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9カ国の一時的・部分的障害プログラム 「他国から学ぶ」最終報告書

第3章 部分的障害年金制度の役割

拠出制年金保険制度において部分的給付が果たす役割はあるのか

ヴィッド・ディーン

序章では、調査国のほとんどにおいて、GDPに占める障害保険年金支出の割合がかなり高い率にあり、過去数十年間、特に1990年代において、全体として多くの国で上昇傾向にあることを示した。支出の上昇と同時に、障害保険の受給者数と申請者数も増加している。問題を深刻にしているのは、給付を受けている障害者が職場に復帰することによって受給を終了するというケースが非常に少ないという事実である。対策として多くの国では、障害保険制度の認定基準、支給期間、支給額について、大幅な転換を図った。この報告で取り上げた国のうち、過去10年間に大きな改革を行った国はオーストラリア、ドイツ、英国、オランダ、ノルウェー、スウェーデンである。

増加する受給者数とそれに対する改革を論じる上で考慮すべき事項の一つに、部分的障害給付制度の役割がある。これは、就労することは可能であるものの、医学的な機能障害により、仕事の種類あるいは量において制限が必要な者に対し、現金を支払う制度である。調査対象の9カ国のうち、障害に対して保険による部分的支払いを行っているのは、ドイツ、日本、オランダ、ノルウェー、スウェーデンの5カ国である。しかしながら、これらの国の部分的給付プログラムは、認定基準、支給額、職場復帰奨励策などの点においてかなり異なっている。加えて、部分的給付が障害給付全体の支出を増加させるのか減少させるのかについても、相当な議論のあるところである。部分的給付プログラムのうちいくつかは、障害者の雇用機会を増やし、その高い失業率を下げる役割を果たす可能性がある一方、部分的給付プログラムは全額障害年金への入り口でしかない可能性もある。

この章では、いくつかの国における部分的障害プログラムを比較し、それが労働力と公的財源に与える影響を分析する。その次の項では、それぞれの国の部分的給付プログラムについて、その背景を説明するが、このような多国間の制度を比較する場合には非常に慎重にならざるを得ない。第三番目の項では、部分的年金プログラムと全額年金プログラムの両方を持つ国について、この二つの制度を比較する。第四番目の項では、部分的年金の実際の運用について分析するが、これには受給者と新規の申請者について、また、なぜ部分的年金の活用が増加しているのかについての説明が含まれる。第五番目の項では、部分的年金受給者の雇用率を検証し、全額給付の受給者と比較して部分的給付の受給者にはどのような職場復帰奨励策が利用可能かを論じる。最後の項では、部分的障害年金プログラムについて確認された大まかな結論をまとめる。

部分的障害給付を検証する:いったい比較は可能なのか

どの国が障害年金基準を満たしているか

多国間の障害者政策を比較するのは簡単ではない。文化的差異、言語の障壁、定義の特徴、データ収集法、報告の問題など、さまざまな課題がある。それゆえ、比較の際にはそれぞれの制度が「比較可能」であることがまず第一条件である。この項では、部分的障害給付を持つ調査国を比較するための枠組みを示す。

多くの国において、障害者給付プログラムには明白に異なる二つのプログラムがある。一つは「社会保険」原則に基づくもので、退職者年金と同じように、給与から天引きされる「保険料」によって支えられた国民年金制度から給付される。一般に給付を受けるためには、支払った保険料が一定額以上で、支払い期間が一定期間を超えていることが前提となる。アメリカではこの制度を社会保障障害保険(SSDI)と呼んでいる。

もう一つの給付制度は社会扶助制度で、受給のためには障害認定と資力審査を受ける必要がある。給付の額は一般に少なく、先天性あるいは幼少時に発生した障害により、正規の職に就くことが不可能である人に支給される。この制度は、アメリカでの補足的保障給付(SSI)制度のように、政府の一般歳入から支出されている(つまり、拠出制ではない)。SSI制度では、申請者の世帯の所得と資産が定められた額を下回る必要がある。

部分的障害給付の多くが社会保険制度の下で運用されている。であるがゆえに、比較可能な対象は、部分的障害年金のみである。ここでの分析の対象には、労災補償や戦争被害補償などの「損害賠償」に由来する給付は含まれない。例えば、アメリカでは部分的障害給付は州が運営する労働者保障制度を通じて行われるが、「永続的部分」給付が、医学的な障害リストをもとに決定されるか、賃金損失をもとに決定されるか、あるいはこの二つの方法を組み合わせたやり方で決定されるか、は州によって異なる。同様に、アメリカの退役軍人保障年金制度についても考慮の対象外とするが、これは200万人の受給者を抱え、それぞれが軍務に由来する10%から100%の障害程度に応じて月額106ドルから2,239ドルの給付を受け取っている(退役軍人局保障・年金サービスのデータウェブサイト、2004)。このような損害賠償金は、一般に、就労所得を含む他の収入源とは独立して支給される。

