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第3回国連障害者の権利条約特別委員会

仮訳 デイリー・サマリー第4巻第5号 2004年5月28日(金)

NGO 地雷生存者ネットワーク

午前セッション
開始時刻: 午前10:23
終了時刻: 午後1:00

第15条に関する議論に続き、韓国から新たに提案された第15条の2「障害のある女性」に関する詳しい討議が行われた。午前セッションの残りの時間は第16条の討議に充てられた。同条についてインドが条文の修正案を配布し、発言は一部、午後セッションに持ち越された。

議長は、委員会の予定を進めるための正確性、簡潔性、協力の必要から、発言時間を加盟国は5分、NGOは3分に制限した。

第15条: 地域社会における自立した生活及びインクルージョン

アイルランドEUを代表して発言し、第15条1を次のように書き換えるよう提案した。 「締約国は、障害者(PWD)の地域社会における自立した生活と完全なインクルージョンを促進する適切な措置をとるものとする。これにはそれを実現することを目的とした措置も含まれる。」第15条1(b)の最後に第10条の施設への収容の議論に関する言及も挿入すべきである。第15条1(c) の文言は以下に置き換えるべきである。「締約国 はまた、PWDが自立した生活ができるようにするための生活支援の提供を促進する適切な措置をとるものとする。多くの場合、地域サービスは1家庭当たりの子どもの数に基づいた「資産調査」によって決まるので、第15条1(d)の「差別なく」は「平等を基礎として」に訂正すべきである。 PWDが他の住民と同じように一般サービスの利用ができるように保証することを目標とすべきであると述べた。

モロッコは以下の新しいパラグラフ第15条1(f)を挿入するよう提案した。「障害者の世話をしている家族を支援し、物質的および精神的支援を提供し、障害者の社会へのインクルージョンを確実にするためにこれらの家庭に必要な支援を提供する。」

日本は、カテゴリーの違いについて取り上げ、第15条1を書き直して、 (a)、(b)、(e)に含まれる 公民権および政治的権利(遅滞なく実施されるべきもの)と、 (c) および (d)の保証(環境条件および財政的な利用可能性次第で、漸進的に実現されるもの)とを分離するよう提案した。第15条1(b)の内容は第10条で取り上げられているので 第10条に移し、第15条1(e) を第15条1(b)とすべきであると述べた。そして、第15条1(c) および(d)は 新たなパラグラフ15条2として次のようにする。「締約国は障害者が以下の利用をしやすくするために適切な措置をとるものとする 。(a) 広範囲の在宅サービス、居宅サービスおよびその他の地域支援サービス。地域社会における生活およびインクルージョンを支援し、地域社会からの孤立または隔離を防止するために必要な人的支援を含む。(b)他の人と平等な立場で、障害者のニーズに応じたやり方で行う一般住民への地域サービス。日本は、障害者の権利をこれら2つのカテゴリーに分けることによって、漸進的実現の問題は承認できるかもしれないと述べた。

ヨルダンは第15条のタイトルを「自立した地域社会における生活」に修正するよう提案した。第15条1では、「障害者に」を「以下を保証することによって」の前に加え、 第15条1(a)、(b)、(c)、(e)の初めの「障害者」を削除し、第15条1(d)を 「彼らのニーズに応じた地域サービスの利用ができる」と修正すべきであると述べた。ヨルダンはモロッコの追加案を支持したが、これは第15条2に含めるべきであると助言した。

アルゼンチンは、第15条1の最後の部分「以下を保証にすることによって」は、締約国の義務に関係しているので、「の目的で」という文言に置き換えるよう提案した。第15条1(a) と(b) は重複しているので、(b) は削除すべきであると述べた。

メキシコは、第15条のタイトルを「地域社会におけるインクルージョンおよび自立した生活」に変更するよう提案した。第15条1は以下のように修正するよう提案した。「本条約の締約国は、以下を保証することによって、地域社会および家庭への完全統合の可能性を妨げることなく障害者が自立した生活様式を送ることを決定し、その住居の場所と構造を選択することができるような効果的で適切な措置をとるものとする。」メキシコは「家族からの隔離ではなく、自立した生活」を支持した。

インドは、「地域社会における自立した生活の権利」のタイトルの修正について述べた。序文 の「障害者」の後の部分を削除するよう提案した。第15条1(a)の現在の条文を以下の文言に置き換えるよう提案した。「障害者は、自立した生活または家族の規範の社会および文化的習慣を尊重した家族と一緒の生活を選択し、地域社会へのインクルージョンのための平等の機会を有する。」第15条1(d)では重複している「公衆向け」を削除した。インドは第15条1(b)に関するEUの見解を支持した。

ニュージーランド(NZ)は第15条1を以下のように修正した。「本条約の締約国 は、障害者が地域社会の一員としての生活し、完全なインクルージョンされるような効果的で適切な措置をとるものとする。締約国は以下を保証するものとする。(a) 障害者は、どのように、どこで、誰と生活するかを決める平等な機会を有する。(b)の2  子どもは自分の家族と一緒に生活する。それが可能でない場合は、他の家庭環境で生活する。 (c) 障害者は、自分が選択した場所に住み、地域社会に参加し、地域社会からの孤立または隔離を防止するのを支援するのに必要な、広範な在宅サービスおよびその他の地域社会の支援サービス(人的支援を含む)を利用できる。 (d) 公衆向けの地域社会サービスおよび施設が、平等を基礎として障害者にとって利用可能であり、かつ、そのニーズに適合する。(d)の2 地域社会支援サービスは、障害者の自律性、個性および尊厳を認めるやり方で提供される。 (e) 障害者が、支援サービスを含む地域社会サービスに関する情報を利用することができる。NZ は、焦点は、PWDの管理ではなく、地域社会の統合および自律支援であると述べた。焦点をPWDに当てて条約を実施すれば、当然、家族および介護者にとって利益があるので、家族または介護者の条項を追加する必要はない。

フィリピンは、第15条1(d)に次の文言を加えて修正した。「障害者は自分が選択した地域社会の組織および手段のメンバーおよび活動的な参加者になることが認められる。PWDにメンバーの資格が与えられ、参加できるようにするのを支援する方針および施設があるものとする。」

イエメンはタイトルを「自立した生活および社会への統合」に修正する案を支持した。「自立」は条約の目的を十分に反映していないと述べた。イエメンはモロッコとヨルダンの主張を支持した。

シエラレオーネは、 第15条1(b) は重複しているので削除するよう提案した。アルゼンチンおよび作業部会(WG)の脚注(FN)52を支持した。新たなパラグラフの挿入を求めるEU案を支持した。支持的な支援を提供する義務ではなく、これを促進する案を支持した。

