第3章調査結果

 本章では、前章で示した2種類の調査(「施設利用者の就労意向に関する調査(A群)」と「施 設職員向け満足度(および施設概況調査)(B 群)」)について、集計結果を示す。

第1節 利用者調査結果

本節では、施設利用者の就労に対する考え方を明確にすることを目的に「施設利用者の就労意 向に関する調査」の集計結果の内容について述べる。

(1)属性

①性別

性別について尋ねたところ、「男性」が61.3%、「女性」が38.7%だった。

図表3-1-1回答者の性別

 
人数 12,518 7,906 20,424
61.3% 38.7% 100.0%

無回答は317人(有効回答数に対する無回答率は1.5%)

 

②回答者の利用している支援(障害別13 利用している支援について尋ねたところ、回答者全体のうち、「授産施設」が50.3%と最も高 かった。障害別に「就労移行支援」の利用割合をみると、精神障害者が16.7%と最も高かった。 なお、この傾向は図表2-4 で示した現時点で想定されるサービス種類別構成比とおおむね一致 しており、分析を進める上で支障がないと考えられる。


13 ここでの障害別は「身体障害者」「知的障害者」「精神障害者」を指す。以下同様。

 

 

図表3-1-2回答者の利用支援(障害別)

  授産施設 就労継支援B型 就労移行支援 就労移行支援14
(複数回答)
就労支援以外15
(複数回答)
身体障害 1,337 561 174 53 98 2,223
60.1% 25.2% 7.8% 2.4% 4.4% 100.0%
精神障害 878 1,234 456 69 98 2,735
32.1% 45.1% 16.7% 2.5% 3.6% 100.0%
知的障害 5,471 2,935 1,315 196 382 10,299
53.1% 28.5% 12.8% 1.9% 3.7% 100.0%
その他 26 18 15 1 5 65
40.0% 27.7% 23.1% 1.5% 7.7% 100.0%
重複障害 370 252 80 16 52 770
48.1% 32.7% 10.4% 2.1% 6.8% 100.0%
7,712 4,748 1,960 319 583 15,322
50.3% 31.0% 12.8% 2.1% 3.8% 100.0%

無回答は5,419人(有効回答数に対する無回答率は26.1%)

③年齢
年齢について尋ねたところ、回答者全体のうち30 歳代が26.4%と最も高く、20歳代の26.0% と合わせると全体の半数以上を占める結果となった。一方、60歳以上は8.3%だった。

図表3-1-3利用者の年齢別

  19 歳以下 20 歳-29 歳 30 歳-39 歳 40 歳-49 歳 50 歳-59 歳 60 歳以上
人数 964 5,145 5,223 3,783 3,016 1,642 19,773
4.9% 26.0% 26.4% 19.1% 15.3% 8.3% 100.0%

無回答は968 人(有効回答数に対する無回答率は4.7%)


14 「就労移行支援他(複数回答)」は就労移行支援の他に、授産施設、就労継続支援B 型のいずれかまた、 両方を利用していると回答していることをさす。以下、同じ定義で記載していく。
15 「就労移行支援以外(複数回答)」は就労移行支援を利用していると回答しておらず、授産施設、就労継 続支援B型、その他の支援のいずれかまた、複数を利用していると回答していることをさす。以下、同じ 定義で記載していく。

 

 

④現在の暮らし方
現在の暮らし方について尋ねたところ、回答者全体のうち、「家族と暮らしている」と回答し た人が64.6%、次いで施設(共同生活、グループホームなどを含む)の26.2%となっていた。

図表3-1-4現在の暮らし方

  一人暮らし 施設(共同生活) 家族 その他
人数 1,595 5,269 12,966 246 20,076
7.9% 26.2% 64.6% 1.2% 100.0%

無回答は665 人(有効回答数に対する無回答率は3.2%)

⑤将来の暮らし方
将来の暮らし方について尋ねたところ、回答者全体のうち、「今と同じでよい」と回答した人 が66.3%と、「暮らし方を変えたい」の33.7%に比べて高い結果となった。

図表3-1-5将来の暮らし方

  今と同じ 変えたい
人数 12,885 6,549 19,434
66.3% 33.7% 100.0%

無回答は1,307人(有効回答数に対する無回答率は6.3%)

⑥一人暮らしの希望度合い16
回答者の「一人暮らしの希望度合い」についてみると、回答者全体のうち、「一人暮らしをし たくない」と回答した人が半数を超えた。障害別にみると、知的障害者が63.7%と他の障害者 と比べて、「一人暮らしをしたくない」との回答割合が高い結果となった。一方、施設別17では、 授産施設が61.6%と最も高く、就労移行支援が51.5%と最も低い結果となった。他方、「一人暮 らしをしたい」については就労移行支援が41.8%と3 サービス施設で最も高い結果だった。

図表3-1-6 一人暮らしの希望度合い(上:障害別、下:施設別)

  一人暮らしをしたい 一人暮らしをしたくない 一人暮らしを辞めたい
身体障害 318 393 69 780
40.8% 50.4% 8.8% 100.0%
精神障害 476 602 224 1,302
36.6% 46.2% 17.2% 100.0%
知的障害 1,275 2,462 127 3,864
33.0% 63.7% 3.3% 100.0%
その他 14 16 4 34
41.2% 47.1% 11.8% 100.0%
重複障害 108 147 48 303
35.6% 48.5% 15.8% 100.0%
2,191 3,620 472 6,283
34.9% 57.6% 7.5% 100.0%

 

  一人暮らしをしたい 一人暮らしをしたくない 一人暮らしを辞めたい
授産施設 796 1,486 132 2,414
33.0% 61.6% 5.5% 100.0%
就労継続支援B型 540 860 186 1,586
34.0% 54.2% 11.7% 100.0%
就労移行支援 374 460 60 894
41.8% 51.5% 6.7% 100.0%
就労移行支援他(複数) 58 91 7 156
37.2% 58.3% 4.5% 100.0%
就労支援以外(複数) 62 119 23 204
30.4% 58.3% 11.3% 100.0%
1,830 3,016 408 5,254
34.8% 57.4% 7.8% 100.0%

無回答は、左表218 人、右表は155 人(有効回答数に対する無回答率はそれぞれ、3.4%、2.9%)


16 「一人暮らしの希望度合い」の変数の作り方は以下の通りである。
・将来の暮らし方を「変えたい」と回答した対象のみを集計し、下の条件に基づき回答群を設定した。
①「一人暮らしをしたい」
→現在の暮らし方を「一人暮らし」以外で、将来の暮らし方を「一人暮らし」と回答。
②「一人暮らしをしたくない」
→現在の暮らし方、将来の暮らし方いずれも「一人暮らし」以外と回答。
③「一人暮らしをやめたい」
→現在の暮らし方が「一人暮らし」で、将来の暮らし方を「一人暮らし」以外と回答。
17 ここでの施設別は「授産施設」「就労移行支援施設」「就労継続支援施設(B型)」を指す。以下同様。

⑦収入の状況
収入の状況について尋ねたところ、「いつも足りている」「いつも足りない」と両端に分かれる 結果となった。障害別にみると、身体障害者や精神障害者については「いつも足りている」よりも 「いつも足りない」と回答した割合が高かった一方、知的障害者は「いつも足りない」よりも「い つも足りている」と回答した割合が高い結果となった。

図表3-1-7利用者の収入の状況(障害別)

  いつも足りている 年に1~3 か月
足りない時がある
年に4~8 か月
足りない時がある
年に9~11 か月
足りない時がある
いつも足りない
身体障害 355 300 431 365 941 2,392
14.8% 12.5% 18.0% 15.3% 39.3% 100.0%
精神障害 340 401 461 485 1,205 2,892
11.8% 13.9% 15.9% 16.8% 41.7% 100.0%
知的障害 4,307 1,676 1,981 1,967 3,026 12,957
33.2% 12.9% 15.3% 15.2% 23.4% 100.0%
その他 18 13 24 12 23 90
20.0% 14.4% 26.7% 13.3% 25.6% 100.0%
重複障害 171 106 164 121 301 863
19.8% 12.3% 19.0% 14.0% 34.9% 100.0%
5,191 2,496 3,061 2,950 5,496 19,194
27.0% 13.0% 15.9% 15.4% 28.6% 100.0%

 無回答は1,547人(有効回答数に対する無回答率は7.5%)

⑧障害の程度
障害程度別18について尋ねたところ、回答者全体のうち、「中度」と回答した人が51.1%と最 も多く、次いで「重度」が31.3%であった。障害別には、精神障害者、知的障害者は全体の傾 向と同じだったが、身体障害者は「重度」が73.2%と「中度」の20.2%よりも割合が高い結果 となった19

図表3-1-8障害の程度別(障害別)

  軽度 中度 重度 もっていない
身体障害 123 467 1,697 30 2,317
5.3% 20.2% 73.2% 1.3% 100.0%
精神障害 501 1,643 160 418 2,722
18.4% 160.4% 5.9% 15.4% 100.0%
知的障害 1,266 5,204 2,305 192 8,967
14.1% 58.0% 25.7% 2.1% 100.0%
その他 0 0 0 24 24
0.0% 0.0% 0.0% 100.0% 100.0%
重複障害 56 306 502 13 877
6.4% 34.9% 57.2% 1.5% 100.0%
1,946 7,620 4,664 677 14,907
13.1% 51.1% 31.3% 4.5% 100.0%

無回答は5,834人(有効回答数に対する無回答率は28.1%)


18 利用者の障害の程度別については以下のように定義した。
軽度:身体障害者(身体障害者手帳が「5級」、「6級」)
   知的障害者(知的障害の手帳が「4度」、「C」、「B’」、「B1」、「B2」、「○B 」)
   精神障害者(精神障害の手帳が「3級」)
中度:身体障害者(身体障害者手帳が「3級」、「4級」)
   知的障害者(知的障害の手帳が「3度」、「B」、「A’」、「A2」、「○A 」)
   精神障害者(精神障害の手帳が「2級」)
重度:身体障害者(身体障害者手帳が「1級」、「2級」)
   知的障害者(知的障害の手帳が「1度」、「2度」、「A」、「A1」)
   精神障害者(精神障害の手帳が「1級」)

19 障害の程度に関しては、無回答率が28.1%であった。この点について、分析の際には一定の考慮が必要 である。

 

 

(2)会社との関わり方(就労に関する活動)
①就労活動に関連する経験の有無

就労活動に関連する経験として、「会社見学」「実習(雇用契約等を結ばない)」「求人票確認(施 設内で確認する場合を含む)」「求職登録(公共職業安定所に訪問し、実際の手続きを行うこと)」 「家族との話し合い(就労に関する事柄)」「施設職員との話し合い(就労に関する事柄)」「主治 医との話し合い20」「働いた経験」の有無について尋ねた。「家族との話し合い」「職員との話し 合い」は回答者全体のうち、それぞれ、55.4%、49.9%があると回答しており、半数近くが就労 について家族や職員と話し合いをしているという結果となった。
障害別にみると、精神障害者が身体障害者、知的障害者に比べて、割合が高い項目が多く見ら れた。一方、施設別にみた場合の回答結果の特徴としては、就労移行支援は各項目において経験 ありと回答している割合が他の施設に比べて高い結果となった。ただし、就労移行支援において も、「職員と話し合いをしたことがない」が22.1%みられ、また、「会社見学」をしたことがな いという就労移行支援利用者も51.9%と半数を超える結果となった。

