どんまい福祉工房
障害者支援施設名称:どんまい福祉工房
キャッチフレーズ:地域密着で就労事業を展開、一般就労・工賃のアップに取り組む
施設概要
所在地:東京都杉並区本天沼1-24-9
運営法人の名称:NPO法人 障害者就労支援センター
運営法人の種別:NPO法人
運営法人の他事業運営状況:当該事業所以外には事業を運営していない
施設連絡先(TEL):03-3396-2881
施設連絡先(FAX):03-3396-2892
施設連絡先(Eメール):donmai @ donmaikoubo.org
施設及び運営法人HPのURL:http://www.donmaikoubo.org
事業を開始した時期(旧体系下):平成18年12月
旧体系での施設種別:知的障害者小規模作業所(法定外)、精神障害者小規模作業所(法定外)
新体系へ移行した時期:平成19年4月
新体系での実施事業:就労移行支援,就労継続支援(B型)
キーワード:仲間と安心して働ける場をつくる(就労継続重視),商品開発や工賃アップで働きがいを向上(工賃・商品開発重視),障害者支援の地域ネットワークをつくる(ネットワーク重視)
施設の事業圏域
サービス提供範囲:東京都内
利用者の通所範囲:杉並区中心に都内全域
新体系事業の定員・利用者数
事業名 | 定員 (20年1月) |
新体系移行直後の利用者数 (19年4月) |
現在の利用者数 (20年1月) |
---|---|---|---|
就労移行支援 | 10名 | - 名 | 4名 |
就労継続支援(B型) | 10名 | - 名 | 4名 |
職員数
常勤職員数:5名(20年2月)
非常勤職員数:0名(20年2月)
集合写真
ケータリング販売
ルック清掃
新体系事業
新事業として実施する際に留意したこと:
「どんまい福祉工房」は、福祉関連団体勤務経験者と飲食店経営者の2名により設立されたものである。当初から「行政が提供するものではない、新しい福祉サービスの提供」と「店内に構えるのではなく、外に出て行くサービスの提供」の構想があり、両者の経験を生かすことを考え事業を立ち上げた。
サービスで力を入れていること:
就労支援サービスのうちの「ケータリング作業」について、6人乗りの車に利用者4、5名と職員1名が乗り販売を行う。週二回、決まった場所にパンやサラダを売りに行く。継続(B型)の工賃アップを念頭に置き、接客等のスキルを身につけさせるために積極的に取り組みたい。
取り組みの工夫:
商店街の理事会に参加して当施設の事業内容を理解してもらい、試行的に無料で、商店街の清掃事業を始めた。またその現場で事業に対する印象を尋ねるアンケートを行った。 またこれとは別に、早稲田の「アンテナショップ」で行っている有料実習に対する(販売作業に対してどう思うか等を尋ねる)アンケートも実施した。有料実習とは小売店のオーナーに幾らかの給料付きで実習を受け入れてもらうものである。当施設の商品を卸しており、週3回、2名が実習、販売、接客、バックヤードの仕事に就いている。オーナーの反応はよく、雇用に結びつく可能性も高いだろう。 アンケート回答者の反応はよく、商店街でも予算をつけて4月から清掃事業を有償で行うことになる予定である。
就労移行支援、就労継続支援についてのスタンス・考え方:
工賃は1万円でスタートし、能力給を加算するしくみとなっている。現在在籍する利用者中、1万5千円程度が最高額となっている。理想としては工賃3万円を目標としたい。なお、交通費は上限5千円までの支給となっている。 今後の予定として、商店街との共働プロジェクトを形として推進することを考えている。商店街中に、広域連携で地方特産品を販売したり、商店街繁忙期に利用者を派遣したり、地域の情報を発信したり、団塊世代退職者を講師に招いて講演会を開いたり、高齢者や子どもの憩いの場となるような拠点を作りたい。これは障害者雇用と商店街活性化をセットにした、障害者自身が住む地域で労働するというコミュニティビジネスの事業である。次年度3月末までにはどこか場所を決めて借り上げたい。 現状ではケータリングの事業拡大に際して人的資本、物的資本ともに十分とはいえない。まず利用者数が少なく、作業を拡大(回数、場所、時間)するとローテーションにおいて負担が生じてしまう。また冬季は寒さにより長時間労働できず、思うように作業できない。4月になれば新規利用者が増えるので、もう少し展開できるのではないか。商店街商品の代理販売、販売品目の拡充、車での移動販売といった展開を考えている。 ケータリングの販売場所を探すのは難しい。まず、道路で販売すると道交法違反になるので駐車場を使わなければならない。大学内や大学病院での販売も打診したが、他業者との公平性の観点から、受け入れてもらえなかった。また、企業でも、社内食堂の事業者への配慮から断られることもあった。
投資内容と成果
投資の具体的内容:
現在の施設の整備、新規職員の雇用 今後、東京都の工事改修費補助を受け、バリアフリー化の改修工事を行う予定。
おおまかな投資額:
施設建築費は1200~1300万円
利用者の変化:
現在利用者数は増加傾向にある。今年度の新卒は4名だが、二年生の実習を多く受け入れているので、次年度以降はある程度の利用者増が見込める。 新体系移行に伴い、①自立支援法の法内施設であるという看板ができた、②移行後は都内各市町村から利用者情報が得られるようになった、という点において利用者数を若干伸ばしやすくなった。
サービスの質の向上におけるポイント:
区の各種研修(ジョブコーチの講座等)に職員を派遣している。
運営面の状況、運営の安定におけるポイント:
移行前は自己資産とケータリングの売り上げだけでやりくりしていたので、移行後は公的資金が入ってくるようになってありがたい。今後経営はより安定するだろう。 ただし日々定員の部分では厳しい現状がある。訓練等給付だけではなく、企業との連携、行政事業の受託等の収入源が他に必要になってくるだろう。 精神障害を持つ利用者の受け入れについては、知的障害者と同様には捉えていない。精神障害者は基本的に服薬しているので、朝起床できずに施設を休むケースが多く、また生活リズムも整わない人が多い。日額になって経営的には大変な面もあるが、当施設ではまず利用者に自分のペースにあわせて通所するように言っている。
関係機関や地域等との連携
行政、医療機関など専門機関との連携状況:
区の生活支援センターと常に連携を取っている。 全体的な工賃アップを達成するために、杉並区が5年ほど前に「すぎなみ仕事ねっと」という事業を立ち上げた。これは、ある事業所が比較的高額の仕事を受注したとするなら、それを「すぎなみ仕事ねっと」に報告し、各事業所に配分して全体の工賃を上げるというものである。 近隣のグループホームの情報を得て利用者本人と親に提供している。
企業や学校等との連携の状況:
商店街との共働において、駒場学園高校の学生がボランティアで参加している。 企業との連携においては営業が重要である。一般に施設は営業にコストをかけるのが難しいと思うが、当施設は開設当初から自助努力として営業に力を入れる体制を作ってきた。
地域の交流・連携の状況:
厚生労働省の「商店街を中心とした、障害者就労の地域浸透を実践的に推進していく強化プロジェクト」において、地域商店街と連携している。