ベトナムは、第15条1(d)を次のように修正した。「障害者は、公衆との平等を基礎として全ての利用できる地域社会サービスに参加し、この利益を享有する権利を有する。」

バーレーンはタイトルを「自立した生活および社会への統合」または「社会的統合」に修正するよう提案した。これに関するインドとイエメンの提案を支持した。

カナダは、第15条1(b)の概念は既に 第15条1(a)に表わされているとして、これを削除した。第15条1(c)の「地域社会」と「支援サービス」の間に「に基づいた」が挿入された。サブパラグラフ 第15条1(f) 「補助コミュニケーションを必要とする障害者が、自分の判断、選択、要望を表現するための必要かつ適切な支援を利用できる」を加えた。

南アフリカは、条約に第15条を含めることは支持したが、タイトルの「インクルードされた」は「統合された」」に置き換えるよう提案した。PWD は「地域社会の付属部品」ではない。このタイトル案と一貫性を持たせるため、第15条1(c)の「インクルージョン」を「統合」に置き換えることによって、統合をさらに強めるべきであると述べた。WGの草案脚注52で言及され、他の代表から指摘されたように、第15条1(b)の概念は第15条1(a)に含まれているので、これを削除する案を支持した。しかし、第15条1(b)が文書に残される場合は、文末に「適切であることが判明しない限り」という文言を付け加えるよう提案した。

タイは、第15条1(c)で「居住サービス」を選択肢として残しておくべきだという点を除き、ニュージーランドの修正案を支持した。教育の場で、非障害者に提供されるものと同様の居住サービスの取決めを必要とする場合があるかもしれない。自立した生活(IL)には2組の意味があるので、概念は支持するが、特定の活動に限って適用する案は支持しない。条約のどこか適切と思われる部分に第15条1(b)を残しておくという案を支持した。「インクルージョン」と「統合」という言葉はどちらも、インクルーシブな社会構造から見ると問題はないが、良い方の言葉の使用を支持したいと述べた。

クウェートは、第15条1(c)を修正して、「在宅サービス」を削除し、「居住サービス」という言葉の後に「の選択肢」を加え、冗長な最後の文言「地域社会からの孤立または隔離を予防する」を削除した。イエメンのタイトル修正案、南アフリカの 第15条1(b)の修正案、モロッコの第15条1(f)を付け加える案を支持した。

ボツワナは、15(e) を次のように修正する案を支持した。「障害者、その家族、介護者は利用できる地域社会支援サービスに関する情報を入手できる。」

ロシア連邦はアルゼンチンとシエラレオーネの主張に同意し、第15条1(b)の削除を求めるカナダの提案を支持した。

ここで、NGOに発言が許された。

障害者オーストラリアは、オーストラリア地域法律センター全国協会およびオーストラリア障害組織連盟を代表して発言し、支援サービスを受けながらの自立した生活は「多くの人権の実現の基本」であるので、第15条を支持するよう代表団に支持を求めた。「相変らず、PWDの継続的な施設への収容が最大の人権侵害の1つである」と述べ、「国家および非国家主体に対して障害者の施設収容を中止する明確な義務を課す」よう要求した。また、PWD は代替の選択肢がない場合に強制的に施設に収容されるので、第15条1(b) を強化して施設での介護を廃止するよう求めた。現在、地域の施設に収容されているPWDを他の場所に移し、必要な支援を提供するやり方を開発および実施するよう国家に要求すべきであると述べた。

インクルージョン・インターナショナル (II)は、「統合」という言葉は既存の制度に適合させることを意味するので、この言葉の使用に反対した。「これは適合させることではなく、多様性を受入れることである。」選択肢を作って、自分の生活に対する支配をPWDに取り戻させることの必要性を強調し、「食事、服、ペット、友人に関する制約や選択肢の欠如をなくすこと? これが自分の住む場所を選ぶという意味である」と述べた。さらに、PWDを一緒にまとめる方法は費用対効果が悪く、増加し過ぎてしまう。IIはニュージーランドの提案を支持した。

世界精神医療ユーザー・サバイバー連盟(WNUSP)は、PWDが「本来の自分として地域社会で生活することができる」、無能であるとか危険であるとか宣告される危惧なしに自分の 状態や経験を公表できるような選択および表現の自由の権利の重要性を繰り返した。施設への収容は支持すべきでないと述べた。WNUSPはNZの修正案を支持した。

International Disability Convention Solidarity in Korea(韓国国際障害条約連盟)は、「自立して生活する」を「自立した生活」に置き換えるよう提案し、第15条1の「自立して生活する」は「自立した生活を実現する」に置き換えるべきであると述べた。「自立した生活(IL)」は先進国のサービスモデルなので、WGでは「自立した生活」の代わりに「自立して生活する」が使われたと述べた。他の国では、IL は家族からの隔離ではなく「自分自身の意思で自分自身の生活を管理すること」を意味しているので、この条約では「自立した生活」という言葉を使用するのが適当である。「2000年世界障害者の日」の国連のテーマは「自立した生活」だったので、WGが一般的なサービスモデルの名前を選ばなかったと考えるのは妥当である。

進歩的ユダヤ教世界同盟(WUPJ)は、PWDのインクルージョンにおけるその重要な役割を考慮して、家族および介護者が利用可能な支援サービスに関する情報の入手しやすさについての言及も第15条1(e) に付け加えるよう提案した。また、自立の程度に関わらず、PWDが自立して生活し、一般の地域社会が利用できる全てのサービスに参加し、これに加わる権利についても支持を表明した。

国内人権機関はPWDのための 地域社会における自立した生活の原則を明確にし、強化するために、第15条およびニュージーランドの提案を支持した。

ここで、再び締約国からの追加発言が行われた。

レバノンはニュージーランドの提案した 第15条1(b)の2に対して以下の修正を提案した。 「障害のある子どもは自分の家族と一緒に生活する。それが可能でない場合は、障害のある子どもは、可能なときはいつでも他の家庭環境で生活することに賛成する。 」

コスタリカは、第15条で見落とされた点に対応するため、条文を文書で提出する意向であると述べた。特に、締約国による支援の提供を通してPWDの意思決定の権利を明確にしたいと考えている。

新たに提案された第15条の2: 障害のある女性

「1. 締約国は、障害のある女性が性別・障害を理由とするいかなる差別も受けず、完全かつ平等な権利および自由を享有し、政治、経済、社会、文化活動に平等に参加することを保証する義務を負う。
2. 締約国は、障害のある女性が自由、安全、自律の中での尊厳のある生活ができることを保証できるよう、性別の観点から以下の措置をとるものとする。