図表3-1-9a就労活動に携わる経験の有無(障害別)

  会社見学 実習 求人票確認 求職登録 家族と話し合い 施設職員との話し合い 主治医との話し合い 働いた経験
身体障害 928 681 976 754 1,153 1,016 505 1,180
39.5% 29.4% 40.8% 31.5% 48.5% 43.0% 21.7% 49.9%
精神障害 1,088 1,041 2,048 1,483 2,004 1,774 1,730 2,464
37.9% 36.7% 70.8% 51.4% 69.1% 61.5% 60.1% 85.3%
知的障害 5,009 5,063 3,695 2,909 6,959 6,089 165 5,825
39.0% 39.4% 28.3% 22.4% 53.6% 48.4% 22.1% 44.7%
その他 37 33 35 26 49 52 41 64
42.5% 38.8% 38.5% 28.9% 55.1% 58.4% 50.6% 72.7%
重複障害 375 293 412 303 471 426 356 563
43.4% 34.4% 47.6% 35.4% 54.3% 50.1% 42.3% 65.9%
「ある」の回答者
合計
7,437 7,111 7,166 5,475 10,636 9,357 2,797 10,096
39.1% 37.5% 37.1% 28.5% 55.4% 49.9% 40.7% 52.5%
回答者数 19,034 18,952 16,060 15,875 19,202 18,767 6,871 19,223
無回答数 1,707 1,789 4,681 4,866 1,539 1,974 13,870 1,518
有効回答数に
対する無回答率
8.2% 8.6% 22.6% 23.5% 7.4% 9.5% 66.9% 7.3%

20 主に精神障害者を対象とした設問。したがって、知的障害者を対象とした調査票には本設問は含めてい ない。

 

 

図表3-1-9b障害の程度別(施設別)

  会社見学 実習 求人票確認 求職登録 家族と
話合い
施設職員との
話合い
主治医との
話合い
働いた経験
授産施設 2,813 2,610 1,746 2,418 3,833 3,245 883 3,642
36.3% 33.8% 30.9% 22.3% 49.1% 42.7% 32.5% 46.7%
就労継続支援
B型
1,974 1,839 2,180 1,615 2,848 2,452 1,035 2,950
40.4% 38.0% 44.0% 32.7% 57.8% 50.2% 43.9% 60.0%
就労移行支援 963 994 1,308 1,136 1,501 1,550 482 1,277
48.1% 49.8% 64.7% 56.5% 74.5% 77.9% 56.9% 63.4%
就労移行支援他
(複数)
142 136 178 156 224 211 71 180
44.8% 42.9% 56.2% 49.2% 70.7% 66.6% 22.4% 56.8%
就労支援以外
(複数)
250 227 256 179 380 301 106 350
40.7% 37.0% 41.7% 29.2% 61.9% 49.0% 17.3% 57.0%
「ある」の回答者
合計
6,142 5,806 6,340 4,832 8,786 7,759 2,577 8,399
39.4% 37.5% 40.2% 30.7% 56.0% 50.4% 40.5% 53.6%
回答者数 15,573 15,494 13,747 13,631 15,697 18,767 6,871 19,223
無回答数 5,168 5,247 6,994 7,110 5,044 1,974 13,870 1,518
有効回答数に
対する無回答率
24.9% 25.3% 33.7% 34.3% 24.3% 9.5% 66.9% 7.3%

 

 

②就労に対する家族の意見21
「家族との話し合いの経験がある」と回答した人に対して、(利用者の)就労に対する家族の 意見について尋ねたところ、回答者全体のうち、「応援してくれた」と回答した人が58.7%と半 数を超える結果だった。

図表3-1-10就労に対する家族の意見

  応援してくれた どちらかというと
応援してくれた
どちらとも
いえない
どちらかというと応援してくれなかった 応援してくれなかった
人数 6,085 1,680 1,792 355 456 10,368
58.7% 16.2% 17.3% 3.4% 4.4% 100.0%

無回答は335 人(有効回答数に対する無回答率は3.1%)

③就労に対する施設職員の意見22
「施設職員との話し合いの経験がある」と回答した人に対して、(利用者の)就労に対する施 設職員の意見について尋ねたところ、回答者全体のうち、「応援してくれた」と回答した人が 62.0%、「どちらかというと応援してくれた」が17.3%という結果となった。

図表3-1-11施設職員の考え

  応援してくれた どちらかというと
応援してくれた
どちらとも
いえない
どちらかというと応援してくれなかった 応援してくれなかった
人数 5,691 1,589 1,461 197 245 9,183
62.0% 17.3% 15.9% 2.1% 2.7% 100.0%

無回答は258人(有効回答数に対する無回答率は2.7%)

④就労に対する主治医の意見23
「主治医との話し合いの経験がある」と回答した人のうち、(利用者の)就労に対する主治医 の意見について尋ねたところ、「前向きだった」と回答した人が45.9%と最も高い結果だった。 ただし、上記の「家族の意見」や「施設職員の意見」に比べると、利用者の就労に対して前向 きな考えを持つ回答割合が低い結果となった。

図表3-1-12主治医の考え

  前向きだった どちらかというと
前向きだった
どちらともいえない どちらかというと
後ろ向きだった
後ろ向きだった
人数 1,282 657 624 156 76 2,795
45.9% 23.5% 22.3% 5.6% 2.7% 100.0%

無回答は58人(有効回答数に対する無回答率は2.0%)


21 就労に関して、家族と話し合いをしたことがあると回答した人のみを対象。
22 就労に関して、施設職員と話し合いをしたことがあると回答した人のみを対象。
23 就労に関して、主治医と話し合いをしたことがあると回答した人のみを対象。なお、この設問はA1 群の みの設問となっており、基本的に知的障害者は回答していない。

⑤働いた期間24
「働いた経験がある」と回答した人のうち、働いた期間について尋ねたところ、「1年以上」 と回答した人の割合が69.7%と半数を超える結果となった。

⑤図表3-1-13働いた期間

無回答は58 人(有効回答数に対する無回答率は0.6%)


24 働いたことがあると回答した人のみを対象。なお、当設問では、民間企業等での勤務経験を対象とした 設問であったが、福祉的就労を含めて勤務経験を回答している可能性があるため、その点、考慮が必要な 数値である。

  1か月以下 1か月から3か月 4か月から6か月 6か月から1年 1年以上
人数 780 769 573 821 6,763 9,706
8.0% 7.9% 5.9% 8.5% 69.7% 100.0%

(3)就労に対する考え方について

①就労がプラスとなるか否かについての考え
就労に対する考え方について尋ねたところ、回答者全体のうち、半数以上が働くことが「プラ スになると思う」と回答した。「プラスになると思う」と回答した人について、障害別にみると、 精神障害者が73.3%と最も高く、次が身体障害者で52.3%と続いた。
一方、「プラスになると思う」と回答した人について、施設別にみると、授産施設が49.3%で、 就労移行支援が75.0%となった。

図表3-1-14就労がプラスとなるか否かについての考え(上:障害別、下:施設別)

  プラスになるとは思わない どちらともいえない プラスになると思う
身体障害 303 803 1,214 2,320
13.1% 34.6% 52.3% 100.0%
精神障害 141 632 2,119 2,892
4.9% 21.9% 73.3% 100.0%
知的障害 1,941 4,076 6,295 12,312
15.8% 33.1% 51.1% 100.0%
その他 6 25 57 88
6.8% 28.4% 64.8% 100.0%
重複障害 90 260 493 843
10.7% 30.8% 58.5% 100.0%
2,481 5,796 10,178 18,455
13.4% 31.4% 55.2% 100.0%

 

  プラスになるとは思わない どちらともいえない プラスになると思う
授産施設 1,225 2,540 3,661 7,426
16.5% 34.2% 49.3% 100.0%
就労継続支援B型 496 1,498 2,851 4,845
10.2% 30.9% 58.8% 100.0%
就労移行支援 116 388 1,509 2,013
5.8% 19.3% 75.0% 100.0%
就労移行支援 他(複数) 26 71 220 317
8.2% 22.4% 69.4% 100.0%
就労移行支援 以外(複数) 73 219 322 614
11.9% 35.7% 52.4% 100.0%
1,936 4,716 8,563 15,215
12.7% 31.0% 56.3% 100.0%

無回答は、左表2,286 人、右表は5,526 人(有効回答数に対する無回答率はそれぞれ、11.0%、26.6%)

 

②就労に対する不安
就労に対する不安の有無について尋ねたところ、回答者全体のうち、「不安がある」と回答し た人が全体の半数を超える結果だった。一方、「不安はない」は全体の2 割弱であった。また、 不安がある」と回答した人について、障害別にみると、精神障害者が73.8%と最も高く、次い で身体障害者が61.9%で続いた。
一方、「不安がある」と回答した人について、施設別にみると、就労移行支援が65.0%と最も 高い結果だった。

図表3-1-15就労に対する不安(上:障害別、下:施設別)

  不安はない どちらともいえない 不安がある
身体障害 336 550 1,441 2,327
14.4% 23.6% 61.9% 100.0%
精神障害 305 452 2,130 2,887
10.6% 15.7% 73.8% 100.0%
知的障害 2,676 2,594 7,124 12,394
21.6% 20.9% 57.5% 100.0%
その他 25 22 39 86
29.1% 25.6% 45.3% 100.0%
重複障害 110 135 590 835
13.2% 16.2% 70.7% 100.0%
3,452 3,753 11,324 18,529
18.6% 20.3% 61.1% 100.0%

 

  不安はない どちらともいえない 不安がある
授産施設 1,301 1,480 4,678 7,459
17.4% 19.8% 62.7% 100.0%
就労継続支援B型 793 952 3,085 4,830
16.4% 19.7% 63.9% 100.0%
就労移行支援 342 363 1,309 2,014
17.0% 18.0% 65.0% 100.0%
就労移行支援 他(複数) 53 67 198 318
16.7% 21.1% 62.3% 100.0%
就労移行支援 以外(複数) 117 100 383 600
19.5% 16.7% 63.8% 100.0%
2,606 2,962 9,653 15,221
17.1% 19.5% 63.4% 100.0%

無回答は、左表2,212 人、右表は5,520 人(有効回答数に対する無回答率はそれぞれ、10.7%、26.6%)

 ここで、「①就労がプラスとなるか否かについての考え」と「②就労に対する不安」の施設別 の回答傾向を見てみると、「①就労がプラスとなるか否かについての考え」で「プラスになる」 と回答している割合は就労移行支援が75.0%であったのに対し、授産施設49.3%、就労継続支 援B 型58.8%であった。一方、「②就労に対する不安」で「不安がある」と回答している割合は 就労移行支援が65.0%であったのに対し、授産施設62.7%、就労継続支援B 型63.9%とほぼ同 程度の比率であった。
 つまり、就労移行支援では働くことをプラスと考えた上で、不安を感じているのに対し、授産 施設、就労継続支援B型では、働くことをプラスと感じていないが、不安を感じているという傾 向があると考えられる。これを解釈すると、就労移行支援では比較的就労の現場がイメージしや すい傾向にあるため、「プラス面」「不安面」を同時に感じることができるが、授産施設、就労継 続支援B型ではそういう機会が少ないため、前述のような傾向が出ている可能性がある。

 

