3.対象児別の支援内容

1.本人概要

1)生活状況

・アセスメントでの対象児の特徴や行動特性、好きなことなどについて

2)コミュニケーションスキル

・自他においてのコミュニケーション能力について

3)登下校見守り等事業での支援方法

・登下校見守り等支援事業実施中、個別での支援方法について

2.コーディネーターのアセスメント・支援観察状況

・支援実施初回時の支援状況及びボランティアと対象児の関係性

3.登下校見守り等支援事業実施

・登下校見守り等支援回数(実施した支援回数/全体の予定支援回数)

・登下校見守り等支援事業実施中の支援内容について

〔※1・2:実施期間中を前半と後半に分けて記載〕

〔※1):ボランティアが支援を行った日2)交通手段(支援方法)〕

4.登下校見守り等支援事業の感想

・登下校見守り等事業参加者の感想及び実施結果について

5.登下校見守り等支援事業後

・事業後の支援経過について

※実施内容として1次ヒアリング・ボランティア日誌・最終ヒアリングを参照

○利用保護者

  • 利用者日誌(利用者証):参考資料25参照
  • 1次ヒアリングシート・1次ヒアリング結果:参考資料26・28参照
  • 最終ヒアリング:参考資料31参照
  • 最終ヒアリングシート、アンケート記入用紙:参考資料33参照

○ボランティア

  • 1次ヒアリングシート・1次ヒアリング結果:参考資料27・29参照
  • ボランティア日誌:参考資料25参照
  • 最終ヒアリング結果:参考資料32参照
  • 最終ヒアリングシート、アンケート記入用紙:参考資料32・34を参照

【対象児A・男児:軽度知的障害・自閉症(小学1年)】

1.本人概要

1)生活状況

最近まで風邪ぎみで、薬を服用。情緒面は安定している。食事は偏食ぎみで1年前から体重の増加が見られ、現在食事制限中。食べ物やアニメ、飛行機が好き。虫や暗い所、足下が不安定な所は苦手。

2)コミュニケーションスキル

他者の声かけには理解を示す。今までの環境で女性と関わることが多かったため、男性に対して少し拒否行動が見られる可能性がある。自分が興味を持つことに対して自発的に動く。声かけや会話の度合も対象児に合わせるが、しつこく話し過ぎると知らん振り、無視などでの拒否行動が見られる。

3)登下校見守り等支援事業での支援方法

対象児のペースに合わせ、通学路中の交差点や細道との合流場所での車や自転車の飛び出しに注意し、事前の声かけを行う。自立登下校を目指しているが、関係が良好なものになるまで手を繋いで支援し、その後は対象児に合わせ、状況に応じて支援を行う。

2.コーディネーターのアセスメント・支援観察状況

保護者と離れることを嫌がり、見えなくなると立ち止まってしまう。ボランティアの声かけに対しても反応が少なく、対象児から積極的に話すことは見られなかった。下を向いて歩くため、危険個所での注意が疎かになっている。事前の声かけに反応は見られるが、その場での認識は薄い。常に声かけをし意識させていくような支援方法を1つのパターンとして行い、通学路中の危険個所をクイズ形式で楽しく覚えさせる。

3.登下校見守り等支援事業実施

平成20年11月10日~平成21年1月30日迄(支援26/31回)

①支援前半

参考資料(写真)

1)11月14日(金)登校:対象児A

2)徒歩:今回で2回目でしたが、まだ慣れていない様子でした。お母さんが少しでも後ろを歩くと、すぐに探してしまい、なかなかお母さんから離れられませんでした。ボランティアが話しかけると、返事をしてくれることもありましたが、今回はこちらからの呼びかけが少なかったと思います。

(ボランティアA:日誌/参考資料25参照)

1)11月17日(月)登校:対象児A

2)徒歩:対象児Aは、今朝からお母さんの付添いなしでの登校を始めました。初めは嫌がり、途中までお母さんと一緒に行きましたが、通学路半分からはボランティアメンバーと行けました。

(ボランティアB:日誌/参考資料25参照)

1)11月17日(月)登校:対象児A

2)徒歩:対象児Aは、最初は母親と離れるのを嫌がり、結局近くの橋の所まで母親について来てもらった。ぐずったことにより、出発したのが8時過ぎになり、学校に到着したのが8時23分と、ぎりぎりだった。

(ボランティアD:日誌/参考資料25参考)