とはいえ、ここまで述べてきた基準にぴったり当てはまらない部分的給付プログラムを持つ国もある。まず、オランダでは、1960年以来、国民障害年金制度に労働災害が含まれているが、障害の性質あるいは原因に基づく給付額のデータは公開されていない。この理由から、その他のほとんどの国とは異なり、オランダの部分的年金受給者についての報告は、労働災害による永続的部分障害のある人を含んでいる。

また、社会保険制度と社会扶助制度の違いがそれほど明確でない国もある。日本の社会保険制度は二本立てで、被用者の強制加入による年金保険制度と国民年金制度が組み合わせられている。被用者年金の加入者すべてが、すべての国民を対象とする基礎年金制度にも加入しており、被用者年金の加入者数の4倍の人が基礎国民年金に加入している。両制度とも雇用者と被用者の平等な負担によって運営されているが、国民年金については政府の一般税収入による負担が3分の1を占めている。つまり、日本の制度はまったく複合的であり、被用者年金を負担していない人も受給可能な基礎「年金」制度の財源のうち、3分の2は拠出性のものなのである。この章の残りの部分で紹介する部分的年金に関する報告では、後者の、拠出型年金の受給資格のある人にのみ焦点を当てる。

オーストラリアと南アフリカには、国家が運用する拠出型障害年金制度は存在しない。オーストラリアでは、給付を受ける場合には収入と資産の両面における資力審査がある。また、一定額「以上」の収入や資産を持つ場合でも、部分的障害給付の受給が可能である。この場合、最重度障害であっても、年金支給額は減額される。言い換えると、部分的給付の受給資格と障害程度は関連がない。それゆえ、オーストラリアの非拠出型制度における減額障害給付については、これ以上分析対象とはしない。

最後に、障害年金制度に焦点を当てるということから、英国の労働税控除制度との比較も不可能である。この資力審査のある障害に伴う税控除制度は、障害者のパートタイムの有給雇用を推進するものであり、すでに働いている障害者と、長期にわたり就労不能給付を受給している者を対象として、経済的援助を与えることを目的としている。この税控除政策は1999年に初めて導入され、2003年4月に大きく改変された。この賃金補助制度を部分的な「給付」プログラムと考えることもできるが、支給対象は障害「年金」保険料を支払っている者に限られない。さらに、この制度の無拠出制という性格と最近の実施状況からみると、この章で取り上げる他の部分的年金制度との比較はできない。

すべての調査国の障害年金受給者率の比較

多国間の比較を始める前に次のことを指摘しておく必要がある。それは、図1に示された国による障害年金支給額のGDPに占める割合は、図2にある障害年金受給者の割合と相関関係にあるということである。アメリカを含む(南アフリカは含まない)8カ国において、この二つの数字の相関係数は0.76とかなり高くなっている。このことは、制度支出を減らすためには受給者数を減らさなければならないことを示唆している。さらに、後に述べるように、ほとんどすべての国において、復職支援制度を通じて障害保険を受給している状態から他の制度に移行する人や給付自体を終了する人の率は非常に低い。それゆえ、障害保険支出を削減するための唯一の方法は新たな受給者の数を少なくすることなのである。

図1:1999年における障害保険支出のGDPに占める割合
図1 棒グラフ

図2:2002年における障害保険受給者率
図2 棒グラフ

図2が示すのは、この研究の対象である各国における部分的年金および全額年金受給者の両方について、2002年の障害年金の受給者率を比較したものである。この割合を計算する場合の分子は、2002年現在で受給を受けている受給者の数である(通常は年の最後の日に給付を受けた人の数が用いられる)。また、分母は労働年齢人口(15歳から64歳)全体の数である。2002年度の年齢層についてのデータは収集されておらず、現在のところ入手できないので、代わりに、OECDの1999年度版報告から15歳から64歳までの人口を計算した。3年間にそれぞれの国の労働年齢人口が変化していないという前提である。また、南アフリカでは部分的障害年金制度が実施されていないので、この分析では取り扱わない。

部分的障害年金給付制度の存在と障害保険受給率の間に直接的な関係があるように思われることから、この図は特に注目すべきものである。部分的障害年金を支給しているノルウェー、オランダ、スウェーデンの3カ国は、他の5カ国と比較して、障害年金受給者率がかなり高く、それぞれ労働年齢人口1,000人あたり100、85、73となっている。このことは、OECDの報告(2003年、66頁)における「異なる障害程度を反映した段階的な部分的給付制度を取っている国は、概して障害給付受給率が特に高い国である」という分析と一致している。

