Ⅸ 私のくらし応援プラン〔Eシート〕

1 「私のくらし応援プラン〔Eシート〕」について

 Eシートは、いわゆる「計画書(ケアプラン)」として、本人に提出されます。Dシートで合意された具体的な支援内容などが記載され、共に一緒に希望や夢の実現を目指して歩んでいくための共通のツールとなります。
 また、いわゆる「モニタリング」として、短期目標を中心に、支援内容の経過や結果について確認・検証します。この作業は、いわゆるケア会議の中でも重要なポイントになり、①計画通りに個別的・具体的な支援が提供されているか、②目標の達成状況はどうか、③支援の結果は良好か、④新たな願いや希望は発生していないかなどについて確認・検証します。その結果に基づき、場合によっては、長期目標や中期目標が変更や修正されることもあり、B、C、Dシートが活用されていきます。
 相談からはじまり、「相談受付票」等の作成後、話し合いを経て、いよいよ本人の希望するくらしの実現に向けた本格的な支援に入ります。

 

2 「私のくらし応援プラン〔Eシート〕」の構成

Eシートは、以下の16 項目で構成されています。

◎ サブタイトル
◎ 年月日・サイン
◎ 代理人・代筆人
◎ 説明者
◎ 担当する人
◎ 私の願い、希望、夢など~私の希望するくらし
◎ 願いをかなえるためにやってみたいこと
◎ 私を応援する人
◎ 私のくらしをどのように変えていくか
◎ 願いをかなえるために気をつけてほしいこと、気を配ってほしいこと
◎ とりくみの様子
 ○ やってみること
 ○ 月
 ○ ふりかえり
 ○ これから
◎ 今の気分はどんな感じ?
◎ 夢にどこまで近づいたかな
◎ あったらいいな
◎ 応援する人から一言
◎ そのほかのこと

 

3 記載要領

 話し合いで合意された内容を記載します。記載については、Cシート、Dシートに準じます。

◎ 年月日・サイン
 同意欄にあたり、本人が同意した年月日を記載します。本人からサイン(署名)を受けます。
◎ 代理人・代筆人
 本人の状況によりサイン(署名)が困難な場合、代理人もしくは代筆人が署名します。
この場合、本人との関係、サイン(署名)できない理由を記載します。

◎ 説明者

☆ポイント
  説明者は、作成担当者が行うことが望ましいでしょう。

◎ 担当する人
 ○ 作成年月日
  作成した年月日を記載します。
 ○ 作成者
  作成者の所属、職名、氏名を記載します。

☆ポイント
  作成者は、「私の希望するくらし」の担当者となります。

 

◎ とりくみの様子
 この「とりくみの様子」は、モニタリングシートも兼ねています。確認・検証(モニタリング)を行うごとにこのシートを順次追加することにより、時系列で支援の経過や本人のくらしぶりの変化などが把握されるようになります。
 ○ やってみること
  話し合いで合意された内容を記載します。 
 ○ 月
  「やってみること」を実施する期間となり、支援を行う月を記載します。実施の期間を矢印で記載し、支援内容(誰が・いつ・どこで・何を・どうする)を記載します。
 ○ ふりかえり
 ・わたし
  「やってみること」の実現のために本人がやってきたこと、頑張ったことなどを記載します。

☆ポイント
 記載欄は自由記載としていますので、本人の満足度評価の内容や感想などを記載してもかまいません。

 ・まわり
   支援者側が「やってみること」の実現のために実施した支援の経過について記載します。

☆ポイント
 ・ 経過が時系列で分かるよう記載します。
 ・ 本人の生活や気持ちの変化などにも着目します。
 ・ 活用した資源などがあれば記載します。

 ・やってみてどうでしたか?
  「やってみること」を実施した経過や結果、支援内容などについて、本人の満足度を7段階で評価してもらい記載します。

☆評価基準7)評価基準

7) 角谷慶子.精神障害者におけるQOL測定の試み:生活満足度スケールの開発.京都府立医科大学雑誌1995;104:1413-1424.

