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ケアサービスへの公正なアクセス:実際的ガイダンス---実施に関するQアンドA


受給資格枠組み(The eligibility framework)


Q3.1 政策ガイダンスの第16項目の受給資格枠組みは、自治体の受給資格基準のためのガイドとして使うものですか、それとも一語一語厳格に使うものですか?



A (修正) 受給資格枠組みは単なるガイドではなく、自治体は用語を変更すべきではありません。自治体が成人社会ケアに配分した予算に従って、ひとたびどこで線を引くかを決定したなら、FACS政策ガイダンスの第16項目にある区分で使われている、リスクを記述するための用語を正確に使うべきです。そこで記述されているリスクによってニーズの適格性を確定し支援がなされます。<訳者注:自治体は自らの予算に応じて、「自立へのリスクの深刻さの4区分」(危機的、重度、中等度、軽度)のどこ以上をその自治体独自の受給資格基準とするか決めることが出来るが、4区分の内容を示す言葉を変えてはならないということ。

自治体は現行の用語を削除したり修正したりするべきではないですが、ある区分の中の特別な強調点として(as extra bullet points)追加的なリスク要因を加えてもよいです。その場合自治体は、追加点がガイダンスの精神を反映すること、および自立(independence)の主要要素、すなわち自律(autonomy)、健康と安全、日常生活の遂行、および家庭や広い社会生活への参加、に明確に関係したものであること、を確保すべきです。

受給資格基準を、第16項の直接的な方法と用語以外の、表形式あるいはその他の方法で示そうと考える自治体は、そのような計画のメリットを塾考すべきであり、もしそうするなら、もとの用語をそのまま使うべきです。


Q3.2 (新規) もし自治体が受給資格枠組みを言葉通りに使わなければならないなら、なにを協議(consult)することがあるのですか?



A どの区分を自分たちの受給資格基準に含めるかを決めるのは自治体次第ですが、しかしながらその地域の主要な利用者グループやコミュニティーが、提案された基準で不公正に不利な扱いを受けることのないよう、自治体は保証しなければなりません。自治体はこの点で広く協議すべきです。内容が確定した後、自治体がその受給資格基準の全文をその「よりよいケア、より高い基準」憲章に入れて刊行しようとするとは考えにくいです。自治体はその基準をどのように要約して地方の憲章やその他の公的な文書に含めるか協議すべきです。いくつかの自治体は受給資格基準のリスク要因を追加したり、例示したりしたいと考えるでしょう。そのような修正は協議すべきです。

上記の事項で協議を受けるべき人々には、サービス利用者、介護者、プライマリーケアトラストや住宅当局などの地方機関、地域のボランタリー団体やコミュニテイグループが含まれます。自治体はまた、受給資格の決定を行う担当者を含めて自らの職員とも協議すべきです。


Q3.3 危機的、重度、中等度、軽度の受給資格区分のそれぞれの中で、最初に書かれているものが最後に書かれているものより重要だという、ニーズの階層があるように見えます。そうなのでしょうか?



A いいえ。ある受給資格の区分の中では、ニーズや関連するリスクの間に階層はありません。ただし例外として、「危機的」区分の中での生命危機の状況があります。

たとえば、次のような自立(independence)への危機的なリスクは、同等な重み付けがなされるべきです。

  • 体を洗ったり入浴したりするなどの重要な身辺処理課題を遂行することが出来ない高齢者。
  • 若い障害者で、その自立と安寧(well-being)にとって非常に重要な教育や訓練を受けるに当たっての大きな障壁に直面している人。
  • 単身の母親で、しばしば自分の母親に同居の子どもの世話をしてもらっている。精神保健上の困難のために時々親としての役割を果たせず、そのために気力が著しく低下し、それが精神保健問題をいっそう悪化させている。


Q3.4 それぞれの区分の中で、労働、教育、学習、社会的サポートシステムや関係、家庭その他の社会的役割や責任への参加、が書かれています。どうしてこれらの問題が、健康や安全、虐待、日常生活の課題の遂行不能などと同様に重要なのでしょうか。



