高齢者の運転適性に関する研究(2)
NO.6
5 結論
現在使用されている心理テスト・バッテリーから選んだ3種類の反応の計測記録値を指標として、高齢者の運転適性を調べた。また、安全運転自己診断質問紙、安全運転態度および危険感受性テストを用いて回答を求め、これらの結果を整理・分析した。結論を要約すると次の通りである。
- 加齢とともに反応や動作の誤りは増加しtask performanceの質は低下するが、特に70歳以上では速度見越反応時間の短縮する者と遅延する者との二極分化傾向が顕著となる。
- 自覚的な運転ぶりの自己評価および運転態度は70歳以上の年齢層で自分勝手な不注意運転に傾く者と慎重ではあるが躊躇(ためらい)運転の傾向が顕著になる両極端に分かれてゆく。
- 危険感受性テストについても、70歳以上では優良と劣悪の両極に分かれ、普通と評定できるドライバーが減少する。
以上であるが、これらを総括して、70歳を越える年代に達した時点で、自ら積極的に運転適性をチェックし、運転ぶりを適確に自己理解し、その後の運転継続を判断することが望ましい。
さらに経験を過信することなく、慎重に車を利用しさえするなら、高齢者の故に運転の制約を受けるという考え方はすべきではないと考える。
最後に、2年間に渡る北海道高齢者問題研究協会関係者の方々の暖かい研究助成に対して心から謝辞を捧げて結びとする。
文献
- 大塚 博保 1986 新版安全運転自己診断SAS386人と車、7月号;14-15。
- 深沢 伸幸 1983 危険感受性(仮称)テストの研究1、応用心理学研究、8:1~12。
- 深沢 伸幸 1984 危険感受性テストの改良開発に関する研究報告書(昭和59年8月);119~136、特殊法人自動車事故対策センター。
- 深沢 伸幸 1986 運転者の意識に関する研究、適性診断テストの改良開発に関する研究報告書、117~144、特殊法人自動車事故対策センター。
- 森 二三男 1986 高齢者の運転適性に関する研究、高齢者問題研究,2:93~107,北海道高齢者問題研究協会。
主題・副題:
高齢者の運転適性に関する研究(2) 78~78頁
著者名:
森 二三男
掲載雑誌名:
高齢者問題研究
発行者・出版社:
北海道高齢者問題研究協会
巻数・頁数:
No.3巻 65~78頁
発行月日:
西暦 1987年
登録する文献の種類:
(1)研究論文(雑誌掲載)
情報の分野:
(1)社会福祉
キーワード:
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