しかしながら、日本の場合をみると、障害年金受給者率と部分的障害保険年金制度の有無について完全な一致があるわけではないことが判明する。日本の障害年金受給者率は抜きん出て低く、労働年齢人口1,000人につきわずか4人の「被用者」年金受給者しかいない。次の項で詳しくみるように、この理由の一つとして挙げられるのは、日本の給付認定基準はハードルがより高いということである。他のほとんどの部分的年金制度と違い、日本の給付認定は申請者の機能障害の程度のみに基づいて行われ、申請者の労働可能性や稼得能力は考慮されない。

最後に、ドイツの障害年金受給者率はかなり低く、労働年齢の障害者1,000人につき33人の受給者となっている。非拠出型の制度を持つオーストラリアと英国の両国の障害保険受給者率はそれより高く、労働年齢の障害者1,000人につきそれぞれ52人、38人の受給者となっている。実際、ドイツの受給者率の低さはアメリカに匹敵するものであるが、1,000人につき29人の受給者率であるアメリカでは部分的年金プログラムは実施されていない。

障害年金を全額給付するか部分的に給付するかの決定

部分的年金プログラムが実施されている国では、障害認定はオールオアナッシングの決定ではなく、広範囲の機能障害を対象とする段階的な判断である。反対に、部分的障害年金プログラムがない国では、申請者は障害年金を全額受給するか、まったく給付を受けないかのどちらかである。しかしながら、部分的年金制度の有無にかかわらず、どの国も障害年金の全額給付に値する障害かどうかを決めるための基準あるいは境界線を定めている。

それでは、完全障害とはなにか。障害年金制度を実施しているすべての国が障害を客観的に判定する方法について頭を悩ませている。障害認定は、(1)医学的に定められた状態にあること(医学的障害リスト)、(2)就労可能な仕事の種類あるいは働ける時間が限定されることによる稼得能力の減少、の二つの基準を組み合わせて行われる。アメリカを例にとれば、申請者は、医学的に決定できる身体的または精神的障害が一年以上続く(あるいは死に至る)と予想されると同時に、実質的に生活できる収入を得られる活動(SGA)に従事することが不可能である必要がある。SGAは、国民平均所得に連動して月額で計算され、2004年度では月810ドルとなっている。

この最低収入が示しているのは、年金受給資格を得る目的で完全障害とみなされるためには、実際には就労不能でなくてもよいということである。比較のために述べると、仮にアメリカの連邦最低賃金である5.15ドルで週40時間働くと、1ヶ月に20日働いたとして月収は824ドルになる。このことからも分かるように、SGAの基準を甘くすれば、完全障害の定義に当てはまる人がより多くなるということを意味するのである。多くの国では、障害年金の全額給付を受ける場合でも障害「程度」が100%である必要はない。先に挙げたオーストラリアのDSPは、40ポイントまたは50ポイントを機能障害測定指標としてそれぞれの身体部位に対して割り振るという指標を用いている。障害程度表は、各身体部位の機能と労働能力に関連して経験的に認められた基準に、申請者が達しているかを判定するものである。それぞれの表の最大値は40あるいは50ポイントで、給付が認められるためには20ポイント必要である。つまり、DSPは「完全」障害であるという決定(機能障害程度表によるポイントが最大値であるということ)を必要としていない。しかしながら、20ポイントの障害を抱えている場合、十分なレベルで就労し続けることはかなり難しい。

オーストラリアには、また、今後2年間にわたり完全な賃金を得られる労働を週30時間継続して行うことが不可能であるという2番目の条件がある。OECD報告(2003年、101頁)が指摘するように、「オーストラリアは、部分的障害に対する給付がないにも関わらず、全額給付の受給基準は比較的低く、それは、ほぼ25%の労働不能に相当する(パーセントで示されてはいないが)という点で突出している」。資力審査があるために給付額がかなり低水準であることを考えれば、全額給付の受給基準が低いことは、図2で示された比較的高い障害保険受給者率の一つの説明といえる。

全額障害年金の認定基準

それぞれの国の障害年金制度は、完全障害があるために全額給付に相当すると認められるか否かの境界線についての基準を必要としている。部分的年金給付を実施している国々の間で、この基準は大きく異なっている。以下に、5カ国それぞれにおける資格要件について、全額給付と部分給付を比較要約する。

ドイツでは6ヶ月の疾病給付を受けていることが必要であり、その期間の後に就労不能年金を申請することができる。医学的評価は、年金制度を運営する行政機関の一部である社会医療部によって、独立して行われるが、これは、申請者の診療記録や、必要な場合には診断データを用いて、就労可能性を見定めるものである。社会復帰の可能性が低い場合、現在の仕事を続けられるかどうか、また、続けられるとすればどの程度の期間かを評価する。身体的あるいは精神的な能力の低下により、通常の収入を得ることが不可能な者(毎日3時間未満の労働しかできない)については、障害年金の全額給付が認められる。