■ボラA

対象児Aとお母さんが前を歩いて、私は後ろからついて行った。最初はなかなか会話ができなかった。常にお母さんの近くで歩いていた。歩行中は下を向いて黙々と前を見て歩くようすが見られなかった。

■ボラC

お母さんと一緒に登校していたので、話はあまりできなかった。朝、お母さんと別れる時、ちょっと嫌がるが、ボランティアとの登校にだいぶん慣れてきたと思う。話しかけたら答えてくれる。安全確認もきちんと行っているが、下を向いて歩きがちである。

■ボラD

すごくお母さんと離れることを不安がり、お母さんの姿が見えなくなるとお母さんを探していた。まだやはりお母さんと離れるのを嫌がり、家から通学路の最初にある橋の所までお母さんについて来てもらった。まだボランティアとの間に壁を作っている気がする。

■ボラF

当初は、お母さんの姿が見えなくなると、すぐ立ち止まっていた。(ボランティア1次ヒアリング:参考資料29参照)

②支援後半

参考資料(写真)

※「ボ:」・・・ボランティア『対:』・・・対象児

1)12月12日(金)登校:対象児A

2)徒歩:ずっと会っていなかったのが心配だったが、特に嫌がられなく行けた。前の時とは登校の雰囲気が違った。

(ボランティアE:日誌/参考資料25参照)

1)12月15日(月)下校:対象児A

2)自転車・徒歩:今日は歩きながらガードレールを触ったり、道端で立ち止まったり、目につく物が気になっていたようすです。交差点で一時停止して左右の確認をすることは、日によってできたりできなかったりしているようです。今日は私が注意を促しても、そのまま確認なしで通り過ぎていました。今日は、「ボ:(対象児Aの名前)君の手、大きいね。」と言って、私と手を合わせたり肌を触れたりしながらスキンシップを取りました。

(ボランティアA:日誌/参考資料25参照)

1)1月9日(金)下校:対象児A

2)徒歩:興味ある物、目に入ったりしたら立ち止まりなかなか進まないこともありました。寒いのに『対:暑い、暑い。』と言って上着を脱いだりしてこっちが心配でした。体温調整が上手くできないのかな?

(ボランティアI:日誌/参考資料25参照)

■利用児保護者A

やはり当初は、打ち溶けにくい面がありましたが、顔合わせなどをして頂き、だいぶ馴染みやすくなったようです。最初の頃からは、ボランティアの方に迎えに来て頂くのを、とても喜んでおりました。そして日々進むにつれて、自立登校しなくてはならない自覚が出てきたように見受けられます。

(利用児保護者A:1次ヒアリング/報告資料28参照)

4.登下校見守り等支援事業の感想

■ボランティアC

登下校見守り等支援(ボランティア)というよりも楽しく一緒に登下校するという感じだった。対象児Aは、支援始めは母親から離れなかったが、数回支援に行くようになると自宅前で母親に『対:行って来まぁす。』と言い、校門到着時はボランティアからの声かけに対して『対:バイバイ。』とボランティアとスムーズに離れることができた。

■ボランティアE

対象児Aは学校ではとても元気で、校舎の窓から他の児童に『対:名前は?』と積極的に働きかけているように見られたが、支援中は話かけると答えてくれるが、あまり喋らないように見られた。

(ボランティア最終ヒアリング/参照)

■利用児保護者A

交差点の危険個所も自分で意識しながら口に出して確認するようになった。ボランティアからの質問になかなか答えることが難あったが、自分なりに関わっていた。支援当初、ボランティアは女性を希望していたが、男性のボランティアに対しては嫌がらずに登下校できていた。

(利用児保護者A最終ヒアリング/P82~参照)

5.登下校見守り等支援事業後

最終ヒアリングで支援継続の希望があり、2月以降は学校の教室から大きな交差点の横断までボランティアが付添い、約200m先にいる保護者の所まで一人で下校をさせた。自立登下校ができるようにボランティアと協力して、日程調整を行いながら支援継続。

その後ボランティアと支援を継続していたが、対象児が3分の1程度、自立登下校ができるようになったため、ボランティアの支援はキャンセルとなった。今後は保護者が完全自立登下校できるように対象児と一緒に登下校を行っていくこととなった。