③就労意向25
 就労への希望度合いについて尋ねたところ、回答者全体のうち、「ぜひ、働きたい」と回答し た人が29.0%と最も多く、次いで「できたら、働きたい」が25.2%と続いており、両者合わせ ると54.2%と半数以上の利用者が就労に対して前向きな姿勢であることが示された。
障害別にみると、就労に前向きな姿勢が特に強かったのが精神障害者(69.0%)で全体の7 割近くを占める結果となった。反面、身体障害者は49.5%と半数以下の結果となった。
他方、施設別にみると、就労移行支援に関しては、「ぜひ、働きたい」が50.2%、「できたら 働きたい」が30.2%であり、就労移行支援の利用者のうち、80.4%が就労に対して前向きの姿 勢であることが示された。また、就労支援継続B型も53.8%と半数を超える結果だった。他方、 授産施設に関しては、48.0%と半数を割り込む結果であった。

図表3-1-16a 就労意向 (障害別)

  ぜひ、働きたい できたら、働きたい どちらともいえない あまり、働きたくない ぜったい、働きたくない
身体障害 492 657 657 297 218 2,321
21.2% 28.3% 28.3% 12.8% 9.4% 100.0%
精神障害 1,084 899 536 254 101 2,874
37.7% 31.3% 18.6% 8.8% 3.5% 100.0%
知的障害 3,571 2,889 2,721 1,584 1,706 12,471
28.6% 23.2% 21.8% 12.7% 13.7% 100.0%
その他 36 20 16 8 8 88
40.9% 22.7% 18.2% 9.1% 9.1% 100.0%
重複障害 211 221 215 114 73 834
25.3% 26.5% 25.8% 13.7% 8.8% 100.0%
5,394 4,686 4,145 2,257 2,106 18,588
29.0% 25.2% 22.3% 12.1% 11.3% 100.0%

無回答は2,153人(有効回答数に対する無回答率は10.4%)

 


25 障害別、施設別のクロス集計結果を提示している。単純集計結果では、「ぜひ働きたい」5,453名(29.1%)、 「できたら、働きたい」4,714 名(25.1%)、「どちらともいえない」4,181名(22.3%)、「あまり働きたく ない」2,280 名(12.2%)、「ぜったい、働きたくない」2,121名(11.3%)であった。なお、有効回答数に 対する無回答数は1,992名であり無回答率は9.6%であった。

図表3-1-16b 就労意向 (施設別)

  ぜひ、働きたい できたら、働きたい どちらともいえない あまり、働きたくない ぜったい、働きたくない
授産施設 1,804 1,788 1,825 1,066 1,010 7,493
24.1% 23.9% 24.4% 14.2% 13.5% 100.0%
就労継続支援B型 1,296 1,298 1,149 639 439 4,821
26.9% 26.9% 23.8% 13.3% 9.1% 100.0%
就労移行支援 1,010 607 244 92 60 2,013
50.2% 30.2% 12.1% 4.6% 3.0% 100.0%
就労移行支援他(複数) 130 89 52 30 12 313
41.5% 28.4% 16.6% 9.6% 3.8% 100.0%
就労移行支援以外(複数) 162 149 138 78 78 605
26.8% 24.6% 22.8% 12.9% 12.9% 100.0%
4,402 3,931 3,408 1,905 1,599 15,245
28.9% 25.8% 22.4% 12.5% 10.5% 100.0%

無回答は5,496人(有効回答数に対する無回答率は26.5%)

 

(4)働きたいと考える場面
就労に関するいくつかの場面を想定して、どのような時に働きたいかを、利用者に尋ねた。具 体的には、「利用者の仲間が就労した時」「支援者により就労を進められた時」「会社の社員と話 をした時」「会社で実習をした時」「家族から就労を勧められた時」「映像を見たとき」と6パタ ーンを設定した。
結果についてみると、「働きたいと考える」回答者の割合が最も高かった場面としては「施設 仲間の就労」で回答者全体のうち、36.3%が働きたいと考えるという結果だった。
障害別にみると、精神障害者は他の障害と比較して、どのケースにおいても「働きたい」と考 える人の割合が高い結果となった。一方、施設別にみると、就労移行支援利用者が他の施設利用 者と比べると「働きたい」と考える人の割合が高いケースが多くみられた。

図表3-1-17a 働きたいと考える場面(障害別)

  施設仲間の就労 支援者による就労の勧め 会社の社員との会話 会社での実習 家族からの就労の勧め 障害者が働く映像の視聴
身体障害 681 610 537 432 542 710
30.3% 27.5% 24.5% 20.1% 24.7% 32.4%
精神障害 1,274 1,247 1,055 834 1,163 1,193
44.7% 44.1% 37.3% 30.2% 41.2% 42.3%
知的障害 4,366 3,984 3,444 3,169 3,645 3,796
35.5% 32.9% 29.1% 27.0% 30.5% 31.8%
その他 34 33 26 24 31 26
39.1% 38.4% 31.3% 28.9% 37.8% 31.3%
重複障害 285 255 231 226 257 282
34.7% 31.4% 29.2% 28.6% 32.2% 35.2%
「考える」の回答者合計 6,640 6,129 5,293 4,685 5,638 6,007
36.3% 33.9% 29.8% 26.7% 31.6% 33.7%
有効回答数 18,303 18,054 17,734 17,520 17,866 17,826
無回答 2,438 2,687 3,007 3,221 2,875 2,915
有効回答数に対する無回答率 11.8% 13.0% 14.5% 15.5% 13.9% 14.1%

 

図表3-1-17b 働きたいと考える場面(施設別)

  施設仲間の就労 支援者による就労の勧め 会社の社員との会話 会社での実習 家族からの就労の勧め 障害者が働く映像の視聴
授産施設 2,391 2,119 1,879 1,652 1,930 2,195
32.3% 28.9% 26.2% 23.2% 26.7% 30.4%
就労継続支援B型 1,685 1,604 1,370 1,180 1,473 1,613
35.2% 33.9% 29.3% 25.6% 31.4% 34.4%
就労移行支援 1,102 1,090 926 833 976 998
55.4% 55.4% 47.3% 43.4% 49.9% 50.7%
就労移行支援他(複数) 153 151 126 111 139 140
48.3% 47.6% 39.7% 35.0% 43.8% 44.2%
就労移行支援以外(複数) 208 201 160 145 162 186
33.9% 32.7% 26.1% 23.6% 26.4% 30.3%
「考える」の回答者合計 5,539 5,165 4,461 3,921 4,680 5,132
36.7% 34.6% 30.3% 27.0% 31.6% 34.7%
有効回答数 15,097 14,934 14,702 14,533 14,787 14,777
無回答 5,644 5,807 6,039 6,208 5,954 5,964
有効回答数に対する無回答率 27.2% 28.0% 29.1% 29.9% 28.7% 28.8%

 

(5)現在利用している施設に対する満足度
現在利用している施設の満足感を測定するため、「仕事内容や訓練内容」「工賃」「施設仲間と の交流」「施設職員対応」に関する満足度26について尋ねた。 最も満足度が高かった項目は「施設職員の対応」で全回答者のうち、76.1%であった。一方、 「工賃」については47.2%と他項目に比べると満足している割合が低い結果となった。 なお、障害別にみると、4項目中3項目で知的障害者が他の障害よりも満足度が高くなってい た。

図表3-1-18現在利用している施設に対する満足度 (障害別)

  仕事内容や訓練内容 工賃 施設仲間との交流 施設職員の対応
身体障害 1,537 705 1,439 1,558
64.2% 29.8% 60.5% 65.3%
精神障害 2,146 951 1,954 2,345
74.1% 33.2% 67.9% 81.2%
知的障害 10,222 6,999 9,165 9,993
77.9% 54.2% 70.7% 80.9%
その他 63 38 58 72
71.6% 46.3% 66.7% 80.9%
重複障害 634 319 559 660
73.3% 37.0% 65.2% 76.5%
14,602 9,012 13,175 14,628
75.4% 47.2% 68.7% 76.1%
無回答数 6,139 11,729 7,566 6,113
有効回答数に対する無回答率 29.6% 56.5% 36.5% 29.5%

26ここでの満足度は「満足している」もしくは「どちらかというと満足している」と回答した人のみを集計 した数値である。

 

(6)普段の生活態度
 普段の生活態度(日常生活におけるルールやマナー等が身に付いているか否か)27について尋 ねたところ、各項目とも「行っている」と回答した人の割合が半数を超えた。特に「交通ルール」 は回答者全体のうち、「まもっている」と回答した人が83.9%と全項目間で最も高かった。
 ただし、障害別にみると、項目によってばらつきがみられた。たとえば、「施設を休むときの 自分で連絡」では、「いつも自分で連絡している」と回答した人が知的障害者で38.9%と身体障 害者(74.5%)や精神障害者(88.8%)に比べると低い結果となった。また、「遅刻をしない」 との項目についても、「遅刻はしない」と回答した人が精神障害者では47.3%と他の障害者に比 べると低い結果となった。一方、施設別にみると、「あいさつ」など多くの項目で就労移行支援 が他のサービス施設よりも「行っている」と回答した割合が高かった。

図表3-1-19a 普段の生活態度について(障害別)

  施設を休む時の自分での連絡 時間内の作業終了 遅刻をしない あいさつ 普段の生活(服装) 交通ルール 普段の生活(金銭管理)
身体障害 1,740 1,710 1,399 1,584 1,850 2,090 1,770
74.5% 72.5% 59.0% 66.1% 77.2% 87.4% 73.4%
精神障害 2,500 1,868 1,359 1,805 2,014 2,288 2,073
88.8% 65.3% 47.3% 62.5% 69.9% 79.4% 72.0%
知的障害 4,886 9,000 8,378 8,552 10,230 11,129 6,406
38.9% 70.7% 64.6% 64.3% 77.4% 84.4% 49.0%
その他 59 55 57 61 74 77 59
70.2% 65.5% 66.3% 70.1% 83.1% 87.5% 65.6%
重複障害 576 585 451 559 602 691 523
69.0% 68.9% 53.3% 65.0% 69.8% 80.3% 60.3%
脚注26の回答をした者の合計 9,761 13,218 11,644 12,561 14,770 16,275 10,831
52.4% 70.0% 60.8% 64.3% 76.0% 83.9% 56.0%
無回答数 2,378 1,856 1,594 1,204 1,300 1,335 1,417
有効回答数に対する無回答率 11.5% 8.9% 7.7% 5.8% 6.3% 6.4% 6.8%

 


27 各項目による集計方法は以下の通りである。
①施設を休むときの自分で連絡・・・「いつも自分で連絡している」と回答した人のみ集計。
②時間内の作業終了・・・「終わっている」と回答した人の集計。
③遅刻をしない・・・「遅刻はしない」と回答した人のみ集計。
④あいさつ・・・「あいさつをしている」と回答した人のみ集計。
⑤普段の生活(服装)・・・「いつも清潔だ」と回答した人のみ集計。
⑥交通ルール・・・「まもっている」と回答した人のみ集計。
⑦普段の生活(金銭管理)・・・「している」と回答した人のみ集計。

 

図表3-1-19b 普段の生活態度について(施設別)