日本では、完全障害が認められるには、申請者は1級に分類された11種の障害のうちの一つを持っていなければならないが、これは、申請者が完全に無能力であり、常に付き添い介護が必要であることを意味する。この分類により、障害年金申請者は、国民基礎年金の100%と被用者年金の125%の受給が可能になる。被用者年金制度のもとでは、1回のみ支給される障害給付が認められる22種の障害を規定するもう一つのリストがある。どちらの場合でも、精神障害や知的障害については認定された医師によって個別に評価される。

オランダでの障害年金の申込手続きは、一般就労が不可能になった9ヶ月後(で支給される疾病給付が終了したとき)に開始される。申請は、UWV(社会保険機関)に所属する専門の医学検査官・医師と職業教育の専門家の二人のチームによって審査される。この二人が合同で、個人面談を通じて障害の程度と永続性と社会復帰の可能性について判定する。申請過程の最初の段階で、保険担当医師が「能力審査」を行い、申請者が定められた28種類の課題を行うことができるかを測定する。この審査に続いて、労働市場の専門家が、申請者の残存稼得能力を、機能情報システム(FIS)を用いて判定する。FISとは、オランダの労働市場において必要とされる8,200余の機能と、その機能を果たすための(精神的および身体的)能力についてのデータベースで、常時更新されている。このシステムを援用することで、申請者の残存機能を考慮しながら最も適切な三つの職を選び出す。申請者の障害前の収入と現在の稼得能力との差が、稼得不能度として判定される。医学アドバイザーと労働市場専門家によって稼得能力の低下が80%以上であると判定された場合、全額障害年金が支給されるが、この場合の受給額は申請者の障害前平均所得の70%と定められている。

ノルウェーとスウェーデンにおける全額障害年金の受給資格審査基準はかなり似通っている。具体的には、社会保険委員会が医学的な基準にてらし、100%の能力不全についての判定を下す。

部分的障害年金の基準

ドイツでは、同程度の訓練と経験を持つ他の労働者と比較して、障害により稼得能力が一日当たり3時間から6時間分減少している者は、部分的障害年金を受け取ることができる。ドイツの認定過程においては、一般的な医学的障害リストは存在せず、また、稼得能力の低下が「3時間から6時間」と「毎日6時間以上」の違いによって部分的年金か全額年金かが決まるというわけではない。ドイツの社会保険制度は現在制度改革のさなかにあり、実現すると、部分的障害年金については医学的な要因のみが判定基準となる。以前の制度では、部分的年金支給が可能かどうかについて、非常勤雇用の可能性の有無が考慮されたが、この制度は段階的に廃止される。

日本の制度では、それぞれの障害における障害程度(等級)に応じて、部分的年金の給付額は二つのレベルに設定されている。自立して生計を営むことを著しく阻害する17種の障害のうちの一つをもつ場合、障害程度2級と判断され、被用者年金から100%の支給が、そして、国民基礎年金からは80%の支給が受けられる。より軽度の障害である3級には14種の障害があり、この場合被用者年金からの100%の支給のみが受けられる。この段階的な障害区分について例を挙げると、「両手の指をすべて失った場合」は1級の障害となり、全額給付となる。「両手の親指と、人差し指あるいは中指を失った場合」には2級であり、「どちらかの手の、親指又は人差し指を含む4本の指についてその機能を失った場合」は3級である(kohyama、2004)。

オランダの障害年金制度では、部分的障害年金の受給に関する段階の幅(と数)は驚くべきものである。前の項で述べたように、障害程度は労働者に残っている稼得能力(オランダ国内の職業のどれかにおいて就労できる可能性)によって、障害以前の収入に対する割合として判定される。そして、この障害程度に従って、障害給付額が決定される。WAOの部分的障害年金を受給するのは、稼得能力が15%から80%低下している場合であり、給付額は障害程度に応じて変化する。部分的障害の度合は、15から25%、25から35%、35から45%、45から55%、55から65%、65から80%の6つのカテゴリーに区分される。給付額の計算には、障害程度が当てはまるカテゴリーにおける中間値が用いられ、この値の70%が受給額となる。つまり、障害がもっとも下の15%から25%のカテゴリーの場合、中間値は20%であり、その70%、つまり、受給額は保険対象収入の14が%となる。

ノルウェーの部分的年金制度では、障害程度は、50%から95%まで5%ごとに定められている。部分的年金給付は、障害程度の合計に従って支給される。

現在スウェーデンでは、部分的障害は25%ごとに3段階に分けられている(25、50、75%)。部分年金の給付額は、この25%ごとの障害レベルに応じて、日割りで計算される。

部分的障害年金の活用

この報告の対象国のうち、年金の全額給付と部分的給付を実施している5カ国における障害年金の部分的給付の利用法を分析するには、二つの方法がある。一つは、ある時点におけるすべての障害年金受給者のうち、どれだけの割合が部分給付を受けているかを調べる方法である。この調査法は、受給の開始時期に関わらず、ある時点における受給者の「ストック」を調べるものといえよう。1日の受給しか受けていない者(つまり、年の最後の日に受給が開始された者)から、受給が1年、5年、10年、あるいは40年に渡る者までがこの分析の対象となる。