  • (a) 女性および障害者に関する法律の中で、障害のある女性の権利の保護について別に言及する。
  • (b) 社会調査および統計の収集に障害のある女性を組み込み、障害者に関する男女別のデータを収集する。
  • (c) 妊娠、出産、産後の健康管理および育児を行う障害のある女性の特別なニーズに対する認識に基づいて、支援方針およびプログラムを開発および普及させることにより、障害のある女性の母性を保護する。
  • (d) 障害のある女性が、妊娠または出産を理由に働く権利を奪われないことを保証し、この点について必要な支援を提供する。
  • (e) 家庭、収容施設および地域社会において障害のある女性が性的搾取、虐待、暴力から保護されることを保証する。」

韓国は、第16条の前に挿入する上記の提案を提出した。障害のある女性(WWD)問題を法律およびデータ収集に含めるよう求めるパラグラフ15の2(a) および 15の2(b)は、どちらもWWDが直面する特別な社会的状況に特に配慮したものである。パラグラフ15の2(c)、(d) および(e)は、母性保護、働く権利、性的搾取、虐待および暴力に焦点を当てている。WWDの権利には、障害のある子どもと同等の注目を集める必要がある。

南アフリカは、WWDは社会から最も無視されているグループの1つであるので、WWDだけの特別の条項を設けるよう求めた。このことは、条文案の子どもを含めることと矛盾しない。

アイルランドは、この条約の目的は、全てのPWDに適用され、全てのPWDの権利を確保することであるというEUの見解を再確認した。PWD全体の中でWWDやCWDなどのリスクが高いグループを区別する案から生まれる構造的な問題について強調した。EUは提案の中身については同意するかもしれないが、原則として、このようなことは前文で触れる方が適切であるとEUは考えている。

ヨルダンは、さらなる分断に反対した統一の必要性に関するアイルランド/EUの発言を支持した。WWDについては前文か、そうでなければ他の場所に含めるよう提案した。

シエラレオーネは、子どもが特別なグループであると仮定して、「特別なグループを対象とする特別な条項」を本条約に含めるべきかどうか、もし含めるとしたら「どの程度までやるのか」 と疑問を投げかけた。子どもは含まれるが、女性は含まれないので矛盾している点を強調した。

イエメンは、女性を含めることは全てのPWDを対象とする条約の目標からはずれると答えた。子どもは自分自身の要求を満たすことができないので大人とは違う。イエメンはWWDに関する条項を含める案に反対し、アイルランド/EUおよびヨルダンの述べた見解を支持した。

インドは、WWDを前文および一般原則に含め、CWDに関する条項は別に設けるよう求めた。EU、ヨルダンおよびその他の国が述べたように、WWDに関する条項を別に設ける必要はない。

ノルウェーは インドと同じ発言をし、「男女平等」の権利には子どもも含まれるだろうと付け加えた。

ナミビアは、WWDは子どもを含め他のどのグループよりも無視されているので、WWDのために別の条項を設けるという韓国および 南アフリカの案を支持した。

アイルランドは、子どもに関する条項は別に設けるが、女性に関する条項は設けないというEUの明らかに矛盾する立場についての シエラレオーネの質問に答えた。EUは、女性および子どもが厳しい試練に直面していないという意味ではなかったと述べた。細分化や、どのグループの試練が最も厳しいか、または最も厳しくないかという議論に脱線してしまうことを避けたかった。本条約はすべてのPWDに適用されるべきである。この理由から、EUはCWDに関する条項を別に設けることも支持していない。特定のグループのための条項を設けるということは、グループが利用できる権利はその条項で言及されている権利だけであり、従って、子どもの権利がその条項の規定に限定される危険性があることを意味する。そうなったら、CWDにとって重大な損害だろう。子どもの権利条約(CRC)は人権の文書中で批准されている数が最も多く、事実上、普遍的である。CRCの不完全な要素を本条約に組み込もうとする取組みは、CWDの人権保護の強化にはつながらならないだろう。

ケニアは、原則として普遍性は肯定するが、あるカテゴリーのPWDが過度に苦しめられている点を指摘した。女性の方が大きな苦しみを被っているので、WWDを特別に認めるという点で南アフリカおよび韓国の意見を支持した。「これは普遍性の原則を認識する機会ではあるが、性別を理由としてより苦しめられている特定のカテゴリーの人がいることを認識する機会でもある。」

セルビア・モンテネグロは、条約にはWWDへの言及を含めるべきであるが、別の条項として含める案は支持しないと述べた。条約の前文には既にWWDへの言及が含まれている。男女平等は条約の一般原則か他の場所に含めることもできるだろう。

ウガンダは、WWDに関する条項および障害のある子どもに関する条項を別に設ける案を支持した。障害は多種多様で、同質のカテゴリーには属さない。障害が異なれば苦しみも異なり、女性は性別および障害のせいで特別の二重差別と危険に直面している。

タイは、WWDが「男性よりも多くの複数の差別」に直面している点を認めた。しかし、条約には限られた数の条項しか含めることができない。タイは、この問題をしっかりと認識させるために建設的なやり方を見つけるよう強く求めた。

マリは第15条の2を付け加える案を支持した。EUの見解は理解するが、世界は多様である。アフリカ諸国では女性は二重の差別を受けており、普遍的な条約はPWDの団結の名においてこの点を強調すべきであると述べた。

韓国は、カテゴリーに関して多くの関心が寄せられたことに感謝し、全ての締約国に対してWWDなどのサブグループにより深い関心を向けるよう求めた。

シエラレオーネは、女性、子どもおよびその他の危険にさらされているグループなどのサブグループを対象とした特別の条項を各グループに特有の関心事を考慮して、簡潔な短い書式で提案した。これらの要求は条約の前文では十分に扱われていない。女性に関する条項および子どもに関する条項を別に含めることに総意が得られない場合、そして、万一、「グループの要求および立場を無視もしないが、過度に強調もしない」という道を委員会が選んだ場合、シエラレオーネは提案を作成すると申し出た。

サウジアラビアは、障害のある女性に対する差別があることと、韓国の提案の長所を認めたが、本条約は性別に関わらずPWDに集中するべきであると思っている。第15条の2の規定は、暴力に関する条項など別の条項に組み込むべきであると述べた。サウジアラビアは大人でない特別の例としてCWDに関する条項を支持した。

メキシコは、子どもに関する条項を別に設ける見解を主張した。WWDの状況は他の人権文書では扱われていないので、他の特別のグループと一緒に条約の前文で扱うべきであると指摘した。

コスタリカは、特別のグループを含めることに関しての総意はあるが、さらなる困難に直面しているPWDのサブグループへの最良の取組み方法に関する総意が得られていないと指摘した。障害のサブグループの序列を作ることに反対するアイルランドは正しい。この問題に関する議論は「中身よりも形式についての方が多く」中止すべきである、と述べた。

