社会的ひきこもりよりそい支援事業の取り組みについて
~地域生活支援センターみずま~
社会的ひきこもりよりそい支援事業の取り組みについて
地域生活支援センターみずま

ひきこもりの実態は多彩
- ひきこもりという病名があるわけではありません。
- さまざまなタイプの人が、ストレスに対する対処として「ひきこもらざるをえない」状態になるのです。
- タイプが違えば対応も変わります。
ひきこもりの精神医学的背景
~大まかな3つのタイプ~
- 薬による治療が役に立つ群
- 統合失調症、うつ病、強迫性障害、不安性障害など
- 何らかの発達障害を背景とする群
- 広汎性発達障害、ADHD、学習障害、軽度知的障害など
- 「心のクセ」を背景とする群
- 性格の問題など
社会的ひきこもりの概念
さまざまな要因によって社会的な参加の場面がせばまり、就労や就学などの自宅以外での生活の場が長期にわたって失われている状態。
(by『10代・20代を中心とした「ひきこもり」をめぐる地域精神保健活動のガイドライン』厚生労働省H15.7.28)
社会的ひきこもりの基準
- 1.自宅を中心とした生活
- (外出していても家族以外の他者との親密な人間関係がない者)
- 2.就学・就労といった社会参加活動ができない・していないもの
- 3.以上の状態が6ヶ月以上続いている
- (6ヶ月未満でも、かつて長期のひきこもり期間のあったもの
※ただし、統合失調症やうつ病などの精神病圏の疾患を背景とした者、または中度以上の知的障害をもつ者は除く
相談内容(現状と希望)
○現在の状況
- コミュニケーションが苦手。
- 外出はコンビニ・本屋・レンタル等に行くだけ。
(散髪が苦手)
- 行く場所がほしい。
○希望
- 仕事をしたい・させたい。
- ひとり暮しをしたい。(将来の不安)
○来所時の様子
- 下をむいて顔を上げられない。
- コミュニケーションが苦手。
(雑談はできますか?)
- どうしたらよいかわからない。
- 困っている・・・。(なにで困ってるの?)
○訪問時の様子
○コミュニケーションが苦手
- 挨拶はできるのですが、そのあと話しかけられると何を話してよいのかわからずにパニックになってしまいます。それが怖くて外に出れなくなりました。
- ↓
- 挨拶のあとの会話について、パニックにならないよう準備して、そのときのひき出しを作りましょう!
- ↓
- “視線をそらすって何?”
→“誰も教えてくれませんでした!”
現在の活動
・グループ活動
個人活動として個々のニーズに合わせて活動。
SSTやパソコン教室
→ 生活の中の“なにかちがう”の具体化
→ その対応の準備
コミュニケーションって!?
1.自分を知ろう!
本人を取り巻く環境や情緒面にあわせて「できること・苦手なこと」を整理します。
⇒ できることや得意なこと、好きなことはそのまま伸ばしていったり、気分の切り替えにもなります。
⇒ 苦手なことは、どのようにしたら乗り越えられるか一緒に考えていきます。いつ、どこで、何に、誰に、なぜ、不安に感じたり、パニック(行動的には見えないが脳内パニックもあります)になるか知ることで、そうなる前に対策(見通し)をたてる練習をします。
2.コミュニケーション
例えば・・・
個々に応じた社会的ルールの明確化、視覚化、他者の視点を説明します。
視覚化とは・・・イラスト、写真、文字情報などからも手掛かりにします。
- 常識・暗黙の了解をひとつひとつスキルとして具体的に説明します。
- 語用論的意味理解の理解と使用を具体的に説明します。
3.具体的には
- 困っていることを聞いて、それに沿ったテーマを決めます。
※困っていることも漠然としているときは、一緒に具体的に考えてみましょう。
- 絵、写真、書かれた単語や文章などの視覚的な手がかりを用いて、会話の練習をしたり、説明をしたり、話し合いをします。
- 実際の場面でできたかどうか確認をします。
- できなかったとき、どうしたらよいか話し合います。
家族への支援
- 家族は日常の支援者
- 家族は一番の理解者
- 家族のストレス緩和
- ↓
- 家族の安定= 本人の安定
活動の成果
- 家族以外の人との会話による刺激。
- ひとりで外出できるようになった。
- 外出機会が増えた。(教習所・ジム)
- 電車に乗れるようになった。
- 電話・メールができるようになった。
- 理解してくれる人がいる安心。
- アルバイトをするようになった。
心がけていること!
- 本人のはなしをよく聞いてあげてください!
- 本人には、わかりやすい言葉で出来るだけ具体的に話してください!
- 視覚化をしてあげてください!
- 本人だって辛くて苦しい!(責めないで!)
- 両親のストレス対策も大切
最後に
- 相談できる場所は1つでも増やす。
- 家族の支えの大切さ!
- 本人もこのままではいけない!という思いがある。