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当日資料
発達障害の家族支援の新しいパラダイム
スライド6

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問題行動の対応のための
ペアレント・トレーニングプログラムの開発

分担研究者 / 鳥取大学大学院 医学研究科 教授 井上雅彦

目的
発達障害のあるきょうだい児間の問題に対する親支援プログラムを開発検討する

方法
家庭内できょうだいトラブルを抱える3家族
全4回の講座と家族における取り組み

結果
きょうだい間のトラブルに関しては、3事例ともに生起数の低減が確認され、直接介入していないトラブルに関しても回数の減少が報告された。
全員のBDI-II得点 FDT得点に改善が見られた。

酒井美江・宮崎光明・井上雅彦(2008) 発達障害のあるきょうだい間のトラブルに対する親支援プログラムの検討(1)
- トラブルの減少と親の心理面の変化 - 日本LD学会第17回大会発表論文集,608,広島

困難事例の対応に向けて

  • きょうだい事例や、すでに二次障害を合併した事例など、困難事例への対応においても、今あるもつれてしまった状況を改善するために、 ペアレント・トレーニングは有効である。
  • 成人期を迎えた成人当事者の家族(50-70歳代の親)を対象としたペアレント・トレーニングにおいても、有効性は見出されており、孤立した親たち が仲間を得つつ、再スタートをきりやすいと思われる。
  • さらに、母親自身がASDにあると想定される場合においても、最初に子どもの状態象を捉える枠組みを提供する意味で、ペアレント・トレーニングは 有効である。ただし、同じプログラムを2回取り組むと有効性が高くなることを経験している。

ペアレント・トレーニングを実施する支援者の育成

対象者
愛知県X市の保育士(園長補佐)12名

方法
1) 主任研究者が実施したペアレント・トレーニング(1クール5回 一回2時間)に1クール以上参加し、プログラム構成を学ばせた。
2) 6人ひと組となり、1~3歳、3~5歳の子どもを持つ母親を対象としたペアレント・トレーニングにおいて指導を担当した。

指導者育成の課題(自由記述)

  • うまくいった点 / 参加者が笑顔で意見を言ったり、参加者から活発に意見が出たり、自ら解決方法を見つけ出そうと話し合う 様子をみてうまくいったと感じた。
  • 難しかった点 / 参加者によってペアレント・トレーニングの進め方を工夫するところが難しかった。自分のアドバイスが 参加者に合っているのかを判断するのかが難しかった。
  • プログラムを明確化していくことで現場の保育士が中心となったプログラムの実施が可能であると明らかになった。

誰が支援を担うのか

  • 施策的な枠組みを考えた場合、特別な人材を大量に採用するという税政状況ではない以上、今いる人材のなかで支援を担うとすれば、医療や 保健よりも、保育や教育、福祉が担う方がより実態にあっていると考えられる。
  • 今回のペアレント・トレーニングのプログラムは、最初のステップについては、ベテランの保育士が担うことが可能であり、児童センターや子育て 支援センター、幼稚園のプレスクールなどで提供可能である。
  • 民間団体活用の場合には、カルチャースクールでの取り組みも有効で、居住地や年齢段階の制約なく参加できる利点がある。