近年の、少子高齢化及び核家族化が進み、また、閉鎖性の高いマンション等の増加により、地域における自治会加入率は年々低下の傾向にあり、地域福祉の現状はますます脆弱なものとなっている。
さらに、本市の特徴としては、石炭産業により発展した街であり、平成9年の炭鉱閉山まで、市内にいくつもあった炭鉱関連住宅内に地域のつながりが強い大きなコミュニティが存在していた。炭鉱閉山後、炭鉱住宅はなくなると同時に跡地は廃屋になったり、新興住宅地となったり、かつてあった地域の強い繋がりのコミュニティは街のあちらこちらから姿を消している。
地域福祉は年々脆弱な状況になっている一方、障害者をめぐる環境は、支援費制度、障害者自立支援法により、訪問系サービスも充実し、在宅生活の障害者に対するフォーマルサービスは改善されたが、フォーマルサービスでは支援出来ない通勤通学などの支援が依然課題として残っている。
障害者自立支援法施行により、移動支援は市町村の裁量により実施されるメニューとなっているが、通学、通勤等朝夕決まった時間にサービスを提供するとなると、短時間に集中したニーズに人員体制をとれる事業者が少ないなど課題が多く、また、仮にサービス提供可能な状況にあったとしてもサービス増に対する公費負担増という財政面の問題もあり、サービス提供を行うには困難な状況である。
そのような状況の中、本市では、平成19年度に自立支援協議会を立ち上げ、平成20年には「就労」、「住居」の2つのプロジェクト会議を設置し、障害児・者の生活環境を改善するために協議を行っている。
それに加え、今回の調査研究事業を新たに「インフォーマルサービス開拓プロジェクト」として設置し、ボランティアによる障害児への登下校の移動支援事業(モデル事業を11月~12月の2ヶ月間実施)を行い、その検証を行うことで、フォーマルサービスを補い、ボランティア活動が活発になり、地域おこしを行うに繋げることを目的としている。