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更新日 2008-04-11 | 作成日 2008-01-31

障害者支援施設名称:凛

キャッチフレーズ:地域での暮らし・人との繋がり重視、生活支援の要となる施設

施設概要

所在地:京都府城陽市富野東田部69-1
運営法人の名称:社会福祉法人南山城学園
運営法人の種別:社会福祉法人
運営法人の他事業運営状況:当該事業所以外にも障害者福祉事業を運営 介護保険・高齢者福祉事業を運営 医療・保健事業を運営
施設連絡先(TEL):0774-56-7888
施設連絡先(FAX):0774-56-0038
施設連絡先(Eメール):general @ minamiyamashiro.com
施設及び運営法人HPのURL:http://www.minamiyamashiro.com/
事業を開始した時期(旧体系下):昭和40年2月
旧体系での施設種別:知的障害者入所更生施設
旧体系で実施していた事業:知的障害者ショートステイ
新体系へ移行した時期:平成19年4月
新体系での実施事業:生活介護,施設入所支援,自立訓練(生活訓練)
キーワード:地域生活への移行をサポート(地域移行重視),障害者支援の地域ネットワークをつくる(ネットワーク重視)

施設の事業圏域

サービス提供範囲:城陽市、宇治市、京田辺市、久御山町、京都市、向日市、長岡京市他
利用者の通所範囲:城陽市

新体系事業の定員・利用者数

事業名 定員
(20年2月)
新体系移行直後の利用者数
(19年4月)
現在の利用者数
(20年2月)
生活介護 43名 - 名 41名
施設入所支援 40名 - 名 41名
自立訓練(生活訓練) 6名 - 名 8名

職員数

常勤職員数:11名(20年222月)
非常勤職員数:6名(20年2月)

ぷちぽんと外観
ぷちぽんと外観
外観
外観
1階ロビー
1階ロビー

新体系事業

新事業として実施する際に留意したこと:

法人として入所施設の機能分化と地域支援の拡充を推進してきた中で、障害の重い人も「地域内で社会の一員として暮らせる支援」を当施設機能の特徴とし、地域というフィールドで、施設が地域生活の要となることを目指してきた。新体系への移行にあたっても、入所利用者、在宅障害者を問わず、一人ひとりに必要な場面を用意することを重視した。制度に利用者を当てはめるのではなく、利用者側に制度を引っ張ってくるというスタンスで当たった。

サービスで力を入れていること:

居住の形態に関わらず、地域内で社会の一員として暮らすことを常に意識して支援している。30~40年の長期入所者が多いが、そのまま施設内で完結するのではなく、地域に出て、本物の社会や刺激に触れることが出来るようにしている。施設自体が住宅街の中に位置しており、自ら歩いて外に出る。入所者の半数弱は日中、駅前に設けた分場、併設の喫茶店、スタッフ同伴で企業での作業など、施設の外で活動している。また、施設から地域へ出た方の日中を支えることも、大切な役割ととらえている。

取り組みの工夫:

増員に伴い日中活動場面として駅前に分場(従たる提供場面)を設け、各場面に在宅者と入所者が交わって利用できるようにしている。 地域生活への移行のための取り組みとして旧自活訓練事業のための居住スペースを活用した訓練プログラムを実施したり、施設からケアホームへ移行した方のホームへ出向いて行う個別的な支援など、生活訓練事業のプログラムを新設した。 個別の支援プログラムは以前から取り組んでいたが、支援場面と職員を増やし、個々の支援課題に対する選択肢増と利用者の個々の状態の変化に対する臨機な変更が可能になる体制をとった。

日中サービス、居住サービスについてのスタンス・考え方:

従来から個別的支援を重視しており、新体系の考え方と合致していたため、新体系移行によって、支援スタンスでの変化はない。 日中活動での在宅者の受け入れ方は変化した。以前は、施設から地域移行した在宅者は、施設のサービスをストップして在宅者向けのメニューを提供していたが、現在は入所者・在宅者交えたメニューを提供している。 入所施設の本来の役目である24時間トータルな支援が可能な場でありたい。軽度者は地域で、重度者は施設にという一律的な区分をするのではなく、重度障害者でも人と交わっていける利用者は暮らし面での支援により、地域に出て行くサポートを行う。一方、知的理解力が高い軽度障害者でも社会性の面で訓練や行動改善が必要な人には、施設でのトータルな支援が一定期間必要である。 利用者の生活は、働くことを生活の柱としながら、生活や表現活動の支援を本人に合わせて組み合わせるというスタンスである。障害の重い軽いに関わらず、利用者にとってはどれも対等な価値がある。 地域との関係としては、福祉施設にいる人といった施設主体の認知ではなく、ひとりひとり個人として(○○さんと固有名詞で)知ってもらうことが必要。そのために、バザーや祭りなど施設内に地域の人を呼ぶといった形の交流は敢えてせず、本人自身が生活者として外に出て歩いて存在を知ってもらうことを重視してきた。また、本人・家族の了承を得て、施設便りに個人の紹介を載せて地域に回覧している。

