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『機能障害のある学生について』概要

ストックホルム大学学生課
2000年10月

『機能障害のある学生について』はストックホルム大学のその他の職員のためのガイドブックであり、プロジェクト『機能障害のある学生に対する、大学及びカレッジにおける地域的支援の拡大』の一環として作成された。これはストックホルム大学、国立録音点字図書館(TPB)、視覚障害者全国協会(SRF)、学友会の共同プロジェクトである。

前書き

各大学の機能障害のある学生の数は、近年かなり増えてきた。このような学生が大学レベルで学べるようになったのは、1970年代初頭であったが、その後彼らに対する支援は何度も改善され、現在では障害に対する見解もかなり変化した。現在の目標は全ての学生が同じ条件で学ぶことである。

労働市場における成功と高学歴とは深い関係がある。

知識と能力を蓄えることは、社会の一員全員が持つべき、労働に対する最も安全な保障である。特に機能障害のある人々は持たなくてはならない。

ストックホルム大学は機能障害のある学生を歓迎します。

ストックホルム大学は、「この大学は機能障害のある学生にとって利用しやすく、彼らは他の学生と同様に勉学を遂行する機会がある」という目標を掲げている。

大学の役員会が採択した目的文書では学生達が特別支援を受ける権利があることや、性別、各人の背景、機能障害等に拘わらず、各グループ間の平等性を重視することを述べている。

1.ストックホルム大学への申請

機能障害のある学生は、入学の際の競争に値できる程度の能力をなんらかの理由により身に着けていなかった場合でも、選考制ではあるが入学することができる。

機能障害が実際にどの程度成績に影響したのか、判定を行う。

今日では、特殊事情により個別の対処を必要とする多くの学生が入学申請をする。そのため、このような学生の中でも選考を行わなければならない。その場合入学の決め手となるのはほとんどの場合成績表と大学入学試験の結果である。

ストックホルム大学に入学申請をする者は機能障害のあるなしにかかわらず、要求される資格条件を満たしていなければならない。

高等学校時代または大学教育に向けて知識を蓄えるべき時に、申請者の機能障害またはその他の身体的理由が勉学にマイナスの影響を与えて場合、特別試験を受けるため、成績表にその旨を掲載することができる。それによって、特別試験を受けることができる。

2.学生課の障害者サービス

ストックホルム大学で機能障害のある学生に対して特に責任を負っているのは学生課の障害者サービス部の職員である。機能障害のある学生が大学生活においてなんらかの支援を必要としている場合、彼らはそこに連絡を取ることにより、自分に合った支援について話し合い、必要な情報を得ることができる。

ストックホルム大学では通常、学生課が彼らのために証明書を発行する。そこには彼らがどのような支援を必要かしているかが記入してある。またそれによって特別支援に対する補助金が与えられるのである。

機能障害のある学生は勉学期間の個人的な支援に必要な経費を申請することができる。

そのためには困難を覚える学生は自分で学生課に来なければならない。このために機能障害のある学生のコンタクトパーソンが手助けを行う。

ただし自治体による補助金等によって個人的に介助者を伴っている場合や支援を望まない場合等は学生課に申請する必要はない。

3.各学課の責任

機能障害のある学生に対するストックホルム大学の利用し易さは物理的な意味ばかりではなく、情報、サービス、試験方法の選択など学習環境全般に及ぶ。

彼らの勉学がうまくいくかどうかの決め手となるのは、学校側の対応である。

彼らが真っ先に連絡を取るのは学校の職員である。それゆえ最も良いのは学期が始まる前に職員側が、様々な機能障害のある学生が授業に参加しやすいように授業計画をおくことである。

各学課には機能障害のある学生のコンタクトパーソンがいる。通常は学科毎のスタディーカウンセラーが担当する。

ストックホルム大学には1995年に決められたスタディーカウンセリングに関する目標文がある。そこで重心が置かれているのは、学科における計画と勉学の実施に結びつく適正なカウンセリングである。コンタクトパーソン達は経験により、機能障害のある学生達が、彼らの障害を鑑みて特別な条件を必要としていることを知っている。彼らはまずこのような学生達の学業と機能障害の兼ね合いや、その時々の状況への適応の方法等を分析する。このような学生達が勉学を遂行するためには、これが不可欠なのである。

