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日本のリハビリテーション No.2

財団法人

日本障害者リハビリテーション協会


第2章 日本の障害者


1 概要

 わが国では,18歳以上の身体障害者については,1951年以来ほぼ5年ごとに全国的な調査を実施してきた。しかしながら,障害者調査については,その対象となる障害者本人およびその家族にとって,調査を実施すること自体が人権,プライバシーの侵害につながるとする主張から,調査の実施に対し強い反対運動があり,殊に精神障害者に関しては,その全国的実態を把握する調査は1963年の調査を最後に今日まで行われていない。また,精神薄弱者に関しても1971年の調査以来今日まで行われていない。なお,身体障害者に関する全国調査は,5年ごとの調査の計画の年であった1975年の調査が実施不能に陥入り,次の1980年調査から再び実施することができた。身体障害者に関する全国調査は,1987年に行われたのが最も新しい。この時の調査は,18歳以上の者のみならず,18歳未満の身体障害児についても調査が実施された。
 以上のような経緯から,行政調査に基づいて日本の障害者数を報告するに当たり,ここでは次の方法をとることとする。

(1) 身体障害者については,1987年の身体障害者(児)実態調査結果に基づき推計する。
(2) 精神障害者については,1963年の精神衛生実態調査結果に基づき,その後の総人口の増加率をもって推計する。

このことにより,日本の障害者数は次のように推計される。

18歳以上の身体障害者(在宅)2,413,000人
18歳以上の身体障害者(施設入所)93,000人
18歳未満の身体障害児(在宅)92,500人
18歳以上の身体障害児(施設入所)13,000人
精神障害者
(うち,精神薄弱者(注))
1,562,000人
 (504,000人)
4,173,500人

(注) 精神薄弱者数については,1963年調査結果の40万人を基にした推計であるが,別途,1971年の精神薄弱児(者)実態調査によると,356,300人と推計されていた。         

なお,慢性疾患,難治性疾患の取り扱いについてであるが,わが国の身体障害者福祉法では,慢性疾患というだけの理由で障害者と認定することはしない。わが国にもこれら患者を特定疾患治療対策とする事業があり,また,障害年金の支給対象となる場合は,そのような重症の人の相当数は前掲の身体障害児者の教に含まれることになる。
 つまり,日本の障害者数の概数は,約420万人と推計され,これは総人口の約3.5パーセントに当たる。
 ちなみに,わが国における身体障害者の定義は,身体障害者福祉法に次のような規定があり,さらに詳細な認定基準により,程度等級別に1級から6級まで6段階に評価される。

〈身体障害の範囲〉

1.次に掲げる視覚障害で,永続するもの

(1) 両眼の視力(万国式試視力表により測定する。矯正後の視力による。以下同じ)がそれぞれ0.1以下のもの
(2) 一眼の視力が0.02以下,他眼の視力が0.6以下のもの
(3) 両眼の視野がそれぞれ10度以内のもの
(4) 両眼による視野の2分の1以上が欠けているもの

2.次に掲げる聴覚又は平衡機能の障害で永続するもの

(1) 両耳の聴力レベルがそれぞれ70デシベル以上のもの
(2) 一耳の聴力レベルが90デシベル以上,他耳の聴力レベルが50デシベル以上のもの
(3) 両耳による普通話声の最良の語音明瞭度が50パーセント以下のもの
(4) 平衡機能の著しい障害

