大牟田恵愛園・たんぽぽ
障害者支援施設名称:大牟田恵愛園・たんぽぽ
キャッチフレーズ:3障害を受け入れ、障害者個々の状況に即した就労サポート
施設概要
所在地:福岡県大牟田市今山4368番地の3
旧体系での名称(変更した場合):大牟田恵愛園
運営法人の名称:社会福祉法人キリスト者奉仕会
運営法人の種別:社会福祉法人
運営法人の他事業運営状況:当該事業所以外にも障害者福祉事業を運営 介護保険・高齢者福祉事業を運営
施設連絡先(TEL):0944-51-8750
施設連絡先(FAX):0944-51-8749
施設連絡先(Eメール):keiaien @ lily.ocn.ne.jp
事業を開始した時期(旧体系下):昭和58年4月
旧体系での施設種別:身体障害者入所授産施設
新体系へ移行した時期:平成19年1月
新体系での実施事業:生活介護,施設入所支援,自立訓練(機能訓練),就労移行支援,就労継続支援(A型),就労継続支援(B型)
キーワード:個々に応じたきめ細かいサービスを提供(個別支援重視),一般企業等への就労をサポート(就労移行重視),障害者支援の地域ネットワークをつくる(ネットワーク重視)
施設の事業圏域
サービス提供範囲:福岡県、熊本県
利用者の通所範囲:大牟田市、みやま市、荒尾市、南関町の一部
新体系事業の定員・利用者数
事業名 | 定員 (20年2月) |
新体系移行直後の利用者数 (19年1月) |
現在の利用者数 (20年2月) |
---|---|---|---|
生活介護 | 50名 | 44名 | 53名 |
施設入所支援 | 50名 | 48名 | 54名 |
自立訓練(機能訓練) | 6名 | 7名 | 7名 |
就労移行支援 | 18名 | 14名 | 20名 |
就労継続支援(A型) | 10名 | 8名 | 11名 |
就労継続支援(B型) | 20名 | 17名 | 24名 |
職員数
常勤職員数:29名(20年2月)
非常勤職員数:24名(20年2月)
新体系事業
新事業として実施する際に留意したこと:
山の上の方に施設があり、地域から隔絶したような印象があったので、地域に近いところへ出るために、また市から地域交流施設(高齢者・障害者をはじめとした地域住民の交流の場)をして欲しいという依頼もあって新規事業の立ち上げを決意した。 入所施設であったため、利用者の自立希望を実現させたいという希望もあった。地域の中に住まいの場(福祉ホーム)や夜勤体制を設けて重度障害者への支援が出来るよう生活介護事業をしたかった。 移行担当の職員を決め、ネットワークづくりや専門性確保について検討した。恵愛園の利用者の中で就労希望者をモデルとして取り組んでみた。生活支援委員会、一般就労移行委員会などを職員の中に立ち上げて検討を重ねた。 外部の関係機関にも、移行する旨のアナウンスを移行1年前から伝えるようにした。 障害程度区分に基づく事業収支シミュレーションを何度も行った。また、利用者家族への説明は数回実施し、利用者と家族の意向を聞きながら事業の枠組を固めていった。
サービスで力を入れていること:
将来的に清掃関係やパソコン事務、ヘルパー資格取得、ホームページ作成、調理補助や食器洗浄などの技術を身につけられるよう、体制を整えつつある。恵愛園という入所施設があるので清掃など研修の場として活用できる。またヘルパーステーションをすでに有していて介護保険事業所の認定も受けているので、ヘルパー認定の資格を事業所として将来的に取って、利用者に提供したい。
取り組みの工夫:
旧体系では身体障害のみだったが、移行で3障害を対象とするようにしたので、職員の専門性の向上、レベルアップに取り組んだ。これまでも重複障害を受け入れており、まったく初めてというわけではないが、新規職員も増えたため、職員の育成には留意した。 精神障害も受け入れており、人間関係をうまくつくっていくことが大変なこともある。できるだけ良好な関係づくりができるように取り組みをしている。 就労移行支援については、職員にもその分野での専門性が求められる。就労に至るまでの事業の組み立て方、ネットワークの作り方などのマニュアルがあると良いのではないかと思う。 先行して就労移行に取り組まれている施設に聞きに行ったり、専門性を高めるために障害区分ごとに専門施設の職員に講師に来てもらったり、3障害毎に支援センターが市内にあるので、そこに話を聞きに行ったりして、新体系サービスを提供するための体制づくりを進めた。