写真2 写真3 写真4

【対象児B・女児:ダウン症候群(小学3年)】

1.本人概要

1)生活状況

体調は良好であり、情緒面も安定している。絵を描いたり歌を歌ったりすることが好き。寒いのが苦手で、体調によっては寒いと体力が落ちる。

2)コミュニケーションスキル

他者からの声かけには理解を示す。また、自分が興味を持つことに対しては自発的に動く。人と関わることが好きなため、積極的に関わる。関係が良好になると自分に関わって欲しい時など、座り込むなどの行動もありえる。意思表示も言語、非言語で行う。

3)登下校見守り等支援事業での支援方法

対象児のペースに合わせ、メリハリをつけさせる。国道沿いの交差点や車、自転車などの飛び出しを注意し、事前の声かけも“ゆっくり・丁寧に”を心がけて行う。

2.コーディネーターのアセスメント・支援観察状況

対象児は明るく元気で、とても人なつっこい印象であった。初対面でも対象児から自発的に関わることが多く、対象児から手を繋ぐように積極的に関わりボランティアと会話をしながら登下校していた。関係が良好になると多少甘えたいという感情が出ると思われる。第三者からの声かけに対して行動・内容理解が出来るため、スムーズに行動に移すことができていたと思われる。

3.登下校見守り等支援事業実施

写真5

平成20年11月17日~平成21年1月30日迄(支援20/23回)

①支援実施前半

1)11月17日(月)下校:対象児B

2)徒歩:対象児Bは、最初緊張していたけど、直ぐ仲良くなれた。お母さんの話をいろいろ聞いて、ただ仲良くするだけではいけないと思った。その子のためになるようなボランティアを心がけたい。

(ボランティアD:日誌/参考参考25参照)

1)11月21日(金)登校:対象児B

2)徒歩:話をしながら歩いていると、話に夢中で後方の自転車への注意が疎かになっていました。ベルの音には気づいていたようすで、今後は道端に避けるようになれるまで声かけをしていきたいと思います。(ボランティアB:日誌/参考資料25参照)

■ボラA

初めて会った時からフレンドリーだった。誰にでもあいさつをしていた。

■ボラB

一人言のように何か言っていることをよく聞くと、家族や友人を紹介してくれているようでした。「ボランティアの方と行くのを楽しみにしてたんです。」と言われて嬉しかったです。一緒に歌を歌いながら登校したりと楽しいです。

■ボラD

すごく心を開いてくれた。嬉しいのか急に走りだしてしまうことがあった。

■ボラE

初めて会った時からとても活発な女の子でこちら側のペースを巻き込んでいく子でした。その他は、突然の行動は慎重なようにも見えました。

(ボランティア1次ヒアリング/参考資料29参照)

②支援実施後半

写真6

1)12月5日(金)下校:対象児B

2)徒歩:寒かったけど元気で自宅に着くまで上機嫌でした。

(ボランティアH:日誌/参考資料25参照)

■利用児保護者B

初めは少し緊張しているようすでしたが、すぐ慣れたようでした。「今日はボランティアさんよ。」と伝えると、嬉しそうに張りきって朝の準備もスムーズにできています。

(利用保護者B:1次ヒアリング/参考資料31参照)

4.登下校見守り等支援事業の感想

■ボランティアC

対象児Bは、積極的にボランティアに話しかけたり手を繋いだり、とてもフレンドリーで関わりやすかった。ボランティアCが入る前、他のボランティアが支援に入っていたこともあったからではないかと思う。また、支援中に後ろから来る車・自転車から対象児を避けさせようとしたら、逆に「来てるよ。」とボランティアの心配をしてくれた。

寒い時期だっので「体力が落ちているから、手を繋いであげてください。」と保護者から要請を受け、手を繋ごうとすると対象児から手を繋いでくれた。

■ボランティアH

対象児Bは、始めから会話が上手でとても元気だった。逆に会話ができなくて不安だったが支援していて元気をもらった。初回に対象児の荷物を持ってしまったが、次回より自分で持って帰るようになった。

(ボランティア最終ヒアリング/P93~116参照)

■利用児保護者B

大きな変化はなかったが、子どもも学校へ行く楽しみができ、支援の日はとても楽しみにして朝の準備も本人の動きがスムーズになり、気持ちの変化が見られた。障害児童の親としては大変ありがたい事業でした。ただ回数など期待していたよりも少なかったと感じました。緊急対策などまだ考えていくことはあると思う。

(利用児保護者B最終ヒアリング/P85~参照)