  施設を休むときの自分での連絡 時間内の作業終了 遅刻をしない あいさつ 普段の生活(服装) 交通ルール 普段の生活(金銭管理
授産施設 3,708 5,446 4,670 4,873 5,973 6,569 4,182
49.6% 71.3% 60.8% 61.8% 75.7% 84.1% 53.2%
就労継続支援B型 2,854 3,443 2,940 3,239 3,716 4,140 2,924
58.6% 70.6% 59.6% 65.6% 75.2% 83.7% 59.4%
就労移行支援 1,277 1,292 1,199 1,360 1,569 1,692 1,276
65.3% 65.4% 60.3% 67.9% 78.5% 84.8% 64.2%
就労移行支援他(複数) 196 218 183 202 250 278 197
61.8% 68.8% 57.7% 63.7% 78.9% 87.7% 62.1%
就労移行支援以外(複数) 332 387 339 405 473 510 362
54.1% 63.0% 55.2% 66.0% 77.0% 83.1% 59.0%
脚注26 の回答をした者の合計 8,367 10,786 9,331 10,079 11,981 13,189 8,941
55.0% 69.9% 60.0% 63.9% 75.9% 84.0% 56.9%
無回答数 5,516 5,321 5,191 4,969 4,959 5,036 5,031
有効回答数に対する無回答率 26.6% 25.7% 25.0% 24.0% 23.9% 24.3% 24.3%

 

(7)就労意向28
 就労意向について尋ねたところ、回答者全体のうち、「ぜひ、はたらきたい」と回答した人が 32.8%と最も多く、次いで「チャンスがあれば、はたらきたい」が30.7%と続いた。ゆえに、 回答者数の63.5%が就労に対して前向きに考えていることが示唆された。  一方、就労に対して後ろ向きな考え方を持つ人は14.1%(「必要がなければ、はたらきたくな い」が6.7%、「一切、はたらきたくない」が7.4%)にとどまった。

 

図表3-1-20就労意向(障害別)

  ぜひ、 はたらきたい チャンスがあれば、はたらきたい どちらともいえない 必要がなければ、はたらきたくない 一切、はたらきたくない
身体障害 702 798 586 158 126 2,370
29.6% 33.7% 24.7% 6.7% 5.3% 100.0%
精神障害 1,018 1,113 479 189 66 2,865
35.5% 38.8% 16.7% 6.6% 2.3% 100.0%
知的障害 4,173 3,583 2,980 842 1,153 12,731
32.8% 28.1% 23.4% 6.6% 9.1% 100.0%
その他 39 23 13 7 7 89
43.8% 25.8% 14.6% 7.9% 7.9% 100.0%
重複障害 262 279 198 64 46 849
30.9% 32.9% 23.3% 7.5% 5.4% 100.0%
6,194 5,796 4,256 1,260 1,398 18,904
32.8% 30.7% 22.5% 6.7% 7.4% 100.0%

無回答は1,837 人(有効回答数に対する無回答率は8.9%)

 


28 障害別、施設別のクロス集計結果を提示している。単純集計結果では、「ぜひ働きたい」6,271名(32.9%)、 「チャンスがあれば、働きたい」5,844名(30.6%)、「どちらともいえない」4,286名(22.5%)、「必要が なければ、働きたくない」1,271名(6.7%)、「一切、働きたくない」1,411名(7.4%)であった。なお、 有効回答数に対する無回答数は1,658 名であり無回答率は8.0%であった。

 

(8)就労に対する希望度合いについての独立性テスト
今回の調査票に関しては「就労に対する希望度合い」の設問を2つ設けた29。この意図として は質問紙回答者が適当に回答をしていないかどうかのチェックのするためである。
2 つの設問の回答についてカイ二乗検定を行ったところ、結果はχ2=7748.169、自由度16 と 5%水準で有意となり、2変数間に関係がないとは言えないことが示された。したがって、就労 に対する希望度合いの回答は信頼性があると考えられる。

 

図表3-1-21 2変数(就労についての希望度合い)のクロス集計

  ぜひ、はたらきたい チャンスがあれば、はたらきたい どちらともいえない 必要がなければ、はたらきたくない 一切、はたらきたくない
ぜひ、働きたい 3,921 1,173 151 45 55 5,345
できたら、働きたい 1,085 2,973 431 83 34 4,606
どちらともいえない 444 1,017 2,254 210 119 4,044
あまり、働きたくない 225 304 776 627 267 2,199
ぜったい、働きたくない 306 173 427 266 849 2,021
合計 5,981 5,640 4,039 1,231 1,324 18,215

無回答は2,526人(有効回答数に対する無回答率は12.2%)

 


29 具体的には、利用者意識調査の調査票の設問5の(3)と設問8を指す。

 

(9)記入者
記入者についてみると、回答者全体の67.7%が、「自分」で記入していた。障害別にみると、 精神障害者は98.2%が「自分」で質問紙を記入していたが、知的障害者は59.0%と全体の6 割 弱であった。

図表3-1-22記入者

  自分 代理記入
身体障害 1,857 576 2,433
76.3% 23.7% 100.0%
精神障害 2,832 52 2,884
98.2% 1.8% 100.0%
知的障害 8,023 5,565 13,588
59.0% 41.0% 100.0%
その他 70 19 89
78.7% 21.3% 100.0%
重複障害 684 199 883
77.5% 22.5% 100.0%
13,466 6,411 19,877
67.7% 32.3% 100.0%

無回答は864人(有効回答数に対する無回答率は4.2%)

 

第2節 施設・職員調査結果

 本節では、「施設職員の就労に関する調査(および施設概況調査)(B 群)」の集計結果内容に ついて述べる。

第1項 施設概況に関する調査

(1)属性

①設置主体(単一回答)

 本調査に回答した各施設の設置主体について尋ねたところ、全回答のうち、「社会福祉法人」 との回答が67.6%と全体の3 分の2 を占めており、以下、「自治体(都道府県・市区町村)」が 14.8%、「特定非営利活動法人」が12.2%と続いた。

図表3-2-1設置主体

  自治体(都道府県・市町村) 社会福祉法人 財団法人/社団法人 事業団 医療法人 特定非営利活動法人 任意団体 その他
授産施設 63 279 3 1 5 7 2 1 361
17.5% 77.3% 0.8% 0.3% 1.4% 1.9% 0.6% 0.3% 100.0%
就労継続支援B 型 31 127 2 0 5 72 2 6 245
12.7% 51.8% 0.8% 0.0% 2.0% 29.4% 0.8% 2.4% 100.0%
就労移行支援 16 75 1 2 4 10 0 4 112
14.3% 67.0% 0.9% 1.8% 3.6% 8.9% 0.0% 3.6% 100.0%
就労移行支援兼務 17 101 0 2 4 16 2 1 143
11.9% 70.6% 0.0% 1.4% 2.8% 11.2% 1.4% 0.7% 100.0%
127 582 6 5 18 105 6 12 861
14.8% 67.6% 0.7% 0.6% 2.1% 12.2% 0.7% 1.4% 100.0%

無回答は64人(有効回答数に対する無回答率は6.9%)

 

②経営(運営)主体(単一回答)
回答各施設の経営(運営)主体について尋ねたところ、回答施設全体のうち、「社会福祉法人」 が77.0%と最も多かった。
施設別30にみると、授産施設、就労継続支援B型、就労移行支援いずれも「社会福祉法人」が 半数を超える結果となった。特に「授産施設」に関しては、89.0%が「社会福祉法人」だった。
また、就労継続支援B 型の31.0%が、「特定非営利活動法人」を経営主体としており、他のサ ービス施設に比べると当該法人形態が経営を行っている割合が高かった。

図表3-2-2経営主体

  自治体(都道府県・市町村) 社会福祉法人 財団法人/社団法人 事業団 医療法人 特定非営利活動法人 任意団体 その他
授産施設 8 324 4 12 5 9 1 1 364
2.2 89.0% 1.1% 3.3% 1.4% 2.5% 0.3% 0.3% 100.0%
就労継続支援B 型 6 147 2 1 6 80 2 8 252
2.4% 58.3% 0.8% 0.4% 2.4% 31.7% 0.8% 3.2% 100.0%
就労移行支援 5 83 1 3 4 10 0 5 111
4.5% 74.8% 0.9% 2.7% 3.6% 9.0% 0.0% 4.5% 100.0%
就労移行支援兼務 1 114 1 1 4 18 1 0 140
0.7% 81.4% 0.7% 0.7% 2.9% 12.9% 0.7% 0.0% 100.0%
20 668 8 17 19 117 4 14 867
2.3% 77.0% 0.9% 2.0% 2.2% 13.5% 0.5% 1.6% 100.0%

無回答は58人(有効回答数に対する無回答率は6.3%)


30 第3章第1項と同様に、ここでの3サービス施設は「授産施設」「就労移行支援施設」「就労継続支援B 型」を指している。なお、「就労移行兼務」に関しては、サービスが重複しており、サービス施設による厳 密に比較が困難なことなどから、本調査では他の施設との比較は行っていない。以下同様。

 

③提供している障害者関連サービス(複数回答)
各施設が提供している障害者関連サービスについて尋ねたところ、回答施設全体のうち、「日 中支援活動」と回答した施設が63.0%と最も多く、次いで、「居住支援」の62.2%であった。施 設別にみると、授産施設については「居住支援」を行っている施設の割合が65.2%と最も高い 一方、就労継続支援B型や就労移行支援では「日中支援活動」を行っている施設の割合がそれぞ れ、72.9%、77.1%と最も高い結果となった。

図表3-2-3提供する障害者関連サービス

  訪問・通所サービス 日中支援活動 居住支援 日常生活・相談支援 その他 回答数
授産施設 116 161 212 146 57 692 325
35.7% 49.5% 65.2% 44.9% 17.5%   100.0%
就労継続支援B 型 66 164 110 81 36 457 225
29.3% 72.9% 48.9% 36.0% 16.0%   100.0%
就労移行支援 26 81 74 54 19 254 105
24.8% 77.1% 70.5% 51.4% 18.1%   100.0%
就労移行支援兼務 44 93 97 77 26 337 137
32.1% 67.9% 70.8% 56.2% 19.0%   100.0%
252 499 493 358 138 1,740 792
31.8% 63.0% 62.2% 45.2% 17.4%   100.0%

無回答は133 人(有効回答数に対する無回答率は14.4%)

 

④その他の提供サービス(障害者関連以外のサービス) (複数回答)
その他のサービス(障害者関連以外のサービス)の提供状況について尋ねたところ、回答全体 のうち、「高齢者関連福祉」サービスを提供していると回答した施設が17.9%と最も高く、次い で「障害児関連」サービスが16.6%となっていた。
施設別にみると、授産施設では「高齢者関連福祉」を行っている割合が17.9%と最も高かっ た一方、就労継続支援B 型は「障害児関連」を行っている割合が16.7%と最も高かった。なお、 就労移行支援については、「高齢者関連福祉」「障害児関連」いずれも19.8%と同数だった。

図表3-2-4その他の提供サービス(障害者関連以外のサービス)

  高齢者関連福祉 障害児関連 医療関連 その他 回答数
授産施設 59 52 26 36 173 329
17.9% 15.8% 7.9% 10.9%   100.0%
就労継続支援B 型 36 38 8 19 101 227
15.9% 16.7% 3.5% 8.4%   100.0%
就労移行支援 21 21 9 10 61 106
19.8% 19.8% 8.5% 9.4%   100.0%
就労移行支援兼務 27 22 10 19 78 139
19.4% 15.8% 7.2% 13.7%   100.0%
143 133 53 84 413 801
17.9% 16.6% 6.6% 10.5%   100.0%

無回答は124 人(有効回答数に対する無回答率は13.4%)

 