3.次に掲げる音声機能,言語機能またはそしゃく機能の障害

(1) 音声機能,言語機能またはそしゃく機能の喪失
(2) 音声機能,言語機能またはそしゃく機能の著しい障害で永続するもの

4.次に掲げる肢体不自由

(1) 一上肢,一下肢または体幹の機能の著しい障害で,永続するもの
(2) 一上肢のおや指を指骨間関節以上で欠くものまたはひとさし指を含めて一上肢の二指以上をそれぞれ第一指骨間関節で欠くもの
(3) 一下肢をリスフラン関節以上で欠くもの
(4) 両下肢のすべての指を欠くもの
(5) 一上肢のおや指の機能の著しい障害またはひとさし指を含めて一上肢の三指以上の機能の著しい障害で,永続するもの
(6) (1)から(5)まで掲げるもののほか,その程度が(1)から(5)までに掲げる程度以上であると認められる障害
(図表2-1) 障害の種類別,身体障害者の推移(千人)
- 総数 (肢体) (聴・言) (視覚) (内部)
1951年12月 512千人
(人口千対6.05人)
 291 100 121 -
1955年10月 785千人
(人口千対14.4人)
476 130 179 -
1960年7月 829千人
(人口千対13.7人)
486 141 202 -
1965年8月 1,048千人
(人口千対15.7人)
610 204 234 -
1970年10月 1,314千人
(人口千対17.9人)
763 235 250 66
1975年2月 1,977千人
(人口千対23.8人)
1,127 317 336 197
1987年2月 2,413千人
(人口千対26.7人)
1,460 354 307 292


5.心臓,腎臓,呼吸器,膀胱,直腸,小腸の機能の障害で,永続し,かつ,日常生活が著しい制限を受ける程度であると認められるもの
 なお,精神障害の場合,とくに精神薄弱についても法的に明確な定義が行われておらず,障害認定の基準が必ずしも統一されていないといった事情もあり,このことが精神障害者についての実態把握を困難にしている理由の一つであるとも言われる。


2 18歳以上の身体障害者

 1987年2月現在の調査で,全国の18歳以上の身体障害者数(在宅)は,2,413,000人(人口比2.7パーセント)と推計される。前回(1980年)調査以来7年ぶりの調査であるが,前回の調査結果1,977,000人(人口比2.4パーセント)に比べると約22パーセントの増加となっている。
 (注)この調査は在宅者の調査であるから,調査時点における施設入所者93,000人を加えると,総数は2,506,000人と推計される。
 18歳以上の身体障害者については,1951年以来今回まで7回の調査結果が得られているが,その推移は,(図表2-1)のとおりである。
 今回の調査結果による身体障害者数を障害の種類別にみると,その構成比は,肢体不自由が60パーセント,聴覚言語障害が15パーセント,視覚障害が13パーセント,内部障害が12パーセントとなっているが,前回の調査と比較すると,増加率では内部障害が48.2パーセント増と最も大きく,肢体不自由29.5パーセント,聴覚言語障害11.7パーセントの増加であるが,視覚障害は8.6パーセントの減少となっている(表2-1)。

(注) 内部障害の増加率が高いのは,障害の範囲拡大の影響によるもので,1967年に初めて心臓と呼吸器の障害を身体障害の範囲に加えて以来,1972年に腎臓障害を,1984年に膀胱・直腸障害,1986年に小腸障害を,それぞれ範囲拡大してきたもの。

