当日資料
発達障害の家族支援の新しいパラダイム
スライド2
この研究課題の目指すもの
家族の支援準備態勢づくりのモデルの開発
発達障害児を持つ母親の精神的健康度を支援するプログラム内容の検討。
および、発達障害児の支援につながる保護者の理解の形成のための取り組み
支援技法と、人材育成と普及方法の開発
広汎性発達障害の両親を対象としたペアレント・トレーニングの実施、
参加者に対する効果、ツールの活用の有効性の検討。
および、人材育成プログラムを並行し、プログラムの普及効果についての検討
家族支援サービスモデルの開発
地域における診断確定前の子育て支援のなかで、子育て困難度を把握し、
家族支援を行うことのできるモデルの開発
就園前の子どもの親の
抑うつと育児ストレスの検討
- 自閉症スペクトラムが疑われる子どもをもつ親との比較 -
分担研究者 / 名古屋大学 発達心理精神科学教育研究センター 准教授 永田雅子
対象
教室参加群(自閉症スペクトラムが疑われる子どもの親)
平成20年8月のクールから平成21年8月のクールまでに自閉症スペクトラムを疑われる子どもとその親を対象とした育児支援教室に参加した母親
31名
統制群(同じ地域にすむ同年代の子どもの親)
平成21年6月および7月に育児支援教室が開催されている市で実施された1歳半児健診および3歳児健診を受診した親
子育て総合支援センターで主催する2歳児対象の教室に参加した親
190名
質問紙の内容
ベック式抑うつ尺度(BDI)21項目
日本版育児ストレス尺度(PSI)78項目
結果
統制群 51名(回収率23%)
母親の平均年齢 33.14±4.77歳
子どもの平均年齢 2歳2ヶ月±8.1ヶ月(1:5~3:6)
教室参加群 29名(回収率93.5%)
母親の平均年齢 33.04±4.45歳
子どもの平均年齢 2歳5ヶ月±5.1ヶ月(1:11~3:6)
BDI陽性率
軽症うつと考えられる14点以上 統制群 22.4%
教室参加群 43%
特に中等症以上とされる20点以上 統制群 4.1%
教室参加群 18%
まとめ
- 子どもが多動やコミュニケーションのとりづらさなど自閉症スペクトラムが疑われ育児支援の教室に参加した親は、 抑うつ傾向が高く、育児ストレスも全般的に高いという結果がえられた。
- 同じ地域で、同年代の子どもを育てている母親に比べて、母親の抑うつや育児ストレスが有意に高いという結果を得ることができた。 特に“親としての有能さ”のストレスが高く、育児に自信を持てていない状況が明らかになった。
- 今後、より早期から母親への育児支援を積極的に行っていく必要性があると考えられる。