学課のスタディーカウンセラーは、機能障害のある学生が勉学を進めるのを容易にする様々な支援があることを伝える。

機能障害のある学生のために特に作成されたガイドブックがあるが、スタディーカウンセラーはそれを学生に渡すべきである。そうすれば彼らはハンディキャップサービスと連絡を取る前に、自分の必要としている支援についてよく考えておくことができる。

認められた支援策が記載された証明書はコンタクトパーソンであるカウンセラーが保管しておくべきである。そうすればその学生を受け持つ教職員がそれを利用して、学生が授業で用いる教材を前もって準備しておくことができる。

ほとんどの場合、機能障害のある学生は前もって学課のスタディーカウンセラーまたはその他の職員に会い、授業の方法を聞いたり、その他の実際的な情報を得たりする。たとえば必要な書籍のリストを貰う等。もしその学生に読字障害がある場合は、録音図書、点字図書、Eテクストブック等の教科書を学科開始前に作成できるように予約しなければならない。

ハンディキャップサービスと機能障害のある学生は、その学生の日常生活に最も適した支援形態について話し合い、推奨される支援処置に関する証明書が発行される。

例えば学生は、学科試験を彼の状態に最も適した方法で受ける権利を持っている。もし学科の担当教諭がその試験の方法に何か疑問を持つ場合、その教諭はハンディキャップサービスの中の担当職員に連絡を取るのである。

学科の内容によっては一部の授業に、機能障害のある学生が参加できるかどうか判断ができない場合もある。その場合は学科の主任教諭が学生と話し合い、調整の方法について話し合い、決定する。学生が参加できない場合には、空いた時間を学生はその学科の知識を深めるために使うべきである。

機能障害のある学生が学業を遂行するにあたり、健常な学生よりも時間がかかる場合もある。そのような場合には主任教諭またはスタディーカウンセラーは個人的にも学習が継続できるように、学生と共に準備をすべきである。

4.機能障害のある学生のための、支援形態

選択できる試験形態
機能障害のある学生が試験を受ける上で、彼を支援する方法はたくさんある。

カセットバンド:ディスレクシアの学生や行動障害の学生は、試験問題が録音されているカセットを望む。

マグネヴィジョン
これは文字をPCの画面上で変化させる技術的な補助器具である。ある学生たちは文字の背景が黒で、文字そのものが白だと読みやすい。視聴覚室にはマグネヴィジョンがあり、この補助具を利用すれば学生達は、拡大された文字を好きなフォントで読むことができる。この補助具を最もよく利用するのは視覚障害者の学生達だが、ディスレクシアの学生が利用を望むこともある。

口頭試問
ディスレクシアや失読症等の学生は口頭による試験を受けることを望む。

点字
重度の視覚障害のある学生は、点字で書かれた試験用紙を望む。この点字の試験用紙の作成には時間がかかるため、これを望む学生は早めに申し出なければならない。

スクリーン・リーダー
スクリーンリーダーがあれば、試験問題はディスクから簡単にスクリーンリーダーが読み込むことができる。また学生は問題を聞いた後に特別なワードプロセッシングソフトで答えを書くことができる。

これは視覚障害者の学生にも、ディスレクシアの学生にも利用しやすい試験形態である。

手話通訳
難聴または完全に聾者の学生は、要望を出せば手話通訳サービスを受けることができる。このような学生が、手話通訳を利用するのは主に口頭試験の場合だが、試験問題の内容によっては一般試験でも利用をすることができる。

拡大文字
弱視やディスレクシアの学生達の多くは視聴覚室のPC内の文字拡大プログラムの利用を望む。

このような場合、試験問題はディスクで配布される。

介助者による読み上げ
行動障害や視覚障害のある学生は、問題の読み上げと答えの記入をする介助者の手助けを得ることができる。

この方法は特に視覚障害の学生、行動障害の学生、または重複障害の学生などに有効である。

ノートを取る支援
機能障害によりノートを取ることができない学生は、ノートを介助者に取ってもらうサービスを受けることができる。規則上では学生が自分のクラスメートに頼むことになっている。学科のコンタクトパーソンは必要があれば、学生がノートを取る介助者を探す手助けをする。