リヒテンシュタインはコスタリカと同様の見解を述べ、「形式は選択できるが、内容は選択できない」と指摘した。WWDに関する規定が別個の条項に含まれていようが、条約の他の条項の中に組み込まれていようが、重要なのはこれらの規定の中身である。人権論における特別なカテゴリーの人々の要求に対処することは本質的に問題があるわけではない。そのような行為が保護の基準を低下させる可能性という理論上の危険性には、人権の基準に従っていることを保証して草案を注意深く作成することで対処できる。本条約と同様の権利を扱うその他の条約との関係を扱う一般規定を探るべきであると述べた。

レバノンは常にPWD間の差別の危険性について懸念してきた。あまり詳しくせず、制限せずに、高齢者に加えて女性に対応する特別グループの条項を設けるというシエラレオーネの案 に同意した。

障害に関する国連特別報告者は第15条の2を含める案を支持した。この問題には多くの側面があるので、特にWWDを扱う条項は必要である。これらの側面は、老化の段階および状況を作り出す社会に関係しており、この多重の差別という状況を複雑にさせる文化的価値観を持っている。

ここで、NGOの参加が許可された。

世界ろう連盟 (WFD)は韓国の提案を支持した。女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(CEDAW)および児童の権利に関する条約(CRC)などの既存の条約には 障害のある女性または障害のある子どもの全ての権利およびニーズが十分に含まれていない。他の新しいグループを加えなければならないことへ懸念は、女性に関する条項および子どもに関する条項を含めない理由としては不十分である。

国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)は普遍的な適用という概念は理解しているものの、韓国、南アフリカ、メキシコおよびその他の立場を肯定した。障害者人口の50%を占める障害のある女性の大多数はサービスが利用できない。WWD をこの条項または一般原則に含めるべきである。

ランドマイン・サバイバーズ・ネットワーク (LSN)は韓国の提案およびウガンダ、ナミビア、ケニア、南アフリカおよびその他の発言を強く支持した。地雷の被害を受けている国の女性および少女と一緒に活動して、手足を失った女性はさらに差別を受けていることを確信している。

世界盲人連合 (WBU)は韓国の提案を支持した。WWD の問題が認識されることは希であり、この問題にはどこかで取り掛からなければならない。WWDは「最貧困層」である。彼らは無視されていることが多く、国家からの認知がなければ前に進むことはできない。

第16条: 障害のある子ども

ベトナムは第16条3(a)の「comprehensive services(包括的なサービス)」の後に「including early detection, intervention and rehabilitation(早期発見、調整、社会復帰など)」という文言を追加する提案をした。<訳注: 英語と日本語の語順の違いから、「早期発見、調整、社会復帰など」は「適当かつ包括的なサービス」の前に置くことになる。>16.4は「障害のある子どものニーズを認識し、可能な場合はいつでも、障害のある子どもの現状に応じて提供される支援を提供するものとする・・・」に修正する。

イエメンは障害のある子ども (CWD)に関して第16条を別に設ける案を支持したが、WWDについては条約のその他の部分を通して組み込むべきであると述べた。

アイルランドは、障害のある子どもについて条約の前文で適切に言及して欲しいと思っていると述べた。現在の提案は、国際社会が合意したCRCを変更するものである。そうすることは、子どもの既存の権利を良い方向に変えることにはならないと述べた。

ニュージーランドは、脚注 54で言及したWGの議論を思い出させた。時間的な制約のため、WGはCRCの第23条を条文草案に挿入したが、結果は芳しくない。ニュージーランドは、本条約に関わっているほとんど全ての国がCRCの調印国なので、障害のある子どもに関する条文は国際法典に付け加えるものではないという点でEUに同意した。しかし、そうすることが必要であると判断された場合は、例えば、CWD が 拒絶、遺棄、親の向上心の低下、機会の減少、家族からの拒絶による「被害を非常に受けやすいこと」に対処すること、および、早期の介入を強調するとこによって、CRCを改善させるように入念に作成すべきである。一方、16.1に関するインドの提案は、既にCRCの制限を受けている加盟国による取組みを弱めてしまうと述べた。ニュージーランドは、新たな条文草案に関するEUの懸念をそのまま繰り返した。これは、インドの提案の16.5 に示されているように既存の条項の文言を繰り返しているが、CRCで既に触れられている親の義務の重要性が高められるわけではない。

ウガンダは第16条を次のように修正するよう提案した。16.2では、「認識する」という言葉を「 保証するものとする」に置き換える。「社会的統合」を「社会的インクルージョン」に置き換えることで16.4 を強化する。16.5の「しなければならない」を削除し、「するものとする」に置き換える。16.6には次の文を付け加える。「締約国は、障害のある子どもに関する全ての決定において、それが公共または民間の社会福祉施設が引き受けるものであっても、裁判所によるものであっても、行政当局によるものであっても、立法機関によるものであっても、子どもにとっての最大の利益を第一に考慮するものとする。」CWDの保護をさらに強化するために、新たなパラグラフ16.7では「締約国は、障害のある子どもおよび障害のある女性の避妊手術を禁止する義務を負うものとする」とすべきである。本条約を既存のCRC の規定に調和させる必要に加えて、条約ではCWDに対するひどい虐待、無視、犯罪について言及しなければならない。

日本は、CRCに関する国家の義務との整合性を確保する次の文言を16.5に加えるよう提案した。「締約国は、子どもの権利に関する条約の第23条およびその他の本条約に関連した規定に従って、障害のある子どもの権利を認識し、これを尊重する適切な措置をとるものとする。」 

パレスチナは、追加の パラグラフ16.6を提案した。「武力衝突の中で障害のある子どもを守る国際人道法の下の義務に従い、締約国は外国による占領など、武力衝突における全ての適切な処置をとるものとする。 」

インドは第16条を次のように修正した。「16.1 締約国は、管区内の障害のある子ども一人一人が 、障害を理由とするいかなる種類の差別も受けることなく、他の子どもと同じ権利および基本的自由を享有することを保証するよう努力するものとする。」 インドはまた、次のパラグラフを付け加えるよう提案した。
「16.3(a)変更 早期発見、早期紹介、早期介入サービスの提供(親のためのカウンセリングを含む)。
16.5の2 締約国は子どもが性的虐待および搾取されやすいことを認識し、彼らの保護を確実にするよう努力するものとする。