 なお,視覚障害の減少については,トラコーマ等の感染症の予防・治療,白内障の手術,とくに眼内レンズの普及,糖尿病の内科的管理による失明防止といった医学の進歩が,障害の発生防止に寄与しているものとみられる。
 次に,年齢階級別に身体障害者数の構成比をみると,70歳以上が31パーセント以上を占め最も多く,年齢階級が低くなるにしたがいその構成比は減少しており,64歳未満の生産年齢層と65歳以上の高齢者層の割合は,55.8パーセント対44.2パーセントとなっている。前回調査との比較でみると,70歳以上の階級の増加率が最も高く,次いで30歳代の増加率が高い。また,20歳代以下では減少傾向にある。障害の種類別に年齢階級別の分布をみると,70歳以上の階級が聴覚言語障害では44.9パーセント,視覚障害39.7パーセントであるのに対し,肢体不自由では28.9,内部障害では18.5パーセントと障害別で差異があり,内部障害ではむしろ50歳代~60歳代にモードが高い。しかし全体的には,高齢層ほど身体障害者数の構成比は高く,増加率も高いことは明らかである。このことは,人口構造の高齢化現象が身体障害者にも及んでいることを示している。
 なお,身体障害者数の男女比は,全体的には男性の比率が56.2パーセントと高いが,前回調査に比べ女性の比率が漸増している(表2-2)。
 身体障害者の出現率は,人口千人に対し26.7人となっており,前回の23.8人に比し12パーセントの増加である。年齢階級別にみた身体障害者の出現率は,高齢層にいくほど高くなっているが,20歳未満での出現率の低下は著しい。このことは,過去7年間における全人口の増加率の推移と対比してみても明らかである(表2-3)。
 次に,障害の程度別状況についてみると,1・2級の重い障害を有する身体障害者は923,000人,身体障害者総数の38.3パーセントであり,前回の32.7パーセントに比しその割合は増大しており,重度障害者の増加の傾向が認められる。障害の種類別に1・2級の者をみると,視覚障害では173,000人,56.4パーセントと半数以上を占め,内部障害も155,000人,53パーセント。聴覚言語障害では118,000人,33.3パーセント,肢体不自由では477,000人,32.6パーセントと障害別に多少の差異はあるが,重複障害では1級が35.3パーセント,1・2級では59パーセントを占めている(表2-4)。
 重複障害のある場合,以前は同一等級の障害が重複する場合のみ1級うえの級とすることとされていたが,1984年に程度等級の認定基準を改訂し,重度の障害については同一等級以外の重複障害についても1級うえとすることとされた。このような認定基準改訂の要素を考慮に入れても,なおかつ,身体障害者全体の重度化傾向は否めない。このことは,以前であれば死に至るような傷病であっても,医学の進歩によって,重度障害を残しつつも救命,延齢することになっている一面を示すものと思われる。
 次に,身体障害の原因別の状況をみると,事故を原因とするものが,24.5%で比率は前回と同様であるのに対し,疾病を原因とするものは67.4%で前回を大きく上回っており,原因不明とするものは8%と前回よりも著しく減少している。


(表2-1) 身体障害者総数
- 実数(千人) 構成比(%)
総数 視覚障害 聴覚障害 肢体不自由 内部障害 重複障害
(再掲)
総数 視覚障害 聴覚障害 肢体不自由 内部障害 重複障害
(再掲)
1951 512 121 100 291 - - 100 23.6 19.5 56.9 - -
1955 785 179 130 476 - - 100 22.8 16.6 60.0 - -
1960 829 202 141 486 - 44 100 24.4 17.0 58.6 - 5.3
1965 1,048 234 204 610 - 215 100 22.3 19.5 58.2 - 20.5
1970 1,314 250 235 763 66 121 100 19.0 17.9 58.1 5.0 9.2
1980 1,977 336 317 1,127 197 150 100 17.0 16.0 57.0 10.0 7.6
1987 2,413 307 354 1,460 292 156 100 12.7 14.7 60.5 12.1 6.5

(注) 内部障害の増加分には,1980年以後範囲拡大した膀胱・直腸障害(1984年)および小腸障害(1986年)の合わせて37,000人が含まれている。

- 前回比
総数 視覚障害 聴覚障害 肢体不自由 内部障害 重複障害
(再掲)
1951 - - - - - -
1955 153.3 147.9 130.0 163.6 - -
1960 105.6 112.9 108.5 102.1 - -
1965 126.4 115.8 144.7 125.5 - 488.6
1970 125.4 106.8 115.2 125.1 - 56.3
1980 150.5 134.4 134.9 147.7 298.5 124.0
1987 122.1 91.4 111.7 129.5 148.2 104.0


