身体・知的障害者が地域移行を行うにあって、地域移行における主な課題を抽出する目的で、地域移行プロセスに沿って調査結果と整理した。
プロセス | 項目 | 調査結果等 |
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施設を取巻 く環境 |
都道府県の 障害福祉計画 |
■事業所における指針の策定 事業所における地域生活移行に関する指針は約6 割が「指針は無い」との状況であった。 |
教育・研修 | ■事業所内職員の教育・研修 地域生活移行に関する研修の有無においては、外部の研修・セミナー・講習会・研究会への参加が最も多く、全体の約7 割を占めた。 |
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■職員の理解 全体としては50.0%の施設で「あると思う」又は「ほぼあると思う」と回答された。また障害種別ごとにみると、身体障害より知的障害の理解が進んでいた。 |
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施設における対象者の選定 | 利用者 | ■意識 地域生活移行の決定は入所者本人の同意のもとに行っている場合が約7 割、また、家族の同意のもとに行っている場合も約7割であった。 |
■障害種別 新体系(精神障害あり)では30~40 歳代や50 歳代以上の平均退所者数が3 人近くに達する。身体障害では年代が高くなるほど平均退所者数が多くなり、20 歳代以下では1 人いるかどうかだが、50 歳代以上では2 人程度となっている。一方知的障害では、年代が若いほど平均退所者数が多くなっている。 |
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■入所期間、年齢 平成19 年度、平成20 年4 月から12 月のいずれの期間でも、入所期間が3 年未満の平均退所者数が、入所期間3 年から10 年未満、10 年以上に比べて少なかった。また、20 歳代、30 から40 歳代、50 歳代以上に年齢階級が高くなるに従い、平均退所者数は増えた。 |
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サービス提供者 | 新体系(精神障害あり)では51%、知的障害では55%が「積極的」な取組み姿勢となっているが、身体障害では「どちらともいえない」が約5 割を占める。「消極的」な回答も16%とやや高い。とりわけ、同一法人内で訪問系サービスを実施している施設では「積極的に取り組んでいる」が35%を占め、「どちらかといえば積極的」(28%)も合わせると、63%が積極的に取り組んでいる。 | |
住居等への 入居 |
住居等種類 | 今後の地域生活移行支援における最も大きな課題は「住まいの確保」89.1%であった。 移行先として最も多い施設は①他の社会福祉施設であり、平均退所者数が1.23 人であった。次に、②医療機関への入院が1.17、③死亡が1.17、④一般住宅(家族と同居)が1.10 人、⑤ケアホームの平均退所者数が1.00 人、⑥一般住宅単身が0.41 人、⑦グループホームが0.37 人、および⑧福祉ホームが0.12 人であった。 |
入居後 | 福祉サービス | 身の回り・日常生活全般の支援を73.9%の施設が課題と感じていた。 |
社会資源 | 就労の場の保障を課題としている施設は82.7%であった。 | |
社会生活力 | 健康管理・医療・服薬等については、全体として82.7%が課題と意識していた。また、金銭管理については、74.7%が課題と感じていた。なかでも、知的障害では78.1%が課題と感じていた。 | |
支援体制 | 地域生活を支える関係機関と調査先施設の関係が課題としている施設は74.1%であった。 | |
委託相談支援事業者 | 地域生活を支える相談支援事業者の育成・質の向上を課題としている施設は全体の73.7%であった。 | |
地域自立支援協議会 | 所在市町村とは「地域自立支援協議会の委員として参画」が4 割強で最も高い。一方で「特に取り組みはない」も4 割と、関わり方は施設による差が大きかった。 |
関係者 | 項目 | 調査結果等 |
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本人 | 平均年齢 | 回答のあった施設のうち、平均年齢別では50 歳から54 歳が最も多く3 割強を占めた。 身体障害では「50~54 歳」「55~59 歳」の占める割合がそれぞれ3割以上と目立つ。知的障害では50 歳代は少なめで、「40~44 歳」が最も高くなっている。 |
平均入所期間 | 全体の約半数が10 年以上20 年未満であった。身体障害では「5 年以上10 年未満」(30%)が最多。知的障害では「15 年以上20 年未満」や「10 年以上15 年未満」がともに3 割弱で、身体障害に比べて入所期間が長かった。 | |
平均障害程度区分 | 新体系(精神障害あり)の施設(n=105)の平均障害程度区分をみると、25.7%の施設が障害程度区分5.5 以上であった。 | |
家族 | 本人の平均年齢が50 歳から54 歳が最も多いことから、これらの本人の親の世代はさらに高齢であることが推察される。 | |
施設 | 一人部屋 | 身体障害では全て一人部屋である施設が19.0%を占めた。一方で、一人部屋なしは37.9%であり、知的障害に比べて一人部屋なしの割合が大きかった。 |
併設型 | 併設型の施設では70.9%が短期入所を実施していた。空床型では20.6%の施設が短期入所を実施していた。 | |
委託相談支援事業者 | 委託相談支援事業は約8 割の施設が実施していた。 | |
障害福祉サービス事業者 | グループホーム・ケアホーム | 一施設あたりのグループホーム・ケアホームの数は平均7.3 か所、合計定員の平均は約38 人であった。 |
福祉ホーム | 一施設あたりの福祉ホームの数は平均1.3 か所、合計定員の平均は約23 人であった。 福祉ホームでの障害種別は身体障害が46.2%、知的障害が20.5%であった。 |
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医療機関 | 他の社会福祉法人に次いで多い移行先である。 |