16.5の3 締約国は、子どもは、その人格の完全かつ調和のとれた発達のために家庭環境の中で育てるべきであることを認識する。貧困または両親を亡くした場合、現行法に従って養子縁組または法的後見の準備ならびに、必要に応じて一時療養および居住介護の世話をするのは国家の義務とするものとする。
16.5の4 締約国は、子どもが権利を行使するに当たり、親、および該当する場合は法定後見人がその子どもに対してその発達しつつある能力に適合する方法で指示を与える権利および義務を尊重するものとする。
16.5の6 締約国は、これら全ての専門的な分野における経験の幅を広げるために、国際協力の精神で、締約国の能力、スキル、人的資源開発および調査の向上を目的とした健康管理、予防的健康管理(社会復帰、教育、職業訓練およびサービスの方法に関する情報の普及および利用を含む)の分野の適切な情報の交換を促進するものとする。この点で、発展途上国のニーズを特に考慮に入れるものとする。」

バチカンのローマ教皇庁は16.2の3行目の「自律」の後に「および公民権」という単語を加えて修正するよう提案した。

カナダは第16条に新たに 次のパラグラフを加えて修正するよう提案した。「16.2の2: 締約国は、障害のある子どもが権利行使する上での発達しつつある能力および、障害のある子どもが自分に影響を与えている全ての問題についての考えを自由に述べる権利を認識する。子どもの考えは、その年齢および 成長に従って十分に考慮される。」次のような 新たなパラグラフ16.6を付け加える。「 障害のある子ども が親と住むことができない場合、締約国は地域の中で代わりに世話をする家庭を提供するためのあらゆる努力をし、その斡旋は子どもにとって一番良いようにするものとする。」カナダは、CRCの第23条に示されている 概念に基づき、CWDに限定した新たな内容を作成するよう提案した。CWDに関する全ての条項で、その規定が条約の他の部分に挙げられている子どもの権利を決して制限しないことを明確にすべきであると述べた。

ケニアは資源の入手を条件にCWDへのサービス提供に関する親の責任に加えて国家の責任を含めるよう16.3および4を修正し、第16条を条約に含める案を支持した。「これまでの法律文書でCWDの平等が規定されていたならば、我々は今日ここにはいないだろう。本条約の権利はCRCの権利を傷つけることではない。」それどころか、両方とも重要である。CWDが家族や仲間から虐待される状況は、CRCで十分に扱われていない。ケニアはまた、CWDを虐待する犯罪者の釈放を認める手続き証拠規則に追加の言及を立案する権利を留保した。作業グループはこの問題についてさらに取り組む必要がある。

午後セッション
開始時刻: 午後3:01 PM
終了時刻: 午後6:00 PM

第16条に関する議論は、本条約ではPWDの中でも女性や先住民のような特定のグループのニーズに対処すべきかどうかという幅広い問題を扱っている。大多数の国は、障害のある子どもに焦点を当てるのではなくPWD全般に適用できるように第17条を修正するよう提案した。これらの提案は言及されていない。

第16条: 障害のある子ども (続き)

タイは、第16条はCRCの第23条を手本としているので不十分であり、現在の文言をさらに修正しても新たに生まれる価値は限られたものだろうという点に同意した。障害のある子どもにとって一番良いのは、本条項の草案を完全に書き直してCRCの第23条を越えた規定を含めることである。タイは後で草案の文言の修正を提出する権利を留保した。

イスラエルは、法的観点から、他の国際法の文書で十分に扱われている特定のグループまたは状況に本条約で対処するのは適切でないと考えている。本条約で対処した場合、異なるグループおよび状況の区別につながるかもしれない。特定のグループを数え上げるときりがないと仮定すると、状況は複雑になって、逆効果となり、国際法の異なる原則および制度の適用性に関してさらに曖昧なものになってしまうだろう。

南アフリカは16.3 (b)の「利用可能な資源を条件として」は、障害のある子どもがどうしても必要な支援を弱体化させてしまうので、この条件を削除するよう求めた。資源の配分に条件をつけてはならない。16.3(b) の残りの部分が重複するので「資格のある子どもおよびその子の介護に責任を有する者への支援の提供 」に短縮すべきであると述べた。

クウェートは16.1に記載された「 管轄」の定義を求めた。

シエラレオーネは、特定のグループの言及で合意が得られない場合、条約は全てのグループを対象とするよう提案した。この法的文書は包括的で理解しやすくし、特に義務に関する文言は明確かつ首尾一貫させるべきである。断定的な声明を詰め込みすぎると義務が隠されてしまうだろう。16.2は次のように修正すべきである。「締約国はまた、障害のある子どもがそれぞれの地域社会で尊厳をもって完全で活動的でまともな生活を享有できる条件を作ることを保証する義務を負う。」16.4は以下と置き換える。「締約国は、親およびその子どもを世話するその他の人に加えてその子どもに対して、できる限り無料で、適切な早期の包括的サービスを提供および実施する義務を負う。これらのサービスの提供および実施は、障害のある子どもが、とりわけ 教育、訓練、参加型のレクリエーション活動、子どもの文化的および精神的発達のための活動を効果的に利用できるよう保証するように立案されるものとする。」16.5 は以下と置き換える。「締約国は、全ての状況において、子どもが自尊心および、完全かつインクルーシブな生活を送る可能性およびその権利について前向きな考えを維持していることを保証して、障害のある子どもとその親に適切な情報、紹介およびカウンセリングを提供するものとする。」

ヨルダンは、「彼らの介護者」 を 「他の子どもの介護者、または子どもに法的な責任を負う者」に置換え、「カウンセリング」の後に「および、これらの方法で利用できるようになった情報」を挿入するよう提案した。

メキシコは、第16条はCRCの第23条のほとんどを言い換えたものであるが、障害のある子どもの権利に対する肯定的な取組みを詳しく説明および促進することは利益があるだろう、という点でカナダに同意した。メキシコは、新たな2つのパラグラフのテキストがあり、後日、事務局に提出すると述べた。

アイルランドはEUを代表して、これまで議論の焦点となっている第23条だけではなく、CRCの規定は全部、障害のある子どもに適用される点を強調した。今日提出された提案のいくつかは、実は、CRCや他の人権文書の中の既存の権利を損なってしまうかもしれない。本条項の中で本条約の特定の部分に言及することは、条約の他の部分は、障害のある子どもに平等に適用されないことを意味する。これを実施すると、子どもの人権の享有を促進するのではなく、損なう危険がある。

リヒテンシュタインは、委員会は、草案の修正で権利が損なわれる事態は避けるべきであるというEUの発言を繰り返した。 第16条はCRCの全ての権利、特に第23条について言及することによって簡潔さを維持することができるかもしれないと述べた。障害のある子どもの権利に関する条項がなければ本条約は完全ではないので、これを保持するよう助言した。既に確立している基準は繰り返す必要はないが、反映・参照すべきである。各条項で漸進的な実現について触れる必要はない。もしそうしたら、第16条を弱めてしまうかもしれない。むしろ、1つの条項で扱われるだろう。16.1の「その管轄の下にある」は条約の一般的な横断的条項の中で扱われるので、これを削除するよう提案した。