もう一つの方法は、ある特定の年度における障害年金受給者のうち、「フロー」つまり新規受給者についてのみ調べるものである。注意が必要なのは、前者のアプローチにおいては新規受給者すべてが対象となるという点である。しかし、後者のアプローチでは、最近の限定されたある期間に対象を絞ることによって、現在の認定基準の影響力をより記述できる。というのも、ある年における新規受給者は、その期間における認定基準によって受給が決まった者のみを含むからである。

図3は、2002年度末における、すべての年金受給者に対する部分的年金受給者の割合を、それぞれの国について示したものである。この比較は、図2において2002年度末における労働年齢人口1,000人に対するすべての障害保険受給者の数について示したデータとの一貫性をみせている。というのも、図3における割合の分母は、図2で示された割合の分子なのである。

図3の左端の棒グラフは、2002年のドイツにおける全障害保険年金受給者に対する部分的障害年金の割合がきわめて小さいことを示している。この年に部分的年金を受け取ったのは、障害年金受給者180万人のうちの6.4%、つまり16分の1未満にすぎない。この数字は、障害者を非常勤雇用させるという目標を達成してこなかったドイツの過去の遺産を裏打ちするものである。これと著しい対照をみせるのが日本の場合で、2002年では年金受給者の5人に4人(82.7%)は2級あるいは3級の部分的年金を受け取っていた。このことは、被用者年金制度において1級を認定されることがいかに難しいかを反映している。すでに述べたように、年金の全額給付を受けるためには、付き添い介護が必要なほどの重度な障害がなければならないのである。

ここでの比較の対象となる国のうち、残りの北ヨーロッパ3カ国では、部分的障害年金給付の割合はほぼ一定である。2002年度末における部分的障害年金受給者率は、おおよそノルウェーで5人に1人(20.9%)、スウェーデンが4人に1人(24.0%)、オランダで3人に1人(31.7%)である。

先にも述べたが、この数字は、長い期間にわたって変化し続けている認定基準に従って認定された障害年金受給者についてのものである。このことは、過去10年間に広範囲に及ぶ法律改正が行われたヨーロッパ4カ国では特に問題である。現在の障害保険のすべての受給者(「ストック」)を調査する場合、法律改正の効果が現れるまでに数年は必要である。例を挙げれば、2002年においてスウェーデンでは部分的障害の占める割合が24%だったが、1995年には障害年金受給者の15%しか部分的障害があると判定されなかった(Aarts,Burkhauser,&deJong,1998)。

図4は部分的年金制度のある5カ国について、2002年におけるすべての新規障害年金受給者に対する部分的年金受給者の割合である。ヨーロッパ4カ国のすべてにおいて、2002年のすべての障害保険給付に対する部分的年金の割合は、図3で示されたすべての受給者に対する部分的年金受給数との割合よりも高い。ということはつまり、過去においてよりも現在における方が部分的年金が支給されることが多いということである。2002年におけるドイツでの部分的年金受給率は19.5%である。この数字は、2002年度末における障害保険の年金受給者との割合の3倍以上である。オランダでは、年間8万8千人を超す受給者が受給を開始しているが、部分的年金を受けている割合(47%)は、この期間の最終日に年金受給者リストに載っている受給者すべてに対する割合(先に述べた、31.7%)に比べてはるかに高い。ノルウェーでは、2002年に支給された障害年金給付のうち、32.9%ほどが部分的障害給付であったが、全体では20.9%に過ぎなかった。同じように、スウェーデンにおける部分的年金支給率は32.5%で、2002年度末における年金受給者リストに載っている受給者すべてに対する割合の24%よりもかなり高いといえる。

ここでもう一度繰り返さなければならないのは、日本の部分的年金支給の状況はヨーロッパでのものとは反対を行くということである。2002年に支給された部分的年金の割合は70%以下で、年度末に雇用者年金を受給していた者全体に対する部分的年金の受給率82.7%よりもかなり低くなっている。

ノルウェーとスウェーデンでは、過去数年間、部分的年金の利用率はほとんど一定していた。OECD報告の47頁に掲げられている表4.2によれば、1999年における新規の部分給付受給者の割合は、ノルウェーで33%、スウェーデンで34%だった。1999年における部分的年金の割合は、オランダでも33%だったが、これは2002年の割合よりもかなり低かった。