5.登下校見守り等支援事業後

事業開始から人との関わりが好きな対象児であり、支援の日はとても楽しみにしていた。最終ヒアリングでボランティア支援の継続を希望しているため、支援後にボランティアと日程調整を行い週1回の支援を行っている。

【対象児C・男児:ダウン症候群・心内膜欠損症・心臓病(小学1年生)】

1.本人概要

1)生活状況

体調は良好であり、情緒面は安定している。少し頑固な面も見られるが、モチベーションが上がると自発的に行動に移すことができる。会話中に気持ちが焦ると“どもる”ことがある。絵を描いたり、歌が好き。身体を動かす事も好き。怖がりで音に敏感である。また、爪かみの癖がある。

2)コミュニケーションスキル

他者からの声かけに理解を示す。意志表示も言語・非言語で行う。他者への感情表現として、一生懸命話そうとし“どもり”が見られるが、ゆっくりと話を聴き、強く聞き返すとより焦らせてしまう。他者との関係が良好なものとなると、突発的な出来事でしがみついたりする。

3)登下校見守り等支援事業での支援方法

自立登下校を目指し、初めは付添い支援を希望。通学路中で対象児の好きな“しりとり”遊びをしながら支援を行い、危険個所や交差点、細道の合流場所での車や自転車の飛び出しに注意・声かけを事前に行う。体力を付けるためにも自力での登下校を行う。対象児に全て確認をさせる。

2.コーディネーターのアセスメント・支援観察状況

初めは恥ずかしがるが人と関わることが好きなため、関係が良好になると対象児から関わりを持つ。元気よく身体を動かしながら登下校をしている。対象児のモチベーションが上がると、突発的な行動もあるが声かけにより対処でき対象児から他者に手を繋ぐなどで積極的に関わる。

3.登下校見守り等支援事業実施

写真7

平成20年11月28日~平成21年1月30日迄(支援15/19回)

①支援実施前半

※「ボ:」・・・ボランティア『対:』・・・対象児

1)11月18日(金)下校:対象児C

2)徒歩:元気で直ぐにお話しできました。途中『対:しんどい、これ持って。』と言ってきますが、なんとかランドセルの中にしまって帰りました。

(ボランティアJ:日誌/参考資料25参照)

1)11月28日(金)登校:対象児C

2)徒歩:支援日が、初めて会った次の日だったので心配だった。想像以上に明るくいい子だった。

(ボランティアE:日誌/参考資料25参照)

1)11月28日(金)登校:対象児C

2)徒歩:今日は支援初日ということで、お母さんも学校までついて来た。しかし、対象児Cはお母さんがついて来なくてもいいみたいだった。対象児Cの大好きな“しりとり”をしながら学校まで行った。赤信号と分かっていたみたいだったけど、走りだそうとしていた。

(ボランティアB:日誌/参考資料25参照)

②支援後半

写真8

※「ボ:」・・・ボランティア『対:』・・・対象児

1)12月12日(金)登校:対象児C

2)徒歩:初めての場所で5分位遅刻してしまった。自分が初めてだったせいか、とてもぐずって、なかなか学校に行こうとしなかった。

(ボランティアF:日誌/参考資料25参照)

1)12月19日(金)登校:対象児C

2)徒歩:今日は“鬼ごっこ”をしながら登校がしたかったようで“じゃんけん”をしながら行きました。車が来て危ない場面があったので「ボ:今、怖かったね。だから走ったらダメだよ。」と言ったら少し分かってくれたように思います。

(ボランティアB:日誌/参考資料25参照)

1)1月30日(金)下校:対象児C

2)徒歩:直ぐにコーディネーターに気づき、帰る用意を急いでしていた。小学校近くのガソリンスタンドの横断歩道では一言声かけをするだけで止まり、信号の確認ができるようになっていた。国道沿いの歩道では今までと同様にルールの説明をしてから、石音出し遊びをした。途中、自宅近くで対象児の兄と一緒に帰った。対象児のようすを見ながら兄が先導し、工事中の所では対象児が行くのを確認し、先導してくれた。

(コーディネーター:状況報告/参考資料25参照)

■利用児保護者C

今日が移動支援初めてだったのですが、前日にボランティアの方が自宅に来て頂き、顔合わせができたので、子どもにとっての明日の心の準備ができていたと思います。11/28(初日)は問題なく、スムーズにボランティアと楽しく登校ができていたと思います。ボランティアに付く人数が、マンツーマンの方がいいじゃないかと思いました。