ノルウェーは、漸進的な実現ならびに一貫性およびCRCへの言及の必要に関してリヒテンシュタインに同意した。CRCに既に示されている文言と似ているが全く同一ではない文言を使うことに対して警告した。これまで行われた提案のいくつかはCRCからの考えおよび概念を 拾い上げたものであるが完全ではない。この状態では、結局、AHCが意図するものとは反対の結果に終わる危険性がある。

議長はNGOの発言を許可した。

障害者インターナショナルは、条約の草案は虐待や搾取など障害のある子どもにとって最も重要な問題を扱っていないという懸念を表明し、委員会は障害のある難民および孤児を含む危険にさらされているグループを考慮に入れるよう提案した。第16条は、CRCの第23条よりも強くするために、もっと具体的に作成すべきである。

セーブ・ザ・チルドレン(SCF)は、インクルージョン・インターナショナル世界ろう連盟世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワークカナダ地域生活協会西アフリカ障害者連盟世界盲人連合障害者オーストラリア・インコーポレイテッドオーストラリア障害者組織連盟オーストラリア地域法律センター全国協会を代表して、草案は「条文全体を通して、大人の偏見があり、子どもの観点が欠けている」と指摘した。本条約の草案作成過程の速度が速いと、子どもには追いついて、強い立場を作る準備をする機会が与えられない。そのような経験をしていない大人には理解することは難しい。時として、法律自体が障害のある子どもの権利を侵害することがある。CRCの中心となる原則(非差別、子どもにとって最大の利益、生存および成長、参加)は、障害のある子どもについては十分に対処されておらず、CRCの実施の仕組みも各国政府に十分に知られていない。CRCの第23条だけに言及するやり方には限りがある。本条約を他の人権文書よりも弱いものにしないことを保証するためのEUの努力は高く評価するが、「本条約に障害のある子どもに関する条項を維持するという自分たちの主張をEUに理解してもらいたい」と述べた。SCFはEUおよびその他の代表に対して代案を作成し、条約の前文、原則、定義の中および監視で、多様性について明確に定義されたパラグラフを設けるよう求めた。SCFの連合が提案した本条項の修正案はwww.savethechildren.org.ukで入手できる。

CACLが代表するインクルージョン・インターナショナルは、障害のある子どもの権利の認識は第23条だけでは十分ではなく、条約全体を通しておよび、子どもについての強化された条項の中の両方ではっきりと認識および確保されなければならないと主張した。カナダの提案した 17.6を採択すべきであると述べた。SCFの連合の提案した第16条のパラグラフ 9 は代わりの介護施設について言及しており、施設の承認と解釈される可能性があるので削除すべきであると述べた。

世界ろう連盟は、第16条はきちんと構成されておらず、条文を推敲する必要があるので、本条項を条約に含めることに代表の多くがためらっているのだと考えていた。CRCの第23条は実は、障害のある子どもの権利を制限している。親や教師を含む大人は、聴覚障害のある子どもや知的障害のある子どもと対話するために手話を学ばなければならない。第16条の構成部分は条約の前文に移動すべきではない。移動すると前文は長くなるし、拘束性がないと述べた。

国内人権機関(NHRI)は、家族および介護者を育成および保護し、これらに権限を与える概念を目立つように扱った文言を追加した強力な条項を設けるよう助言した。CRCの広範囲な条文でも第23条でも、事実上CWDの権利を扱っていない。本条項は「CRCの小型版」となるのではなく、障害のある子どもに関わる特定の問題についてはっきりと述べなければならない。本条項の現在の表現は否定的で、障害のある子どもを重荷として扱っている。修飾語句がたくさん使われていて、それが障害のある子どもの権利を弱めている。「利用できる資源の入手を条件として」などの免責条項および適格性の基準の言及は削除すべきである。16.1からは「障害に基づくいかなる差別もなしに」という文言を削除すべきである。NHRI は、16.2の「権利を有する」を 「享有すべきである」に置換え、16.3の条項の前文の「早期の」の後に「確認,」を挿入するよう助言した。16.3(b)を次のように修正すべきであると述べた。「子どもおよび介護の責任者への支援の提供。この支援は、申請に基づくものであって、子どもの状況、およびその親、または他の介護者の事情に適したものとする。」また、16.4 も次のように修正すべきである。「全ての障害のある子どもに基本的なサービスが無償で提供されることを保証する。このサービスは、特に教育、訓練、保健サービス、栄養、包括的な機能回復および機能獲得サービス、レクリエーション機会など、最大限に可能な社会的統合および個人的発達(障害のある子どもの文化的および精神的な発達を含む)を子どもが実現することを保証するよう立案されるものとする。」16.5の「を介護する他の者たち」という文言は「介護者」に置換え、「紹介」は「適当な情報」に入っているので削除すべきである。いかなる考察においても子どもにとって最大の利益となることが最も重要であるということを明確にした新たなパラグラフを追加するべきである。子どもの参加に関するCRCの第12条の追加パラグラフ同様、セーブ・ザ・チルドレンが提案した新たなパラグラフ 16.8を採用すべきである。

第17条: 教育

ロシア連邦は、第17条では、障害のある子どもではなく障害のある人間の教育について扱わなければならないと主張し、それに応じて条項全体を変えるよう提案した。18歳を越えてもまだ中等教育を受けている人がいると指摘した。17.1 (d) には「そして、必要な場合は、家庭での教育の可能性を認める」と付け加えるべきである。 新たなサブパラグラフ17.1(e)には次の文言を加えるべきである。「全ての 障害者に、その肉体的および心理的限界を考慮して、専門的な訓練および再訓練を認める」。17.2(a)に「医学的および社会的助言を考慮する」という文言を付け加えるべきである。

シエラレオーネ は後の段階で本条項の子どもへの言及を全て削除または抹消する提案を行う権利を留保し、WGがこの問題について1月に行った議論に関する脚注 56に委員会の注目を向けさせた。また、技術は最終的に時代遅れになってしまう可能性があるため、これに具体的に言及することに対して警告した。「子どもは漸進的な実現を待てない」という文言および17.1でそのことに言及すると行動の義務を減少させてしまう可能性があり、削除すべきである。