部分的障害年金の割合が増えていることについては、いくつかの理由が考えられる。一つは、自分の住んでいる地域で「自分自身が行ってきた」仕事に就くことが不可能であることを決定するという問題に関する改革が行われていることである。これについて、ドイツ、オランダ、ノルウェーでは法律が改正され、国内で可能な「どのような」仕事にでも就労しなければならなくなった。例えば、法律改正以前のドイツでは、二元的な障害年金制度が実施されていた。職業的障害プログラムは、障害以前に行っていた仕事を遂行する場合には50%以上の障害のある人に対して、全額給付の3分の2の額の部分給付を支給していた。さらに、2001年以前は、部分的障害年金受給者にとって適切な仕事はどのようなものであるかについて、はっきりとしたルールが定められていた。熟練労働者は、少なくともある程度の熟練を必要とする職でなければ就労することを断ることができたし、半熟練労働者も、訓練を要しない職のうち給与や地位が高くないものについては断ることができた(Bound & Burkhauser,1999)。それまで行ってきた仕事に就くことができるのか、それとも仕事にこだわらないで就業できるかどうかという区別は現在では行われない。

部分的年金が拡大したもう一つの理由は、精神障害や腰痛による障害が増えていることである。これらの機能障害は一過性のもので、すぐに障害程度に影響したり、一日の就労可能時間の減少などに結びついたりしない。このような場合、全額給付を与えるより部分的年金を給付する傾向があるのかもしれない。

図3:2002年の障害保険受給者のうち、部分的年金受給者の割合
図3 棒グラフ

図4:2002年の新規受給者のうち、部分的年金受給者の割合
図4 棒グラフ

部分的給付は職場参加を促進するか

部分的障害年金給付中における職場復帰規定と促進策

部分的障害年金プログラムを検証する上で鍵となる点の一つに、障害者の職業復帰をどの程度促進するかという問題がある。社会保険制度が抱える問題の一つは、障害年金を給付することが労働意欲を削ぐ効果を持ってしまうということである。給付額が減額されない所得上限はいくらか。職業に復帰した場合、給付額はどの程度減らされるべきか。給付をどの時点で終了させるべきなのか。

部分的障害給付を受けている間にどの程度働いてよいかについての規定は、それぞれの国によって異なる。各国の障害年金受給中の雇用規定について、以下で簡単に説明する。

オーストラリアの無拠出制資力審査付の障害年金は、部分的年金給付の一つの形である。ただし、障害程度により部分的給付額が決まるわけではない。この年金制度では、受給者が結婚しているかどうかや扶養家族の数に応じて、障害者も収入を得ることを認めている。2004年においては、子どものいない独身者は、受けられる障害年金給付の最大額を減額されることなく、最大120オーストラリアドルまでの収入を得ることが認められている。収入がこの額を超える場合、この独身受給者の場合給付額が40%減額される。障害給付がすべて減額されてしまう収入額は、ほぼ1,300オーストラリアドルである。

ドイツでは、最近改革が行われたが、それ以前のドイツでは、部分的年金受給者が職業復帰しようとするインセンティヴは非常に小さかった。一般的な受給者の場合、規定の収入上限以上の収入のほとんどすべてが年金から差し引かれた。すなわち、収入上限以上の収入に対する「境界税率」は非常に高かった。さらに、受給者が受給後の1年の間に仕事が見つけられない場合、部分的給付は全額給付に戻された。現在では、障害年金の全額受給者でも、「参照所得(2002年の額で345ユーロ)」の7分の1までの収入を得ることができる。また、12ヶ月のうち2カ月は、この収入を越えてもかまわない。部分的給付を受けている者については、この補助的な収入額を超す収入について、特に上限は設定されていない。

日本の障害年金制度の認定方法は、申請者の機能障害のみを考慮するのだが、障害と稼得能力は一致しない場合もある。つまり、長期にわたる障害があり、その結果として日常生活に制限がある場合でも、雇用を維持できる場合もある。被用者年金受給者の収入については、特に何の制限もない。

オランダの障害年金制度では、受給者も受給期間中の有給労働が認められている。全額給付の受給者は、次の二つの場合に有給労働に従事できる。1)収入額が障害以前の賃金の15%以下である場合、2)全額給付を受ける形式的な資格を維持したまま、受給者が非常勤の就労をする場合である。部分的年金については、異なる規則がある。雇用された場合、部分給付額と給与額が合計され、その合計額が障害を受ける以前の収入額以下である必要がある。

ノルウェーの障害年金社会保険制度では、受給者が年金受給後も就労しつづけるための奨励策がいくつか実施されている。障害年金の全額受給者は、ある「基礎年収」(2002年は6,339ドル)まで収入を得ることができ、それ以上の収入を得た場合には受給者の障害程度が再審査される。部分的年金受給者は、それぞれの稼得能力に応じた額まで収入を得ることができる。また、障害給付額と雇用による所得の合計が障害前の収入を超えることはできない。しかし、労働による収入と部分的年金給付を合計した所得が障害前収入を超えた場合、受給者の年金・給付の程度等級について、労働不能評価が20%になるように下げられる場合がある。

