はじめに

 「目が見えない」ということは、日常生活を営む上で大きなハンディであり、その中でも「移動」と「読み書き」については決定的な二大不自由と言っても決して過言ではない。

 日本盲人会連合では、昭和23年(1948年)8月に結成されて以来、この点の解消を図るため、政府に対し積極的な運動を推進してきた。

 政府はこれを受けて昭和49年(1974年)度から身体障害者福祉法の地域活動促進費にガイドヘルパー事業をメニュー化し、平成15年(2003年)からは支援費制度として、更に平成18年(2006年)度からは障害者自立支援法を施行して、地域生活支援事業として移動支援事業とコミュニケーション事業を位置づけ、その推進に努めてきた。しかしながら両事業とも各自治体が実施主体となったことから、地域間に大きな格差を生じ、また使いにくさや費用負担、支給量など多くの問題を生じ混乱を招く結果となった。

 日本盲人会連合では、この問題を抜本的に解決するため、平成20年(2008年)度の事業として厚生労働省の研究費を受け、関係団体や事業所など関係各方面の協力を得て実態調査とアンケートを実施し、その結果を分析して移動支援事業とコミュニケーション支援事業のあり方を明らかにした。

 国連の決議に基づき、世界的規模で展開された1981年の国際障害者年の基本理念は「社会への完全参加と平等」となっており、また2008年5月3日から施行された「障害者権利条約」でも障害者の生きる権利が強く打ち出されている。

 本書がすべての視覚障害者にとって、一人の人間としてそれぞれの地域で自立した生活を営むことが出来るよう、また共生社会の実現に役立つことを願って止まない。

平成21年3月

社会福祉法人日本盲人会連合
会長 笹川 吉彦

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