第1章 研究の概要

1 研究の背景

 本県では、平成18 年度障害福祉計画作成に際し、県内の全ての入所施設・精神科病院(以下「施設等」)の協力を得て、地域移行希望に係るアンケート調査を実施した。
 その結果、1,069 人が平成23 年度末までに地域での生活を希望していることが明らかになり、図1 及び図2 のとおり重層的な取り組みを進めてきた。
 その取り組みを推進するために、平成19 年11 月に県自立支援協議会の下部組織に地域移行部会(以下「部会」)を設置し、施設等からの地域生活への移行のあり方について協議・検討をしてきた。
 併せて、関係者や地域住民の理解を得るために、各圏域に出向き「障害者の地域生活移行」に係る説明会等を開催した。
 しかしながら、部会や説明会等において課題として出された事項として、地域移行を推進するためのツールとなる「個別支援計画」に基づく支援が不充分であることやその策定手法に係る研修の充実強化が指摘されてきた。
 その課題を受けて、平成19 年12 月に部会の下部組織として、施設等の相談支援専門員等が中心となり「個別支援計画作成ワーキンググループ」を設置し、学識経験者からの指導を受け、個別支援計画書の岩手県標準例「私の希望するくらし」(以下「計画書」)を策定したが、活用方法等の検証については、今後の課題となっている現状である。 そのことから、今回、本事業においては、障害者の地域生活移行の推進に資することを目的に、①個別支援計画書の効果測定および妥当性、②個別支援計画書策定手法に関する研修、③地域移行推進のための啓発活動に係る3点について、検証・評価を行うものとする。


2 研究の目的

 今回、県における障害者の地域移行の推進に資することを目的に、計画書の活用に際し、その効果測定及び妥当性について、①地域移行推進員(以下「推進員」とする)を対象としたフォーカスグループインタビュー、②利用者を対象としたアンケート調査、③障害者自立支援法に基づく研修の見直し、④県民への啓発普及を行い、計画書の活用に関する課題等について調査及び分析を行った。
 なお、研究の実施に際し、県自立支援協議会地域移行部会の下部組織として、各地域自立支援協議会から委嘱された推進員から構成されるワーキンググループ(以下「WG」とする)を設置し、検討をすすめた。
 また、本研究に係る調査及び分析等については、県が委嘱する特別アドバイザーの指導助言を受けたものである。


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