(表2-2) 年齢階級別,身体障害者の分布状況
- 総数 18~19歳 20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~64歳 65~69歳 70~歳
1987年2月
(構成比)
千人
2,413
(100%)
1,356
(56.2)
1,057
(43.8)
8
(0.3)
78
(3.2)
182
(7.5)
269
(11.1)
483
(20.0)
326
(13.5)
312
(12.9)
756
(31.3)
1980年2月
(構成比)
千人
1,977
(100%)
1,134
(57.4)
843
(42.6)
11
(0.6)
86
(4.3)
135
(6.8)
260
(13.2)
417
(21.1)
240
(12.2)
268
(13.6)
558
(28.2)
増加率 122.1% 119.6 125.4 72.7 90.7 134.8 103.5 115.8 135.8 116.4 135.5
’87年2月分内訳 視覚障害
(構成比)
307
(100)
141
(45.9)
166
(54.1)
0
(0.0)
9
(2.9)
16
(5.2)
29
(9.4)
53
(17.3)
37
(12.1)
42
(13.7)
122
(39.7)
聴言障害
(構成比)
354
(100)
199
(56.2)
155
(43.8)
1
(0.3)
11
(3.1)
33
(9.3)
27
(7.6)
52
(14.7)
33
(9.3)
39
(11.0)
159
(44.9)
肢体不自由
(構成比)
1,460
(100)
852
(58.4)
608
(41.6)
7
(0.5)
49
(3.4)
110
(7.5)
168
(11.5)
298
(20.4)
208
(14.2)
197
(13.5)
422
(28.9)
内部障害
(構成比)
292
(100)
163
(55.8)
129
(44.2)
0
(0.0)
8
(2.7)
23
(7.9)
45
(15.4)
80
(27.4)
48
(16.4)
34
(11.6)
54
(18.5)
重複障害(再掲)
(構成比)
156
(100)
94
(60.3)
62
(39.7)
1
(0.6)
5
(3.2)
7
(4.5)
15
(9.6)
24
(15.4)
18
(11.5)
17
(10.9)
69
(44.2)


(表2-3) 年齢階級別にみた身体障害者の人口比(対千人)
(単位:人)
- 総数 18~19歳 20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~64歳 65~69歳 70~
1987年2月 26.7 2.2 4.9 9.1 15.7 31.7 56.9 72.9 88.0
1980年2月 23.8 3.5 4.9 7.0 16.0 33.7 55.8 68.7 87.6
増加率 112.2 62.9 100.0 130.0 98.1 94.1 102.0 106.1 100.5


(参考)年齢階級別人口の推移
(単位:千人)
- 総数 18~19歳 20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~64歳 65~69歳 70~
1986.10.1
人口推計
90,437 3,710 15,862 19,940 17,085 15,237 5,731 4,282 8,588
1979.10.1
人口推計
83,113 3,136 17,405 19,403 16,220 12,377 4,298 3,899 6,374
増加率 108.8 118.3 91.1 102.8 105.3 123.1 133.3 109.8 134.7


(表2-4) 身体障害者の種類別・程度別状況
- 実数 構成比
総数 1級 2級 3級 4級 5級 6級 不明 総数 1級 2級 3級 4級 5級 6級 不明
1987年2月 千人
2,413
475 448 408 458 326 236 62
100
19.7 18.6 16.9 19.0 13.5 9.8 2.6
1980年2月 1,977 293 355 337 381 265 244 101 100 14.8 17.9 17.0 19.3 13.4 12.4 5.1
増加率(%) 122.1 161.1 126.2 121.1 120.2 123.0 96.7 61.4 100 133.1 103.9 99.4 98.4 100.7 79.0 51.0
’87年の内訳
視覚障害 307 107 66 30 23 30 44 8 100 34.9 21.5 9.8 7.5 9.8 14.3 2.6
聴言障害 354 28 90 65 66 2 91 12 100 7.9 25.4 18.4 18.8 0.6 25.7 3.4
肢体不自由 1,460 188 291 246 308 294 100 33 100 12.7 19.9 16.9 21.1 20.1 6.8 2.3
内部障害 292 154 1 67 60 - - 10 100 52.7 0.3 22.9 20.5 - - 3.4
重複障害
(再掲)
156 55 37 25 15 10 4 10 100 35.3 23.7 16.0 9.6 6.4 2.6 6.4

(注) 重複障害のある場合,以前は同一等級の重複障害についてのみ1級うえの級とされていたが,1984年の認定基準改訂により,重度の障害については,同一等級以外の重複障害についても1級うえとすることとされた。