アイルランドは17.1の前文の「漸進的な実現」の削除を求め、第2文を「 障害者の教育は以下のものに向けるものとする」に置き換えるよう求めた。EUは言語学上の問題を指摘し、 完全なものは「最も完全に」することはできないので17.1(c)の「最も完全に」は「完全に」と置き換えるべきであると説明した。17.1(d)では「考慮する」は、もっと前向きな「促進する」に置き換えるべきである。17.2の前文は次の文言に修正すべきである。 「この権利を実現する上で、締約国は次のことを保証するよう努力するものとする」。 17.2(a)の目標はインクルーシブでアクセス可能な教育であるが、利用可能性と場所は分けるべきであり、従って17.2(a) は次のように修正する。「障害者はインクルーシブでアクセス可能な教育を利用することが可能で(幼児期および就学前教育の平等な利用を含む)、かかる教育は可能な限り、自分の生活する地域社会で提供されるものとする」。17.2(b) の「教師、学校のカウンセラー、心理学者の専門的訓練を含む必要な支援の提供」という文言を「教師およびその他の職員向けの専門的訓練を含む適切な支援」に置き換える。EUはさらに、17.2(c)は絶対的な権利であるので第1 サブパラグラフに移すべきであると提案した。代替的な教育を提供の是非や提供方法についての議論に対応して17.3の前文は次のように修正する。「一般教育制度 がまだ障害者のニーズを十分に満たしていない場合、締約国は代替的な教育形態を推進するための適切な措置をとるものとする。本条項に従い提供されるいかなる代替的な教育形態も、以下のとおりとする。」

基準規則の教育の条項に適合させるために、17.3(a)は次のように修正する。「障害者の学習および成長のニーズを考慮して、一般教育制度で提供されているものと同じ教育課程に密接に関連づけ、かつ、これを反映し、一般教育制度で提供されているものと同じ基準および目標を反映することを目指す。」
17.3(c) の条文は次のように書き換える。「一般教育制度か特殊教育制度かの選択を認める。」パラグラフ17.4は次のように拡大および書き換えを行う。「障害のある学生が様々なコミュニケーション方法を使った教育を受けることができることを保証するため締約国は適切な措置をとり、教師が異なるコミュニケーション方法を使えることを保証することによって、障害のある学生に質の高い教育を保証するよう努力するものとする。」EUは中等教育についての言及がない点に懸念を表明し、17.5にこのことに関する文言案を挿入するよう助言した。本パラグラフの最後の文を「そのために、締約国は、合理的配慮を提供するよう保証するものとする」に置き換えた。

アルゼンチンも「障害者」に対応するために最初のパラグラフの修正するよう提案した。

コスタリカは初等教育および中等教育に加えて大学教育 および専門的訓練を含めるよう求め、17.1の第1文の「教育」の後に「人生の全ての段階および全ての教育水準およびサービス」という文言を挿入するよう提案した。次のような新たなサブパラグラフを17.1(a) と(b)の間に挿入するよう求めた。「全ての教育プログラムの教育課程の中で、障害、障害者、人権問題を扱う。」17.1(c)では「の発達」の前に「個性、才能、創造性」を挿入する。コスタリカは、17.2の前文の「保証する」を「努力する」に置き換えるEUの提案を支持した。17.2(a)では、EUの提案した文言は「可能な範囲で」の前に「最大限」を挿入して修正する。17.2(b)では「インストラクター」を「教師」の後に付け加え、「材料」を「媒体」の後に挿入する。17.4では、将来の技術的発達の可能性を考慮して、「など、代わりのコミュニケーション方法を使って」という文言を「教育課程」の後に挿入し、「点字」の後に「適宜」を挿入する。追加のサブパラグラフは「 聴覚障害者および視聴覚障害者は、独自のグループで教育を受け、母国語の話し言葉および書き言葉の手話でバイリンガルになる権利を有する」とするべきであると述べた。

イスラエルは17.1の前文を制限して、「保証する」を「全ての可能な措置をとる」に替えるよう助言した。17.2(a)の第1文の「彼ら自身の」は「おのおの」に替える。17.2(a)と(b)の間に次のようなサブパラグラフを新たに付け加える。「障害のある子どもの一般学校制度への統合を優先する。」17.2(b)の後にサブパラグラフを2つ新たに挿入する。1つ目は「障害者が他の親と平等の立場で自分の子どもが学んでいる学校に出入りできること」。2つ目は「学校制度において障害を持つ教師が適切に代表されていること。これには、採用時および雇用されている期間の障害を理由とする差別を防止すること、ならびに採用時および雇用されている期間に合理的配慮を提供することが含まれる」とする。17.2(c) は「子どものニーズへの配慮が障害のために極度に非現実的な負担を課すことにならない限り」を付け加える。17.5では「ことを確保する」は「全ての可能な措置をとる」に、「利用することができる」は「に関して」に、「このため」は「本パラグラフの規定の実施を確保するために」に置き換える。17.5の後に、次のような新たなサブパラグラフを2つ追加する。
「(a) 障害者が、他の人と平等を基礎とした試験および教育課程における配慮などの制度を全て利用できること。
(b) 上記の全ての制度における障害者および職員が適切に代表されていること。これには、採用時および雇用されている期間の障害を理由とする差別を防止すること、ならびに、かかる制度における採用および雇用において合理的配慮をすることが含まれる。

モロッコ は、17.3の前文を次のように書き換えるよう提案した。「一般教育制度における障害者の教育を規則とし、専門家の教育サービスの提供を例外とすべきであることを認識し」

ブラジルは17.2 (a) の現在の文言は一般教育制度と特殊教育制度の選択を十分に示しているので、これを支持した。17.3の現在の文言は、これらの教育制度は相互排他的な選択肢ではないという脚注 62に述べられている概念を十分に反映しているので、これを支持した。

イエメンは、17.3 (b)の「心理学者」の後に「社会学者」を付け加えるよう提案し、特に「見習い」についての言及するなど、条文草案17.3に関して(アラビア語版のみ)助言をした。