投資内容と成果

投資の具体的内容:

日中活動の場として駅前の分場の確保。 入所施設としてはソフト面の充実で、大きな設備投資はない。 職員数は日中の定員増に伴い、3名増やした。

おおまかな投資額:

駅前の分場は保証金50万円+賃料年60万円+改修費80万円

利用者の変化:

日中活動の増員を行い、入所施設からケアホーム移行者の日中の受け入れを可能としたため、日中利用者は大きく増えた。 施設利用者は30~40年の長期入所者が多く大半が50代以上と高齢化していたが、新制度下で法人が別に作ったケアホームに6名移り、その替わりに20~30代の人が入所したため、平均年齢が下がった。

サービスの質の向上におけるポイント:

日中の支援内容の幅が広がった。入所者が地域に出て行き、新しい場面に触れる機会が増えた。 一方、財政面が厳しく、余暇や外出の取り組みについては利用者負担が増えざるを得ない。

運営面の状況、運営の安定におけるポイント:

日額計算、単価が下がったことにより、かなり減収し経営的には悪化した。日額計算のため、利用者が入院したり、家族と過ごすため帰省すると減収になり、現場での予算も減った。利用者1人が入院されて減収になっても、職員の減員はできないばかりでなく、むしろ現場では入院時の支援に普段以上の人手が要るのが実態である。職員の手当削減、業者選定の見直し、外出は近場に抑えるなど多方面でスリム化を図っている。

関係機関や地域等との連携

行政、医療機関など専門機関との連携状況:

医療機関とは、法人として長く事業を行う中でつながりが出来ており、総合病院2件と眼科・耳鼻科・皮膚科・整形外科と連携している。法人独自にも内科・精神科・歯科・外科を有する。 行政機関とは、認定調査や支給決定に際して、改めて入所利用者の実態を把握してもらう機会となった。都道府県レベルでは、法人の窓口を一本化して連携を図っている。

企業や学校等との連携の状況:

特別支援学校の進路指導担当教員との協力で、説明会を実施した。特に昨年は卒業後の選択肢が増えたので学校側からの依頼による勉強会などが多かった。

地域の交流・連携の状況:

法人全体として、法人本部が属する校区の自治会に加入し、運動会や清掃活動に参加している。 施設としては、利用者の作業班であるハウスキープ班が施設前の道路を清掃しており、通りがかりの人が声をかけてくれたり、挨拶などの交流が生まれている。 敷地の道路に面した場所に喫茶店(オープンカフェ「ぷちぽんと」)を運営している。営業時間が短く(週休2日11時~17時)、売上自体はまだまだ少ないが、地域の人達に親しんでもらっており常連客も多い。喫茶店の2階は地域交流室3部屋があり、地域の人に会議や会食、サークル活動等の場として利用されている。 ボランティアグループによる歌・楽器演奏・ダンスや、個人ボランティアによる喫茶店のフラワーアレンジメント、文化活動支援など、定期的なボランティアが月6回ほど活動されている。

課題等

職員配置は施設全体の平均区分によるために、利用者の変化に応じて職員を確保しなければならない。当施設は法人全体によるカバーでなんとか調整しているが、小規模の施設では職員の確保はさらに苦しいだろう。 障害者程度区分認定で、本人に本当に必要な支援の度合いが正しく反映されるように、新体系移行前には、かなり内容を勉強し、実態に見合った区分認定がなされるように対応した。 地域移行の推進を図ると言われているが、地域で暮らすための予算が十分でない。日中活動のメニューは増えたが、夜間や休日支援への評価が低い。そのためスタッフの多くは非正規雇用であり、福祉への思いは高くても自分の生活が安定しないために継続して働けない環境である。 認定調査には妥協せずにしっかりと利用者の状況を伝えることが大切。調査員に必要な支援をいかに伝えるかは施設側の力量にかかっている。 法人としては多くの施設があるため、多様なニーズに応じやすいが、法人内で自己完結してしまうのではなく、地域の他の施設とも連携を取り、地域ネットワークをつくっていきたい。