(表2-5) 身体障害者の原因別状況
- 総数 事故 疾病 不明
交通事故 労働災害 その他の事故 戦傷病戦災 小計 感染症 中毒性疾患 その他の疾患 出生時の損傷 その他 小計
1987年2月 2,413
(100)
121
(5.0)
223
(9.2)
157
(6.5)
92
(3.8)
592
(24.5)
114
(4.7)
9
(0.4)
1,192
(49.4)
83
(3.9)
220
(9.1)
1,627
(67.4)
194
(8.0)
1980年2月 1,977
(100)
92
(4.7)
177
(9.0)
119
(6.0)
97
(4.9)
485
(24.5)
91
(4.6)
8
(0.4)
841
(42.5)
70
(3.5)
252
(12.8)
1,262
(63.8)
230
(11.6)
増加率(%) 122.1 131.5 126.0 131.9 94.8 122.1 125.3 112.5 141.7 132.9 87.3 1,290 84.3
’87年の内訳
視覚障害 307
(100)
7
(2.3)
10
(3.3)
11
(3.6)
6
(2.0)
34
(11.2)
10
(3.3)
1
(0.3)
174
(56.7)
14
(4.6)
37
(12.1)
236
(77.0)
39
(12.7)
聴言障害 354
(100)
2
(0.6)
9
(2.5)
8
(2.3)
15
(4.2)
34
(9.6)
6
(1.7)
2
(0.6)
158
(44.6)
22
(6.2)
67
(18.9)
255
(72.0)
66
(18.6)
肢体不自由 1,460
(100)
111
(7.6)
198
(13.6)
137
(9.4)
69
(4.7)
516
(35.3)
84
(5.8)
5
(0.3)
653
(44.7)
56
(3.8)
83
(5.7)
881
(60.3)
63
(4.3)
内部障害 292
(100)
1
(0.3)
5
(1.7)
1
(0.3)
3
(1.1)
10
(3.4)
14
(4.8)
1
(0.3)
207
(70.9)
2
(0.7)
32
(11.0)
256
(87.7)
27
(9.2)
重複障害
(再掲)
156
(100)
7
(4.5)
8
(5.1)
7
(4.5)
6
(3.8)
28
(17.9)
6
(3.2)
2
(1.3)
87
(55.8)
5
(3.2)
14
(9.0)
114
(72.5)
14
(9.0)

 ( )内は構成比(%)

(表2-6) 身体障害者の疾患別状況
- 肢体不自由 聴言障害 視覚障害 その他の疾患
- 総数 脳性マヒ 脊髄性小児マヒ 脊髄損傷 進行性筋萎縮症 脳血管障害 骨関節疾患 リウマチ性疾患 中耳性疾患 内耳性疾患 角膜疾患 水晶体疾患 網脈絡膜視神経疾患
1987年2月 2,413
(100.0)
65
(2.7)
53
(2.2)
76
(3.2)
13
(0.5)
354
(14.7)
232
(9.6)
93
(3.8)
97
(4.0)
103
(4.3)
63
(2.6)
63
(2.6)
112
(4.6)
1,090
(45.2)
1980年2月 1,977
(100.0)
59
(3.0)
53
(2.7)
66
(3.3)
5
(0.3)
227
(11.5)
184
(9.3)
92
(4.7)
72
(3.7)
82
(4.1)
74
(3.7)
65
(3.3)
118
(5.9)
880
(44.5)
増加率(%) 122.0 110.2 100.0 115.2 260.0 155.9 126.1 101.1 134.9 125.6 85.1 96.9 94.9 123.9

 事故に関しては,交通事故,労働災害その他の事故の増加が目立っており,戦傷病戦災については当然のことながら減少している。疾病に関しては,脳卒中などの成人病を含む「その他の疾患」によるものが実数及び構成比とも圧倒的に増加している(表2-5)が,これを疾患別にみると,脳血管障害14.7パーセント,骨関節疾患9.6パーセントといった典型的な高年性疾患によるものが多く出ている。前回調査との比較で増加率をみると,肢体不自由では進行性筋萎縮症,脳血管障害,骨関節疾患が,聴覚言語障害では中耳性・内耳性の両疾患がいずれも漸増しているのに対し,視覚障害の原因疾患はいずれも大きく減少している(表2-6)。
 なお,ここでいう「その他の疾患」は,内臓の疾患や外傷,悪性腫瘍等を含むものであるが,これも前回に比し増加している。


