障害者と災害時の情報保障
~新潟中越地震の経験と今後の防災活動~
シンポジウム報告書
新潟県中越地震における実情と取組み
■質疑応答
こころのケアチームへの参加について
- 質問者
- 酒井さんにお願いします。新潟の精神病院で作業療法士をしておりますハセガワです。お話の中で、 こころのケアチームのことが出て、実際それに入れなかったというお話でした。 昨日、小千谷市と医師会が主催するシンポジウムがあって、そちらにも参加していましたが、 そこでも話が出ていました。実際にチーム参加にしている人自体が、こころのケア自体をまだ 十分理解していなくて、かなりトラブルもあったと聞いています。 同じこころのケアチームと言っても、日本精神病院協会や日赤の行っているものなど、 いろいろありますが、お話のあった会議に入れなかった経緯を、もう少しお話しください。
- 酒井
- 言葉足らずだったと思いますが、こころのケアチームに入れなかったのではなく、 県の「こころのケア会議」に、障害者団体などの出席は断るということでした。 しかし、県外からのこころのケアチームの中には顔見知りの人がいました。 こうした人の要請で、こころのケアチームの中で、一緒にいろいろ話し合ったことはあります。 私が言ったのは、県が主催する会議に参加できなかったということです。
医療が必要な人に対する行政の対応
- 質問者
- 鳥取県障害福祉課のヤマシタです。育成会の片桐さんに1点お伺いします。 施設入所されていて、人工透析をされている方が1時間ほど離れた施設に移動され、 行政の対応を受けたということですが、どういう行政の対応があったのかをもう少し詳しく、 お聞かせいただければと思います。
- 片桐
- その方は、今までの施設から1時間ほどの距離の施設になりましたが、支援費制度などの問題で、 通院費用は自己負担になると聞かされていました。それが経済的負担になるとのことで、 移動した後にすぐ、市町村の役場に相談したのですが、役場ではすぐに対応してもらえませんでした。
それで、私は県の障害福祉課にお話しして、市町村役場、施設などと協議をして、 具体的に支援することになりました。具体的にどうなったかは、最後まで聞いていませんが、 いずれにせよ、費用のことなどを含めて市で対応していただきました。
視覚障害者への情報提供の状況
- 質問者
- 神奈川県の逗子市で身体障害者福祉協会の会長をしている視覚障害者です。 松永さんにお伺いします。松永さんの視覚障害者の会の会員の被害状況の把握をしたのでしょうか。 会員以外の人はどうだったのか。それからメーリングリストをつくるということですが、 逗子市では高齢者、中途失明者が多く、点字も墨字も読めず、パソコンもできないので、 災害時にどうしたらいいか、今悩んでいます。
- 松永
- 先ほども話しましたが、新潟県内には6,500人の視覚障害者がいます。 今回の該当地区には、2,177人がいます。そこで県福祉協会の名簿に乗っているのは150人くらいで、 会員での被災者は55人だったと思います。視覚障害者全体で被災したのは749人で、 この数字からもわかるように会員の率が低いのは確かです。
中途失明の方では、点字を読めない方もいます。情報をどのように伝えたかというと、正直、 どういう形で情報を提供するかというところまではできませんでした。 ただ地震後、被災者の生活復興の小冊子が発行され、これに対しては点字版を出し、 各市町村の障害福祉課に送って、希望者に配布することにしました。
その他細かいことに関しては、私たちはできませんでした。会員として把握している方々については、 点字、テープ、墨字の会報があるので配ることができますが、会員以外には、残念ながら配布はできません。 ただ、他にも視覚障害の団体が2団体あり、そこでテープと点字で情報を流していたのではないと思われます。 基本的に、われわれが情報提供できたのは会員だけです。
それから、NHKテレビ、ラジオなどに私の話す時間を設けていただき、そこで情報は提供しました。 ただ、個々の情報については残念ながら出していませんでした。