テープ録音
ノートを取るサービスを受ける権利を持つ学生にとっては、録音も便利な方法である。

他の者が書いたノートを読むのが困難な学生や、クラスメートをわずらわせたくないと考える学生等である。録音したテープは、個人で使用することのみが許可されている。

物理的な利用し易さ
ストックホルム大学は保健省特別教育支援機関の調査により、スウェーデンで3番目に利用しやすい建造物と認定されている。機能障害のある学生達は健常者よりも狭い範囲で学業が進められるようになっている。ストックホルム大学の利用しやすい学習環境の整備は、大学のキャンパスの拡大に合わせて進められている。

試験時間の延長
機能障害のある学生は、必要に応じ試験官及びハンディキャップサービスとの協議の上、試験時間を延長することができる。

家主
家主は場合によっては、同行して手助けを行うことができる。学生の通常の介助者が病気になったなど急な場合や、登録、昼食、トイレの同行介助から、送迎車の乗り降りの介助等も行う。

修正サービス
読み書き困難の学生は論文等を提出する前に、介助者の点検を受け、単語の綴りや文章構成などの修正を受けることができる。

より効果的な学習のためのコース
大学での学習においては、自己学習が最も重要である。その方法は高等学校で体験してきたものとはかなり違う。おそらく彼らがこれまでに会得してきた方法とは異なることが学生を不安にさせることも考えられる。学生達は、このコースによって、学習の方法、(学習をしたことの)習得の方法、試験の方法等を学ぶ。

参考文献録音サービス
これは学科で使う文献や参考書、資料などを録音したテープを受け取るサービスである。これは規則として、学生自身が受け取らなければならない。どの図書も録音を行うのは、TPBである。

個人的介助
個人的介助とは、場所の移動の手助け、授業の間の手助け、そして日常生活の介助を意味する。またフィールドワークや研究業務において学生の機能障害が妨げとならないように注意をすることも含まれる。

一部の重度の行動障害の者は、24時間体制の個人的介助を必要としており、介助者はこの学生が障害のために不可能であることを全て介助する。

介助者は担当の学生の私的生活に関し、守秘義務を負っている。

資料室
ストックホルム大学の資料室は3室ある。この部屋は予約が必要であり、個別試験および個人的な研究課題の際に利用する。

資料室内の機器は継続的に更新されている。5機のコンピューターがあり、どの部屋にもインターネット接続機器がある。

視覚障害の学生用に、点字ディスプレイと点字キーボードがある。

補講および特別指導
学生は必要に応じて補講や特別指導を受けることができる。このサービスにかんしては、ハンディキャップサービスの職員、学課主任、または関連する科目学課のスタディーカウンセラーと話し合う。

手話通訳サービス
このサービスは聾者の学生及び重度の聴覚障害者の学生が受けることができ、手話通訳の特別課が担当する。手話通訳は必要に応じて選択した科目の申し込みと同時にハンディキャップサービスに申し込む。

補助機器
学生期間の個人的な補助機器に対して責任を負っているのはランスティング(landsting)(*)である。

*掲載者注:ランスティングは、スウェーデンの地方自治体の形態のひとつである。
「ランスティング (スウェーデン)」フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

大学内では学生は資料室にある機器を利用できる。

テープレコーダーは教育用具センターとハンディーキャップサービスにあり、無料で貸与している。

国立録音点字図書館(TPB)
学生は各自に適した媒体で学科参考文献を受け取ることができる。録音図書、ディスケット図書、点字図書または拡大文字の図書等。TPBがさまざまなフォーマットで製作し、無料で学生に貸与する。

それぞれの製作にはかなり時間がかかるため、学生は早期に参考図書リストを受け取り、製作を申しこまなければならない。

読字障害の学生は各学期が始まるまでに間に合うように、ハンディキャップサービスに連絡を取らなくてはならない。TPBに図書のリストが届くかどうかは学生自身に責任があるからである。

2001年からはデジタルな形態の新たな録音図書が注文できるようになった。つまりDAISY-録音図書である。このDAISY-録音図書を読めるようにするためにTPBは個人コンピューター用の再生ソフト、Playback2000を開発した。このソフトはTPBのホームページから無料でダウンロードすることができる。

プリントアウトサービス
ハンディキャップサービスには視覚障害者対応の特別なコンタクトパーソンがおり、学科教材を点字に変換したり、試験問題を点字に変換する手助けなどを行っている。

