研究者 | |
川口有美子 | さくら会理事/(有)ケアサポートモモ代表取締役/日本ALS協会理事 |
伊藤佳世子 | (株)りべるたす代表取締役/立命館大学大学院博士課程 |
佐藤 浩子 | 中野区区議会議員/立命館大学大学院博士課程 |
西田 美紀 | 立命館大学大学院博士課程 |
長谷川 唯 | 立命館大学大学院博士課程 |
堀田義太郎 | 日本学術振興会特別研究員/立命館大学大学院 |
山本 晋輔 | 立命館大学大学院博士課程 |
研究協力者 | |
岡本 晃明 | 京都新聞社 |
小長谷百絵 | さくら会理事/東京女子医大准教授 |
塩田 祥子 | さくら会理事/(有)ケアサポートモモ取締役 |
田中 大輔 | 中野区区長 |
立岩 真也 | 立命館大学大学院先端総合学術研究科教授 |
中村記久子 | さくら会理事 |
廣川美也子 | 東京総合保健福祉センター「江古田の森」障害者支援施設長 |
橋本 真 | 京都市保健福祉局保健福祉部障害保健福祉課在宅福祉第一担当 |
橋本 操 | さくら会理事長/在宅介護支援さくら会代表取締役/日本ALS協会会長 |
中野区、京都市、盛岡市、福岡市、千葉市 |
事務局 | |
小河原 恵 | さくら会 |
塩田 勝久 | さくら会 |
研究班編成 | |
総括班: | 川口 橋本(操)小長谷 塩田(祥)中村 小河原 塩田(勝)伊藤 |
中野区調査班: | 廣川 佐藤 |
京都市調査班: | 西田 堀田 長谷川 山本 立岩 岡本 |
在宅療養中または病院から在宅療養へ移行予定のALS療養患者の在宅を可能とする重度包括的支援について、利用可能なプランを提示し、実施可能性や条件(可能な連携・必要コスト・スタッフのスキルなど)を調査研究することにより、重度障害者等包括支援の在り方を提言する。
1、アクションリサーチ
・独居ALS療養者のケアニーズの把握調査
・独居ALS療養者の在宅移行に関する相談支援にかかる時間とコストの調査
・NPPV(鼻マスク)の療養者のケアニーズと相談支援の内容の調査
2、実地調査
・盛岡市、中野区、京都市、福岡市、4市区町村の比較調査(財源、給付状況、医療的ケアの実施状況、地域資源の状況など)
・千葉市で在宅独居を開始する重度障害者のニーズ調査
3、調査の分担
1)総括班
プロジェクトの目的である在宅療養中または病院から在宅療養へ移行予定中のALS療養患者の在宅を可能とする重度障害者等包括支援について、利用可能なプランを提示し、京都市・千葉市などで実際に支援しながら、その実施可能性や条件(可能な連携、必要なコスト、スタッフのスキルなど)を調査研究した。
2)中野区調査班
重度包括支援サービスにおける複数サービスの利用について、施設と在宅それぞれの制度の連携に関する調査を目的とする。
地域の施設と在宅サービスの連携の可能性をさぐり、重度障害者等包括支援の利用可条件の調査、施設スタッフの研修、初期段階のALS療養者のピアサポートのイベントをおこない、聞き取り調査を実施した。中野区、京都市、盛岡市の重度訪問介護の給付およびサービス実施状況、施設利用状況を比較した。
3)京都市調査班
NPPVで一人ぐらしの者の在宅移行支援に関する実態調査を実施した。
実際の独居ALS患者の在宅移行に参与しながら、ケアプランにない臨時の対応、申請手続きや引っ越しの代行、有償ボランティアを重度訪問介護で利用する必要性の確認等、ALSの困難ケースの相談支援の在り方について調査した。
1、 | 独居ALS患者の相談支援の難しさが浮き彫りになった。(パワーポイントと報告書) |
2、 | 重度包括支援の基盤となる重度訪問介護の利用状況の地域間格差が浮き彫りになった。(パワーポイントと報告書) |
3、 | 重度包括支援対象のALS療養者の相談支援において、人工呼吸療法や意思伝達装置に関する予備知識の必要性が明らかになった。(パワーポイントと報告書) |
4、 | ALSでは、医療保険、介護保険、自立支援法など複数の制度を利用するため、相談支援に関わる職務も難病医療専門員やケアマネージャーなど複数になり、これらの職種の連携がうまくいかないと、支援も円滑にいかないことがわかった。 |