(利用児保護者C:1次ヒアリング/参考資料28参照)

4.登下校見守り等支援事業の感想

■ボランティアB

通学路中に“鬼ごっこ”をしたかったのか、『対:しよう!』と誘われた。危ない場所があったので「ボ:危ないからできないよ。」と注意をした後は誘わなくなった。

■ボランティアE

対象児Cは3回支援し、登校支援後『対:下校は来てくれる?』と積極的に関わってくれ、対象児から手を繋いでくれた。通学路の道順もスムーズで、学校到着時にボランティアが『対:バイバイ。』と言うとスムーズに離れて行けた。

(ボランティア最終ヒアリング/参照)

■利用児保護者C

以前より、一生懸命に歩くことを意識し、登下校している。時々、兄弟で一緒に帰るようになり、兄もこの事業を通して、弟への関わり方に変化が見られた。今回の参加は、利用している保護者から話を聞いた。学校からのお便りではなく直接話を聞いたので参加しやすかった。

今までは保護者と一緒に登下校していたが、兄弟で行ったり、第三者が子どもと関わることでどの様な変化が見られるか、今までできなかったこともできるようになったりした。子どもにとっても保護者にとってもいい経験・きかっけとなった。

(利用児保護者C最終ヒアリング/参照)

5.登下校見守り等支援事業後

ボランティア支援継続希望しているため、ボランティア及びコーディネーターと日程調整を行い週1回の支援を行っている。

【対象児D・男児:知的障害・ダウン症候群(小学3年生)】

1.本人概要

1)生活状況

体調は良好であり、情諸面も安定している。成長に伴い気管が狭まっており、常に鼻水が出たりする。アニメや最近はまっている食べ物(牛乳、カレー、ラーメン)の話が好き。人と触れ合うのは好きだが、人から何かを強制されるのが苦手である。集中している時は、少し“うなる”ことがある。

2)コミュニケーションスキル

他者からの声かけには理解を示し、自分が興味を持つことに対しては自発的に動く。緊張、不安、嫌悪感などの自己表現として排尿することがあり、言語での意思表示が難しく、非言語での対応を行う。他者との関係性では、相手を試すことで相手がどのように理解し行動するのか、反応を見極めたりする。

3)登下校見守り等支援事業での支援方法

初めての人に対して試す行動があるため、危険個所などの注意をする。試す行為に対しては対象児が相手を見極めているため、その時々での対応が求められる。関係が良好になると積極的に関わるので、それまでの関係作りが重要となる。支援中は工事現場などの危険な所の回避など、事前の声かけや対象児のペースに合わせて支援を行う。

2.コーディネーターのアセスメント・支援観察状況

初対面の人の前では突然走ったり逃げたりするなどの一見、悪ふざけのような行動が見られる。対象児を理解してくれる人なのか反応を見極めるための行動であり、良好な関係が築ければ、とても明るく人なつっこい性格であるため、試す行動も変化し、他者からの声かけに理解を示す。

3.登下校見守り等支援事業実施

写真9

平成20年11月10日~平成21年1月30日迄(支援15/17回)

①支援実施前半

※「ボ:」・・・ボランティア『対:』・・・対象児

1)11月14日(金)下校:対象児D

2)徒歩:しばらくジャングルジム、うんていで遊ぶ、元気、明るい。

(ボランティアG:日誌/参考資料25参照)

1)11月17日(月)下校:対象児D

2)徒歩:対象児Dは、いきなり走りだして、どうしたらよいのか分かりませんでしたが、友達にバイバイと声をかけたりして、とてもいい下校だったと思います。

(ボランティアB:日誌/参考資料25参照)

■ボラE

人なつっこい子だと感じました。

■ボラB

初対面で照れていたのか、少し逃げるように走りだしたので、注意が必要だと思った。途中、工事中の道を通る時「ボ:先に行くから後ろをついて来てね。」と言うと、『対:ありがとう。』と元気よく言ってくれて嬉しかった。

■ボラG

玄関で本人が出て来た時、私が気づく前に遊具の方に行ってしまった。

(ボランティア1次ヒアリング/参考資料29参照)

②支援実施後半

写真10

1)12月1日(月)下校:対象児D

2)徒歩:今日も元気。帰り際には、ふざけてのお礼のあいさつをした。

(ボランティアG:日誌/参考資料25参照)

