芸術・文化活動は、楽しみながら、人や社会との交流を通じ、豊かな心を育むことができるかけがえのないものであり、ハンディキャップを有する障がい者にとって、生きがいとなり、また自己表現、自己実現の手段であるなど、重要な意味を持つものである。
また、近年、障がい者が創作する作品に対する、文化的・芸術的価値が注目されるようになってきた。障がい者が創作する絵画等の作品の中には、創造性の豊かな作品が多い。また、最近では、障がい者の美術作品を公募して展示・顕彰などを行う企業・自治体なども増え、社会的な関心も高まりつつある。
一方、障がい者の生活は総じて厳しく、いかに生活基盤を支えていくかということが、大きな社会的課題となっている。
こうした状況の下、障がい者が創作する、創造性豊かな作品が芸術的に評価され、それを市場に繋げるシステムを構築することにより、障がい者の就労を支援することはできないだろうか。
本懇話会は、このような趣旨で大阪府により設置されたものである。これまで5回にわたり真摯に議論を重ね、ここに提言という形で取りまとめた。
これは、行政や福祉、美術の関係者のみならず、多くの府民の理解と賛同を得て、創り上げ、育てていくべきテーマである。
「アートを活かした障がい者の就労支援」のための、今後の方向性を提案・発信することにより、障がい者の創作活動がより多様化し、また生き生きとしたものとなるよう取組む必要がある。