A ある人々にとっては、安全への脅威、受けている虐待、身辺処理の面で経験する問題などが最重要でしょう。他の人々には、仕事や教育への参加、社会的な支援や社会関係面での困難、家庭やより広い社会での生活に完全に参加することの困難が、それと同じように重要であり得ます。こうしたすべての要素は、独立して考慮すると、安寧と自立にとって甚大なマイナスの影響を及ぼすことがあり、したがって機関や専門職は軽視すべきではありません。また、もし取り組みがなされなかった場合には、これらの要素が総合的に個々人の自立に影響し、その結果身体的・精神的なニーズが高まり得ると言うことを考慮しなければなりません。


Q3.5 受給資格枠組みの「危機的」と「重度」の区分では、選択とコントロールに言及されています。その意味はなにで、なぜ重要なのでしょうか?



A 多くのサービス利用者はその自律と尊厳、そして情報提供に基づく自立した選択をする能力に非常に高い価値をおきます。選択とコントロールを実行するということは、あれこれが出来るということだけではなく、望んだときに自分の選んだ方法でものごとを行う自由のことです。

たとえば、成人の息子と暮らす障害のある母親は、息子が彼女の身辺処理を援助することに非常に強く困惑するかもしれません。息子は母親の感情を理解せず、時に全くの内密なことにまで援助しようと主張します。母親は、その援助は優しい気持ちに基づくもので不適切なことはないと認めつつも、これ以上の困惑を避けるために、ますます自分のニーズを息子から隠し、黙って苦しんでいます。この状況は彼女の困難をさらに強め、自立を損ね、家族関係を傷つけます。このケースでは、自治体は、母親のケアニーズに対応するためだけでなく、同時に尊厳、選択とコントロールを回復するために、適切な時期に女性のホームケアスタッフによる支援を提供することに合意するでしょう。


Q3.6 受給資格枠組みの「危機的」(critical)と「(きわめて)重要な」(vital)という言葉は主観性があります。自治体はこれらの言葉をどのように客観的にまた一貫して適用すればよいですか?



A (修正) 政策ガイダンスで可能なのはそこまでです。自治体は、この受給資格枠組みのいろいろな言葉の説明と適用に際して、常識を働かせて判断する必要があります。受給資格枠組みはおおむね現在の実践をふまえており、またすでに自治体はいろいろな用語を困難なく使ってきています。

自治体にとっては、生命が脅かされていたり、深刻な病気や怪我の大きなリスクがあるなど、リスクが「危機的」であるケースを非常によく知っているでしょう。これらは政策ガイダンスの第16項の受給資格枠組みの「危機的」区分で記述されています。

ガイダンスで、ある人の日常生活の「重要な」側面がその人のニーズによって影響されると書いている場合、その意味は援助なしではその人が、おそらく入所ケアを要するような自立を損なう事態となるか、家庭生活やより広い社会生活に殆ど貢献できないか、有害または不適切な貢献をすることによって本人や他の者に深刻な結果をもたらすような、大きなリスクを持っているということです。そのうえで、自治体は、ある人にとって「重要」なことでも他の人にとっては「重要」ではないかもしれないということを認識し続けるべきです。人はニーズや状況に異なった反応をすることがあるからです。

公平を保つために、個々の自治体はガイダンスの実施と活用をモニターし、査定と受給資格の決定が一貫していて許容可能な質を保っていることを確保すべきです。自治体は、査定は人間中心で個々人の見方と希望を全面的に考慮するべきであるとはいえ、何が「危機的」で「重要」かの最終的判断は自治体によるものでなければならないことをふまえておくべきです。

本実際的ガイダンスの「付属資料」に含めた事例集は、自治体が受給資格枠組みをよりよく理解して適用する際に役立つでしょう。事例集は、説明に役立ち、自治体職員の学習や一般市民への普及の基礎として活用されることを意図しています。


Q3.7 (新規) 受給資格枠組みでは身辺処理または家事(personal or domestic routines)ができないことを取り上げています。これはその人が文字通りできないこと、例えば自分の体を洗えないことや家事ができないことを意味するのでしょうか?



