的に介助者に任せている。

13 衣類の管理

1.衣類の整理・整頓

[ケアレベル1]
自立している。自分で出来る。

[ケアレベル2]
一部は介助する。部分的に援助すれば出来る。

[ケアレベル3]
基本的に出来ない。細かく援助していく。

2.衣類の入替え

[ケアレベル1]
自立している。自分で出来る。

[ケアレベル2]
一部は介助する。部分的に援助すれば出来る。

[ケアレベル3]
基本的に出来ない。細かく援助していく。

3.探し物介助

[ケアレベル1]
自立している。自分で出来る。

[ケアレベル2]
一部は介助する。部分的に援助すれば出来る。

[ケアレベル3]
基本的に出来ない。細かく援助していく。

4.名前の記入・繕い

[ケアレベル1]
自立している。自分で出来る。

[ケアレベル2]
一部は介助する。部分的に援助すれば出来る。

[ケアレベル3]
基本的に出来ない。細かく援助していく。

14 日用品の取扱い

1.売店

[ケアレベル1]
自分で買物が出来る。

[ケアレベル2]
一部援助で出来る。介助者が立ち会う場合もある。

[ケアレベル3]
全面的に介助者が行う。

2.ショッピング

[ケアレベル1]
自分で買物が出来る。

[ケアレベル2]
一部援助で出来る。介助者が立ち会う場合もある。

[ケアレベル3]
全面的に介助者が行う。

3.代行購入

[ケアレベル1]
はっきりと意思決定出来る。理解し、自己決定して行う。

[ケアレベル2]
時々理解出来ていないことがある。部分的に援助する。

[ケアレベル3]
全面的に介助者が行う。

4.日用品の手入れ

[ケアレベル1]
自分で出来る。

[ケアレベル2]
介助者の援助があれば、ほとんど出来る。

[ケアレベル3]
介助者が全面的に行う。

15 余暇活動

1.クラブ活動

[ケアレベル1]
積極的に参加している。熱心である。

[ケアレベル2]
介助者の誘いかけがあれば参加する場合もある。

[ケアレベル3]
ほとんど参加しない。活動する意思が認められない。

2.生涯学習

[ケアレベル1]
意欲的に取り組んでいる。

[ケアレベル2]
介助者が誘いかければ行う場合もある。

[ケアレベル3]
全く活動する意欲がない。

3.趣味活動

[ケアレベル1]
意欲的に取り組んでいる。

[ケアレベル2]
介助者が誘いかければ行う場合もある。

[ケアレベル3〕
全く活動する意欲がない。

4.行事

[ケアレベル1]
意欲的に参加している。

[ケアレベル2]
介助者が誘いかければ参加する。

[ケアレベル3〕
全く参加する気持ちがない。

16 委任事務

1.金銭の取扱い・利用料・年金等 各証書の取扱い・保管

[ケアレベル1]
自立している。

[ケアレベル2]
部分的に介助する。

[ケアレベル3]
全面的に委任され代行する。

2.役所等の対外業務

[ケアレベル1]
自立している。

[ケアレベル2]
部分的に介助する。

[ケアレベル3]
全面的に委任され代行する。

17 ボランティアのコーディネイト

1.外出介助

[ケアレベル1]
定期に利用している。

[ケアレベル2]
不定期で随時、必要に応じて利用している。

[ケアレベル3]
ほとんど利用していない。

2.クラブ指導

「ケアレベル1]
定期に利用している。

[ケアレベル2]
不定期で随時、必要に応じて利用している。

[ケアレベル3]
ほとんど利用していない。

3.専門的技術奉仕

[ケアレベル1]
定期に利用している。

[ケアレベル2]
不定期で随時、必要に応じて利用している。

[ケアレベル3]
ほとんど利用していない。

4.行事

[ケアレベル1]
定期に利用している。

[ケアレベル2]
不定期で随時、必要に応じて参加する。

[ケアレベル3]
ほとんど参加しない。

3 ケアサポートプラン状態区分総括表(参考)(ケアレベル1.)

