生活介護事業所ライフサポートハル B型事業所ワークスペースKAN 移行事業所ジョブサポートそら ケアホーム野いちご・はなはな・きらきら
障害者支援施設名称:生活介護事業所ライフサポートハル B型事業所ワークスペースKAN 移行事業所ジョブサポートそら ケアホーム野いちご・はなはな・きらきら
キャッチフレーズ:多機能化で職員体制を強化、障害者のニーズに応じたサービス
施設概要
所在地:佐賀県佐賀市神野東4-10-36
旧体系での名称(変更した場合):福祉作業所ハル福祉作業所そら
運営法人の名称:NPO法人ライフサポートハル
運営法人の種別:NPO法人
運営法人の他事業運営状況:当該事業所のみ
施設連絡先(TEL):0952-34-1024
施設連絡先(FAX):0952-34-1024
施設連絡先(Eメール):life-support-haru @ ec2.technowave.ne.jp
事業を開始した時期(旧体系下):平成14年4月
旧体系での施設種別:知的障害者小規模作業所(法定外)
新体系へ移行した時期:平成19年4月
新体系での実施事業:生活介護,共同生活介護(ケアホ-ム),就労移行支援,就労継続支援(B型)
キーワード:生活・日中活動の充実をめざす(生活重視),個々に応じたきめ細かいサービスを提供(個別支援重視),障害者支援の地域ネットワークをつくる(ネットワーク重視)
施設の事業圏域
サービス提供範囲:佐賀市、小城市、神崎市
利用者の通所範囲:佐賀市、小城市
新体系事業の定員・利用者数
事業名 | 定員 (20年2月) |
新体系移行直後の利用者数 (19年4月) |
現在の利用者数 (20年2月) |
---|---|---|---|
生活介護 | 6名 | 6名 | 7名 |
共同生活介護(ケアホ-ム) | 16名 | 15名 | 16名 |
就労移行支援 | 6名 | 7名 | 6名 |
就労継続支援(B型) | 10名 | 6名 | 7名 |
職員数
常勤職員数:10名(20年2月)
非常勤職員数:14名(20年2月)
ハルみんなの写真
新体系事業
新事業として実施する際に留意したこと:
小規模作業所でスタートしたが、利用者を地域の中で一生支えていく仕組みをつくりたいという理念があり、多機能をやりたいという思いが強かった。佐賀では、障害者が日中働く場所やケアホーム・ヘルプの事業所などが非常に少なかったので、地域の資源づくりもやりたかった。 小規模作業所の頃は、職員を増やすことも出来ず、新しい展開をする余力もなく日々の活動に追われる状況だった。新制度で就労移行支援や生活介護といったカテゴリーがこれまでやってきたことと適合したので、そのまま作業所を移行させた。
サービスで力を入れていること:
生活介護・就労や軽度・重度と、どちらかに力を入れるというのではなく、多機能化をしていろいろな種類のサービスを作り、個々の特性に合わせたサービスを提供し、どんな人でも利用できるように準備した。 就労支援では施設外就労に力を入れている。木材のリサイクル工場で、訓練も兼ねて働いている。リサイクル作業で発生する木材の粉塵などの清掃や、リサイクル原料に混ざっている釘など異物の除去などの仕事をしており、安定的な工賃にもつながっている。 また、作業所開設当初から、たこ焼き店を行っている。たこ焼きは対面販売できるので、実際に利用者が焼いている姿を見てもらえる。事業所前に店舗を構えているが、現在のところイベントでの出店が主体で、事業所の収入源の1つにもなっている。
取り組みの工夫:
ケアホームでは、他事業所に通所している利用者も受け入れている。当事業所の利用者だけでなく、いろいろな人が利用できるホームにしたいということで始めた。そのことによって地域の中で他事業所との連携ができてきた。それまでは個々の事業所内で完結してしまっていたが、利用者の状況報告のをやりとりをする中で、つながりができ、良かった。 他事業所との連携については、佐賀市障がい者ふくしネット、佐賀市手をつなぐ育成会、チャレンジドフォーラムinSAGAなどがあり、共同して販路の開拓や受注を行ったり、フォーラムを開催したりしている。
日中サービス、居住サービスについてのスタンス・考え方:
新制度移行で職員が増えたことにより、利用者個々の特性に応じた支援が出来るようになった。また、3~4人の小人数単位での活動が可能になった。
就労移行支援、就労継続支援についてのスタンス・考え方:
就労移行支援は、新しく雇用した就労支援員の力が大きく、成果を上げている。その一方、事業所としては利用者が就労で出た分の補充が難しい。地域で人が循環する仕組みが出来ていない(特に就労移行支援は始まったばかりで、認知度や利用度もない)ので、補充が難しい。就労継続支援→就労移行→就労というステップがモデルになっているのだろうが、実際はどの事業所も就労継続支援B型の人を離したがらない。頑張って就職させると、その分空きが出てしまい、報酬が入らず経営的に苦しくなる。 就労継続の仕組みとして、少人数ユニットでの仕事を目指していきたい。3~4人で1ユニットとなって1つの仕事を行う。大集団で活動すると、一人一人の個性が埋もれてしまい、他の人には障害者の集団とだけ映ってしまいがちになる。仕事に限らず、余暇活動にしても3~4人の少人数で活動するのが、社会の中では自然な形で良いと考えている。
投資内容と成果
投資の具体的内容:
NPO法人はWAMからの借り入れが出来ないため、保護者から資金を借り入れ、規定の専門職(就労支援員など)の雇用のための運転資金などに当てた。
おおまかな投資額:
ケアホーム開設に当たって、修繕・改築費で1棟あたり70~80万円。プラス敷金・礼金が2棟で70万円。後に助成金や補助金が出たが、最初に資金を準備するのが大変だった。
専門職種の雇用人数・雇用の理由:
看護師1名、就労支援員1名
利用者の変化:
日中系では2名ほど増えただけでそれほど変化はないが、ケアホームの新設により、ホーム利用者が10名程増えた。
サービスの質の向上におけるポイント:
職員を増やすことが出来たので、個々に厚い支援が出来るようになった。就労支援員を入れたことにより、2名を就職に結びつけるといった、大きな効果を上げた。
運営面の状況、運営の安定におけるポイント:
制度移行に伴い、経営はかなり安定した。佐賀では、作業所への補助は1ヶ所あたり500万円(2ヶ所1000万円)で、その中から家賃を支払い、職員の給料を出すという状態であり、将来の見通しが立たなかった。制度移行で、生活介護、B型、就労移行の収入が見込みで3000万円強になった。これによって、職員を増やすことができ、給与のアップ、退職金共済への加入など身分保障制度も整えることが出来た。
関係機関や地域等との連携
行政、医療機関など専門機関との連携状況:
市とは、事業所単体・団体としても、密接な連携が取れている。 医療機関との連携は、各利用者かかりつけ医療機関と必要に応じて連絡を取り合っている。また、隣に提携医療機関の診療所があるので、健康診断や体調が悪くなった時に対応してもらっている。
企業や学校等との連携の状況:
企業との提携では軽度者の施設外就労先として木材リサイクル工場がある。就労移行支援では職業センターでジョブコーチをしていた人材を就労支援員として雇用し、その人の力で成果を上げている。
地域の交流・連携の状況:
事業所の立地は、駅から徒歩圏内の住宅地にあるので、通所や毎朝のウォーキング、外での活動の際に、地域の人には自然な形で覚えてもらっている。行方不明になった時など地域の人が情報提供してくれたこともあり、助けられた。 しかし、現在のところ、自治会活動や小学校との交流を含め地域の人と一緒になって活動することは、ほとんどない。地域の人との交流は今後の課題である。
課題等
①運転資金の確保②職員の意識改革・新採用職員の意識の向上③ホームの報酬単価の低さ、その中でのスタッフのやりくり、バックアップ体制が課題である。 ②以前の小規模作業所時代は少人数のスタッフでやっていたので、組織という感覚があまりなかった。現在は定期的にミーティングを行ったり、報告書づくりや報告・連絡・相談の徹底などにより、組織で動いているという意識づくりをしている。また、小規模作業所の時は、日々の活動に追われる状況でもあり、個々のスキルがそれほど強く求められていなかったが、組織が大きくなると、個々の職員の意識が低いと事業所全体のレベルが下がり利用者に悪影響が出るので、意識アップ・スキルアップを会議・研修の場で図っている。職員の数が増えたことにより、交替で外部研修に行ける体制になったことは良かった。外から知識を得ると職員の意識が変ってくると実感している。 ③ケアホームの単価が低すぎて、限られたスタッフしか置けない。正職員1名を置くだけで事業としては赤字になる。さらに、ホームのバックアップ職員は、利用者の生活全体を支援しているという責任感がかかる上に、勤務が変則的であるので、非常にストレスが高い大変な仕事である。にもかかわらず、日中系事業と比較して単価が低いのは疑問であり、何とかならないかと思う。 就労移行の仕組みは、多くの事業者でB型から就労移行に引き継ぐという考え方が出来ていないので、この部分における厚労省のテコ入れが必要である。 規模のある事業所と同じ土俵に上がるには、今しかチャンスはない。小規模作業所は早期に移行すべきであろう。地方では、もともと小規模作業所への補助金が少ないので、利用者のことを考えると、規模を大きくして安定化するよう早く移行した方が良いと思われる。