1)12月8日(月)下校:対象児D

2)徒歩:今日で対象児Dとの下校は2回目だったが、1回目より慣れたようすで走ったりすることもなく下校できた。帰り道ずっと対象児が笑顔だったのが嬉しかった。

(ボランティアB:日誌/参考資料25参照)

■利用児保護者D

予想通りボランティアの方を試すようなことをそれぞれ行い、2回目3回目のなると自分から手を繋いだり、仲良く歩くことができている。

多くのボランティアと接触することにより、母親に対して表現が増えたり、新しい一面を示している。ボランティアの方が毎回変わるなど、当初本人のストレスもあったかもしれないが、その反面社会性が出てきた気がする。

(利用児保護者D:1次ヒアリング/参考資料28参照)

4.登下校見守り等支援事業の感想

■ボランティアB

対象児Dの初支援の日、突然走りだすなどのボランティアへの試しがあって心配だったが2回目はちゃんと一緒に並んで帰ることができた。

■ボランティアG

対象児Dは、最近では下校中に楽しく遊びながら帰り、たまにボランティアを干渉しながら試したりする。

(ボランティア最終ヒアリング/P93~116参照)

■利用児保護者D

自立登校ができた。初めは担任の先生が途中から見守ってくれ、少しずつ距離を離して1週間で自立登校できるようになった。今回の事業に参加したことで、子どもも親も安心して1人で学校へ出せるようになり、いいきっかけとなった。

この事業をやってみようというチャレンジ精神は嬉しかったし、ありがたいと思ったが、こと実践となるとなかなか進まず、積極性や実行力不足にがっかりしました。ボランティア募集とボランティア養成についての努力不足、認識不足をすごく感じた。でも、この老人の街、大牟田に障害児者に市役所が関心を寄せてくれたことを高く評価したい。孤独になりやすい障害児者本人と保護者に“勇気と元気、育てていこう”という意欲を与えてくれる事業だと思う。絶対継続して下さい。協力は惜しみません。

(利用児保護者D:最終ヒアリング/P89~90参照)

5.登下校見守り等支援事業後

最終ヒアリングでボランティア支援の継続希望をしており、支援を行っていたボランティアと日程調整を行い、週1回での支援を行っている。

【対象児E・男児C中:自閉症(中学2年)】

1.本人概要

1)生活状況

体調は最近風邪を引いていたが、だいぶ落ち着いてきている。情緒面は日によって変化するが、体調が悪くなると学校も欠席することもある。朝夜に薬の服用がある。電車や駅のスピーカーなどの写真を撮ることが好き。花や風景など奇麗な物を見ることも好きで散歩をする。雑音や人ごみ、足場の不安定な場所が苦手。特に大きな音に対して敏感である。ゆっくりと物事を進める。

2)コミュニケーションスキル

他者からの声かけには理解を示す。意思表示は言語、非言語で行い、手を耳に当てたり目を反らすなどの行動が見られる。声かけもゆっくりと簡潔に説明をすると理解できる。対象児のパーソナルスペースに入り過ぎると、拒否反応を起こす。また、後方からの声かけ・接触は対象児のパニックを起こすことに繋がるため、対象児が確認できる所よりコミュニケーションを行う。

3)登下校見守り等支援事業での支援方法

対象児のパーソナルスペースに配慮し、コミュニケーションを取りながら支援を行う。また、対象児は自己で計画を立てて物事を進めるため対象児の行動ペースに合わせて支援を行う。支援をするという感覚ではなく、友達と一緒に帰るいう雰囲気で楽しく下校支援を行う。声かけや会話は対象児のペースに合わせ、配分を十分に考慮する。

2.コーディネーターのアセスメント・支援観察状況

対象児のパーソナルスペースへの配慮を第一とし、声かけもゆっくりと行う。初めての場所では長時間居ることができないのだが、アセスメント時は保護者も驚くほどに長時間話をしていた。このことから対象児にとって興味があることや落ち着ける環境であれば他者との関わりは良好なものへ変化すると思われた。また対象児なりの計画パターンがあるため、計画パターンまたは行動ペースに合わせ、十分に配慮して支援を行う。

3.登下校見守り等支援事業実施

写真11

平成20年11月26日~平成21年1月30日迄(支援6/10回)

①支援実施前半

1)11月17日(月)下校:対象児E

2)徒歩:対象児のパーソナルスペースに少し入ったようで途中立ち止まることがあった。非常に緊張していた。

(ボランティアF:日誌/参考資料25参照)