ケア項目 ケアレベル1. 特記事項
1.生活向上と自立 まれに勘違いはあるが、施設内の環境位置、設備、備品は十分理解している。日常生活全般にわたる習得率が高く、自立した日常生活を過ごしている。音声時計の取り扱い、電話の取り扱い、備品の位置確認、防災の理解と協力など助言程度で日常生活を過ごすことができる。  
2.情報の収集と伝達 生活情報は全体放送で内容を理解し、自分で行動できる。点字、TV、ラジオでの社会情報を収集し、その内容を理解できる。電話は自分でかけることはでき、点字の掲示物も理解できる。情報収集等に自ら積極的で関心が高く、生活行動が自立している。天候、予定日課、代筆、代読で確実に相手方とやり取りができ、電話の取次ぎ、代行ダイヤルにてお互い会話ができる。テープ、CD図書の取り寄せ、貸し出し、編集などが助言程度でできる。また、拡大文字や補助具を利用して積極的に情報を収集することが自立できている。  
3.コミュニケーション障害 聴覚、知的障害、精神的な障害があっても、相互の話内容が概ね、理解できる。  
4.移動 日常の移動行動が自立し、職員も声かけ程度で、施設内においては見守りや助言を必要としない。単独行動が可能で、施設内は自由に移動できる。階段の上り下りも可能である。施設内の心的地図が確立できている。点字・触覚表示、点字ブロック等の手がかりをおおむね理解、活用している。  
5.食事 援助なしでも食事ができる。おしぼり、献立説明等全体に提供しているが、見守り、声かけのみで食事ができる。お茶、調味料等自分で利用できる。また調味料、選択食、小骨取りも、自分で選択することができる。  
6.入浴 浴室の誘導(手引き)のみで浴槽の出入り、身体を洗うことは自分でできる。ただし、全体の流れは目配りを要する。脱衣室、浴槽内に自分の定位置を決めている。入浴のお知らせ、脱衣室の調整は必要であるが、声かけ、助言程度により自分で入浴全体の流れに沿って自立して入浴ができる。  
7.排泄 援助なしでトイレにて排泄できるし、着衣を汚さない。衛生管理もある程度自分で判断でき、声かけ、助言程度は必要であるが自立している。ただし、切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁に対して予防的にフリーネ使用は尿失禁ではない。  
8.居室 安否確認の声かけ、私物整理は自分ででき、寝具の日光消毒も自分でできる。居室内環境はなま物、電気器具の取り扱いに対しても見守りと助言のみで自分で衛生管理、的確な管理ができ、自立している。  
9.健康管理 服薬の内容(効能、副作用)は理解しており、自分で定時に服用することができる。通院時、入院時の受診援助、付き添いは必要だが、その結果について理解できる。異常時は的確な訴えができる。また口腔衛生、義歯の管理も見守り、助言程度で自立している。  
10.相談・援助 障害を受け入れ、環境の変化に対する不安、家族との別離に対する不安、老いへの悩み、利用者との人間関係の問題、視覚に対する悩みも明確にでき、日常生活において介助者の声かけ、助言を受け入れながら自立ができている。明確にコミュニケーションをとることができ、的確な訴えができ、自分で選択し、自分で決めることができる。  
11.身だしなみ 日常的な身だしなみにおいて、自立している。服の色、柄等の相談はあるが自分で決定できる。爪切り、髭剃りも自分でできる。身体に関する整容でも職員の声かけ、助言で自立ができている。  
12.洗濯 洗濯器具等の取り扱い、洗剤の種類、衣類の区別、物干し、取り入れ、天気情報やクリーニング等の洗濯動作が職員の見守りと助言により自立している。また洗濯機を使用せず、洗面所または洗濯場で洗濯を行う場合も含まれる。  
13.衣類の管理 季節物の入れ替え、日常の整理は自分で行い、相談はするが、自分で決められる。探し物、繕い、衣類の確認も声かけ、助言程度で自立できている。  
14.日用品の取扱い 日用品の注文や買い物についてどのような物か説明ができ、介助者が説明をすれば、理解し、自分で取り扱える。また自分で購入することもできる。日用品の手入れに関しても何をしてもらいたいか、自ら意志決定することができる。  
15.余暇活動 季節行事、定例行事などが大体理解できており、自主的な行動ができ、自分の趣味を持ち、参加意欲もある。  
16.委任事務 金銭面では自分で印鑑、預貯金通帳を持ち、自分の考えで自己金銭管理ができる。対外的な書類もだいたいの提出時期を把握しており、その提出理由も理解している。  
