障害者支援施設名称:障害者支援施設 雪の聖母園
キャッチフレーズ:職住分離、地域生活支援、授産商品の充実に取り組む
施設概要
所在地:北海道樺戸郡月形町字当別原野215番地
運営法人の名称:社会福祉法人雪の聖母園
運営法人の種別:社会福祉法人
運営法人の他事業運営状況:当該事業所以外にも障害者福祉事業を運営
児童福祉事業を運営
施設連絡先(TEL):0126-53-2417
施設連絡先(FAX):0126-53-3989
施設連絡先(Eメール):seiboen @ msknet.ne.jp
施設及び運営法人HPのURL:http://www.msknet.ne.jp/yukinoseiboen/
事業を開始した時期(旧体系下):昭和39年9月
旧体系での施設種別:知的障害者入所更生施設
旧体系で実施していた事業:知的障害者ホームヘルプ,知的障害者デイサービス,知的障害者ショートステイ,知的障害者グループホーム
新体系へ移行した時期:平成18年10月
新体系での実施事業:生活介護,施設入所支援,自立訓練(生活訓練),就労移行支援,就労継続支援(B型),共同生活援助(グル-プホ-ム)
キーワード:地域生活への移行をサポート(地域移行重視),生活・日中活動の充実をめざす(生活重視)
施設の事業圏域
サービス提供範囲:月形町、浦臼町、岩見沢市、当別町、滝川市
三笠市、美唄市、新篠津村
新体系事業の定員・利用者数
事業名 | 定員 (20年2月) | 新体系移行直後の利用者数 (18年10月) | 現在の利用者数 (20年2月) |
---|---|---|---|
生活介護 | 43名 | - 名 | 43名 |
施設入所支援 | 60名 | - 名 | 58名 |
自立訓練(生活訓練) | 6名 | - 名 | 2名 |
就労移行支援 | 17名 | - 名 | 14名 |
就労継続支援(B型) | 33名 | - 名 | 34名 |
共同生活援助(グル-プホ-ム) | 31名 | - 名 | 31名 |
職員数
常勤職員数:23名(20年2月)
非常勤職員数:33名(20年2月)
事業所全景
グループホーム・ケアホーム「ぽてと」
納豆製造
新体系事業
新事業として実施する際に留意したこと:
利用者も施設側も混乱しないように、移行前に準備期間を設けて、利用者と保護者への説明を進めた。新体系についての説明では、アンケートや説明会を行って、利用者や保護者へ理解を求めた。
サービスで力を入れていること:
授産系のサービスも行っているが、授産系の施設に比べると重度の利用者が多いので、生産活動から軽作業、リハビリ、余暇的支援など、利用者の障害の程度にあった日中活動を展開できるようにしている。
取り組みの工夫:
職住分離を移行前(平成18年4月)から始めた。施設のすぐ傍で行っていた作業活動(就労移行、就労継続B、生活介護の軽作業)を、施設から1.2km離れた場所に、閉校した小学校を改修して就労支援センターをつくり、そこで作業するようになった。作業の内容は、①野菜生産、②納豆製造(平成19年2月より販売)、③石鹸、肥料、印刷、キャンドル、はがき等の製造。
日中サービス、居住サービスについてのスタンス・考え方:
職住分離を図ったことにより、時間を決めて送迎を行うようになり、環境の変化によるメリハリが生まれた。
グループホームは元々あったが、ケアホームを新たに3棟つくり、施設入所支援の利用者を地域に移行した。新体系への移行よりも前に、現在の施設長になった時から、地域への移行が進められていた。
地域移行においては、地域での生活を支えるための事業が重要であると考え、法人では居宅のホームヘルプやデイサービス、就労実習も展開している。
地域へ移行した後で、病気になったり、やはり地域での生活が難しいということになれば、すぐに施設に戻せるよう、施設の定員に空きを持たせて循環できるようにしている。
就労移行支援、就労継続支援についてのスタンス・考え方:
