「私のくらし応援プラン〔Cシート〕」(以下「Cシート」という)は、いわゆる「仮の支援計画(ラフプラン)」に相当します。
Aシート、Bシートからの情報や本人との面接内容から、本人の願いや希望などの実現のために作成され、その実現のための目標設定や目標を支えるための具体的な支援内容が記載されます。
また、Cシートは、本人の願いや希望を実現するために実施される計画書の基礎となるものです。
Cシートは、以下の6項目により構成されています。
◎ 私の願い、希望、夢など~私の希望するくらし ◎ 願いをかなえるためにやってみたいこと ◎ 願いをかなえるために、まず、やってみること ○ やってみること ○ 応援してくれる人・ところ ○ 回数 ○ 行う期間 ○ 私が行うこと ○ 応援する人が行うこと ◎ 願いをかなえるために気をつけてほしいこと、気を配ってほしいこと ◎ 私のくらし応援プランの話し合い ◎ 「私のくらし応援プランの作成」と「私のくらし応援プランの話し合い」を希望します ○ このプランのこと ○ 相談票のこと ○ そのほかのこと ○ 年月日・サイン ○ 代理人・代筆人 |
◎ 私の願い、希望、夢など~私の希望するくらし
本人との話し合いの中から、本人が「こうやって生活したい」「こんなことをやってみたい」など、本人が希望するくらしの全体像を記載します。いわゆる長期目標に相当します。
☆ポイント | |
・ | 「安定した生活がしたい」などの抽象的な表現は避けます。 |
・ | 本人自身の長期目標となることを明確にし、できる限り本人の言葉や表現を使用します。 |
・ | 作成者の判断や基準で変更したり打ち消したりしないで下さい。 |
・ | 自らの意思を表明することが困難な場合は、家族の方などから聴き取ります。この場合、文末に代わりの人の氏名、本人との関係を( )で記載します。 |
◎ 願いをかなえるためにやってみたいこと
「私の願い、希望、夢など~私の希望するくらし」を実現するために、行ってみたいこと、取り組んでみたいことなど、本人と話し合った内容を記載します。この項目は、日常生活や現状に添って具体的に掘り下げていく中期目標に相当します。
☆ポイント | |
・ | 本人自身の中期目標となることを明確にし、できる限り本人の言葉や表現を使用します。 |
・ | 作成者の判断や基準で変更したり取り消したりしないで下さい。 |
・ | 自らの意思を表明することが困難な場合は、家族の方などから聴き取ります。この場合、文末に代わりの人の氏名、本人との関係を( )で記載します。 |
◎ 願いをかなえるために、まず、やってみること
各項目にしたがって記載します。
○ やってみること
「私の願い、希望、夢など~私の希望するくらし」や「願いをかなえるためにやってみたいこと」を実現するために、本人と話し合ったことについて記載します。この項目は、日常生活や現状に添ってより具体的に掘り下げていく短期目標に相当します。
☆ポイント | |
・ | 本人が、まず、取り組むことができるような具体的な内容を記載します。 |
・ | 本人自身の短期目標となることを明確にし、できる限り本人の言葉や表現を使用します。 |
・ | 本人と作成者の判断に差異があれば、本人と十分に話し合い調整する必要があります。 作成者の判断で支援内容等を提案しても、本人の同意が得られなければ具体化できません。 |
・ | 作成者の判断や基準で変更したり打ち消したりしないで下さい。 |
・ | 自らの意思を表明することが困難な場合は、家族の方などから聴き取ります。この場合、文末に代わりの人の氏名、本人との関係を( )で記載します。 |
○ 応援してくれる人・ところ
やってみたいこと」の実現のために具体的な支援を実施する機関、担当者(職名、氏名)、支援を実施する場所を記載します。
☆ポイント 行政機関、医療機関、サービス提供機関、友人や近隣住民のほか、本人自身、家族なども含めて考慮します。 |
○ 回数
実施する支援の回数や頻度を記載します。
○ 行う期間
実施する支援の期間を記載します。
☆ポイント | |
・ | 支援内容により、見直しの期間を設定します。 |
・ | 実施期間や見直しの時期は、1 ヶ月、3 ヶ月、6 ヶ月などの制限や基準はありませんが、支援の経過が把握できるような期間を設定する必要があります。 |
・ | 本人との話し合いによって「やってみること」が実現すると想定される期間や時期を設定します。 |
○ 私が行うこと
本人自身が「できること」「する必要があること」を本人と話し合い記載します。
☆ポイント 設定の際は、本人に大きな負担をかけずに達成感が得られるよう配慮します。 |
○ 応援する人が行うこと
支援者が行うことを具体的に記載します。
☆ポイント 本人や周囲の環境などについて調整や支援が必要な場合に記載します。 <記載例> ・買い物のときに、お金を払うときの手伝いをする。 ・町内の行事に参加するために、町内会長のところに一緒に行く。 |
◎ 願いをかなえるために気をつけてほしいこと、気を配ってほしいこと