5.4つの一般的な機能障害

  • 聴覚障害
  • 視覚障害
  • 読み書き困難
  • 行動障害

前書き
この章で述べる4つの機能障害はストックホルム大学で受け入れた学生が持つ最も一般的なものである。それぞれの項で、一般的な説明を述べた後、機能障害の学生と教師、講演者間等の最適なコミュニケーションのための技術機器及びアイデアを述べる。

機能障害のある学生を他の学生と同じ条件で受け入れることは、教師や講演者を新たな考えに導くことである。決して恐れるべきことではない。

このような学生のほとんどは自分の障害と何年も向き合っており、必要な支援については熟知している。もし手助けの際に不安な点があれば、学生自身に尋ねてほしい。

聴覚障害者及び聾者の学生
聴覚障害とは軽度の難聴から全聾者までの全ての範囲を指す。聴力低下症状がある者以外の多くの聴覚障害者が耳鳴りに悩まされている。耳鳴りとは彼らの耳に常に鳴り響いているなんらかの音であり、特に周囲が静かな時に聴こえてくる。

聴力低下はそれ自体がストレスの要因であり、音声を聴いたり、周囲の会話についていくのに常に意識を集中していなければならない。

聴覚障害はある程度は補聴器で補うことができる。また多くの聴覚障害者が他者の唇や手振り身振りを見ることで他者の言うことを理解している。

補助機器
ある程度の補助機器はランスティングの聴覚クリニックを通して支給される。多くの場合、障害のある者自身が機器を試してみなければならないので、聴覚障害の学生は早期に連絡を取ることが望ましい。

ストックホルム大学の講堂には、学生達が使う磁気誘導ループがある。また、教師や講演者は常にマイクを用いる。

重度の聴覚障害/聾
聴力を全く持たない聾者は実際のところは余りいない。聴覚障害者の音を聴き取る能力は様々である。

スウェーデン聾者全国協会によれば、聾とは医学的な特徴というよりも、文化的、社会的、言語的なアイデンティティーとして理解するべきだという。

聾自体は知的または音声を生み出す物理的な能力にはなんら影響を及ぼさない。

重度の聴覚障害者または聾者の学生は学業において手話通訳を必要としており、そのため早期の申し込みが望ましい。ストックホルム大学には手話通約課があり、複数の手話通訳者が雇用されている。どの学生にも2人の手話通訳者がつき、一人は教師の話を訳し、もう一人は補助通訳を行う。

教育的な戦略
どのような学生に対しても望ましいのは前向きで打ち解けた対応であり、特に聴覚障害の学生にはそれが必要である。聴覚障害の学生が学業に成功するかどうかは、周囲の対応にかかっているのである。

聴覚障害の学生または聾者の学生に対する一般的な支援形態
一般的にはこのような学生は以下のような支援を組み合わせて利用している。

ノートを取る支援、磁気誘導ループ、教師が用いるマイク付きの主導パネル、(授業の)コンピューターによる書き起こしサービス、支援授業(補講)、無料コピーサービス(聴力障害を補う目的のもの)、手話通訳。

試験
どのような形態で試験を受けるかを学課に申し出ることは、学生自身の責任である。

たとえばディスケットで受け取るか、手話通訳をつけるか等。

視覚障害の学生
重度の視覚障害とはWHOによれば、通常の文書を読むことが大変困難であるか不可能なほど視覚が低下した者である。弱視者とは屋内または屋外にて自らを正しい方向へ導く視覚や、補助具を使えば通常の文書を読むことができる視力が残っている者である。

通常の学課の参考文献リストを読むことができない学生は、読むことができる媒体のリストを受け取らなければならない。重度の視覚障害者の学生は、学課の参考文献を点字図書、ディスケット形態または録音図書で受け取らなければならない。弱視者の学生はおそらくは、拡大文字の図書を利用することになるだろう。

よくある問題は、TPBの準備が間に合わず、文献の録音が新学期までに出来上がらないことである。

一部の学生はノートを取る支援を必要としている。だがほとんどの学生がノート型のコンピューターを用いて自分でノートを取っている。

彼らは必要に応じて、授業をテープに録音する許可を得ることもある。

同行サービス
視覚障害の学生達は学期始めに同行サービスを利用することが多い。大学内の地理を覚えるためである。登録やそのほかの不慣れな状況においては、家主が同行して手助けすることもある。ハンディキャップサービスにはタクタイルの地図があり、視覚障害者の学生はそれを所持できる。

