本事業に関して、支援対象児及び保護者のニーズ対応また、継続的な支援を行うために今後の展開における課題として以下のことが挙げられる。
①ボランティアの人員確保及び研修体制
②支援説明及び対象学校との連携
③連絡・支援体制の確立
④インフォーマルサービス(ボランティア)の普及と啓発
本事業実施においてボランティアは11名の申し込み中、10名で支援を行った。支援対象児6名に対してボランティアの人員対応が少数であったため、利用対象児及び保護者への利用ニーズに対応することが難しかった。
これにより、コーディネーターが支援に参加することで人員のフォローを行う状況だった。支援を行うボランティアの確保が重要であり、長期的な支援継続においては、市内の大学内で学生ボランティアのサークル活動として期間的な支援参加、また今後増える団塊の世代のボランティア募集・育成などの対応が求められる。
また、事前のニーズ調査結果や支援実施経過の中ではボランティアへの需要が高く求められ、留守番での見守りや一時預かりなど登下校以外でのボランティアの支援の要望もあった。
しかし、登下校時以外でのボランティア支援ではより質の高いボランティア育成が必要となるため、今後の活動の課題としても、現在の見守り支援を継続するための研修方法も対象となる児童の学校現場での様子を直に見ることで性格特徴や個性を知り、担任の先生からも話を聴くことで学校の状況も分かり、支援に入りやすくなる。
また、社会福祉協議会や障害福祉施設などで講習や研修のフォローアップを含め登下校見守り支援でのボランティア研修体制の強化を今後行うことが必要となる。上記の課題に取り組むことで支援の長期継続、インフォーマルサービスでの支援を行うことができると思われる。
インフォーマルサービスで移動支援を行うため、地域力が強く求められる。地域内の繋がりやボランティアと学校、対象児及び保護者とボランティアとの繋がりなど支援対象児を取り巻く環境の連携体制の整備を行う必要がある。情報を共有する事で、対象児個々への支援変更や状況に応じて迅速な対応ができる。
また、支援対象児が在籍する各学校及び学級の協力・連携を強めることが大きなサポートとなる。今回の事業説明では内容が伝わりにくく、支援が始まるまで保護者やボランティアに大きな不安を与えていた。そのため事前説明やオリエンテーションでは、デモンストレーションや実際の支援現場に同行するなど上記に挙げた連携体制の整備を行った上で、新規支援対象児及び保護者やボランティアに支援内容の説明を十分に行う必要がある。この課題に関しては行政のバックアップや保護者の協力により、今後の継続において円滑な移動支援が行えると思われる。
本事業ではボランティアによる障害児の登下校時の見守り支援であり、一時的あるいは突発的な状況や雨天時、支援キャンセル等での支援対応が円滑に行えなかったため、支援直前まで事業参加者へ不安を与えてしまった。
そのため、連絡・支援体制やニーズ状況に応じてサポートができるよう支援内容を事前に明確化しなくてはならないと思われた。また、保護者とボランティアとの連絡体制や、学校側とボランティアの連絡体制も強化することで、突発的な状況において迅速な対応ができ、利用ニーズへの対応・サポートができるようになるのではないかと思われる。
しかし、互いの関係性が築かれると、ボランティアへの需要も高くなると考えられた。実際に、ニーズ調査結果で登下校以外での支援要望があった。登下校時の見守り支援の延長として登下校時以外の支援は、支援対象児との関係を築くために行うことはできるが、登下校時以外の支援はインフォーマルサービスとしては難しく、ボランティアへの自己責任や支援能力が必要となる。
そのためにもインフォーマルサービスの支援内容を明確化し、支援体制の確立が必要となる。
インフォーマルサービスでのサービス提供は支援を行うボランティア及び保護者、対象児を取り巻く地域社会や学校側の協力が必要となる。現状として本市では“見守り隊”が大きな役割を果たしている。
しかし、定期的あるいは一時的に個々での支援を希望する保護者には、一対一での支援ができるサービス提供が必要とされる。そのためには地域社会でインフォーマルサービス及びボランティアの普及と啓発が求められる。これにより支援を希望する対象児の校区内でボランティア活動が少しずつ拡がることで人との繋がりが強まり、また長期的に支援を行うことができるのではないかと思われる。
また、現在での事業継続では組織的な繋がりと、大牟田市内で登下校見守り等移動支援がボランティア活動として位置づけをする必要がある。そのためには、地域自立支援協議会において関係機関を巻き込みながら地域に根ざし、行政のバックアップや学校側の協力によって参加するボランティアや利用児及び保護者の環境がより向上し、インフォーマルサービスとして今後大きく展開するものと思われる。