障害者自立支援調査研究データベース 事業実施報告内容 平成20年度 通番号64


項目 内容
通番号 64
番号 6
年度 平成20年度
指定テーマ 【指定7】 精神障害者の円滑な地域移行のための地域体制整備に関する調査研究事業
事業名 精神障がい者当事者参加型の地域支援環境づくり活動とその評価
事業目的 精神障がい者に対する地域住民の理解促進、とくに住居確保や訪問型サービスに関わる関係者の理解は、円滑な地域生活移行に重要な環境要因である。それらの関係者への精神障がいに関する啓発・教育機会において、ホームヘルパーの資格所持や自立支援員を経験した精神障がい当事者が、自らの経験を語ることを中心にした小規模な交流・啓発活動を実施し、交流事業を通じた相互にもたらすその効果を評価する。
事業概要 主に4つのプロジェクト:①地域における精神障害に関する啓発活動の展開~大阪府内地域活動支援センターを対象にした啓発活動の実態調査から~および啓発活動を主としたNPOの企画による啓発活動の効果評価②精神障がい(者)に対する地域環境づくりの戦略:地域住民、ホームヘルパーの精神障がいに対する態度、および研修実施の効果、③精神障がいのある当事者参画による地域環境づくり:ホームヘルパー資格を取得した人の生活・就労の実態調査および当事者職員と共に働く職員の意識調査/④精神障がいのある当事者が体験を語ることを中心にした啓発活動の現状と課題。以上、各調査研究を遂行、および企画委員会を設置し、企画の全体統括および調査結果をふまえた提言を行う。
事業実施結果及び効果 1.市民を対象にした多様な「入り口」づくりの重要性:精神保健福祉に接点を持たない市民に向けた啓発イベント企画として若者向けの劇団公演とのコラボレーション企画、休日の市民の憩いの場でのイベントを実施し、偶然的に精神保健の情報に触れ、考える機会を提供することができた。また、地域活動支援センターを対象にした調査によって、センターの使命として地域啓発活動イベントの実施の他、普段の実践のなかから近隣住民との関係づくりも心がけられていた。啓発活動の課題として、効果の評価が不明瞭なこと、および実施にかかる経費確保があげられた。
2.研修のあり方…民生委員対象に統合失調症患者への社会的距離を研修の前後に測定したところ、研修直後に良好な方向に変化するが、3ヵ月後には研修前のレベルに戻り、研修の効果は一時的なものと考えられた。研修直後の認識が持続できるような研修フォローが課題となった。ホームヘルパーを対象にした小規模な研修は、参加者間のコミュニケーションや事業所間ネットワーク形成に効果をもち、また当事者の経験の語りについての評価を含めて研修内容の評価も高かった。しかし、精神障がい者支援に新規に取り組もうとする事業所の開拓にはつながらず、課題として残った。
3.当事者の力の活用とその効果を引き出す環境づくり…ヘルパー資格取得の動機は就労への意欲が高く、関係者に勧められて、という人が多かった。実際に就労した人と就労していない人との間で、資格取得の意味付けにおいて特徴に差を認め、資格取得過程での自らの病気や障がいへの気づきや仲間づくりができたとする人が就労によりつながる傾向にあった。就労者においては、職場の上司と仕事と体調面の相談をしていない人が半数存在しており、就労継続上の課題と考えられる。支援現場で当事者が参加して就労するにあたっては、疾病をもちながら生活するということへの自己認識とそれを助けるサポート獲得が、就労準備期間から就労後も重要なことが示唆された。
4.体験を語る当事者活動について、大阪府内5か所の質問紙調査及び研修交流会を通じて把握した。当事者が語ることで自己と病いの関係を前向きにとらえなおすなど肯定的な変化を経験していることや、語りの技術を研修などで共有することの重要性、グループミーティングなど当事者グループ活動の要素が活動を活性化させていること、そして語る場所、特に教育機関の開拓が課題であることがわかった。
事業所/団体名称 財団法人 精神障害者社会復帰促進協会
事業所/団体〒 540-0026
事業所/団体住所 大阪府大阪市中央区内本町1-1-プラスサンビル6F 601
事業所/団体TEL 06-6944-3592
事業所/団体FAX 06-4791-4895
事業所/団体EMail hukikyo◎max.hi-ho.ne.jp (◎を@に置き替えてください)
事業所/団体URL http://www.max.hi-ho.ne.jp/hukikyo/
報告書 精神障がい者当事者参加型の地域環境づくりに関する研究 報告書
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