A 文字通りに理解すべきではありません。ここには、ある種の身辺処理または家事を遂行できない人ばかりではなく、おそらくたとえ非熟練の支援があってもその遂行に大きな困難があるという人も含まれます。


Q3.8 第16項は受給資格枠組みを示しています。この受給資格枠組みと自治体の受給資格基準の違いは?



A 受給資格枠組みは受給資格として認められ得る事項の4つの区分から成り立っています。もし自治体が「危機的」と「重度」の区分に該当するニーズとリスクに対応できるだけしか予算(resources)がないと決定するなら、その自治体の受給資格基準は、「危機的」と「重度」の区分のみとなります。言い換えれば、自治体の受給資格基準は、「枠組み」の区分の中から、自治体が予算を考えた上で選んだ区分のことで、その自治体が満たそうとするニーズの範囲を示します。


Q3.9 自治体が受給資格枠組みの中の区分を自らの受給資格基準として選ぶには、どのような方法がありますか?



A 単純化しすぎる危険はありますが、次のような理論的なプロセスがこの問への答えとなります。

自治体は計画期間中に、そしてコミュニテイケア法令下での法的な義務を遵守しつつ(FACS政策ガイダンス第14項参照)、現にサービスを受けている成人と参入してくる可能性のある成人の数の推計を行います。自治体は、これらの人々のニーズを受給資格枠組の4区分に振り分けるよう試みるべきです。

ついで自治体は、それぞれの区分で生じているニーズ(当面のニーズと生まれつつあるニーズの両方)を満たすために必要な典型的なサービスの種類を推定します。このサービス提供の見積もりを、委託したり購入したりするときの典型的な値段によって行います。(自治体はまた、時機を得た援助がなされないために相当程度悪化するような軽度レベルのニーズに対応しないことによる長期的なコストもまた反映するべきです)。

次に自治体は各受給資格区分毎に、ニーズを満たすに必要なコストを合計します。「危機的」区分からはじめて、この区分のニーズのある人へのサービス提供の推定コストがその自治体で成人社会ケアに使える予算と同額となれば、その自治体の受給資格基準は「危機的」区分のみとなります。もしその自治体の予算が「危機的」と「重度」の範囲のニーズのある人へのサービスコストをカバーできれば、その自治体の受給資格基準は「危機的」と「重度」区分で形成されます。以下同様です。

2003年4月実施への企画にあたって、ゼロから出発して、現行予算やサービスパターンが大きく乱されサービス利用者に損害を与える危険を冒すよりは、自治体は現行の受給資格決定方式の微調整を考えるべきです。


Q3.10 もし、たとえば「危機的」と「重度」の両方の区分のニーズを満たす資金があり、さらに「中等度」区分に該当するニーズの全部ではないが一部には対応できると思われる場合、自治体はどうしたらよいでしょうか。



A (修正) いろいろなアプローチが可能でしょう。たとえば、自治体は「中等度」区分を2つのサブ区分に分けることができます。これらはいわば、「中等度-上位」、「中等度-下位」と呼んでもよいでしょう。この区分けをするにあたって、この区分の現行の4つの要素を同じ重みを持つとみなし、それぞれの要素をより大きな重要性を持つ部分と小さな重要性を持つ部分とに区分けするべきです。より大きなリスクの部分を満たす費用と、「危機的」と「重度」の区分のニーズを満たした上で残される予算とが同じになるようにするべきです。こうして、その自治体の受給資格基準は、「危機的」区分、「重度」区分および「中等度-上位」サブ区分から構成されます。

あるいは、自治体はより形式にとらわれないアプローチもとれます。「中等度」区分をさらに区分するのでなく、その自治体の専門職に対して、個々人のニーズから生じてくるリスクが「中等度」の「主流」よりも「重度」区分のほうに傾いているかどうかの判定を頼むことです。この場合もまた、自治体は「中等度」区分の現行の4つの要素は同じ重みを持つとみなすべきです。自治体は専門職員の判定が一貫していて、かつ予算の範囲内での判定となっているかどうかをモニターする必要があるでしょう。