3 18歳未満の身体障害児

 わが国では,18歳未満の児童については児童福祉法に基づく施策の対象とされ,18歳以上の者が身体障害者福祉法に基づく施策の対象とされていると区分されるため,身体障害者調査についても18歳を境界として,別々に実施された。
 1987年2月現在の調査によると,全国18歳未満の身体障害児(在宅)の数は,92,500人(人口千人比2.9人)と推計された。前回の調査は1970年であったから,およそ17年ぶりの調査であるが,前回調査の結果93,800人(人口千人比3.1人)に比し,約1.4パーセントの減少となっている。

 (注)在宅の92,500人に,調査時点における施設入所者13,000人を加えると,18歳未満の身体障害児の総数は105,500人となる。

 18歳未満の身体障害児について,1965年以来行われた3回の調査結果の推移をみると,毎回,減少傾向を示している(図表2-2)。
 今回の調査結果を障害の種類別にみると,肢体不自由が57.6パーセント,内部障害が21.4パーセント,聴覚言語障害が14.7パーセント,視覚障害が6.3パーセントの構成比であるが,前回の調査と比較すると,内部障害が3倍以上に増加しているのに対し,聴覚言語障害は42.6パーセント,視覚障害は17.1パーセント,肢体不自由は7.3パーセントの順でいずれも減少している(表2-7)。

(注)内部障害の増加要因は,前記身体障害者の場合と同様,法律の対象となる身体障害の範囲に内臓系障害を逐年とり入れたことによる。

 次に,身体障害児の年齢階級別の状況をみると,構成比では10~14歳の階級が34パーセント以上を占め最も多く,年齢階級が低くなるにつれその構成比は減少している。これを前回調査との比較でみると,5~9歳階級が6.2パーセント,15~17歳階級が2.4パーセント増加しているほかはいずれも減少しており,特に4歳以下では10パーセント以上の減少である。障害の種類別にみると,全体の傾向は総数の場合と同様であるが,10~14歳の階級では,視覚障害,聴覚言語障害,肢体不自由のいずれもが他の障害に比べ構成割合が高いのに対し,5~9歳階級では内部障害が最も多いなど,障害の種類別により年齢構成に差異がみられる(表2-8)。なお,身体障害児の人口比出現率は,人口千人に対し2.9人であり,前回に比して6.5パーセントの減少である。年齢階級別の人口比は,15~17歳の3.8人を最高に,年齢が低くなるほど減少している(表2-9)。
 次に,身体障害児の程度別状況をみると,1・2級の重度障害をもつ身体障害児は44,300人,47.9パーセントで,前回の33.4パーセントに比しその割合が増大するとともに,増加率でも1級,2級,3級が高く,重度障害児の増加の傾向が認められる。障害の種類別に1・2級の障害児をみると,肢体不自由では27,600人,51.8パーセントと,半数以上を占め,内部障害は8,600人で43.4パーセント,聴覚言語障害は5,800人で42.7パーセント,視覚障害は2,300人で39.7パーセントとなっている。また,重複障害では1級が40.9パーセント,1・2級合わせると63.6パーセントを占め,重度障害児の多いことを示している(表2-10)。
 次に,身体障害児の原因別別況をみると,疾病によるものが73.0パーセントと大多数を占め,事故によるものは4.7パーセント,不明が22.3パーセントとなっている。前回調査とは調査項目が異なるので単純な比較は困難であるが,原因不明が大幅に増加しているほかは,交通事故50パーセント減,感染症27パーセント減,中毒性疾患66パーセント減といずれも減少している(表2-11)。また,原因疾患別にみると,脳性マヒの割合が目立って大きく,また,前回との比較では,脳性マヒをはじめ,脊髄性小児マヒ,進行性筋萎縮症,視覚系の三疾患などが減少しているのに対し,脳血管障害,脊髄損傷,リウマチ性疾患など,2倍から3倍へと増加しているものもある(表2-12)。