5、 | 重度包括支援サービスに際しては、NPPV(鼻マスク式の非侵襲的人工呼吸)からTPPV(気管切開による長期人工呼吸)への支援プロトコルが必要である。特にNPPVの患者に対する支援は現行のままでは医療面での安定性を欠き、難しい状況である。(パワーポイント) |
6、 | 収益面、運用面で重度訪問のほうが重度包括支援よりも融通が利き、経営も良好になるため、重度包括支援サービスを提供する事業所の増加は当面見込めそうもない。 |
1、 | NPPVからの重度訪問介護(連続4時間以上の滞在)の利用と15%加算を提案する。コミュニケーション支援の難しさはNPPVもTPPVも変わらないことから、実施研修にかかる時間はほぼ同程度である。 |
2、 | 重度訪問介護の単価を上げ、各種加算により事業所とヘルパーを支援する。 |
3、 | 重度包括支援における重度訪問介護の単価を4時間800単位にあげる。 |
4、 | 重度包括支援により、施設内での付添いは、日ごろのケアに慣れた家族以外の人(有償ボランティア)が実施できるようにしたい。モデルプランを提案したい。 |
5、 | 同居家族の負担を考慮し、発症初期段階からの十分な給付について提案したい。最低1日18時間以上の給付は家族介護者の最低限の生活時間のために必要とされる目安である。国庫負担基準で月額およそ80万円。ただし、重度包括支援給付にも上限を設けてはいけないこと、独居者においては1日24時間の給付を行うことを通知などに明文化したい。 |
6、 | 重度包括支援において、有償ボランティアを利用する際には、本人と家族に管理、雇用、評価の義務があると考えるが、契約の在り方については検討を要する。 |
7、 | 医療・福祉との連携において、ヘルパーや有償ボランティア(パーソナルアシスタント)に対する研修・評価方法について提案する。(別冊ケアワークブック、パンフレット) |
8、 | 各制度における相談支援の連携と分担について、簡略な図式にして普及することを提案する。(パンフレット) |
9、 | 有償ボランティアから重度訪問介護従事者への資格取得を奨励する施策により、介護従事者増員の裾野を広げることを提案する。(パンフレット) |
10、 | 重度訪問介護等のケアプランを立てる相談支援専門員の資格要件の緩和を提案する。 |
11、 | ALS等を担当する相談支援専門員は、多数のケースは担当できなくなるため、相談支援専門員の所属する介護派遣事業所が、従来どおりケアプラン作成を行うのが妥当である。 |
12、 | 療養者のセルフマネジメント能力の開発のためにも、ピアサポートを相談支援業務の中に位置づけることを提案する。(パンフレット) |
13、 | 訪問看護ステーションと居宅介護支援事業所(ケアマネージャー)に対し、自立支援法を用いた重度障害者に対する支援の在り方に関する研修を義務付ける。 |
1、 | 相談支援の仕組みには工夫を要する。現在のままでは、相談支援専門員の職務内容が明確ではなく負担が大きすぎる。また制度ごとに配置されたソーシャルワーカー(難病医療相談員、ケアマネージャー、MSW,相談支援専門員、当事者団体の相談員など)の連携と分担が明確でないため、これらの人々の連携は、今後各制度を使って包括的なサービスを円滑に行うための鍵になるはずである。特に医療系と福祉系のソーシャルワークの連携不足が現実問題としてある。 |
2、 | NPPVからTPPVへの移行の際の病院と診療所、看護と介護の連携、研修と評価のあり方に課題がある。 |
3、 | 全国でALS療養者も重度訪問介護を使えるようにするためには、吸引等を実施する重度訪問介護ヘルパーの増員と介護保険のケアマネージャーに対する研修が喫緊の課題である。 |
4、 | 訪問看護職によるヘルパーの実地研修を加算等で評価する。 |
成果物: | 重度訪問介護と重度包括支援のパンフレット(関係各所に配布) |
重度訪問介護従事者研修用「ケアワークブック」 | |
(有)ケアサポートモモ試作品 |