⑤施設の職員数
施設の職員数について尋ねたところ、1施設あたりの平均値は14.1 人だった。
施設別には、授産施設が17.5 人と最も多く、就労移行支援が15.6 人、就労継続支援B 型が
8.6 人であった。なお、利用者定員により施設内に配置すべき職員数が決まっているため、定員 数のばらつきが大きい授産施設で、標準偏差が大きくなっている。

図表 3-2-5 施設の職員数

  施設数(件) 平均値(人) 標準偏差
授産施設 371 17.5 67.02
就労継続支援B 型 257 8.6 8.05
就労移行支援 110 15.6 13.25
就労移行支援兼務 147 13.9 15.85
885 14.1 44.45

無回答は40人(有効回答数に対する無回答率は4.3%)

 

⑥(各障害者サービス事業31)に従事している職員数
各施設において障害者サービスに従事している職員数について尋ねたところ、1施設あたりの 平均値は8.9 人だった。
施設別には、授産施設が11.0 人と最も多く、次いで、就労移行支援の8.4 人、就労継続支援 B型の6.0 人と続いた。

図表 3-2-6 事業に従事している職員数

  施設数(件) 平均値(人) 標準偏差
授産施設 363 11.0 8.04
就労継続支援B 型 253 6.0 14.15
就労移行支援 106 8.4 7.63
就労移行支援兼務 145 8.9 7.16
867 8.9 10.25

無回答は58人(有効回答数に対する無回答率は6.3%)

 

⑦就労援助(支援)を担当している職員数
就労援助(支援)を担当している職員数について尋ねたところ、1施設あたりの平均値は3.3 人だった。施設別にみると、授産施設が3.6人と最も多く、以下、就労移行支援が3.3 人、就労 継続支援B 型が2.8 人と続いた。

図表 3-2-7 就労援助(支援)を担当している職員数

  施設数(件) 平均値(人) 標準偏差
授産施設 353 3.6 3.92
就労継続支援B 型 251 2.8 2.43
就労移行支援 112 3.3 3.61
就労移行支援兼務 146 3.4 3.04
862 3.3 3.37

無回答は63人(有効回答数に対する無回答率は6.8%)


31 障害者サービス事業は「授産施設」「就労継続支援B型」「就労移行支援」の3種類を指す。

 

⑧(⑦の職員数のうち)職場適応援助者(ジョブコーチ)の資格を有する職員数
就労援助(支援)に携わっている職員のうち、職場適応援助者(ジョブコーチ)の資格を有す る職員数について尋ねたところ、1施設あたりの平均値は0.17 人であった。施設別にみると、 就労移行支援が0.32 人と最も多かった。

図表 3-2-8 職場適応援助者(ジョブコーチ)の資格を有する職員数

  施設数(件) 平均値(人) 標準偏差
授産施設 356 0.14 0.53
就労継続支援B 型 251 0.06 0.38
就労移行支援 113 0.32 0.57
就労移行支援兼務 148 0.31 0.65
868 0.17 0.53

無回答は57人(有効回答数に対する無回答率は6.2%)

 

⑨就労支援担当職員の就労支援業務への専従/兼務状態
就労支援担当職員の就労支援業務への専従/兼務状態について尋ねたところ、回答施設全体の うち、「全員が兼務」と回答した施設が36.8%と最も高く、次いで「全員が専従」が29.6%と続 いた。
施設別にみると、授産施設は「全員が兼務」と回答した施設が51.9%と全体の半数を超えた。 一方、就労継続支援B型と就労移行支援は「全員が専従」と回答した割合が最も高い結果となり、 授産施設と他の施設では就労援助担当職員の就労支援に対する専従/兼務状態が異なる結果であ った。

図表3-2-9就労支援への専従/兼務状態

  全員が専従 半数以上が専従、残りが兼務 一部が専従、半数以上が兼務 全員が兼務
授産施設 78 50 21 161 310
25.2% 16.1% 6.8% 51.9% 100.0%
就労継続支援B型 78 56 32 70 236
33.1% 23.7% 13.6% 29.7% 100.0%
就労移行支援 39 26 19 22 106
36.8% 24.5% 17.9% 20.8% 100.0%
移行支援兼務 41 29 34 40 144
28.5% 20.1% 23.6% 27.8% 100.0%
236 161 106 293 796
29.6% 20.2% 13.3% 36.8% 100.0%

無回答は129 人(有効回答数に対する無回答率は13.9%)

 

(2)施設の利用者状況

①施設利用者数(2008年11 月実績)
施設利用者数について尋ねたところ、1施設あたりの平均値は35.4 人だった。施設別には、 就労移行支援が49.1 人と最も多く、以下、授産施設が35.6人、就労継続支援B型が19.3 人と なっていた。

図表 3-2-10 施設利用者数

  施設数(件) 平均値(人) 標準偏差
授産施設 365 35.6 38.67
就労継続支援B 型 252 19.3 23.25
就労移行支援 111 49.1 233.01
就労移行支援兼務 145 52.3 211.10
873 35.4 123.02

無回答は52人(有効回答数に対する無回答率は5.6%)

 

(3)一般就労実現への取組状況

①雇用された利用者数(2007年度)
2007 年度中に民間企業等へ雇用された利用者数について尋ねたところ、1 施設あたりの平均値 は1.1人だった。施設別には、就労移行支援が2.2 人と、他のサービス施設に比べて多い結果と なった。

図表 3-2-11 雇用された利用者数

  施設数(件) 平均値(人) 標準偏差
授産施設 367 0.7 1.52
就労継続支援B 型 255 0.5 0.97
就労移行支援 111 2.2 3.56
就労移行支援兼務 149 2.3 3.41
882 1.1 2.30

無回答は43人(有効回答数に対する無回答率は4.6%)

 

②(①雇用された利用者数のうち)半年以上、職場に定着した利用者数
雇用された利用者数のうち、半年以上、就労先に定着した利用者数について尋ねたところ、1 施設あたりの平均値は1.1 人だった。
施設別には、就労移行支援が1.8 人、授産施設が0.9 人、就労継続支援B 型が0.5人という結 果だった。

図表 3-2-12 半年以上、職場に定着した利用者数

  施設数(件) 平均値(人) 標準偏差
授産施設 308 0.9 2.97
就労継続支援B 型 207 0.5 1.11
就労移行支援 103 1.8 3.08
就労移行支援兼務 134 2.0 3.00
752 1.1 2.68

無回答は173 人(有効回答数に対する無回答率は18.7%32)

 

③企業内活動33の実施
企業内活動(施設外授産)の実施状況について尋ねたところ、回答施設全体のうち、「行って いない」と回答した施設が78.7%であった。施設別にみると、就労移行支援において「行って いる」と回答した施設が30.0%と授産施設(21.3%)や就労継続支援B 型(17.5%)に比べる と割合が高かった。

図表3-2-13企業内活動(施設外授産)の実施

  行っている 行っていない
授産施設 77 285 362
21.3% 78.7% 100.0%
就労継続支援B型 43 203 246
17.5% 82.5% 100.0%
就労移行支援 33 77 110
30.0% 70.0% 100.0%
移行支援兼務 39 110 149
26.2% 73.8% 100.0%
192 675 867
22.1% 77.9% 100.0%

無回答は58人(有効回答数に対する無回答率は6.3%)


32 無回答の中には就労移行させた実績がない事業所も含む。
33 「企業内活動」は企業と施設とが請負契約等を締結し、企業から依頼を受けた業務を企業の工場等で行 うことをさす。施設外授産と同義。

 

第2項 職員(職業指導員・就労支援担当者)に関する調査

(1)属性

①性別
回答者の性別について尋ねたところ、回答者全体のうち、「男性」が63.6%、「女性」が36.4% であった。

図表3-2-14性別

 
授産施設 253 117 370
68.4% 31.6% 100.0%
就労継続支援B型 140 117 257
54.5% 45.5% 100.0%
就労移行支援 70 42 112
62.5% 37.5% 100.0%
移行支援兼務 102 48 150
68.0% 32.0% 100.0%
565 324 889
63.6% 36.4% 100.0%

無回答は36人(有効回答数に対する無回答率は3.9%)

 

②年齢
年齢について尋ねたところ、回答者全体のうち、「30歳代」が34.9%と最も高く、次いで「40 歳代」の26.5%となっていた。

図表3-2-15年齢

  10 歳代 20 歳代 30 歳代 40 歳代 50 歳代 60 歳以上
人数 1 122 311 236 180 40 890
0.1% 13.7% 34.9% 26.5% 20.2% 4.5% 100.0%

無回答は35人(有効回答数に対する無回答率は3.8%)

 

③最終学歴
最終学歴について尋ねたところ、回答者全体のうち、「大学」卒業と回答した人が49.9%と約 半数を占める結果となった。

図表3-2-16最終学歴

  中学校 高等学校 短期大学 専門学校 大学 大学院 その他
人数 3 165 104 155 441 12 4 884
0.3% 18.7% 11.8% 17.5% 49.9% 1.4% 0.5% 100.0%

無回答は41人(有効回答数に対する無回答率は4.4%)

 

④現在勤務している施設の勤続期間(月換算)
現在勤務している施設の勤続期間(2008 年11月末時点)について尋ねたところ、施設職員1 人あたりの平均値は87.4 か月だった。施設別には、授産施設が107.9 か月と最も長く、以下、 就労継続支援B 型が72.3 か月、就労移行支援が64.0 か月と続いていた。ただし、標準偏差も授 産施設が最も大きい値をとっていることから、当該施設においては勤続期間の長短のブレが大き いといえる。

図表 3-2-17 現在勤務する施設の勤続期間(月換算)

  施設数(件) 平均値(か月) 標準偏差
授産施設 372 107.9 88.37
就労継続支援B 型 256 72.3 71.07
就労移行支援 113 64.0 64.56
就労移行支援兼務 150 80.2 68.54
891 87.4 79.58

無回答は34人(有効回答数に対する無回答率は3.7%)

 

⑤現在の施設における職業指導員(障害者の就労を支援する担当者)としての勤務経験
現在の施設での職業指導員としての勤務経験(2008年11 月末時点)について尋ねたところ、 施設職員1 人あたりの平均値は52.4 か月だった。施設別にみると、授産施設が71.8 か月と最も 長く、以下、就労継続支援B 型が41.3 か月、就労移行支援が29.0 か月と続く結果だった。ただ し、標準偏差も授産施設が最も大きい値をとっていることから、勤続期間の長短のブレが大きい といえる。

図表 3-2-18 現在の施設における職業指導員の勤続期間(月換算)

  施設数(件 平均値(か月) 標準偏差
授産施設 354 71.8 86.06
就労継続支援B 型 242 41.3 53.29
就労移行支援 112 29.0 32.84
就労移行支援兼務 148 42.1 56.15
856 52.4 69.43

無回答は69人(有効回答数に対する無回答率は7.5%)

 

⑥現在の施設以外での勤務経験
現在の施設以外での勤務経験について尋ねたところ、施設職員1 人あたりの平均値は109.6 か月だった。
施設別にみると、就労移行支援(117.4 か月)と就労継続支援B 型(117.0 か月)がほぼ同じ 結果だった。一方、授産施設は107.7 か月と他の2 施設に比べると短かった。

図表 3-2-19 現在の施設以外での勤務経験(月換算)

  施設数(件) 平均値(か月) 標準偏差
授産施設 362 107.7 115.34
就労継続支援B 型 247 117.0 130.79
就労移行支援 112 117.4 106.83
就労移行支援兼務 149 96.3 101.37
870 109.6 116.76