(図表2-2) 障害の種類別,身体障害児の推移 (千人)
- 総数 肢体不自由 聴覚障害 視覚障害 内部障害
1965年8月 総数116,600人
(人口千対比3.7人)
76,200人 26,000 14,400 -
1970年10月 総数93,800人
(人口千対比3.1人)
57,500人 23,700 7,000 5,600
1987年2月 総数92,500人
(人口千対比3.0人)
53,300人 13,600 5,800 19,800


(表2-7) 身体障害児数
- 実数 構成比
総数 視覚障害 聴覚障害 肢体不自由 内部障害 重複障害
(再計)
総数 視覚障害 聴覚障害 肢体不自由 内部障害 重複障害
(再計)
1965
116,600

14,400

26,000

76,200

-

41,100
%
100
%
12.3
%
22.3
%
65.4
%
-
%
35.2
1970 93,800 7,000 23,700 57,500 5,600 12,600 100 7.5 25.3 61.3 6.0 13.4
1987 92,500 5,800 13,600 53,300 19,800 6,600 100 6.3 14.7 57.6 21.4 7.1


- 前回比
総数 視覚障害 聴覚障害 肢体不自由 内部障害 重複障害
(再計)
1965 %
-
%
-
%
-
%
-
%
-
%
-
1970 80.5 48.6 91.2 75.5 - 30.7
1987 98.6 82.9 57.4 92.7 353.6 52.4


(表2-8) 年齢階層別,身体障害児の分布状況
- 総数 0~4歳 5~9歳 10~14歳 15~17歳
1987年2月
(構成比)
92,500人
(100%)
12,400
(13.4)
26,800
(29.0)
31,900
(34.5)
21,400
(23.1)
1970年10月
(構成比)
93,800人
(100%)
14,000
(14.9)
25,600
(27.3)
33,400
(35.6)
20,900
(22.3)
増加率 98.6% 88.6 106.2 95.5 102.4
’87年2月分内訳 視覚障害 5,800人
(100)
800
(13.8)
1,800
(31.0)
2,700
(46.6)
400
(6.9)
聴言障害 13,600
(100)
1,900
(14.0)
4,300
(31.6)
5,800
(42.6)
1,600
(11.8)
肢体不自由 53,300
(100)
5,800
(10.9)
13,600
(25.5)
18,300
(34.3)
15,600
(29.3)
内部障害 19,800
(100)
3,900
(19.7)
7,000
(35.4)
5,100
(25.8)
3,800
(19.2)
重複障害(再掲) 6,600
(100)
400
(6.1)
1,200
(18.2)
2,700
(40.9)
2,300
(34.8)


(表2-9) 年齢階層別,身体障害児の人口比(対千人)
1987年2月
調査
1970年10月
調査
増加率 1987年2月内訳
0~4歳 5~9歳 10~14歳 15~17歳
3.0人 3.1人 97.0% 1.7人 3.3人 3.2人 3.7人


(表2-10) 身体障害児の障害の種類別,程度別状況
- 実数 構成比
総数 1級 2級 3級 4級 5級 6級 不明 総数 1級 2級 3級 4級 5級 6級 不明
1987年2月 92,500
25,300 19,000 20,600 6,600 4,700 2,700 13,600 100.0
27.4 20.5 22.3 7.1 5.1 2.9 14.7
1970年10月 93,800
13,000 18,300 12,200 14,000 8,900 10,300 17,200 100.0 13.9 19.5 13.0 14.9 9.5 11.0 18.3
増加率 98.6
194.6 103.8 168.9 47.1 52.8 26.2 78.1 100.0 197.1 105.1 171.5 47.7 53.7 26.4 80.3
’87年2月分内訳 視覚障害 5,800
1,900 400 400 400 800 - 1,900 100.0
32.8 6.9 6.9 6.9 13.7 - 32.8
聴言障害 13,600 - 5,800 3,500 - - 1,200 3,100 100.0 - 42.7 25.7 - - 8.8 22.8
肢体不自由 53,300 14,800 12,800 11,300 3,900 3,900 1,500 5,100 100.0 27.8 24.0 21.2 7.3 7.3 2.8 9.6
内部障害 19,800 8,600 - 5,400 2,300 - - 3,500 100.0 43.4 - 27.3 11.6 - - 17.7
重複障害(再掲) 6,600 2,700 1,500 800 400 - - 1,200 100.0 40.9 22.7 12.1 6.1 - - 18.2