17.ボランティアのコーディネート 自らの生活に対して質的レベルの向上に意欲があり、ボランティアとの人間関係を結び、継続的に専門的なサービスを定期的に受けている。個別的な外出、朗読、クラブ指導、友愛訪問等、施設全体の奉仕や交流会に積極的でボランティアコーディネートの必要性が高い。  
  ケアサポートプラン状態区分総括表(参考)(ケアレベル2.)
ケア項目 ケアレベル2. 特記事項
1.生活向上と自立 所定の期間を経過しても、一部理解ができない。再オリエンテーションを実施する。日常生活全般にわたる習得率は中程度で生活全般に時々一部介助が必要である。入所後間もない場合はオリエンテーション、電話の取扱い、音声時計の取扱い、備品の位置確認、防災の理解と協力を集中的に一部介助しながら行う。  
2.情報の収集と伝達 聞こえるが、的確な判断ができず、行動も伴わない。伝達した情報の確認を要する。大まかな情報は理解できるが、細かな部分での説明を要する。施設内放送では伝わらず、居室で個別に説明する。  
3.コミュニケーション障害 やや聞き取りにくく、確認を要する。補聴器を使用し、聞こえるが、理解しにくいので、個別にゆっくり、はっきりと対応する。場面により、適したコミュニケーション機器(パナガイド、ループラインシステム)を使用する。その他の障害による場合は必ず関心・注意を払うようにし、はっきり、ゆっくりと会話する。  
4.移動 時には迷うため、声かけ、指示、見守りの一部介助を要する。支え、手引きの身体的支援はない。手がかりの理解、活用が一部にとどまり、介助を時々必要とする。施設内の心的地図も理解が一部にとどまり、迷いが見られ、時々介助を要する。  
5.食事 何らかの見守り、指示を要する。刻み食、調味料、嗜好の配慮が必要(一部介助)である。  
6.入浴 入浴のお知らせ、脱衣室、洗い場、浴槽への誘導、入浴中の見守りを要するが、自分で身体を洗うことができる。時には他者との着衣の間違い、忘れ物があり、見守り、声かけなどの一部介助を要する。  
7.排泄 時に失禁するため、定期的にトイレ誘導が必要である。トイレの備品や衛生管理に時々助言や援助を要する。状況(常時ではなく、短期間)により、居室でポータブルトイレを使用することもある。  
8.居室 整理・整頓に何らかの見守り、指示、援助を要する。自分で行うも適正ではない。共同作業でも依存的である。時には安否確認、電気の消し忘れ、家具等や洗面所の衛生状態の確認も必要であり、清掃、私物の整理整頓も時には必要で、日常的な清掃に一部介助が必要である。この場合必ず共同作業にて一部介助を行う。  
9.健康管理 服薬の見守り、慢性的な疾患の観察。的確な訴えができない、定期通院、定期受診(嘱託医)を受けている。  
10.相談・援助 利用者の何でもないことによるトラブルから発生した相談事、家族から連格がないから、連絡を取って欲しいとの希望、自分の病気に対して医療以外で精神的な対応の相談、視覚に対する相談があり、介助者側の指導、方向付けにより、自分で意志決定ができ、その対応をしていける。相談事がうまく言えないので、そのサインを観察しながら、話を聞く必要がある。  
11.身だしなみ 何らかの援助を要するが、概ねできる。清潔管理に援助を要する。一部自己決定できる。  
12.洗濯 洗濯機器使用、衣類と洗剤等の区分け、物干し・取り入れのいずれかが声かけ・見守り (一部介助)によって一連の動作ができるようになる。施設において洗濯をする環境は異なるが、洗濯動作において困難な動作、場所についてのみ声かけ・見守りをすることにより、一連の洗濯ができるような場合である。施設内の洗濯では無理な衣類等については、クリーニングを利用することになるが、自分で利用することはできるが、介助者に確認が必要な場合も含まれる。  
13.衣類の管理 一部介助で衣類を判りやすく整理し、入れ替えを行う。探し物介助や、衣類へ名前を記入してあっても、時には本人の物かどうか衣類の確認も必要とされる。  
14.日用品の取扱い 売店・ショッビングでは介助者が立会い助言、見守りの一部援助を要する。代行購入、日用品の手入れにおいても時々理解できていない時があり、部分的に援助を要する。  
15.余暇活動 自分から積極的に行うことなく、介助者側から提供するクラブ活動、定期行事、季節行事に対して受け身的であり、誘いがあれば承諾し参加する。  
16.委任事務 小口現金は自己管理できるが、預貯金は施設側へ任せている。その他の書類もあまり関心がなく、任せたままである。財産管理、金銭管理に不安を訴え、確認、相談も含めて助言を要することがある。  
17.ボランティアのコーディネート ボランティアの活動による日常生活の充実には消極的で、不定期にボランティアを活用する。施設への奉仕活動や交流会等共通したボランティア活動には参加協力的である。コーディネートは随時行う程度の必要度である。  