「私のくらし応援プラン」を実施していくために、本人に対して「気をつけてほしいこと」「気を配ってほしいこと」「してほしくないこと」などを記載します。
☆ポイント | |
・ | 言葉遣い、接し方、説明の丁寧さなど本人に直接関わることを考慮します。 |
・ | 人間関係、金銭、家族のことなど本人の情報に関わることを考慮します。 |
・ | 作成者の判断や基準で変更したり打ち消したりしないで下さい。 |
◎ 私のくらし応援プランの話し合い
○ 私のくらし応援プランの話し合いに参加してほしい人たち
本人の希望するくらしをすすめるために参加してほしい機関や人を、本人の意向をもとに記載します。
☆ポイント | |
・ | 人選に際しては、既存の資源やサービスなどのほか、地域の方などが積極的に参加するよう配慮します。 |
・ | 「私のくらし応援プラン」を実施する上で欠かせない機関や人について、本人が知らない場合があります。その場合、作成者が説明の上、参加について本人と話し合う場合もあります。 |
・ | 参加が必要と判断した機関や人であっても、本人がその参加を認めない場合があります。その場合は、再度、本人と話し合い、Cシートの内容変更や参加の有無について検討します。 |
○ 話し合いの日時・場所
開催予定日と場所を記載します。
☆ポイント | |
・ | 「私のくらし応援プランの話し合い」には本人の参加を原則とし、その上で、他の参加者についての調整をします。 |
・ | 開催場所は、本人が落ち着いて会議に参加できるよう配慮します。 |
◎ 「私のくらし応援プランの作成」と「私のくらし応援プランの話し合い」を希望します。
計画書作成及びケア会議開催依頼及び同意となります。
○ 話し合いでは、チェック印をつけたところについて、参加した人たちに伝えてもかまいません。
本人情報等の提供についての同意欄となります。
○ このプランのこと
○ 相談票のこと
○ そのほかのこと
「私のくらし応援プラン」「相談受付票」以外の本人に関する内容となります。
☆ポイント | |
・ | A、B、Cシート及び相談受付票について、記載されている内容全部を本人が同意するとは限りません。各項目をひとつずつ確認し同意を得る必要があります。 |
・ | 本人が同意しない内容がある場合は、その旨を「そのほかのこと」に記載し、話し合いの提出資料から削除します。 |
・ | 本人の希望するくらしを支援していくうえで、関係者に情報提供をした方が効果的と作成者が判断した場合は、本人とよく話し合い、理解を得ることが必要です。 |
・ | 話し合いで本人が触れてほしくない、話したくないことについても確認します。この場合、「そのほかのこと」に記載します。 |
○ 年月日・サイン
同意欄にあたり、本人が同意した年月日を記載します。本人からサイン(署名)を受けます。
○ 代理人・代筆人
本人の状況によりサインが困難な場合、代理人もしくは代筆人が署名し、本人との関係、サインできない理由を記載します。
☆ポイント | |
・ | 代筆者は、本人が指名した者が代筆をすることが原則です。指名された代筆者が本人と利害相反関係(例えば、本人が利用している施設等の職員)にある場合、その旨を本人に説明し別の代筆者を指名してもらいます。 |
・ | 代理人は、本人が利用している施設等の本人の身元引受人もしくは民法上の代理人にあたるものとします。 |
・ | 本人の状況により同意の確認が得られない場合、代理人に説明し、代理人の同意後にサインをいただきます。 |
《「私の希望するくらし」を用いた事業者の声》 |
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最初に私が計画書を作成したのは知的障がい者の入所施設でした。当時は利用者の「出来ないこと」「直すべきこと」などの弱いところばかりに着目し、その弱いところをどのように改善していくべきかという目標の設定が多かったと思います。今考えると、利用者の気持ち・希望にあまり耳を傾けずに支援者側の計画書を作成していた感じです。 また、地域で暮らす障がい者の相談支援の仕事をするようになってからは、利用者の声を大切にして相談を受け、支援を行うように心掛けてきました。計画書も同様に心掛けて作成してきたつもりです。しかし、この「私の希望するくらし」に出会って、これまでの仕事を振り返ると恥ずかしくなります。頭の中では利用者主体とわかってはいますが、いざ支援を実施する段階になると支援者側の考えで取り組むことが多かったように思います。 この「私の希望するくらし」を使って、計画書を作成してみると、まずは利用者と一緒に作成しないと計画書が完成しないということを感じました。そして、一緒に作成することにより、利用者の気持ち・希望が確実に反映され、また、利用者主体から脱線することがありませんでした。単に計画書を完成させるのでなく、一緒に作成する過程の大切も感じました。 これから「私の希望するくらし」を活用して、障がい者が地域での暮らしを楽しみながら過ごせるようにさらに支援を続けて行きたいと思います。 |
[地域生活支援センター久慈 元木澤 英典] |