「私の希望するくらし〔Aシート〕」(以下「Aシート」という)は、いわゆる「フェイ スシート」に相当し、本人の希望する地域生活の実現のために支援する関係者を「応援し てくれる人」と、位置づけています。本人が利用している施設等だけではなく、地域移行推進員や市町村担当者が記載されることは、施設等単独で計画を作成、実施するのではなく、地域全体で取り組むという意識が本人に伝わります。その結果、本人が願いや希望を持って、生き生きとした生活を送れるように支援することにつながります。
Aシートは、以下の2項目により構成されています。
◎ サブタイトル ◎ 私のことを応援してくれる人 |
このシートの内容に変更があった場合は、その都度新たにシートを順次追加し、時系列で把握できるようにします。
◎ サブタイトル
本人の願いや希望、目標などから、「私の希望するくらし」をイメージしやすい「サブタイトル」を記載します。
☆ポイント | |
・ | 本人と一緒に話し合ってサブタイトルを決めます。 |
・ | サブタイトルを決める時期にこだわる必要はありませんが、「私のくらし応援プラン〔Eシート〕」(以下「Eシート」という)が実施される時期までには決めておくことが望ましいでしょう。 |
・ | サブタイトルは、本人の願いや希望、目標などをもとに本人と一緒に考えます。本人が意欲を持てるように、長所や持っている力などを意識した表現が望ましいでしょう。 |
<記載例> ・「親孝行大作戦」 ・「笑顔が似合ういい男プラン」 など |
◎ 私のことを応援してくれる人
○ 病院・施設担当者等
本人が精神科病院に入院している場合には当該精神科病院の、本人が障がい者施設を利用している場合には当該障がい者施設の担当職員氏名を記載します。
☆ポイント ・本人が学校等に在籍している場合には、当該学校等の担任教諭を記載します。 ・担当職員に該当する者がいない場合には、未記載とします。 |
○ 主治医
主治医氏名を記載します。複数の疾患を抱え、主治医が複数いる場合は、主たる疾患等の主治医を記載します。
○ 精神保健福祉士・サービス管理責任者・その他
・精神保健福祉士
本人が精神科病院に入院している場合この欄をチェックし、当該精神科病院の精神保健福祉士の氏名を記載します。通院中の方についても、本人の希望により記載する場合があります。
・サービス管理責任者
本人が障がい者施設を利用している場合この欄をチェックし、当該障がい者施設のサービス管理責任者の氏名を記載します。
・その他
精神保健福祉士またはサービス管理責任者以外の職員の場合、この欄をチェックし、作成する者の職名、氏名を記載します。
○ 地域移行推進員
地域移行推進員の所属、氏名を記載します。
○ 市町村担当者
援護の実施者となる市町村担当者の担当課名、職名、氏名を記載します。
☆ポイント 本人がくらしを希望する市町村と援護の実施者の市町村が異なる場合でも、援護の実施者となる市町村担当者の記載が必要です。 |
○ そのほかの人
その他、本人が関わってほしいと希望する機関や人について記載します。
☆ポイント 関わる関係機関等があればその所属、職名、氏名を記載します。 <記載例> ○○さん(友人)、△△さん(父親) |
《「私の希望するくらし」を用いた事業者の声》 |
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「個別支援計画書ってこれでいいんだ!」「利用者視点ってこういうことなんだ!」。ずいぶん前からあった言葉ですが、私がしていたことは「利用者が生きていく上で良かれ」という支援者視点の計画書であったように思います。日常的に支援しなければいけないことを、わざわざ計画書に上げ、ぜんぜん具体的ではない、1 年も2 年も継続されるような計画でした。 誰でも自分で必要だと思わない限り、「悪い所」とは思っていないのですから「直そう」なんて考えませんよね。 利用者の「夢」や「希望」を強みに、今まで「やろうとしなかった」、「出来ていなかった」ところにまで働きかけ、それを利用者が主体的に取りくめる目標の立て方をするのですから驚きです。利用者の「夢に寄り添う」、「大切にしていることに寄り添う」ことをしているだけで、利用者と支援者の信頼関係が深まることは誰でも想像がつくことと思います。また、信頼関係が深まるということは、支援者にとっても利用者を支援する際に優位に働くことも想像はつきます。この「手法」を使わない手はありません。必ず利用者は変わります。 |
[ワークステーション湯田・沢内 高橋 哲也] |