 

☆ポイント
 ・ 目標の達成度に対する評価ではありません。また、支援者側の満足度を評価するものではありません。あくまでも、本人の満足の度合いについて確認します。
 ・ 支援者側の主観や意見などが入らないよう留意しながら評価してもらいます。
 ・ 目標の達成度と本人の満足度は、必ずしも一致しません。例えば、目標は達成できなかったが本人は満足した、などが考えられます。
 ・ 単に「満足した」「不満だった」のみを評価してもらうのではなく、どのような関わりが実りをあげたのか、あるいはそうではなかったのかなどについても確認しながら評価してもらいましょう。そのためにも、多角的な視点で評価できるよう、本人への働きかけを工夫することが大切です。
 ・ 自らの意思を表明することが困難な場合は、家族の方などから聴き取ります。この場合、表中に代わりの人の氏名、本人との関係を(  )で記載します。

 

○ これから
  支援の経過や結果、達成度などについて評価します。
 ・続けてみる
  目標や支援内容を継続することを指します。
 ・変えてみる
  目標や支援内容などを修正することを指します。
 ・つけ足す
  新たに「やってみること」を設定することを指します。
 ・ひと休み
  何らかの理由により目標や支援が留まっていることを指します。
 ・クリア!
  支援の結果、「やってみること」が達成されたことを指します。

 

◎ 今の気分はどんな感じ?
 この「とりくみの様子」全般についての本人の満足度を7段階で評価してもらい記載します。

 

☆評価基準7)評価基準

 

☆ポイント
 ・ 本人の「主観による満足度」について確認します。目標の達成度に対する評価ではありません。また、支援者側の満足度を評価するものでもありません。
 ・ 支援者側の主観や意見などが入らないよう留意しながら評価してもらいます。
 ・ ・目標の達成度と本人の満足度は、必ずしも一致しない場合もありえます。例えば、「目標は達成できなかったが、支援者が一生懸命やってくれたので大変満足した」などが考えられます。
 ・ 「満足した」あるいは「不満だった」の評価のみでなく、「どのような点に満足したのか」を具体的に聞き取ることができれば、次の支援に役立つ場合が多々あります。
 ・ 自らの意思を表明することが困難な場合は、家族の方などから聴き取ります。この場合、表中に代わりの人の氏名、本人との関係を(  )で記載します。

 

◎ 夢にどこまで近づいたかな
 全体として目標はどの程度達成されたと思うのかについて、目標を達成できた場合を100m走のゴールとしたときに、本人が走っていると思われる場所に●印をつけます。

 

◎ あったらいいな
 目標として計画したものの、サービスや資源が存在しないために、目標達成ができない場合もありえます。その場合、「どのようなサービスや資源があれば目標を達成できるのか」を具体的に記載します。現存しなくとも、「こんなものがあればいいのに…」という新しい形のサービスでもかまいません。

 

◎ 応援する人から一言
 支援者が、本人が取り組んできたことや支援を通じて感じたことを記載します。

☆ポイント
 本人の「頑張り」「長所」に目を向けた内容を記載するようにしましょう。

 

◎ そのほかのこと
  特記事項等のほか、自由記載欄となります。

 

 

 

《「私の希望するくらし」を用いた事業者の声》
 私は、これまで利用者の「願い」や「希望」に寄り添う支援ができただろうか。その「願い」や「希望」を叶えるために、関係する人たちと利用者の願いを共有し、取り組めただろうか。今、振り返って、反省しなければならないと思っています。
  これまでケア会議を開いた後で、遅々として進まない支援の状況に、利用者から「誰が進めているんですか」「いつハッキリするんですか」「自分は何をすればいいんですか」と希望が叶えられないことへの苛立ちを示される方もいました。「本当にそうだよな…」と申し訳ない気持ちになることもありました。
 しかし、「私の希望するくらし」では、誰が手伝ってくれる人なのか、何をしてくれる人なのか、いつまでにやってくれるのか、そして自分は何をするのか、ということがわかるようになっています。
 この計画書を活用するようになってから、利用者が「○〇さん、不動産屋さんと連絡取ってくれたかな」、「今度みんなで集まるのは□月□日だよね」と、支援の進捗状況を確認するようになりました。利用者の「願い」を叶えるために、考え、動いていくことの大切さを痛感しています。
[地域生活支援センターカシオペア 佐藤 慶之]

 

 

 

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