スウェーデンの高齢者・障害者年金制度は、パートタイム労働と退職を上手く組み合わせることができるように設計されている。しかしながら、障害年金が全額支給された場合、受給者が一般の労働をすることは認められていない。具体的には、完全不能と判断された場合、政治的活動やボランティア活動は認められているが、雇用労働時間は通常の8分の1相当までとされている。部分的給付受給者は、それぞれの不能に応じた仕事量まで就労が可能である。例えば、稼得能力減少の程度が25%の場合、有給労働による収入が障害前収入の4分の3までの場合、部分的年金受給資格は取り消されない。

職業復帰による障害年金受給の終了

ここまで述べてきた職場復帰奨励策の究極の目的は、受給者が障害年金給付の資格に当てはまらないほど十分な所得を得るようになることである。残念なことに、職業復帰について最初に指摘しなければならないのは、雇用によって給付を終了する受給者についての情報がほとんどないということである。有給の仕事への復帰は、いくつかある障害年金受給終了の理由の一つでしかない。他の可能性として、(1)高齢者年金受給の年齢に達したため、退職者年金に移行する、(2)死亡、(3)病状の好転、(4)継続的障害審査などの仕組みを通じて資格の再審査が行われた、場合が考えられる。これらの5つの原因の組み合わせにより、年間の給付終了率が全体でどれだけになるかについて確かめられるのは、ここでの対象となる8カ国のうち5カ国についてに過ぎない。この5カ国における給付終了率は、6.8%から12.4%である。

この5カ国のうち、就労による給付終了の割合を示しているのは英国のみである(6.5%)。オランダでは、WAO制度が定める15%の部分的障害基準を下回る程度の障害に病状が好転したことによって給付が終結された場合が40.1%である。しかしながら、この5カ国のいずれにおいても、障害保険の受給を終了した部分的障害受給者の割合がどれだけかについては統計がない。

OECD(2003)の報告によれば、障害年金を受給した者が労働市場に復帰することはまれである。OECD報告(2003)でデータが示されている20国のうち8カ国では、「障害給付受給者の層のうち、健康回復あるいは職場復帰により受給を終了する者の割合はせいぜい1%程度である」。さらに、「大部分の受給者が部分的給付を受けている国においては、受給終了の可能性はほとんどゼロに近い」(OECD、2003)。

パートタイム雇用と部分的障害年金

オランダの例を除いて、部分的年金を受給中に雇用されている者がどれだけいるかについての統計はほとんどない。障害給付制度が雇用を調査したり報告することはまれであり、部分的障害の場合はなおさらである。例えば、この報告のために送付した雇用と部分的障害給付受給者についての質問に対するスウェーデンの回答は「現在報告可能なデータはない」であった。ドイツでは、部分的給付受給中に労働している受給者の割合は、「その他の収入」により給付が減額されているか部分的給付の支給がなくなった者の割合によって大まかに推測できるにすぎないが、2002年において、これらの給付を受給した者のうち23%が部分給付を減額あるいは停止されている。

しかしながら、ドイツの制度を参照することにより、部分的年金給付者のうちどれだけの数の者が働いて「いないか」は推測することができる。最近の改革以前は、1年間以上雇用のない場合には部分給付から全額給付に移行された。2002年には、雇用を見つけられないことを理由に部分給付から全額給付に移行したケースは全体で12,547件であった。同年、年金保険の部分給付は34,237件であった。つまり、部分給付受給者のほぼ8人に3人(37%)が全額給付に移行したのである。

すでに述べたように、オランダでは部分的年金受給者の雇用状況についてのデータが収集されている。全体では、2001年のある時点において、オランダの障害年金受給者の4人に1人以上(26.6%)が雇用されている。この数字は、部分的年金受給者の半分以上(51.4%)を含むものである(UWV、2001)。このことは、60%以上の部分的年金受給者が雇用されているとするOECD報告(2003)の指摘と一貫性がある。また、全額受給者については、16.8%ほどが雇用されている。

他の(外部)資料により、部分的障害年金受給者の雇用状況についてさらに追加情報を得ることができる。最近のdeJongの報告(2004)によれば、オランダの部分的給付は高齢の被雇用者にとってしばしば部分的な早期退職制度として機能しているという。さらに、同報告は、部分的受給者が全額受給者に比べて経済的にはるかに恵まれた状況にあるという調査報告を引用している。高齢であることは別としても、部分的受給者は高等教育を受けた既婚者であることが多く、それゆえ、部分的年金を受給する場合に必要となる柔軟な就労機会を持ちやすい雇用状況にある。さらに、OECD報告(2003)によれば、「スウェーデンでは、障害関連の給付を受給しているものの2人に1人以上が雇用されている」。