<訳者注:「現行の4つの要素」とは、FACS政策ガイダンス第16項の「中等度」区分と「軽度」区分に記されているもので、「身辺処理または家事の遂行」、「労働、教育や学習への参加」、「社会的支援システムや関係の保持」、「家族内あるいはその他の社会的役割や責任の遂行」である。「危機的」区分と「重度」区分ではこれらに加えて生命の危機や虐待の可能性などもあり、要素の数は多くなる。>


Q3.11 多くの自治体は受給資格枠組みのどの区分をその受給資格基準に含めるでしょうか?



A この予言は難しく、各自治体はその予算と状況(resources and circumstances)に照らして独自の決定をしなければなりません。しかし保健省はガイドライン実施のこの面についてモニターし、受給資格基準があまりにも厳しいと思われる場合には政府として行動をとることを考えようとしています。「2002年の支出見直し」の結果、2003年4月以降は自治体は追加的な予算が使えるので、受給資格基準は現行に比べて厳しくなるべきではありません。さらに、FACSガイダンスが実施されれば、真にニーズのあるすべての成人は適切な社会ケアの支援を利用できなければなりません。


Q3.12 (新規) 何が適格と認められたニーズに該当しますか。援助を受ける資格があるのはその人ですかニーズですか?



A この質問と答えは、FACSに基づく受給資格基準、およびそれにかかわるリスクの査定と評価が、どのように遂行されるべきかの中心点です。

その鍵となる政策ガイダンスの項目は第42項で、どのように査定を経て受給資格の決定に至るかの論理を説明しています。第42項が述べていることは基本的には、「表明しているニーズ」は自立に対するリスクを基準として調査され評価されなければならないということです。

その際常に自治体が留意すべきことは、ニーズ査定とリスク評価はその質を、判断を行う準備ができている有能な専門職が行う、援助を求める個々人との利用者中心の会話(person-centred conversations)に依存している、ということです。枠組みや事例集その他は、利用者中心の有能な判断の遂行を単に支援するだけです。

ニーズとリスクが確認されたら、そのリスクは危機的、重度、中等度、軽度の区分に分けられます。ある個人にとって、いろいろなニーズはいろいろなリスクをもたらし、したがって異なった区分に振り分けられられ得ます。その人のリスクとそれが該当する区分とはその自治体の受給資格基準と比べられます。第42項の最後の文は、自治体は受給資格基準に当てはまるリスクを確定して、適格と認められるニーズを確定すべきである、と述べています。この最後の文は、自治体は基準に該当するリスクを生み出すニーズ、つまり、支援すればリスクが改善され、食い止められ、あるいは減少させられるようなニーズ、を確定すべきである、という政策意図を反映しています。この「適格と認められたニーズ」の確定はその判定を行う有能な専門職に依存します。ある状況では、専門職はすべてあるいはほとんどのニーズを支援することが適切であると考えるでしょう。別の状況の下で専門職は特定のニーズのみ支援することが適切と考えるでしょう。

この点についてあらかじめ処方箋を出すことは困難です。しかし政策ガイダンスには、「適格と認められるリスク」(つまり、その自治体の受給資格基準に該当するリスク)と関連するすべてのニーズを支援するべきであるという明確な示唆はないことに自治体は留意すべきです。どのニーズを支援するかの決定は、個々の状況によってなされるべきです。この説明の意味は次のとおりです。

自立にかかわる「適格と認められるリスク」に関連するニーズのみを、社会的ケアの支援においては考慮すべきであるということ。

しかし「適格と認められるリスク」に関連するニーズは、もしそのニーズに支援で対応すればリスクが改善され、食い止められ、あるいは減少させられる場合にのみ、「適格と認められるニーズ」とみなされる。専門職がどの程度までリスクを取り上げるかは、よい査定と個々人やその他の人との効果的な対話によって決まります。