また多くの重度の視覚障害の学生が盲導犬を連れている。

補助機器
大学は各自に適合したコンピューター機器を提供している。たとえば資料室にある点字キーボード、スクリーンリーダー、スキャナー等である。またハンディキャップサービスでは専門の職員が点字機器に関して補助している。また必要な文書を点字に変換する手助けを得ることができる。

教育的戦略
視覚障害の学生にとって、教育環境において最も重要なのは情報を入手することである。周囲の対応は視覚障害の学生にとって、学業成功の鍵である。

視覚障害の学生にとって一般的な支援形態
このような学生は以下の支援を組み合わせて利用することが一般的である。

ノートを取る支援、例えばディスケットなどへのOHP資料のコピー、無料コピー(視覚障害を補う目的のもの)、(授業の)コンピューターによる書き起こしサービス、各自に適合した媒体による学課参考文献の受け取り、参考文献録音サービス、タクタイルの地図。

試験
学生達は自分がどのような方法で試験を受けるのか、事前に申し出る責任を負っている。例えば試験問題は点字文書で受け取るのかディスケットで受け取るのか等。

多くの場合は、個人的な試験を視聴覚室で受けることによって行われる。そこには点字コンピューターがあるからである。学課は試験官を用意する。また試験時間の延長も一般的な支援方法である。

読み書き困難の学生
読み書き困難とは、通常の能力を持つ人間にも存在しうる障害である。これは目には見えない機能障害であり、現在のところまだ未知の部分が多く、このことが読み書き困難の人々を偏見の目にさらしてきた。

この障害の人々は、単に文字を綴る能力や読む能力に問題があるばかりでなく、情報を受け入れ、加工し、分類し、統合する能力に欠如がある。この傾向は彼らがストレスにさらされた状況下では強く表れる。

理由や背景にかかわらず、ほとんどの学生は、もし正しい支援が得られれば学業で成果をあげることができると証言している。

補助機器
読み書き困難の学生にとっては技術が大きな役割を果たし、コンピューターが補助機器として機能する。

資料室には彼らに適合するような様々なソフトが入ったコンピューターがある。例えばスペルチェッカーソフト、Wordfinder、ノーシュテッド社のスウェーデン語-英語、英語-スウェーデン語辞書等。

一部の学生は授業の録音や、文献の聞きなおし等のためテープレコーダーを必要としている。

またある文章をなぞれば自動的にスキャンして英語に変換するCペンや、同様に自動でスキャンしてコンピューターに読み込むことができるペンを用いている学生もいる。

教育的戦略
他の学生と同様に彼らに対しても前向きで打ち解けた対応こそが望ましい。

読み書き困難の学生は、授業の前にOHPで映し出すイラストを渡しておくことがのぞましい。また文字は拡大文字を使って書くべきである。

試験時間の延長はほとんどのこのような学生には必要である。

授業中に黒板に書いた言葉は復唱し、OHPに書かれた文字は読み上げるべきである。

読み書き困難な学生に対する一般的な支援策
ノートを取る支援、資料室にあるコンピューターの使用、無料コピー(読み書き困難を補う目的のもの)、参考文献録音サービス。

試験
個人的な試験を学課に事前に申し出るべきである。このような学生は資料室を事前に試験のために予約しておくことができる。学課は試験官を用意する。もし学生が望むなら口答試験を受けることができる。

様々な形態の行動障害の学生
この資料は様々な行動障害とその原因の紹介であって、全ての症状を伝えることはできない。だが様々な支援形態に対する学生の必要性や、学習状況における留意点を説明している。

行動障害とは様々な怪我や傷病の総合的な概念であり、多くの場合は神経的な原因や身体の運動器官の直接的な怪我によるものである。あるものは症状がゆっくりと進行するが、あるものは症状が突発的に発生する。