最後に、OECD報告(2003)によれば、「障害給付の部分的給付制度がないオーストラリアでは、給付受給者のうち働いている者は9人に1人である。収入上限規定で部分的な就労所得が認められていることを考えれば、オーストラリアの低い数字は驚くべきものである」。同報告は、結論として次のように言っている。「スウェーデンを別にすれば、障害者のうち、就労と給付の両方から所得を得ている者の数と、部分的に減少した労働能力あるいは稼得能力を補填するための部分的障害給付を支給する政策との間には、測定可能な相関関係はない」。

結論

調査の対象となる8カ国のうち5カ国では、社会保険制度の一環として部分的障害年金制度を持つ。それぞれの国の制度は、認定基準、障害程度の判定、給付額、実施状況について大きく異なる。それぞれの国における部分的障害年金についての報告により、次のように結論をまとめることができる。

結論1:

部分的年金制度を持つ国は、全体の障害保険受給者率が高くなる傾向がある。仮に部分的給付制度がなくなった場合、部分的給付を受けている者のうち、ある程度は全額給付に移行するが、多くは給付自体を受けられなくなる。ノルウェーとオランダにおける部分的年金制度は稼得能力の低下を問題にするが、障害保険受給者の労働年齢人口に占める割合は両国とも10%程度である。しかしながら、日本のケースは例外で、8カ国中最も低い障害保険受給者率を示している。

結論2:

部分的年金制度を持つ国は、障害年金の全額給付についての認定基準がより厳格になる傾向がある。オランダ、スウェーデン、ノルウェーの3カ国では、いずれも全額給付を受けるためには障害程度が80%以上でなければならない。反対に、オーストラリアでは、もっと低い障害程度(ほぼ25%)で障害支援年金を受給できる。

結論3:

部分的年金制度を持つ国は、過去10年間のうちに、認定基準について思い切った改革を実行した。オランダやドイツでは「稼得の喪失」や、「それまで慣れてきた職務を遂行することが不能になること」を判定することが必要とされているが、これは実際には非常に難しい。結果として、「申請者自身の仕事」が遂行できるかという基準から、「どんな仕事であれ」仕事につく能力があるかという基準に変化しつつある。

結論4:

ほとんどすべての国において、職場復帰に伴う永続的障害年金の給付終了率は低く、1%未満である。障害保険受給者の受給を終了させる方法を見いだしたと喧伝する国はない。部分的障害年金制度の有無に関わらず、就労支援策の実際の利用率はとても低いようである。

結論5:

部分的年金は非常勤雇用を促進する。オランダでは、比較的高齢の男性は早期退職制度を利用する代わりに、それまでの職場での仕事を非常勤として続けながら部分的年金を受け取る。つまり、部分的給付制度は早期退職年金を受け取るまでの「架け橋」として利用されているのである。また、OECD報告(2003)によれば、スウェーデンの女性の部分的年金受給者のうち、半数以上が仕事に就いている。その一方で、オーストラリアでは、障害年金の全額受給者のうち雇用されているのは9人に1人に過ぎない。

ここで問われるべきもっとも重大な問題は、部分的年金制度を導入することによって、より多くの(非常勤あるいは「軽作業」の)雇用機会が与えられ、障害年金の全額支給者の数が減少するかどうかであるが、これはその国の政策や状況に左右される。ドイツの例を挙げれば、支給の1年後に部分的給付を全額給付に移行するという政策が、職業復帰の意欲を削いでいたことは明らかである。一般に、部分的障害給付と全額障害給付の両方が実施されている国においては、部分的給付受給者のほうが全額支給者より就労する可能性が高い。オランダでは、2001年において、部分的年金受給者の半数以上が就労したのに対し、全額受給者のうち働いたのは6分の1に過ぎない。就労した部分的年金受給者が仮に全額支給を受けていたとした場合に就労したかどうかは、知り得ないことである。だが、部分的支給制度がなかった場合には、そのような受給者はそもそも障害年金を受給するに至らなかったかもしれないのである。

参考文献

Aarts,L., Burkhauser, R., & de Jong, P. (1998). Convergence: A comparison of European and United States disability policy. In T. omason, J. Burton, & D. Hyatt (Eds.), New Approaches to Disability in the Workplace. Ithaca, NY: Cornell/IRRA Press.

Bound, J. & Burkhauser, R. (1999). Economic analysis of transfer programs targeted on people with disabilities.In O. Ashenfelter & D. Card, Handbook of Labor Economics, Vol.3. Philadelphia, PA: Elsevier Press.

De Jong, P. (2004). New directions in Dutch disability policy. In B. Marin, C. Prinz, & M. Queiseer (Eds.), Transforming disability welfare policies. Hampshire, UK: European Center, Ashgate.

Kohyama, C. (2004). Disability pension programs in Japan. SSA/DRI Learning from Others Conference, Washington, DC.

Organisation for Economic Co-operation and Development (OECD). (2003) Transforming Disability into Ability: Policies to Promote Work and Income Security for Disabled People. Paris: Author.