元々は知的障害者の入所更生施設だったので、生産性を重視する仕組みではなく工賃も低かったが、就労移行、就労継続Bの実施をきっかけに、生産性の高い事業として納豆の工場を整備し、販路の拡大を図った。就労継続Bの工賃は、平均で月3000円を超えるようになった。
道内の施設には、納豆を生産・販売している施設が他に2箇所あるが、近隣農家の協力を得て、原材料に地場産で無農薬の大豆を使うことで差別化を図っている。また、これまで自給自足程度の生産だった野菜についても、農業青年団体の協力をえて、販売するようになった。地域からの協力を得られたために、短期間で大幅な事業拡大が可能となった。
移行の前から、グループホームや単身で生活している障害者に職場実習をさせていたサービスを、就労移行支援として組み込んだ。移行をきっかけにジョブコーチを配置した。
投資内容と成果
投資の具体的内容:
就労支援センター、納豆製造工場(廃校の改修)
ケアホーム3棟は賃貸なので投資はしていない。
おおまかな投資額:
約1400万円
利用者の変化:
これまで、独自事業で支援していた人をサービス利用者に加えた(グループホーム・単身者に対する職場実習を就労移行として組み込んだ)ので、定員的には増えたが、大きな変化はない。
サービスの質の向上におけるポイント:
入所施設での余暇的支援体制が手薄になってしまった。ハード面の性質もあって、法律の基準の1.5倍の職員を配置しているが、法律の改正によって当直を夜勤に変えなくてはいけなくなり、昼間にあてる職員が2.5~3人少なくなってしまった。新体系になってサービス拠点が分散化し、サービスの区分が明確になったことで職員の融通が利かなくなってしまった。さらにサービス向上を図るには、ここを何とかしなければと考えている。
運営面の状況、運営の安定におけるポイント:
職員の増加と報酬の減少で運営がかなり悪化し、前年の89%の収入になった。
赤字ではあるものの、地域での生活に対する利用者の希望、保護者の不安を解消するための安全担保のためには、グループホーム・ケアホームの夜間体制はやはり厚くしておく必要があると考えている。
施設入所支援の単価が安く、土日祝日を夜間支援の単価で運営するのは非常に難しく収入の減少につながっている。
関係機関や地域等との連携
行政、医療機関など専門機関との連携状況:
協力医がいるほか、嘱託の医師に月に1回きてもらっている。
企業や学校等との連携の状況:
一般企業としては、ラーメン店、コンクリート工場、雪の聖母園給食委託業者で、就労移行支援として就労実習をさせてもらっている。
地域密着型で事業を展開しており、養護学校の実習受け入れ(昨年は4名)などを積極的に行っている。
地域の交流・連携の状況:
地域に利用者が溶け込みやすい環境をつくっている。地域行事への職員の派遣、利用者の参加、ボランティアも各種団体が定期的に入っている。交流が進む中で、施設の事業に協力してくれる人が現れるようになった。
入所施設以外の、グループホーム・ケアホームや納豆等を販売しているコミュニティショップ、小学校跡地の作業場、職員住宅等はすべて賃貸である。地域の人がオーナーとなり、建築業協会がつくってくれた建物を賃貸している。
地域の農業青年団体からは、技術支援や共同出荷、近隣農家からは、納豆の原料として無農薬の大豆を提供してもらっている。
職員にも地域の一員であることを認識してもらうために、施設職員になる条件として、月形町の町民になることが定められている。
課題等
制度が複雑で、実施までの修正が何度もあり、行政側も理解がおいついていないが、間違えると大きな問題になるので苦労した。新体系に早く移行したほど、報酬単価を高くするとしていた国の方針が全く制度に組み込まれていなかった。 就労するまでの期間には個人差があるため、就労移行支援を時限型で運営するのは実態にあっていない。これからは就労継続Bの利用者が増えていくので、生活介護とともに定員を増やしていく。現時点で利用者の少ない自立訓練と、就労移行支援は事業から外すつもりでいる。現在の就労移行支援の17名は2年たっても就労させるのは難しいので就労継続Bに変更する予定である。