上記の説明が実際にはどのような結果となるかを次の例で示すことができるでしょう。ジョーンズ夫人は身辺処理と家事の大部分を遂行できませんが、それらのどれも彼女の自立にとって重要(vital)ではありません。同時に、1,2のサポートシステムへの参加が保てません。FACS政策ガイダンス第16項の受給資格枠組みによると、ジョーンズ夫人の身辺処理や家事の困難は「重度」のリスク区分に該当し、一方、彼女のサポートシステムへの参加困難は「軽度」のリスク区分に該当します。

もし、その自治体の受給資格基準が「危機的」と「重度」のリスクを含むのであれば、その自治体は身辺処理や家事に関するニーズのみ満たす義務があります。サポートシステムに関するニーズを満たす義務はありません。さらに自治体が身辺処理や家事の困難のどれを支援するかを決めるときには、「重度」のリスクを改善し、食い止め、あるいは減少させると考えられるもののみに対応する義務があります。したがって、ジョーンズ夫人は入浴、トイレ、調理および請求書の支払いの支援はなされるでしょうが、庭の管理、毎週の食料品の買い物(地域のスーパーマーケットから配達されるので)、および友人への手紙を書くことは支援されないでしょう。

別の方向からニーズ、リスク、および受給資格を考えることもできます。もしある人のニーズの中に、それ(ら)だけで現れたとしたらその自治体の受給資格基準からはずれる程度のリスクを生み出すニーズがある場合、その自治体はそれらのニーズを満たす必要がないと考えることができます。その自治体は、問題のニーズがその他の対応すべきニーズを激化または悪化させたりしないことが確実である場合には、そうするでしょう。

FACSに基づく受給資格基準を実施し適用する際に、受給資格枠組み第16項に記されているリスクから直接「適格と認められるニーズ」を確定することが、一般的に可能なわけではありません。その理由は受給資格区分はニーズでではなくリスクで記述されていて、そのため自治体がリスクを理解し、どうしたら最もよく対処できるかを考えねばならないからです。こうして、上記の例ではジョーンズ夫人は自分ではできない身辺処理と家事のすべてを援助されるわけではないことになります。


Q3.13 もしある人がいくつかのニーズを持ち、その中の一部のみが自治体の 受給資格基準に該当する場合、自治体は受給資格の有無にかかわらずすべてのニーズを満たさなければならないでしょうか?



A (修正) 前項の回答参照。それに加えて、FACS 政策ガイダンスは、「適格と認められるリスク」に関連したニーズが満たされる結果として、あるいはそれを促進するために、サービスをある種の「表明されているニーズ」に対して提供することがあってもよい、と助言しています。

たとえば、もしスミス氏が体を洗ったり入浴できなかったりするためにリスクが生じるなら、ケアワーカーが朝のシャワーの後で着替えを支援し、夜の入浴後にパジャマをきるのを支援することは有意義なことでしょう。専門職は着衣や脱衣の支援に関してその判断力を働かせる必要があります。もしスミス氏が完全に着衣や脱衣ができるのであれば、あるいは困難はあるものの自分でやりたいと望むのであれば、自分でやるのが最良でしょう。もし何らかの困難があり援助を歓迎するのであれば、ケアワーカーは支援するのが最良だと感じるでしょう。上記のように、提供されるべき援助は状況によって変わり、常識が生かされるべきです。


Q3.14 (新規) なぜ受給資格枠組みのリスク因子は正確さに欠けるように見え、実際に使おうとすると困難が生じるのでしょうか?



A リスク因子をあまり文字通りに受け取ったり、示されている例に依存して実施しようとすると困難が生まれます。リスク因子は個々人が直面する問題の深刻さの指標です。この枠組みは日常の課題、就労や教育・学習システム、人間関係、家族内役割や責任の中で、危険な状況になっていることの数を重視します。というのは、一般的にその数が多くなれば自立への危険が大きくなるからです。

しかし、Q3.12 (新規) の回答が言うように、自治体は、ニ―ズの査定とリスク評価は、判断を行う準備ができている有能な専門職が行う、援助を求める個々人との利用者中心の会話の質によって違ってくるということを、を考慮しなければなりません。枠組み、事例集などは、利用者中心の有能な判定を単に助けるだけです。

