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高齢者の労働と生きがいに関する研究

No.2

1 研究の目的

高齢期固有の問題には、生活を支える経済問題、介護を中心とした家族関係と公的なケアーサービスの受益、社会参加、趣味、生涯学習などによる自己啓発など多様な要素が絡みあっている。
それらの諸要素の調和が、高齢者のパワーの高揚、労働意欲の持続、生活の中での生きがいの実現につながると考えられる。
昨年実施した「高齢者福祉におけるマンパワーに関する研究」(森、平山、1993)(注1)で、60歳代後半に至っても健常で就労能力をもつ高齢者が70%を超え、ライフスタイルの心理を因子分析した結果は仕事中心的な勤労精神の旺盛な人が多いが、70歳以後にはそれまでの生活の延長線上で高齢期固有の問題が発生し、引退への予測、福祉活動への参加意欲が募ってくるということが窺い知られた。
今回は、60代後半層の生活を、オーバーラップさせながら、70歳以後の高齢者の労働実態と、生きがいの確立状況を調査し、家族や社会との関わりの中で高齢者のマンパワーを助長する諸条件を明らかにすることを目的として研究を行った。

2 研究の方法

札幌市シルバー人材センターの協力を得て、表-1に示すアンケート用紙を、同センター登録の高齢者の中から、1000名を抽出して郵送し、個人別に研究者宛返送を依頼した。調査実施時期は平成5年8月、集計は10月に行ったが、有効回答数は504通(回答率50%)で、協力度が極めて良好であった。
対象者の年齢・男女別構成を表-2に示したが、年齢別では65歳~69歳が全体の58%と最も多く、ついで70歳~74歳(32%)、75歳~79歳(9%)の順となった。60歳代後半層と70歳代の意見集約が得られたと考える。男女別区分は、シルバー人材センターに対する委託業務従事者を対象としたため、男性が圧倒的に多く86%を占め、女性は14%にとどまっている。その結果、男女別特徴把握が困難であったので質問に対する全回答数の比率(%)を中心にまとめ、項目により、男女別、年代層別比率(%)をとりあげることにした。

表-2 調査対象者の年齢・男女別構成

男女別
年齢別
合計 年齢別
比率%
60~64歳
65~69歳
249
44
293
58
70~74歳
140
20
160
32
75~79歳
41
44
80歳以上
合計
435
69
504
100
男女別
比率%
86
14
100

注1 森二三男、平山 明 1993、北海道における高齢者の雇用実態調査、高齢者問題研究、No.9、131-150


主題・副題:
高齢者の労働と生きがいに関する研究 81~87頁