中央区立知的障害者生活支援施設レインボーハウス明石

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更新日 2008-04-11 | 作成日 2008-01-31

障害者支援施設名称:中央区立知的障害者生活支援施設レインボーハウス明石

キャッチフレーズ:都心の交流拠点として「質の高い商品」づくりをめざす

施設概要

所在地:東京都中央区明石1-6
運営法人の名称:社会福祉法人東京都知的障害者育成会
運営法人の種別:社会福祉法人
運営法人の他事業運営状況:当該事業所以外にも障害者福祉事業を運営
施設連絡先(TEL):03-6226-1099
施設連絡先(FAX):03-3546-9082
施設連絡先(Eメール):rbh_akashi @ ikuseikai-tky.or.jp
施設及び運営法人HPのURL:http://www.ikuseikai-tky.or.jp/
事業を開始した時期(旧体系下):平成16年7月
旧体系での施設種別:知的障害者入所更生施設
新体系へ移行した時期:平成19年4月
新体系での実施事業:生活介護,施設入所支援,就労移行支援,就労継続支援(A型),就労継続支援(B型)

施設の事業圏域

サービス提供範囲:主に中央区
利用者の通所範囲:中央区、江東区、品川区等

新体系事業の定員・利用者数

事業名定員
(20年2月)
新体系移行直後の利用者数
(19年4月)
現在の利用者数
(20年2月)
生活介護20名- 名20名
施設入所支援30名- 名30名
就労移行支援6名- 名2名
就労継続支援(A型)10名- 名5名
就労継続支援(B型)20名- 名15名

職員数

常勤職員数:21名(20年2月)
非常勤職員数:26名(20年2月)

喫茶店
喫茶店
喫茶店
喫茶店
パン工房で焼いたパン
パン工房で焼いたパン

新体系事業

新事業として実施する際に留意したこと:

この施設は東京都中央区にあり、地下鉄2路線を利用できる便利な立地条件にある。1階は喫茶店とロビー、地域交流室と在宅介護支援センター等、2~4階は老人保健施設、5階にレインボーハウス明石、上階は都市再生機構の高級賃貸マンションという複合施設である。 施設周辺は、築地市場に近く、銀座にも15分でいける場所で、営業をするには競争の激しい場所である。喫茶店は本格的でおいしいものを提供し、安くて雰囲気がよい店でありつづけようと努めている。もともと地域交流室として始まったスペースで、オープンしてから子育て中のお母さん方と話し合いをし、安心して子どもが遊べる場所があるとうれしいという意見を聞いて、店前に子どものためのスペースを作った。毎日のように、小さい子どもを連れたお母さん方が寄ってくれている。また、2~4階の老人保健施設の方や、地域の方々も来られている。 新体系事業実施に際しては、自立支援法に対する理解を深めるための研修や話し合いをし、シミュレーションを繰り返し、利用者や親が混乱することがないように努めた。

サービスで力を入れていること:

オープン時から、日中活動の充実に力を入れ、利用者の生活の質の向上のため、生活の場と仕事の場を分けたいと願っていた。 また、清潔ですみやすく、部屋のドアやカーテンなどの色も居室ごとに変えて、「自分スタイルの新しい暮らし」ができるように心がけている。生活支援は介護支援2、施設内グループホーム2、施設内アパート1の5つのユニットに分かれ、目的に合わせて支援している。住みなれた地域で自由にのびのびと生きていくために、それぞれに合わせた支援を考えたい。

取り組みの工夫:

就労の意欲がなかなか高まらない利用者と、育成会の海外旅行に行き、「今の働き方ではとても10万円は払えないな。でも、がんばれば2年に1度くらいこんなに楽しい海外旅行にも来ることができるよ」とこんこんと話した。帰ると同時に、彼らの仕事に対する態度がガラリと変わり、意欲をもって働くようになった。それを見た職員も他の利用者もまたやる気をもって取り組むようになった。過保護にせず、少し引いて、本人の意欲を伸ばす支援をやりたいと考えている。

日中サービス、居住サービスについてのスタンス・考え方:

日中活動のプログラムの充実に取り組んでいる。現在、音楽、ダンス、プール活動、絵画、陶芸、書道、詩吟を行っているが、もっと充実させたいと考えている。

就労移行支援、就労継続支援についてのスタンス・考え方:

就労移行と就労継続A型は1階にある喫茶店とパン工房で実施している。パン工房で一番大きな力となったのは、理事の紹介で東京會舘の元シェフに指導してもらっていることである。本格的なパンとお菓子で、大変評判がよく、売り上げも今年は3000万円代後半になりそうである。最低賃金を保証し、10~14万円支払っている。パンの評判がよく、お昼過ぎには売り切れてしまうので、この3月には道をはさんだ隣のビルに新しいパン工房をオープンする。 就労継続支援B型は、清掃作業、区の防災服の洗濯、喫茶店のパン配達で月2万4~5千円の賃金である。生活介護の利用者は機織、牛乳パック再生はがき作りなどを行って月1万円程度の賃金である。

投資内容と成果

投資の具体的内容:

移行時にはロッカールームを作った程度だが、その後、20年3月オープンのパン工房に設備投資した。

おおまかな投資額:

4000万円~5000万円くらい

利用者の変化:

家族は入所施設とはその施設内で完結するものだというイメージがあり、戸惑ったようだが、何度も話し合いの機会を持った。利用者は「行って来ます」と仕事に通い、「ただいま」と帰ってくる生活を楽しんでいる。(他の施設に3名の方が通所している。)

サービスの質の向上におけるポイント:

スタッフは支援も得意だが、商品企画も得意な者が数名いて、質の高い商品づくりのため、研修に行っている。パンづくりでは製粉メーカー等の主催する研修のほか、シェフ(ケーキ)がホテルの元シェフなので、部下だった方を紹介してもらい、ホテルのシェフやお菓子チャンピオンなどにも教えてもらっている。一流のものを味わって、一流のものを作っていかないと都心のこの地では続かないと考えている。

運営面の状況、運営の安定におけるポイント:

運営面での収入は計算上は落ちているが、区が全面的に支えているので安心である。しかし、職員の夢を支える給料を出せるようになってほしい。 20年度にプレゼンがあり、それに受かると、21年度から中央区のグループホームを含めて一括運営する予定である。

関係機関や地域等との連携

行政、医療機関など専門機関との連携状況:

区の施設を運営し、施設長は区の福祉計画の委員も務めている関係上、中央区との連携は非常に深い。お互いに話し合う時間を多く持つようにしていて、区の担当は週に2~3回訪問してくれる。また、事業画をきちんと出せば、要望も聞いてくれる。財政的にも豊かな区であり、「日本で一番の施設にしよう」と夢をもって共に取り組んでいる。 ハローワークは担当者が来てくれるほか、学校や施設の連絡会議も開かれていて出席している。就労支援センターも協力してくれている。 医療機関は、すぐ近くに聖路加病院、聖路加タワーがあり、緊急時も対応してくれるので大変恵まれている。精神科、内科の診察が月に4回あり、歯科は訪問もあるが利用者が個々に通院もしている。

企業や学校等との連携の状況:

都のボランティア研修や教職員をめざす学生の実習を受け入れている。中学校や高等養護学校の見学もある。 業者を通じ学習院大学の売店にパン等の商品を納めている他、ケーキやパンを数箇所の喫茶店等に納めている。一般就労を広げるために、今後、企業との関係も作りあげていきたい。

地域の交流・連携の状況:

喫茶店を通じて、地域の方、2~4階の老人保健施設の方との交流がある。 小さいころからの交流が大切との思いから、すぐとなりの明石小学校の5年生と年間を通じて交流がある。施設内のクラブ活動として行っている書道や音楽、スポーツ活動に小学生が参加したり、小学校に行って学校活動に参加したりしている。 施設の祭りには、福島県など地方の施設からも参加し出店も出す。近くの聖路可タワーの中華料理店が出店するほか、保護者会、町会からも多数の屋台が出て、本格的でおいしいと評判がよく、地域の方やNPO法人、ボランティア団体も多数参加する。 利用者はすぐ近くの区の図書館に本やCDを借りに行くことも多い。また、地域のボランティア団体やNPO法人に会議室を開放している。

課題等

地域移行についてはグループホームとケアホームに移行したが、周辺の物件の家賃が非常に高く、手ごろな物件がなかったため、移行できていない利用者もいる。 今後、喫茶店やパン工房などで給料を10万円以上支払い、グループホームで生活していけるようにするためにも、もっと収益をあげたい。また、今後も働く場を増やすため、中華レストラン、都営地下鉄のスペースへ出店等、さまざまな企画を実現させたい。