2.工場で働く

油研工業株式会社 原 由紀男さん
技能講習修了証取得時期:2005年6月

会社の概要

 ”油研工業”は創業以来52年間、工場の生産設備や輸送機械などになくてはならない油圧機器のトップメーカーとして優れた製品を日本や世界に送り出しています。また油圧に関する技術を活かして生ゴミ圧縮分別機や自動ペットボトル減容器などの環境関連機器を開発して地球環境の保全とリサイクル促進にも役立っています。

原君の仕事の内容は

 今はホーニング盤と5軸のロボット高圧洗浄機を使って部品の穴加工と洗浄作業をしています。出荷の多いときは資材の搬送作業をフォークを使って半日やる日もあります。

フォークリフトの免許を取ろうと思ったきっかけは

 大きい資材などはフォークで持ってきてもらっていました。でも相手が忙しい時は頼んで出してもらわなくてはならず、いつも悪いな~と思(おも )っていて、自分でフォークを運転できるようになりたいと思っていました。

高圧洗浄機の前に立つ原由紀男さんの写真

免許取得で苦労したことは

 自分は漢字が苦手なので学科が大変でした。受講の前に2回ぐらい職場の係長さんに指導を受ました。でも学科 試験では見直しを指示されて気がついて直したのでぎりぎり合格できました。
 実技は会社のトルコン式フォークで練習させてもらって、教習所ではクラッチ式のフォークだったけど慣れればなんとかできるようになって実技試験も合格できました。

フォークで失敗したことは

 最初のころですけどリーチフォークで急ハンドルをきってひっくり返りそうになったり、重量オーバーしてお尻が浮いてしまいそうになったり、タイヤが砂利にはまって他のフォークを出して持ち上げてもらったこともありました。

 フォークリフトの免許をとって仕事に変化がありましたか

 フォークの運転は楽しいけど仕事だから責任も感じます。やっぱり仕事の幅が広がったっていうか、フォークをつかって他の仕事も頼まれたりしてやりがいが増えました。

会社の担当者のお話

 原君については、知的障害者ということだがほとんど(健常者と)同じ作業をしてもらっており、周囲に気を使って自分から動いてくれるので助かっています。本人の仕事ぶりを見ていると、本人から「極めたい」という言葉が出てくることからも、生きている場所を見つけようとしているようで、1人前に仕事をしたいという気持ちが伝わってきます。忍 耐力があるから教えれば育つ人だとと思っています。

 フォークの免許取得については、本人が取りたいのは知っていたが、歩行者よりもフォークが優先という職場の中で事故をおこしたら大変でどうしようかと迷っているうちに、本人が自分で教習所に申し込んできてしまいました。

 資格取得については、障害者について特にということは考えていないが、安全という面でクリアできるならばこれからも積極的にとらせていきたいと思っています。当社ではISO9001に準拠して決められた作業(14種類の認定業務)については資格所持者が作業することになっており、原君もロボット操作の特別教育、表面処理の社内資格を取得してその業務についてもらっています。また社内で事故もあったのでフォークの安全教育なども定期的にやっています。

原由紀男さんと会社担当者の写真

 原君のような人は人柄が良いので自然に周囲の援助が受けやすくなっています。仕事は人間関係なので周囲に溶け込める人ならいろいろなチャンスが自然に生まれてくるということでしょう。

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