受給資格枠組みのリスク因子は、リスクを評価する際のしっかりした出発点です。この枠組みは4つの広い区分のリスク、危機的、重度、中等度、軽度を示しています。危機的リスクは、生命の危機にあるとき、重大な健康問題があるとき、あるいは自立の重要な側面が危機にあるときに生じます。自立の危機がいくつあるかは問題とすべきではありません。

自立の重要な側面が脅かされているかどうかを決めるのは専門職であり、個々人との会話を通じて、また、その人のニーズから生まれるリスクを考慮して決定します。

日常生活のある部分についてはなにが重要(vital)でなにがそうでないかの合意があるでしょう。例えば、日常の繰り返しの面ではトイレに行くことや、その他の衛生や個人的な手段を利用することは重要です。しかしその他の日常生活の側面や労働・教育・家庭生活への参加については、自治体はある人にとって重要なことが他の人にはそうでないかもしれないことを考慮すべきです。

例えば、ある人は助言に反してあまりきれいでない住居で暮らしたり、健康的でない食事をしたりすることを好むかもしれません。そのことによってその人の生活への選択とコントロールが保持され行使できる場合にはそうなります。したがって、ガイダンスの中の「重要」やその他の言葉の定義を機械的に理解することはいつでも適当であるわけではありません。

受給資格の「重度」区分には自立への重度のリスクの指標が含まれています。したがってもしある人が非常に多くの身辺処理と家事を遂行できないか、労働・教育・家庭生活などの多くの面を行うことができない場合、その人の自立が脅かされる非常に高い可能性があります。もしこれらのおそれのどれかが自立にとっての重要なものであれば、その人は「危機的」区分とされるべきです。リスク因子は指標であるので、それは最終的な用語として扱うべきではありません。この理由で、 自治体はリスク因子を加えたり例示してもよいが削除してはならないとしています。

受給資格の「中等度」と「軽度」区分も同様に理解されます。この2区分に含まれているリスク因子は指標です。例えば、もしある人が身辺処理と家事の3つか4つを遂行できず、またそのいずれも自立にとって重要ではない場合、自立へのリスクは「中等度」とされる高い可能性があります。

同じように、ある人の労働・教育・家庭生活の3つまたは4つの側面への参加の維持が困難であると示され、しかしそのいずれも自立にとって重要ではない場合、総合的な自立へのリスクは「中等度」とされるでしょう。この理由は、一般に、個人が直面している困難がより深刻であれば、より多くの困難があるだろうからです。しかしまた一般的な法則には例外もあるので、自治体は状況の全範囲を考慮すべくその受給資格基準に追加したり例示したりする用意をすべきです。

Q3.15 (新規) 労働、教育、学習の多くの、いくつかの、1,2の側面(aspects)の意味は何でしょうか?



A 労働、教育、学習の側面には、労働または学習(フルタイムもパートタイムも、自宅での労働や学習も含まれる)の基礎、毎日の労働や学習の時間、労働や学習の種類が含まれます。そのような側面にリスクがあるとは、雇用主または大学が厳格な就労様式や教育課程を定めている、通勤・通学の交通手段がないまたは利用できない、職場や大学の環境が利用しにくい、給料や条件が不十分、などです。全てまたは大部分の側面が脅かされていれば、その人の仕事や教育がリスクの状態にあることになります。

Q3.16 自治体がFACSガイダンスを基礎に受給資格基準を発行すると、自分のニーズは深刻さが足りないと考えて自治体に援助を求めることを延期してしまう人が出てこないでしょうか。



A 自治体は受給資格基準をその「よりよいケア、より高い水準へ」憲章の中で刊行すべきです。自治体には支援しようとするニーズと支援対象とはならないニーズとをを明確にすることが望まれます。しかし自治体はまた、ある種の「軽度」または「中等度」のニーズも、支援によって問題が著しく悪化することを止めることができるならば支援を受ける資格があると明記することもできます。また自治体は、適切な場合には、社会ケアが必要とされない場合ほかの形の支援を促すと述べておくべきでしょう。