無回答は55人(有効回答数に対する無回答率は5.9%)

 

⑦民間企業での勤務経験
民間企業での勤務経験の有無について尋ねたところ、回答者全体のうち、「ある」と回答した 人が50.7%、「ない」と回答した人が49.3%であった。

図表3-2-20民間企業での勤務経験

  ある ない
人数 440 人 427 人 867 人
50.7% 49.3% 100.0%

無回答は58人(有効回答数に対する無回答率は6.3%)

 

⑧民間企業での勤務内容(複数回答)
民間企業での勤務経験が「ある」と回答した人に対して、経験したことのある職務内容ついて 尋ねたところ、回答者全体のうち、「営業職社員」と回答した人が49.5%と約半数にのぼった。 次いで「事務職社員」が32.8%であった。なお、ここでいう「営業職社員」はいわゆるセール ス等を担当する職務だけではなく、店頭での物品販売を行う職務も含んだ数値である。

図表3-2-21民間企業での勤務内容

  事務職社員
(総務、経理など)
営業職社員
(販売、渉外など)
生産職社員
(工場など)
技術職社員
開発、研究など)
回答数
人数 133 人 201 人 99 人 78 人 511 人 406 人
32.8% 49.5% 24.4% 19.2% 100.0%  

無回答は34人(有効回答数に対する無回答率は7.7%)

 

⑨現在、保有している資格(複数回答)
現在、保有している資格について尋ねたところ、回答者全体のうち、「自動車免許」と回答し た人の割合が93.4%と最も高く、以下、「福祉関係」が49.0%、「会計処理」が9.3%と続いた。
また、施設別に「障害者就労支援関連」の資格保有については、就労移行支援施設に所属して いる職員が14.2%と授産施設(3.8%)や就労継続支援B 型(3.1%)に比べて、割合が高い結 果となった。

図表3-2-22保有資格

  自動車免許 情報処理 会計処理 法律関係 福祉関係 障害者就労支援関連 心理関連 不動産関係 医療関係 その他 回答数
授産施設 349 6 32 2 198 14 2 2 7 104 716 370
94.3% 1.6% 8.6% 0.5% 53.5% 3.8% 0.5% 0.5% 1.9% 28.1%   100.0%
就労継続支援B 型 239 5 29 1 114 8 2 3 5 69 475 257
93.0% 1.9% 11.3% 0.4% 44.4% 3.1% 0.8% 1.2% 1.9% 26.8%   100.0%
就労移行支援 107 4 7 2 48 16 2 0 3 32 221 113
94.7% 3.5% 6.2% 1.8% 42.5% 14.2% 1.8% 0.0% 2.7% 28.3%   100.0%
就労移行支援兼務 137 0 15 1 77 14 1 1 1 53 300 151
90.7% 0.0% 9.9% 0.7% 51.0% 9.3% 0.7% 0.7% 0.7% 35.1%   100.0%
832 15 83 6 437 52 7 6 16 258 1,712 891
93.4% 1.7% 9.3% 0.7% 49.0% 5.8% 0.8% 0.7% 1.8% 29.0%   100.0%

無回答は34人(有効回答数に対する無回答率は3.7%)

 

(2)施設利用者の就労援助(支援)活動の状況

①企業訪問数
一般就労を実現するために回答者が実施している就労に向けた取り組みについて把握するた め、回答者が訪問した企業訪問数について尋ねたところ、施設職員1 人あたりの平均値は4.8 か所だった。施設別には、就労移行支援が11.1か所と他のサービス施設に比べて3倍以上訪問 している結果となった。

図表 3-2-23 企業訪問数

  施設数(件) 平均値(か所) 標準偏差
授産施設 363 3.2 8.84
就労移行支援 111 11.1 17.90
就労継続支援B 型 250 2.3 11.70
就労移行支援兼務 149 8.1 17.95
873 4.8 13.28

無回答は52人(有効回答数に対する無回答率は5.6%)

 

②(①企業訪問数のうち)職場開拓のための企業訪問数
職場開拓のための企業訪問数について尋ねたところ、施設職員1人あたりの平均値は2.8 か所 だった。
施設別には就労移行支援が7.3 か所と最も多く訪問していた。なお、授産施設、就労移行支援 では就労継続支援B型と比べて標準偏差の値が高かった。つまり、授産施設や就労移行支援では 訪問する者と訪問しない者のばらつきが就労継続支援B型と比べて大きいということができる。

図表 3-2-24 職場開拓のための企業訪問数

  施設数(件) 平均値(か所 標準偏差
授産施設 353 1.7 7.83
就労継続支援B 型7 241 0.8 1.77
就労移行支援 111 7.3 15.23
就労移行支援兼務 148 5.5 17.66
853 2.8 10.75

無回答は72人(有効回答数に対する無回答率は7.8%)

 

③(②職場開拓のための企業訪問数のうち)職場開拓に成功した企業訪問数
職場開拓に成功した企業訪問数について尋ねたところ、施設職員1 人あたりの平均値は0.9 か所と1を下回る結果だった。
施設別には、就労移行支援が2.9 か所となっていたが、一方、授産施設、就労継続支援B 型は それぞれ1 を下回る結果となった。なお、就労移行支援の標準偏差が他の施設と比べて大きいこ とから、回答者によるばらつきが大きい結果となった。

図表 3-2-25 職場開拓に成功した企業訪問数

  施設数(件) 平均値(か所) 標準偏差
授産施設 346 0.4 0.94
就労継続支援B 型 235 0.3 0.96
就労移行支援 110 2.9 5.45
就労移行支援兼務 146 1.3 1.99
837 0.9 2.43

無回答は88人(有効回答数に対する無回答率は9.5%)

 

④施設利用者との同行企業訪問数
施設利用者との同行による訪問数について尋ねたところ、施設職員1 人あたりの平均値は3.8 か所だった。
施設別には就労移行支援が8.5か所と最も多く、次いで授産施設が2.5か所という結果だった。 なお、就労移行支援の標準偏差が他の施設と比べて大きいことから、回答者によるばらつきが大 きいといえる。

図表 3-2-26 施設利用者との同行企業訪問数

  施設数(件) 平均値(か所) 標準偏差
授産施設 361 2.5 7.93
就労継続支援B 型 244 1.2 3.67
就労移行支援 109 8.5 17.12
就労移行支援兼務 142 8.0 16.39
856 3.8 10.96

無回答は69人(有効回答数に対する無回答率は7.5%)

 

⑤実習(訓練)先企業数
調査時点から過去1 年間の実習(訓練)実施先企業数について尋ねたところ、施設職員1人あ たりの平均値は1.5 か所だった。
施設別にみると、就労移行支援が3.8 か所と最も多かった。一方、就労継続支援B 型について は0.6か所と1 を下回る結果だった。

図表 3-2-27 実習(訓練)先企業数 施設数(件) 平均値(か所) 標準偏差

  施設数(件) 平均値(か所) 標準偏差
授産施設 360 1.0 1.94
就労継続支援B 型 245 0.6 1.76
就労移行支援 109 3.8 4.32
就労移行支援兼務 148 2.4 2.90
862 1.5 2.72

無回答は63人(有効回答数に対する無回答率は6.8%)

 

⑥就労に関して話しあった施設利用者数 調査時点から過去1 年間に就労に関して話しあった施設利用者の数について尋ねたところ、施 設職員1人あたりの平均値は13.2 人だった。
施設別には、授産施設が15.6 人と最も多く、次いで、就労移行支援が14.3 人、就労継続支援 B型が6.9人という結果だった。

図表 3-2-28 就労に関して話しあった施設利用者数

  施設数(件) 平均値(人) 標準偏差
授産施設 355 15.6 132.85
就労継続支援B 型 253 6.9 8.81
就労移行支援 110 14.3 13.57
就労移行支援兼務 149 17.4 23.57
867 13.2 85.86

無回答は58人(有効回答数に対する無回答率は6.3%)

 

⑦施設内における求人票の掲示
施設内における求人票の掲示の有無について尋ねたところ、「掲示をしている」との回答は全 体のうち、22.8%であった。一方、「掲示をしていない」(77.2%)との回答は8 割近くみられた。 施設別にみると、授産施設は「掲示をしている」との回答が14.6%と最も低く、割合が高か った就労移行支援についても42.7%と全体の半数以下であった。

図表3-2-29施設内における求人票の掲示

  掲示をしている 掲示をしていない
授産施設 53 310 363
14.6% 85.4% 100.0%
就労継続支援B型 47 208 255
18.4% 81.6% 100.0%
就労移行支援 47 63 110
42.7% 57.3% 100.0%
移行支援兼務 53 96 149
35.6% 64.4% 100.0%
200 677 877
22.8% 77.2% 100.0%

無回答は48人(有効回答数に対する無回答率は5.2%)

 

⑧ハローワーク(公共職業安定所)での求職登録支援を行った施設利用者数 調査時点から過去1 年間に、ハローワーク(公共職業安定所)での求職登録支援を行った施 設利用者数(実人数)について尋ねたところ、施設職員1 人あたりの平均値は3.6 人だった。 施設別では、就労移行支援が5.6人と最も多く、次いで、授産施設が3.7人、就労継続支援B 型が1.2 人となっていた。なお、授産施設の標準偏差は他の施設と比べて大きい値となっており、 実施している施設と実施していない施設のばらつきが大きいことが示された。

図表 3-2-30 ハローワーク(公共職業安定所)での求職登録支援を行った施設利用者数

  施設数(件) 平均値(人) 標準偏差
授産施設 363 3.7 41.98
就労継続支援B 型 253 1.2 2.08
就労移行支援 110 5.6 5.78
就労移行支援兼務 147 5.8 10.18
873 3.6 27.52

無回答は52人(有効回答数に対する無回答率は5.6%)

 

⑨施設利用者に対する就労訓練
施設利用者に対する就労訓練の実施状況34について尋ねたところ、回答者全体のうち、「した ことがある」と回答した人が59.2%と「したことがない」の40.8%を上回った。 施設別にみると、授産施設は「したことがある」(50.3%)と「したことがない」(49.7%)が ほぼ同数だったことに対し、就労移行支援は83.9%が「したことがある」という結果だった。

図表3-2-31施設利用者に対する就労訓練

  したことがある したことがない
授産施設 180 178 358
50.3% 49.7% 100.0%
就労継続支援B型 126 125 251
50.2% 49.8% 100.0%
就労移行支援 94 18 112
83.9% 16.1% 100.0%
移行支援兼務 114 33 147
77.6% 22.4% 100.0
514 354 868
59.2% 40.8% 100.0%

無回答は57人(有効回答数に対する無回答率は6.2%)


34 なお、ここでいう「就労訓練」とは、「実際に企業で働くための訓練」をさし、たとえば、あいさつの練 習や企業の社員との会話の仕方の訓練、実際の業務にあわせた訓練をさす。

 

⑩就労支援に関する研修やセミナーへの参加 就労支援に関する研修やセミナーへの参加状況について尋ねたところ、回答者全体のうち、「し たことがある」と回答した人が80.7%と、「したことがない」(19.3%)を大幅に上回る結果と なった。 施設別でみると「したことがある」の割合が最も高かった施設は就労移行支援で87.5%だっ た。以下、授産施設(80.8%)、就労継続支援B 型(72.5%)と続いていた。