日中サービス、居住サービスについてのスタンス・考え方:
2004年から、「機能分化」という考え方を取り入れた。もともと旧体系のなかで、利用者の状態・目的がそれぞれ異なるのに、同じような支援をするのは中途半端であると感じていたため、施設の中で目的別の考え方を取り入れていた。それが比較的スムーズに移行できた要因だと思う。
就労移行支援、就労継続支援についてのスタンス・考え方:
就労支援という目的が明確になり、本人への支援内容の充実や関係機関とのネットワークづくりなどが進みやすくなった。本人のサービスニーズも明確になった。目的にあわせて本人が少しずつモチベーションを高めて行けるようにしている。 目標を明確に持つ必要があるので、利用者の就労が決まったときの職員の喜びはこれまで以上に大きく、達成感がある。
投資内容と成果
投資の具体的内容:
新規事業を立ち上げるため施設を新しく建設した。
運営面の状況、運営の安定におけるポイント:
事業収入は支援費制度導入から毎年減少し、移行当時、全体で2千万ほど減少していた。そうした状況を甘んじて受け入れるのではなく、積極的に対策を取りたいという考えもあって移行を決意したが、事業シミュレーションはかなり念入りに行ったので、概ね計画通りに推移している。利用者への賃金はA型7万、B型3万円弱を固定経費とし、残業の場合はプラスで支払っているが、まだまだ収支状況は厳しい。弁当事業が収入の柱である。
関係機関や地域等との連携
行政、医療機関など専門機関との連携状況:
大牟田市には、元々障害関係の施設や団体が集まって障害者協議会を設置しており、自施設も参加している。そこは就労移行に力を入れており、市との情報連携も密なるので、就職先などの紹介ルートの多様化が期待できる。協議会自身は未だ就労移行の十分な仕組みはできていないので、早期に仕組みを構築することが課題である。
地域の交流・連携の状況:
大牟田市では地域交流施設を小学校区毎に設置する方針があり、それを受けている。レストランを設置し、施設内の会議室などを開放している(老人会の会合、サークル活動、健康体操、パソコン教室など)、バスハイキングを一ヶ月に1回企画しており、地域から親しく接してもらっている。地域の情報が早くはいるし、レストランや弁当利用が進むので良い。地域のよりどころになれると良い。パソコン教室は市のITによる雇用促進事業の一環で、別事業者が提供しており、自施設は場所を提供している(賃料収入あり)。地域の高齢者や自施設の利用者も受講出来るので、メリットが大きい。
課題等
自立訓練事業が、実質リハビリ的に扱われているように感じる。また1年半で出ないといけないなど基準が厳しく、現実的ではない。将来的に事業として辞めたいと考えている。利用者からも希望がない。 就労支援で2年間という枠組があるが、人によって差が大きい。枠をはめるのはどうかと思う。 事業規模が拡大したことで、これまで以上に多忙となり、また職員の多層化があるので、職員間のコミュニケーションを取ることが難しくなった。質の確保などからも課題である。 職員数は3障害への対応や新規事業の立ち上げ、就労支援の内容が細かくなることもありパート職員を含めてかなり増員した。移行前は全員正規職員で運営してきたので、パートと正規雇用職員との間の意識の差などが生じて課題と考えている。 これから社会福祉法人以外の主体も参画してくるかもしれないが、社会福祉法人としての元々の理念を大事にし、原点に返る視点を忘れないことが大切。事業のための事業ではなく、利用者のための事業であること、利用者のニーズを大切にすることを忘れてはいけない。パートなど職員が多様化すると、人間関係が複雑になるので、同じ方向を目指して活動するための共通言語は最終的に“理念”しかない。理念を常日頃伝えていくことが重要と考えている。