(表2-11) 身体障害児の障害の原因別状況
- 事故 疾病 不明
総数 交通事故 その他の事故 小計 出生時の損傷 感染症 中毒性疾患 その他の疾患 その他 小計
1987年2月 92,500
(100.0)
800
(0.9)
3,500
(3.8)
4,300
(4.7)
30,300
(32.7)
3,100
(3.3)
400
(0.4)
21,800
(23.6)
12,000
(13.0)
67,600
(73.0)
20,600
(22.3)
1970年10月 93,800
(100.0)
1,600
(1.7)
5,000
(5.3)
6,600
(7.0)
- 11,400
(12.2)
600
(0.6)
26,900
(28.7)
37,200
(39.7)
76,100
(81.1)
11,200
(11.9)
増加率 98.6
50.0 70.0 65.2 - 27.2 66.7 81.0 - 88.8 183.8
’87年2月分内訳 視覚障害 5,800
(100.0)
- - - 1,500
(25.9)
400
(6.9)
- 800
(13.8)
800
(13.8)
3,500
(60.4)
2,300
(39.6)
聴言障害 13,600
(100.0)
- - - 1,900
(14.0)
400
(2.9)
- 1,200
(8.8)
2,700
(19.9)
6,200
(45.6)
7,400
(54.4)
肢体不自由 53,300
(100.0)
800
(1.5)
3,500
(6.6)
4,300
(8.1)
22,600
(42.4)
1,900
(3.6)
12,100
(22.7)
5,400
(10.1)
42,400
(79.5)
6,600
(12.4)
内部障害 19,800
(100.0)
- - - 4,300
(21.7)
400
(2.0)
- 7,700
(38.9)
3,100
(15.7)
15,500
(78.3)
4,300
(21.7)
重複障害(再掲) 6,600
(100.0)
- 400
(6.1)
400
(6.1)
2,700
(40.9)
400
(0.7)
- 1,600
(24.2)
- 4,300
(65.1)
1,900
(28.8)


(表2-12) 身体障害児の疾病別状況
- 肢体不自由 聴・言障害 視覚障害 その他の疾患
- 総数 脳性マヒ 脊髄性小児マヒ 脊髄損傷 進行性筋萎縮症疾患 脳血管障害 骨関節疾患 リウマチ性疾患 中耳性疾患 内耳性疾患 角膜疾患 水晶体疾患 網脈絡膜・視神経系疾患
1987年2月 92,500
(100.0%)
26,900
(29.1)
800
(0.9)
2,700
(2.9)
- 1,900
(2.1)
2,700
(2.9)
800
(0.9)
1,500
(1.6)
5,100
(5.5)
- 400
(0.4)
1,200
(1.3)
48,500
(52.4)
1970年10月 93,800
(100.0%)
29,200
(31.1)
8,300
(8.8)
900
(1.0)
1,100
(1.2)
600
(0.6)
1,900
(2.0)
300
(0.3)
1,900
(2.0)
2,900
(3.1)
1,600
(1.7)
1,400
(1.5)
2,300
(2.5)
41,600
(44.3)
増加率 98.6
92.1 9.6 300.0 - 316.7 142.1 266.7 78.9 175.9 - 28.6 52.2 116.6


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主題:
日本のリハビリテーション  No.2
33頁~44頁

発行者:
財団法人 日本障害者リハビリテーション協会

編集:
財団法人 日本障害者リハビリテーション協会

発行年月:
1992年8月31日

文献に関する問い合わせ先:
財団法人 日本障害者リハビリテーション協会
〒162 東京都新宿区戸山1-22-1
電話 03-5273-0601
FAX 03-5273-1523