1)11月26日(水)下校:対象児E

2)徒歩:対象児Eは私を覚えていてくれて嬉しい。

(ボランティアG:日誌/参考資料25参照)

1)12月1日(月)下校:対象児E

2)徒歩:今日は本当に対象児の機嫌が良かったためか、いろんな話をして帰った。お母さんもびっくりする程に対象児Eとの距離が縮まった気がする。

(ボランティアF:日誌/参考資料25参照)

■ボラF

当初は、ほとんど話さず、かなり緊張していた。パーソナルスペースに敏感であった。一番初めの時、パーソナルスペースが近かったせいか、「お兄ちゃんとは帰りたくない」と言われ、パーソナルスペースには1m位取ることに気をつけている。また、声をかける時は、できるだけ対象児Eの真横から話かけるようにしている。

■ボラE

顔合わせの時は上手く話せたとは思うのですが、最初の支援の時に途中で拒絶されてしまい、考えてしまうことがあった。以後、絶妙な距離感を上手く取れるようになりたいです。

(ボランティア1次ヒアリング/参考資料29参照)

②支援実施後半

1)12月15日(月)下校:対象児E

2)徒歩:今日は最後のボランティアということで、対象児Eのクラスの子と一緒に写真を撮らせてもらった。対象児Eとはだいぶ距離が近づき、とても自分としては満足である。これから対象児Eはどんな大人になるのかな。

(ボランティアF:日誌/参考料25参照)

1)1月21日(水)下校:対象児E

2)徒歩:母親の同伴なしで帰宅。問題なし。

(ボランティアG:日誌/参考資料25参照)

1)1月26日(月)下校:対象児E

2)徒歩:母親も同伴なしで帰宅。鼻歌まじりで気分よし。

(ボランティアG:日誌/参考資料25参照)

■利用児保護者E:

最初は緊張していました。周りもあまり見る余裕もなかったです。帰ってからは達成感があったようです。1回目よりも2回目は落ち着いていました。1回目はボランティアが一生懸命で、子どものパーソナルスペースがうまく掴めず、ちょっとショックを受けていたみたいだが、前日から本人に伝えていたので、子ども自身も心構えもできており、支援が終わった後の達成感も強かったみたいで、ちょっと興奮気味であった。

2回目はボランティアGとふれあい共室で会った記憶があったのか落ち着いており、子どもが他人と雑談しながら歩いている姿を見るのは初めての経験であった。子どもも自信をつけたのか、他の移動教室を受けてみようかとも考えている様子です。

(利用児保護者E:1次ヒアリング/参考資料28参照)

4.登下校見守り等支援事業の感想

■ボランティアF

対象児Fは自閉症で、パーソナルスペースの認識不足で初回は対象児から拒否されてしまった。次回パーソナルスペースの改善をしたところ、一緒に帰ることができた。自分も好きな食べ物の話をしたところ、話が広がった。最終的に一緒に写真を撮ろうと言ってくれた。

また、対象児Fは、雨天時に傘をさして帰ったことがなかったが、今回の支援で初めて傘をさしてボランティアと一緒に帰った。その時はなかなか話ができなかったが、保護者も初めてのことでとても驚いていた。このボランティア活動に参加して、対象児Fの心を少しは開けたかなぁと思い、達成感があり、やりがいがあった。

■ボランティアG

初回では音に敏感で、耳をふさぐなどがあったが、最近はなく鼻歌も聞くことがあった。対象児と面識があり、支援の回数が増えるにつれて繋がりやすかった。

(ボランティア最終ヒアリング/P93~116参照)

■利用児保護者E

支援当初は保護者同行だったので、子どもの可能性が広がっていくのが見えた。学生ボランティアの最終日、保護者を確認することなく自宅まで2人だけで下校していた。だた、今日で学生ボランティアと“お別れ”という言葉の理解ができていなかった。

しかし、子どもにとってボランティアの存在が新鮮なものとして感じ、別れがどの様なことなのかを知ることができ、いい経験だったと思う。いろいろできるようになり子どもの世界も少しずつ広がっているように思う。

(利用児保護者E:最終ヒアリング/P91~参照)

