障害者自立支援調査研究データベース 事業実施報告内容 平成20年度 通番号36
項目 |
内容 |
通番号 |
36 |
番号 |
10 |
年度 |
平成20年度 |
指定テーマ |
【指定5】 障害者の地域生活移行を推進するための調査研究事業 |
事業名 |
障害者の地域生活移行を効果的に推進するための調査研究事業 地域独居自立生活移行のための環境調査研究 |
事業目的 |
本調査は障害者支援施設等入所施設利用者の地域生活への移行を推進するための調査研究である。本調査研究の目的は、施設利用者が入所施設から地域移行した場合の生活面での不安や問題を調査し、「入所施設から移行したい」あるいは「独居自立生活ができる」と思えるような支援方法の構築を考察することにある。
また、入所施設等の利用者が重度化高齢化傾向であり、在宅生活者においてもその主たる介護者である家族の高齢化や、不在という現実の中、独居自立生活を実現するための方策を調査研究する必要が急務と思われる。 |
事業概要 |
入所施設利用者が独居体験入居(アパートでの一人暮らし)生活を行うという環境等の変化が及ぼす意識変容調査が骨子となる。利用者が独居体験入居を行う上での問題点や、生活不安に対し、地域の社会資源がどの程度その解決に対応できるのかを調査した。そして今後、どのような支援と、社会資源が必要なのかを考察に加えた。
地域における障害者に対する住環境の提供システムの実態、・地域における福祉サービスの実態調査を行った。入所施設生活と地域、利用者の課題と地域の社会資源等の比較を行うことで、双方が、歩み寄ることで可能となる「地域移行ができる支援、地域移行がしたい利用者支援」を考察した。 |
事業実施結果及び効果 |
行政・家主等の現況調査した市町村では、厚生労働省が地域生活支援事業としている居住サポート事業と国土交通省が施行しているあんしん賃貸支援事業は行われていなかった。国が行おうとしている施策が、地方行政機関へ浸透しきれていないこと、また家主、不動産業者等の連携がなされていないことが明らかとなった。
家主調査では、障害者への賃貸には協力したいが、経済的不安や、リスクマネジメントにあることが明らかになった。
独居体験入居(試験的地域移行)では、環境の変化が、明らかに利用者の意識に影響を与えた。ケアプランの変更、また、ICF チェックリストでの変化は、3 つに分類できた。ひとつは、独居体験入居の経験から施設生活への不満をより増幅させ、地域移行したいという意識変容。2 つめは、独居体験入居中での安全面、住環境への不安から、施設生活をより肯定した施設肯定再確認。3 つ目は、施設生活もいいが、地域生活もいいとして、その両方を暮らしに取り入れて生きたいとする合併型となった。
体験入居利用者4名のうち3名の方が、今後の生活の場として、地域独居自立生活に興味を持った。このことで入所施設生活しかないと考えていた方が、エンパワメントに変容してきたことは明らかといえる。しかし、緊急時や夜間のケアについて不安を持ち、日常生活での不便さがディスエンパワメントを引き起こした面もあった。
施設における介護実態と、在宅者の介護の比較においては、家族の負担等については明らかにはしなかったため、身体介護時間と移動や生活支援の比率が大きく相違した。次の研究の課題としたい。また、施設における介護時間は在宅者に比べ低く、外出や、余暇活動に対する介護時間が少ないことが明らかになった。入所施設での介護が、身体介護重視であり、生活重視となっていないことにも起因しているといえる。
今後の課題
社会環境や、生活環境の変化が大きくコンシューマーの意識変容に係ることは明らかではあるが、その環境に心身機能障害によって引き起こされるリスクが生じた場合、ディスエンパワメントに変容していくといえる。地域環境のバリアフリーを進めていくこととともに、居宅介護における安心、安全面の配慮が重要であり、医療、リハビリ、介護といった各専門職の連携体制を構築しなければならないであろう。
また、入所施設利用期間の長さによる意識変容の幅は、今回分析できなかったが、個人の障害の部位や程度、自助自立度ではなく、あきらめや不安、あるいは入所施設生活の肯定等、ディスエンパワメントの変容度によって地域移行への興味の度合いが異なることが感じられた。
総体的に、生活機能障害に応じた環境と支援が可能であれば、地域独居自立生活を望む方は、増加していくといえる。その為には、地域での生活環境、居宅内の日常生活用具、夜間や、緊急連絡体制整備を、当事者の意思を尊重して行うことが必須といえる。
今後の重要な支援体制として、地域移行が当事者の意思を尊重して行われていくためには、ソーシャルワーカーの関与が必要と思える。当事者の生活機能を理解し、ニーズを汲み取り、社会資源を活用できるかという調整機能は、地域移行した生活をする為にそして継続するための重要な機能といえるだろう。 |
事業所/団体名称 |
社会福祉法人 めぐみ会 |
事業所/団体〒 |
354-0044 |
事業所/団体住所 |
埼玉県入間郡三芳町北永井381-3 |
事業所/団体TEL |
049-258-0515 |
事業所/団体FAX |
049-258-0989 |
事業所/団体EMail |
y-tuchiya◎kcc.or.jp (◎を@に置き替えてください) |
事業所/団体URL |
http://www.kcc.or.jp/ |
報告書 |
地域独居自立生活移行のための環境調査研究報告書
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