図表3-2-32就労支援に関する研修やセミナーへの参加

  したことがある したことがない
授産施設 291 69 360
80.8% 19.2% 100.0%
就労継続支援B型 182 69 251
72.5% 27.5% 100.0%
就労移行支援 98 14 112
87.5% 12.5% 100.0%
移行支援兼務 133 16 149
89.3% 10.7% 100.0%
704 168 872
80.7% 19.3% 100.0%

無回答は53人(有効回答数に対する無回答率は5.7%)

 

⑪施設利用者のうち就労可能と考えられる人数 施設利用者のうち就労可能と考えられる人数について尋ねたところ、施設職員1人あたりの平 均値は3.9 人だった。 施設別に見ると、就労移行支援が6.5人と最も多く、以下、授産施設が3.4 人であった。

図表 3-2-33 施設利用者のうち就労できると考えられる人数

  施設数(件) 平均値(人) 標準偏差
授産施設 351 3.4 3.73
就労継続支援B 型 247 2.4 3.73
就労移行支援 110 6.5 7.43
就労移行支援兼務 146 5.8 5.04
854 3.9 4.83

無回答は71人(有効回答数に対する無回答率は7.7%)

 

(3)就労可能な施設利用者を増加させるための活動指針
本項目では、就労可能な施設利用者を増加させるための活動指針として、各施設職員がいわゆ る「レディネスモデル」と「援助つき雇用モデル」のどちらの考え方に基づき就労支援を行って いるか問う点について調査した。
「レディネスモデル」と「援助つき雇用モデル」の考え方はとしては、まず、前者(「レディ ネスモデル」)は、障害者に対して訓練を行い、その後に企業に就職させることを目的とする支 援の在り方を指す。一方、後者(「援助つき雇用モデル」)は、実際の職場で訓練や指導を行い、 職場に適応していくように障害者を指導し、相談にのっていく支援のあり方をさす。
本研究では両者の考え方をふたつ並べて下表のように配置し、各々の施設職員の就労支援活動 がどちらの考え方により近いかを選択してもらった。

  考え方「レディネスモデル」 考え方「援助つき雇用モデル」
就労前の訓練に対する姿勢 利用者が働くためには、就労前に作業能力や社会 性を高めるための充実した訓練を行うべき 利用者が働くためには就労前の訓練をできるだけ 簡単にし、実際の就労の場で訓練・支援を行うべきだ
就労の可能性の判断 働くことができるかどうかの判断は、実際の現場で 働いている健常者の状況と比較して判断すべきだ 働くことができるかどうかの判断は、実際の現場の 仕事内容を把握した上で、個々の課業が具体的に できるか、できないかを判断すべきだ。
就労の可能性のチェック基準 働くための支援を行うかどうかを判断する基準は、 職場の特徴に応じて、支援者が判断すべきであ る。 働くための支援を行うかどうかを判断する基準は、 一定の研究結果を行った上で、標準的な尺度を使 うべきである。
就労先の開拓姿勢 就労先は雇用したいという企業を訪問し、話し合い の中から、就労できる利用者像を固めていく。その 上で、その利用者像にあった方を就労させる。 就労先は就労対象となる利用者が働ける現場を 中心に探し、企業には利用者像を提示して、一緒 に考えてもらう。
就労先への提案姿勢 利用者の仕事のでき具合が、企業の求める水準よ り劣っていると想定される場合は、就労継続困難と 判断する。場合により別の利用者を紹介する。 利用者の仕事の出来具合が、企業の求める水準 より劣っていると判断される場合は、その不足分を 補うために現場社員が支援できる仕組みを企業内 に作るよう企業に提案する。

 なお、図表(図表3-2-34~図表3-2-38)の見方は次の通りである。「援助つき雇用モデル」 の考え方に基づく場合は「++」「+」で表現し、「レディネスモデル」に近い考え方に基づく場合 は「-」「--」で表現している。各項目(就労前の訓練に対する姿勢、など)に対する考え方の結 果は次ページ以降に述べる。

①就労前の訓練に対する考え方
就労前の訓練に対する考え方について、自身の考えが前述の2通りのどちらにより近いかにつ いて尋ねたところ、「--」と回答した人が回答者全体のうち、29.7%と最も高かった。反対に「++」 と回答した人は5.1%であった。施設別にみると、「++」と回答した人は就労継続支援B 型が4.0% と最も低かったが、最も割合が高い就労移行支援でも8.2%であった。 この結果から、「訓練」に関しては、「就労するためには就労前には充実した訓練を行うことが 必要である」との考え方を持つ職員が多いということがわかった。

図表3-2-34就労前の訓練に対する姿勢

  -- - + ++
授産施設 99 114 79 45 18 355
27.9% 32.1% 22.3% 12.7% 5.1% 100.0%
就労継続支援B型 80 58 57 42 10 247
32.4% 23.5% 23.1% 17.0% 4.0% 100.0%
就労移行支援 26 35 22 18 9 110
23.6% 31.8% 20.0% 16.4% 8.2% 100.0%
就労移行支援兼務 49 32 31 25 7 144
34.0% 22.2% 21.5% 17.4% 4.9% 100.0%
254 239 189 130 44 856
29.7% 27.9% 22.1% 15.2% 5.1% 100.0%

無回答は69人(有効回答数に対する無回答率は7.5%)

 

②利用者の就労可能性の判断 利用者の就労可能性の判断について、前述の2 通りの考え方のどちらにより近いかについて尋 ねたところ、「++」と回答した人が回答者全体のうち、46.6%と最も高かった。次いで、「+」と 回答した人が36.6%であった。 就労の可能性の判断については「援助つき雇用モデル」に近い考え方の下、行われているとい うことが示唆された。

図表3-2-35就労の可能性の判断

  -- - + ++
授産施設 4 17 34 133 168 356
1.1% 4.8% 9.6% 37.4% 47.2% 100.0%
就労継続支援B型 5 18 30 89 105 247
2.0% 7.3% 12.1% 36.0% 42.5% 100.0%
就労移行支援 2 3 14 40 51 110
1.8% 2.7% 12.7% 36.4% 46.4% 100.0%
就労移行支援兼務 2 5 10 52 75 144
1.4% 3.5% 6.9% 36.1% 52.1% 100.0%
13 43 88 314 399 857
1.5% 5.0% 10.3% 36.6% 46.6% 100.0%

無回答は68人(有効回答数に対する無回答率は7.4%)

 

③利用者の就労可能性のチェック基準 利用者の就労可能性のチェック基準について、前述の2 通りの考え方のどちらにより近いかに ついて尋ねたところ、「++」と回答した人が回答者全体のうち、55.4%と半数を超える結果とな った。次いで、「+」と回答した人が32.5%であった。 この結果から、就労の可能性のチェック基準についても、「援助つき雇用モデル」に近い考え 方であることが示唆された。

図表3-2-36就労の可能性のチェック基準

  -- - + ++
授産施設 1 14 34 118 188 355
0.3% 3.9% 9.6% 33.2% 53.0% 100.0%
就労継続支援B型 2 4 16 75 150 247
0.8% 1.6% 6.5% 30.4% 60.7% 100.0%
就労移行支援 1 0 16 37 55 109
0.9% 0.0% 14.7% 33.9% 50.5% 100.0%
就労移行支援兼務 1 3 11 48 81 144
0.7% 2.1% 7.6% 33.3% 56.3% 100.0%
5 21 77 278 474 855
0.6% 2.5% 9.0% 32.5% 55.4% 100.0%

無回答は70人(有効回答数に対する無回答率は7.6%)

 

④就労先の開拓姿勢 就労先の開拓姿勢について、前述の2通りの考え方のどちらにより近いかについて尋ねたとこ ろ、「・」と回答した人が回答者全体のうち30.0%と最も多く、以下、「-」が26.0%、「+」が20.4% と続く結果となった。 施設別にみると、いずれの施設も「-」~「+」の割合が高く、施設間の差は特にみられなかっ た。 就労先の開拓姿勢については対置的にあるのではなく、「レディネスモデル」「援助つき雇用モ デル」の両方の視点を含めて施設職員が支援活動を行っていると推察される。

図表3-2-37就労先の開拓姿勢

  -- - + ++
授産施設 34 88 118 72 43 355
9.6% 24.8% 33.2% 20.3% 12.1% 100.0%
就労継続支援B型 37 72 61 46 31 247
15.0% 29.1% 24.7% 18.6% 12.6% 100.0%
就労移行支援 10 29 35 24 11 109
9.2% 26.6% 32.1% 22.0% 10.1% 100.0%
就労移行支援兼務 13 33 42 32 23 143
9.1% 23.1% 29.4% 22.4% 16.1% 100.0%
94 222 256 174 108 854
11.0% 26.0% 30.0% 20.4% 12.6% 100.0%

無回答は69人(有効回答数に対する無回答率は7.5%)

 

⑤企業に対する障害者雇用の提案姿勢 企業に対する障害者雇用の提案姿勢について、前述の2 通りの考え方のどちらにより近いかに ついて尋ねたところ、「・」と回答した人が回答者全体のうち、35.1%と最も多く。次いで、「+」 が33.0%、「++」が15.3%と続いた。 この結果から、企業に対する障害者雇用の提案については、「援助つき雇用モデル」の考え方 にもとづいて行われていることが示唆された。

図表3-2-38企業に対する障害者雇用の提案姿勢

  -- - + ++
授産施設 18 43 127 119 47 354
5.1% 12.1% 35.9% 33.6% 13.3% 100.0%
就労継続支援B型 12 32 85 77 41 247
4.9% 13.0% 34.4% 31.2% 16.6% 100.0%
就労移行支援 2 13 41 34 20 110
1.8% 11.8% 37.3% 30.9% 18.2% 100.0%
就労移行支援兼務 8 14 47 52 23 144
5.6% 9.7% 32.6% 36.1% 16.0% 100.0%
40 102 300 282 13 855
4.7% 11.9% 35.1% 33.0% 15.3% 100.0%

無回答は70人(有効回答数に対する無回答率は7.6%)

 

(4)施設利用者の就労支援に対する考え方
施設利用者の就労支援に対する考え方について尋ねたところ、回答者全体のうち、「前向きに 考えている」と回答した人が40.0%、「どちらかというと前向きだ」と回答した人が32.2%と、 多くの回答者が施設利用者の就労に対して前向きに考えているという結果となった。 施設別にみると、とりわけ、就労移行支援で前向きの姿勢が顕著に表れる結果となっており、 当該施設で「前向きに考えている」と回答した人の割合は61.8%と、授産施設(28.9%)や就 労継続支援B型(33.3%)と比べて高い割合となった。

図表3-2-39施設利用者に対する就労支援の考え方

  前向きに考えている どちらかというと前向きだ どちらとも いえない あまり前向きとはいえない 前向きとはいえない
授産施設 105 135 93 24 6 363
28.9% 37.2% 25.6% 6.6% 1.7% 100.0%
就労継続支援B型 84 76 63 22 7 252
33.3% 30.2% 25.0% 8.7% 2.8% 100.0%
就労移行支援 68 30 10 2 0 110
61.8% 27.3% 9.1% 1.8% 0.0% 100.0%
就労移行支援兼務 93 41 13 2 1 150
62.0% 27.3% 8.7% 1.3% 0.7% 100.0%
350 282 179 50 14 875
40.0% 32.2% 20.5% 5.7% 1.6% 100.0%

無回答は50人(有効回答数に対する無回答率は5.4%)