5.登下校見守り等支援事業後

支援スタート時では、少しずつボランティアと良好な関係を築きながら順調に進んでいた。最終ヒアリング時も支援の継続を希望し、ボランティアと日程の調整を行っていた。しかし、学校行事で怪我をしたことで2週間ほど休んでいたため、支援は一時キャンセルとなった。その後対象児の怪我の状態を見つつボランティアと日程調整を行った。学校は少しずつ行くようになったが、もともと対象児なりの計画パターン(1日の流れや学校出席日、早退する日など)にこだわりがあり、怪我をしたという出来事によって、今までの計画パターンと合わず、新たな計画パターンに変わった。そのためボランティアとの支援日が合わずキャンセルが続いたと思われる。下校ボランティアへの意欲はあるため、対象児の計画に合わせて支援日をボランティアと調整を行いながら今後支援を継続していく。

【対象児F・男児:広汎性発達障害(ADHD・アスペルガー)・軽度精神発達遅滞(小学4年生)】

1.本人概要

1)生活状況

体調は良好であり、情緒面も安定している。2年程前にパニックが起きたが、現在は落ち着いている。非科学的なことや食べ物の話が好き。虫や猫、犬が苦手である。

2)コミュニケーションスキル

他者からの声かけに初めは恥ずかしがるが理解を示す。強いこだわりとして他者から触れられた箇所につば吐きや引掻きをすることもある。他者からの声かけには理解を示すが、反応が小さかったり返事がなかったりするが、良好な関係でない他者からの強制的な聞き返しは対象児を不安にさせることがある。意思表示も言語・非言語で行う。

3)登下校見守り等支援事業での支援方法

ポイントでの見守りを希望。歩行速度が速く下を向いて歩くため、危機管理が疎かになっている。交差点や細道の合流場所など車や自転車の飛び出しに注意・声かけを事前に行う。声かけも対象児の情緒面に配慮しながら支援を行う。

2.コーディネーターのアセスメント・支援介入状況

コーディネーターからの声かけに対しての返答は見られたが少し緊張していた。歩く速度は速く、下を向いて歩くことがあり、危険個所での注意が疎かになっていた。自宅近辺では道が細く車や自転車の交通量があるため、事前での声かけを行う。他者から触れられることの拒否反応の程度が認識不足のため、危険時の対処方法の検討が必要と思われる。

3.登下校見守り等支援事業実施

1)12月3日(水)下校:対象児F

2)徒歩:今まで通りの道順を通う(歩道に変更はできなかった。)タッチして別れる。

(ボランティアG:日誌/参考資料25参照)

■コーディネーター

平成20年12月3日(水)下校:支援時間15時40分~15時55分

B小学校から一人で下校し、合流地点よりボランティアが下校支援を行った。対象児の横にボランティア、後ろにコーディネーター(男性)、100m後方より別のコーディネーター(女性)が確認。祖母との合流地点までは、会話をしながら下校支援を行った。

支援終了後、ボランティア・コーディネーターにタッチをして祖母と自宅へ向かった。対象児は帰宅後、祖母を数回叩くなどした。通常と違った環境で対象児も混乱し、少々パニックを起こしたのではないかとの報告だった。祖母から「(ボランティアに)迎えに来られるのは嫌?」に対して「(うなずき)一人で帰る。一人の方がいい。」と意志表示があり、今後の支援について検討したいということで連絡があった。

4.登下校見守り等支援事業後の経過

保護者より連絡があり、今後の支援については全キャンセルとなった。支援終了後、対象児は合流場所で祖母と待ち合わせはせず、学校から自宅まで一人で自立下校が出来るようになり、今後は自立登校を目指したいとの報告を頂いた。

5.事業実施においての結果

対象児のパニックにおいて、対象児との関係・パーソナルスペースの認識不足、安全の為に通常使用している歩道とは逆の歩道を数回勧めたことに対し拒否が見られ、これに対して家族なら意思表できたのが、第三者の指示にストレスを感じたのではないかと考えられる。また、パニックを起こしたのが支援スタート前であり、支援継続を希望の場合、対象児が支援事体に拒否反応を示す可能性があったと思われた。

対象児の情緒面も考慮しつつ対処をし、もし拒否が見られた時には必ずフォローアップを行い、保護者にも支援前日・当日に声かけを行ってもらうことで対象児へのストレスも軽減すると思われる。また付添いではなくポイントでの見守りなどの支援方法を状況に応じて行うことで、今後の対処も迅速に行えると思われた。

今回の支援の結果として、自立下校が可能となったが個別での支援方法については、今後の課題となる。

menu