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当日資料
発達障害の家族支援の新しいパラダイム
スライド5

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支援技法と、人材育成と普及方法の開発

主任研究者 / 中京大学 現代社会学部 教授 辻井正次

  • 広汎性発達障害の両親を対象としたペアレント・トレーニングの実施、参加者に対する効果、ツールの活用の有効性の検討。 および、人材育成プログラムを並行し、プログラムの普及効果についての検討。
  • 支援のニーズがある段階で、まずは必要な情報と、基本的な子どもの関わり方がわかるようになることが最初のステップ。 障害特性にあった取り組みは次のステップで。

ペアレント・トレーニング・プログラムの開発

  • 従来のペアレント・トレーニングの問題点;ADHD向けのプログラムと、ASD向けのプログラムでは必要な内容が異なる。
  • 日本の子育て文化への配慮の必要性、文化的な背景を無視して、「発達障害のプログラム」としてしまうことは普及の弊害となる。応用行動 が狙い。抑うつ的な認知からの修正の必要性。
  • 問題行動の修正は次のステップとして、適応的な行動が重要であることを強調した方がよい。

楽しい子育て作りのための取り組み
親と子が楽しい毎日を過ごせるために

  • まずは現状を正しく把握すること
  • 現状把握のゆがみに気がつくこと
  • よい行動と、叱られない行動は違うこと
  • やり取りのなかでの悪循環といい循環の違いがわかること
  • 子どもの個性や準備状況によってやり取りが変わること
  • 親にとっても自分の行動は変えられること

ペアレント・トレーニングの効果の検討

愛知県X市における子育て支援事業の一環として子どもの個性にあった子育てという観点でのペアレント・トレーニングを実施。

参加者
X市広報により募集。2時間の講座を2週間に1回、連続5回で完結する。

内容
母親が自分自身と子どもの行動(良いところ、努力しているところ、困ったところ、苦手なところ)の現状を客観的に把握し、親子 のやりとりがよりよいものへと改善していくように支援する。

講座の効果
講座の実施前後を比較した結果、現実の自己イメージが肯定的な方向に変化し、精神的健康の指標である理想の自分と現実 の自分とのギャップ(大きいほど健康度が低い)が劇的に小さいものへと変化した。

ペアレント・トレーニング講座実施前後の変化

ペアレント・トレーニング講座の参加で自己イメージのズレが減少した。

理想 - 現実自己のズレ

事前 10.8 → 事後 6.6

理想の母親象 - 現実自己のズレ

事前 9.2 → 事後 5.4

まず、家族に届けるべき支援は何か

  • 子育て支援の枠組みで、子育ての難しい子どもに対する子育てとして、そのなかで母親がよりよい取り組みをしていることが実感できるような 事実に基づいた把握によって、否定的な認知的な枠組みを肯定的な枠組みに変換していくことがスタートとなる。
  • 特に1-3歳の子どもの場合、子どもの今の状態象を客観的に把握できるようになるにつれて、できる働きかけのなかで、子どもの適応的な 行動が増加してくることで、母親の有能感を高めていくことができていった。