  ケアサポートプラン状態区分総括表(参考)(ケアレベル3.)
ケア項目 ケアレベル3. 特記事項
1.生活向上と自立 入所初期の段階で施設の設備、備品、環境の援助が日々必要である。この場合継続的に再オリエンテーションを実施する。視覚障害者としての生活訓練がされていないか、ほとんど家庭周辺の狭い範囲に限定され、施設のような集団生活になれていないか、全て介助者に依存しているため、何もできない状況で介助を要する。  
2.情報の収集と伝達 痴呆・精神症状、聴覚障害、知的障害等があり、入所後の利用者で施設の日々生活情報、行事予定が最小限度の環境位置確認で頭の中がいっぱいで混乱しがちである。本人から何度も問い合わせがあり、介助者側も個別的に情報伝達が必要な状況である。あるいは家族からの情報がまだ信頼できる状況であり、家族との日々電話、手紙のやり取りが必要である。  
3.コミュニケーション障害 高度難聴で補聴器による聴きとりも不可能であり、手話、点字、指文字、筆談のいずれかができるか、できにくい。たとえ補聴器で聴きとりができたとしても、簡単なコミュニケーションしかできない。その他の障害による場合でもわかりやすく、はっきりと了解が得られるまでコミュニケーションを取る必要がある。  
4.移動 下肢に障害や骨折後で足元が不安定なため、車椅子、歩行器で移動し、誘導介助が必要である。一時的な腰痛、病気により歩行補助器を使用する場合もある。手がかりの理解、活用がほとんどできず、施設内の心的地図も確立できないため、介助を常に必要とする。  
5.食事 自分の席がいつも判らず、食べこぼしがあり、個別に食事の献立説明が必要である。時には詰まらせることもあり、見守りが必要である。  
6.入浴 その日の入浴情報を個別に提供する必要があり、浴室内外も誘導が必要である。下肢障害のため、介助が必要な時もある。度々衣類の前後、裏表の間違いがあり、自分が置いた衣類の場所も判らず、介助を要する。  
7.排泄 居室とトイレの距離がつかみにくく、居室でポータブルトイレを使用する。ただし、移動はできる。自分で尿意、便意がわかっているが尿失禁、便失禁があることがあり、介助を要する。  
8.居室 自分で整理、整頓ができず、清掃もできず、居室内の環境管理が不可能で安否確認等も含めて介助者側にかなり比重がかかっている。日々探し物依頼も多く、定期的な清掃も必要である。  
9.健康管理 薬の内容が理解できない。服薬の援助、定時、随時の安否確認と観察を要する。発熱に対しても自覚症状を訴えない。日々定期的なパイタルサインチェックが必要である。痴呆がある場合、時には昼夜逆転による独語、興奮がある。時に幻覚、幻聴、幻視の症状も加わることもある。  
10.相談・援助 介助者は相談援助を方向付けするが、本人の頭の中に入り切らず、日々繰り返し、相談しても、本人の偏った考え方を通すか、理解しにくい場合がある。相談、話を聞いても気持ちがすっきりせず、繰り返し同じ話をすることになる。環境の変化に対しても、利用者との人間関係の悩みもなかなか解決の糸口が見えず、解決した場合でもまた問題が出現する。  
11.身だしなみ 自分でどの服を着たらいいのか決められず、整容も一部介助を要する。口腔衛生、耳掃除、爪切り、整髪などを介助者の一部介助、全面介助により行う。  
12.洗濯 洗濯、物干し、取り入れ、洗濯たたみまで介助者が行う。配布も援助を要する。  
13.衣類の管理 衣類の入れ替え、整理整頓、時には汚れたままの衣類をそのまま入れ込んでいることもあり、全面介助を要する。  
14.日用品の取扱い 本人からの訴えは少なく、介助者からの問いかけで初めて、必要な日用品の要求があり、代行購入をする。外部での買い物も介助者の助言、介助がかなり必要である。日用品の手入れについても介助者にすべて依存している。  
15.余暇活動 自分で決めることもできず、理解もできない。介助者側としては居室から出る理由として参加させている場合である。閉じこもりがちで孤独感で生活範囲の狭い日常生活を過ごしていることが多い。  
16.委任事務 小口現金、預貯金全て管理できない。金銭の授受も施設管理である。役所等対外業務も説明、了解の上で管理している。  
17.ボランティアのコーディネート 自らの生活向上意欲が低く、ボランティアの活動には興味がない。現状では個別的なボランティアも利用しておらず、施設へのボランティア活動にも最小限度参加している。ボランティアコーディネートの必要性も見つからない。  

主題: 盲老人ホームのケアサポートプラン
20頁~45頁

発行者:本間 昭雄
全国盲老人福祉施設連絡協議会