 

第3項 職員の満足度合い

「満足度合い」の算出に向けて、まず、各項目の重視度(期待値)および満足度について「重 視する(満足している)」(5点)~「重視しない(満足していない)」(1 点)までの5 段階で評 価してもらった。その上で各項目の「重視度」から「満足度」の点数を減じ、その差分を「満足 度合い」と定義した。すなわち、「満足度合い」の数値が高ければ高いほど、その項目は満足度 が重視度を上回っており、逆に「満足度合い」の数値が負の値をとる場合は満足度が重視度を下 回っていることを意味している。
(1)各項目の満足度合いについて 調査結果は図表3-2-40 の通りとなる。「満足度合い」が高い項目は「常勤であること」「学 会や研修会に参加できること」の2つの項目であった。
一方、「満足度合い」が低い項目は多くみられたが、特に「給与水準」「適切・公平な人事処遇」 「雇用・給与の安定」に関しては「満足度合い」が低かった。これはいずれの施設においても同 様の傾向が示された。その他、「職場の雰囲気・人間関係」は特に授産施設と就労継続B型で「満 足度合い」が低くなっていた。個々の施設によって違いはあると考えられるが、両施設は授産事 業が中心であり、同じ施設内での仕事になりがちであり、その結果、組織内の人間関係が「満足 度合い」に影響しやすいのではないかと考えられる。また、就労移行支援は就労先開拓のために 外部に出ることが他の施設と比較して多いことから、人間関係に関する事柄が問題として捉えら れにくいと考えられ、上記の傾向が表れたと想定される。
他方、「経営者の人柄」「経営者の能力・手腕」「職場の雰囲気・人間関係」「法人業績や将来性」 「法人の理念」に関しては、「満足度合い」が低かった。特に授産施設に関してはその傾向が強 い。授産施設事業自体が移行期間を経て、別の事業に転換することが決まっていることから、将 来的にどのような状況になるか予測がつかないため、このような結果となっていることが想定さ れる。

図表3-2-40職員の満足度合い(まとめ)

  項目 全体 授産施設 就労継続B 型 就労移行
満足度合い高い 常勤であること +0.10 +0.06 +0.13 +0.17
学会や研修会に参加できる +0.16 +0.13 +0.21 +0.28
満足度合い低い 給与水準 -1.02 -1.15 -0.93 -1.06
適切・公正な人事処遇 -0.80 -0.91 -0.70 -0.88
労働時間・休暇 -0.47 -0.42 -0.54 -0.37
福利厚生 -0.16 -0.24 -0.07 -0.11
雇用・給与の安定 -0.77 -0.86 -0.68 -0.73
責任ある仕事ができる -0.23 -0.30 -0.14 -0.28
自分の能力を生かせる -0.45 -0.55 -0.30 -0.49
専門知識・技術が生かせる -0.31 -0.40 -0.22 -0.17
経営者の人柄 -0.34 -0.47 -0.25 -0.31
経営者の能力・手腕 -0.47 -0.61 -0.43 -0.49
職場の雰囲気・人間関係 -0.59 -0.72 -0.58 -0.39
法人業績や将来性 -0.58 -0.83 -0.36 -0.56
法人の理念 -0.30 -0.43 -0.23 -0.21

※満足度合い(重視度(期待度)からの変動)が±0.5を超える変動を網掛け表示している。

 

(2)仕事全般に対する満足度
施設での仕事全般に対する満足度について尋ねたところ、「どちらかというと満足」と回答し た人が全体(850人)のうち、47.9%(407 人)と最も多かった。次いで、「満足」と「どちらで もない」がそれぞれ22.1%と同じ結果となった。一方、不満に感じている人(「どちらかという と不満」、「不満」)は全体のうち、1割にも満たない結果だった。

図表3-2-41 仕事全体に関する満足度

  満足 どちらかというと満足 どちらともいえない どちらかというと不満 不満
授産施設 69 164 87 22 8 350
19.7% 46.9% 24.9% 6.3% 2.3% 100.0%
就労継続支援B型 61 121 45 19 4 250
24.4% 48.4% 18.0% 7.6% 1.6% 100.0%
就労移行支援 22 51 26 5 2 106
20.8% 48.1% 24.5% 4.7% 1.9% 100.0%
就労移行支援兼務 36 71 30 4 3 144
25.0% 49.3% 20.8% 2.8% 2.1% 100.0%
188 407 188 50 17 850
22.1% 47.9% 22.1% 5.9% 2.0% 100.0%

無回答は75人(有効回答数に対する無回答率は8.1%)

 

第3節 過去の調査と本調査との比較

本節では障害者自立支援法施行前の2000 年に実施された社会福祉法人全国社会福祉協議会・ 全国社会就労センター協議会(以下、セルプ協)の調査(以下、2000 年調査)35との時系列比較 を行うことを目的とする。自立支援法開始前の時期(2000 年)と開始後の時期(2008 年)の2 時点を比較して、障害者自身の就労意向に対する意識の変化などを明らかにする。
本調査と2000 年調査の調査概要について比較すると次のようになる(図表3-3-1)のよう になり、両調査では全ての項目に対する手法が同じではないことに注意をしなければいけない。
たとえば、調査対象者数の規模についてみると、本調査は2000年調査に比べると約10 倍の規 模となっている。また、調査対象の抽出方法としても、本調査では社会福祉施設等調査の調査名 簿記載施設などを母集団としている一方、2000年調査はセルプ協に加盟している施設を母集団 としているため、本調査に比べると2000 年調査はサンプルにバイアスがかかっている可能性が あることを考慮する必要がある。
ただし、本調査と比較可能なの同種の調査はセルプ協にて実施したこの調査のみであったこと から、比較を行う。

図表3-3-1調査概要の比較

項目 本調査 2000年調査
調査時期 2008 年12 月~2009 年1 月 1999 年11 月~12 月
有効回答数 20,516 名 2,543 名
調査対象抽出 社会福祉施設等調査、WAM-NET のデータによる無作為抽出 全国社会就労センター協議会加盟団体
回答者36 身体障害者 2,478 名(12.1%) 399 名(15.7%)
精神障害者 2,917 名(14.2%) 546 名(21.5%)
知的障害者 14,126 名(68.9%) 1,598 名(62.8%)

 


35 社会福祉法人全国社会福祉協議会・全国社会就労センター協議会(2000年)「障害者が授産施設等を出 て地域で自立生活できるよう援助するための方策についての国際調査研究事業」
36 本調査については重複障害の方(4.4%)なども回答者にカウントされている。本節における2000年調 査の比較の際には重複障害やその他の方の回答は除いている。それゆえ、回答者の合計が有効回答数と一 致しない。

 

(1)障害者の「働きたい」という気持ち37
本調査(2008年)と2000年調査を比較すると、「働きたい」と考える障害者は、2008年(全 体)で54.3%と2000 年(45.7%)よりも8.6ポイント上昇した。障害別にみると、身体障害者、 知的障害者に関しては2000 年調査よりも10.0 ポイント以上高くなった。

 

図表3-3-2障害者の「働きたい」という気持ち(回答者数、人)

  本調査(2008 年) 2000 年調査(2000 年)
  働きたい 働きたいと思わない 合計 働きたい 働きたいと思わない 合計
身体障害 1,149 1,172 2,321 151 234 385
精神障害 1,983 891 2,874 345 190 535
知的障害 6,460 6,011 12,471 615 898 1,513
合計 9,592 8,074 17,666 1,111 1,322 2,433

 

図表3-3-2障害者の「働きたい」という気持ち(構成比、%)

  本調査(2008 年) 2000 年調査(2000 年)
  働きたい 働きたいと思わない 合計 働きたい 働きたいと思わない 合計
身体障害 49.5% 50.5% 100.0% 39.2% 60.8% 100.0%
精神障害 69.0% 31.0% 100.0% 64.5% 35.5% 100.0%
知的障害 51.8% 48.2% 100.0% 40.6% 59.4% 100.0%
合計 54.3% 45.7% 100.0% 45.7% 54.3% 100.0%

 


37 本年度調査では2000 年調査に合わせるため、「ぜひ働きたい」「働きたい」を「働きたい」、「どちらとも 言えない」「あまり働きたくない」「ぜったい働きたくない」を「働きたいと思わない」にしている。「働き たい」の部分は比較できる数値であると判断できる。

(2)家族の「働いてほしい」という気持ち38
障害者が働くことに「積極的」と考える家族は2008 年(全体)で52.6%と2000年(36.2%) と比較して16.4 ポイント上昇した。障害別にみると、知的障害者が「積極的」と考える家族の 割合が2000 年から2008 年にかけて大幅に上昇した反面、精神障害者は1.2ポイントの上昇にと どまった。

図表3-3-3家族の「働いてほしい」という気持ち(回答者数、人)

  本調査(2008年) 2000 年調査(2000 年)
  積極的 消極的 合計 積極的 消極的 合計
身体障害 18 29 47 84 215 299
精神障害 39 18 57 234 114 348
知的障害 43 43 86 358 861 1,219
合計 100 90 190 676 1,190 1,866

図表3-3-3家族の「働いてほしい」という気持ち(構成比、%)

  本調査(2008年) 2000 年調査(2000 年)
  積極的 消極的 合計 積極的 消極的 合計
身体障害 38.3% 61.7% 100.0% 28.1% 71.9% 100.0%
精神障害 68.4% 31.6% 100.0% 67.2% 32.8% 100.0%
知的障害 50.0% 50.0% 100.0% 29.4% 70.6% 100.0%
合計 52.6% 47.4% 100.0% 36.2% 63.8% 100.0%

 


38 家族については、プレ調査の中で実施した家族調査との比較である。

 

(3)働きたいという気持ちと実習活動の関係
実習経験が「ある」と回答した人は2008 年(全体)で38.2%と2000 年調査(9.8%)に比べ て上昇した。また、「実習経験あり」で「働きたい」と回答した割合は2008 年時点で46.3%と 2000 年調査(16.3%)に比べる30ポイント以上の上昇となった。

図表3-3-4働きたいという気持ちと実習活動の関係(回答者数、人)

  本調査(2008年) 2000 年調査(2000年)
  実習経験あり 実習経験なし 合計 実習経験あり 実習経験なし 合計
働きたい 4,535 5,261 9,796 178 895 1,073
働きたいと思わない 2,342 5,888 8,230 49 1,204 1,253
合計 6,877 11,149 18,026 227 2,099 2,326

図表3-3-4働きたいという気持ちと実習活動の関係(構成比、%)

  本調査(2008年) 2000 年調査(2000年)
  実習経験あり 実習経験なし 合計 実習経験あり 実習経験なし 合計
働きたい 46.3% 53.7% 100.0% 16.6% 83.4% 100.0%
働きたいと思わない 28.5% 71.5% 100.0% 3.9% 96.1% 100.0%
合計 38.2% 61.8% 100.0% 9.8% 90.2% 100.0%

(4)まとめ
 本調査と2000 年調査の結果をみると、「働きたい」という気持ちを持った障害者は2000年か ら2008 年にかけて増加したと考えられる。また、障害別をみても、身体障害者、知的障害者、 精神障害者いずれも「働きたい」という気持ちを持つ割合が高まっており、また、障害者を支え る家族も障害者に「働くことに対して積極的な考え」を持つ人の割合が上昇している。以上の結 果から、過去に比べると就労に対して前向きな姿勢が着実に広がったことを示唆している。

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