行動障害の病理には、神経疾患、脊髄損傷、むち打ち症、失語症または不全失語症、脳性麻痺、不随意の筋収縮、てんかん、リューマチなどがある。

物理的な利用しやすさ
もし行動障害の学生が自分の車で登校する場合は、全ての校舎についている障害者用駐車スペースを利用することができる。

就学期間にキャンパス‐自宅間の送迎サービスを利用する学生は、通常よりも多くこのサービスを受ける権利を持っている。一般的には出身地の地方自治体が、当該の人物が現在就学期間であるということと、週に何時間の授業を受けるかという証明書を要求する。この証明書は担当のコンタクトパーソンが各学課にて発行する。

個人的なアシスタント
個人的な援助者サービス利用の権利法において、行動障害は一般的に学生が個人的な援助者を必要とするとされている。一部の学生は24時間の介助を必要としている。個人的な援助者としての業務に従事する者には守秘義務が課せられている。就学期間において、多くの場合行動障害の学生が必要としている援助は、ノートを取る支援である。

実際に役立つノートを取るためには援助者は、その学科に精通している必要がある。障害者サービス部は個人的な援助者を募集するために、新聞広告や労働フォーラムの掲示板を利用することがある。

補助機器
行動障害の一部の学生は、ペンを持つことが困難である。このようなっ学生は特別制作の補助器具を用いている。時間はかかっても筆記にコンピューターを用いる学生もいる。視聴覚室には学生が試験時や課題提出時に利用できるコンピューターがある。試験時には必要ならば可動式のテーブルトップを利用することもできる。また視聴覚室には柔らかい椅子もある。重度の行動障害の学生用には、リフトの付いた、上下可動式のトイレが用意されている。

教育的戦略
他の学生と同様に彼らに対しても前向きで打ち解けた対応こそが望ましい。

各コースの計画時には様々な機能障害者が利用しやすいフレキシブルさを用意しておくことが最上の策である。

行動障害の学生に対する一般的な支援形態
講師陣による短い補助教材の録音、ノート筆記の支援、個人的な援助者、(ノートなどの)無料のコピーサービス。

試験
試験問題にどのように対応したいかを、事前に学課に申し出るのは学生自身の責任である。適した形態は、多くの場合視聴覚室で個別に受けることによって得られる。学生は事前に視聴覚室を予約し、鍵を試験中に保持する責任を負う。試験時間の延長や、筆記試験に代わって口頭試問を受けることも可能である。

6.その他の学生サービス

就職フォーラム キャリアセンター
ここで学生達は就職相談をしたり、様々な分野の企業の雇用担当者担当と会ったりすることができる。

図書館
ストックホルム大学の図書館は多岐に渡るサービスを学生に提供している。

また様々なデータベースで情報を検索できるように、複数のコンピューターが備えられている。図書館のHPは、特に読書困難、視覚障害、ディスレクシア等を負う学生に配慮して構成されている。

また機能障害を負う学生のために、様々な補助機器が用意されている。

住居
何らかの医療的な理由を持つ学生は、ストックホルムの学生住居センターに優先的に申し込むことができる。

中央スタディーカウンセリング
学生課には複数のスタディーカウンセラーが居て、個別の相談や、一般的な学習及び就職の相談に応じている。

在学期間後の就職はどうなるか
機能障害を負う学生のほとんどは、大学を卒業した後に就職している。重度の視覚障害やディスレクシア等の重い障害を負う人々は就職支援を受ける権利を持っている。また機能障害のある人々のための職業安定所もある。

SISUS
特別教育支援のための政府機関。就学期間に物理的な支援を必要としている行動障害を負う学生への支援に対する政府の助成金に関して責任を持つ。

大学生健康管理センター
大学生健康管理センターとは、大学生を対象とする医療サービス施設である。学生は必要に応じて連絡を取り、医療や精神状態に関するアドバイスを受けることができる。

就学資金
もし学生が、学業に支障をきたすような障害を負っており、特別審査を受けることができる。まずその学生に関して、誰がその機能障害の証明を出せるのか、学業期間にどのような問題が発生しているのかを障害者サービスに問い合わせる。このような問題を取り扱うのは中央学生支援委員会である。

学友会
ストックホルム大学の学友会(SUS)は学生達の利益のために働いている。

その中には特に機能障害を負う学生のための作業グループがあり、そのような学生の利益に配慮している。


原本の書誌情報

Studentbyrån, Stockholms Universitet. Om Studenter med Funktionshinder : Handleding för lärare och övrig personal. 2000.10, 44p.