中国は本条項の新しい草案を配布した。17.1の前文は維持すべきだが、そのサブパラグラフは全部削除し、次のものに置き換えるべきであると述べた。
「a. 教育は、人格および尊厳の認識の十分な形成に向けられ、人権および基本的自由への敬意の念を強化するものとする。
b. 教育は、全ての障害者が自由な社会で効果的に参加できるようにするものとする。
c. 教育は、全ての国家および全ての人種、民族または宗教グループの間の理解、寛容および友情を促進するものとする。
d. 教育は、国連の平和維持活動を推進するものとする。」
パラグラフ17.2および17.3は削除し、次のような新たなパラグラフ17.2と置き換えるべきであると述べた。「締約国は PWDが平等を基礎として教育を受ける権利を漸進的に実現するために、効果的および適切な措置をとる。
a. 障害者のニーズを満たすインクルーシブでアクセス可能な一般教育を開発するために、締約国は支援を提供するものとする。支援には、教師、学校のカウンセラー、心理学者の専門的訓練、アクセス可能な教育課程、アクセス可能な教育媒体および技術、代替・補助コミュニケーションモード、代替学習戦略、アクセス可能な物理的環境、障害のある学生の完全な参加を確実にするためのその他の合理的配慮が含まれる。
b.一般教育が障害者にニーズを十分に満たしていない場合、締約国は特殊または代替教育を開発するものとする。そのような特殊または代替教育は以下のものとする。
(i) 一般教育制度に規定されている基準および目標に従う。
(ii) 障害者の一般教育への参加を決して妨げない。」
それから、パラグラフ17.4および17.5はそれぞれ17.3および17.4に番号を変える。新たなパラグラフ17.4では「するものとする」を「適当な措置をとる」に置き換え、「一般的な~を利用できる」を「利用する平等な機会を有する」に置き換える。最後の文「このために、締約国は障害者に適当な支援を与える」 を削除する。

ニュージーランドは17.1(a)、(b)、(c)は CRCの第29条に基づいており、これらの子どもの発達という側面は特に障害者に関係していると思われるので草案に含まれていると説明した。これらの要素(尊厳の認識および自尊心、人間的な潜在能力、社会における参加の有効性、子どもの精神的および肉体的能力の発達)は障害者の教育の中でなおざりにされることが多い。一方、中国の提案は全ての国家および人種的、民族的、宗教的グループの間の理解に言及し、国連の平和維持の目的を促進する点でICESCRの第13条に似ているが、障害に限定したものではない。ニュージーランドは、子どもにとって最大の利益となることに関する義務については草案の他の部分およびCRCで十分に扱われているので、17.1(d)を削除するよう提案した。さらに「個別教育計画」という考えは他の子どもに与えられた権利を越え、流行り廃りのある教育学上の手段であるため法的拘束力のある条約には含めず、その代わりに国家の行動計画で扱う。ニュージーランドはEUが提案したサブパラグラフの言い換えを支持し、イスラエルの提案した17.2(c)の最後に追加する案よりも「元の条文に与える傷は小さい」と述べた。17.2の前文の「保証する」は「努力する」に置き換える。17.3の「学習」は両方とも「教育」に置き換える。この2つの言葉の意味の違いははっきりしていないが、全体を通して同一の単語を使うことで文書の一貫性がさらに高まるだろう。17.5の最後の文は「適当な支援」の意味が不明であることから、EUの提案に従って修正すべきであると述べた。

バチカンのローマ教皇庁は、他の国際的な条文と一貫性を持たせることの重要性を主張した。ICCPR、 ICESCR、CRC、UDHRと一致させるために、本条約のサブパラグラフ17.1(d)は「子どもにとって最大の利益となるように」という文言の後に「親および法定後見人のその子どもの教育に関する権利および責任を尊重しながら」という文言を挿入して修正すべきであると述べた。

バーレーンも最初のパラグラフを修正して「障害者」に対応するよう提案した。

ケニアは、教育を受ける権利がはっきりと与えられることを明らかにするために17.1の前文から「漸進的に」を削除するよう提案した。17.5では「職業訓練」の後に「専門的訓練」を挿入するべきであると述べた。

日本は17.2に関するEUの提案は教育制度の利用可能性と達成目標とのバランスがとれているので、これを支持した。しかし 17.3 (a) および(b)の文言は維持すべきであると述べた。17.3(c)に関するEUの提案については、これらの判断は思いつきやきまぐれで下すことはできないので 「障害のある学生にとって最大の利益となるように注意深く考えて」と付け加える。17.4 は他のコミュニケーションの形態が必要になるかもしれない場合、条約を手話または点字に限定すべきではないので、 EU提案に従って修正する。17.5の文言は維持すべきであると述べた。

カナダは、あらゆる子どもは、その個別のニーズを満たす教育制度に組み込まれ、補助的な教育制度の中で学習し、その中に含まれる機会を最大限に活用すべきであると主張した。学校は真の変革をもたらす考え方が形成される場所であるので、このことは全ての障害者および社会全体にとって有益である。本条項にはかなりの作業を行う必要があるが、現時点でカナダからは具体的な提案はない。

オーストラリアは、全てのPWDに対する一般的な適用と一貫性を持たせるため、タイトルなどの 「教育」の後に「訓練」を加えるよう提案した。17.2の「保証する」という文言はEU提案に従って「努力する」に制限され、17.4では「奨励および促進する」に置き換える。オーストラリアは17.4のコミュニケーションに関して、コスタリカの修正案を支持した。17.5では「そして適当な支援を得て」という文言は「他の者との平等を基礎として」という文言の後に挿入し、パラグラフの残りの部分は削除する。

レバノンは17.2(b) の「学校のカウンセラーおよび心理学者」を「必要に応じて、他の教育スタッフ」と置き換えるよう提案した。17.5では、「一般の」という文言を「全ての教育レベルの公立または私立の機関における全ての学問および職業教育」に置き換える。17.5の最後に次の文を付け加える。「締約国 は、選択可能なの形式の障害者向け職業訓練を通して習得した技能を国家の教育制度が承認および認定することを保証しなければならない。」

南アフリカも生涯学習の原則に合わせて「および 訓練」をタイトルに加えるよう求め、条約は幅広い年齢を対象とした教育の過程を提供しなければならないと述べた。17.1(b)では、公平な提供を可能にし、障害者の公平な形の参加ができるよう保証するため、「実質上」の後に「かつ公平に」という文言を挿入する。17.2は維持すべきであるが、特に17.2(b)の規定は国家の特権とすべきである。17.4は障害の種類を限定しており、本条項は全ての障害を扱うべきであるので、これは削除する。17.5では高等教育に関連して「一般の」は不明確であり削除する。17.5で教育法の伝授には成人教育も含まれることを保証するために、「生涯学習」の後に「および教育」という文言を挿入する。ただし、これは「平等を基礎とするのではなく、公平な基礎として提供される」。同じパラグラフで「支援」はより包括的な概念を持つ「援助」に置き換える。公平な教育の規定がない限り、学生はこれからも教育から締め出されるだろう。従って、南アフリカは次のような新たなパラグラフ 17.5 の2を提案した。a) 学習環境への非差別的なアクセスを保証する。b)学習の過程で障害のある学生の公平な参加を保証する、できる環境を確保する。

セルビア・モンテネグロは「自由で十分な説明に基づいた選択」という文言を維持することを除いて、17.3に関するEUの提案を支持した。専門的訓練の概念は第22条「働く権利」に入れた方が良い。17.2(b)の長距離教育の概念を含めることができるかもしれないと述べた。

タイは、個人のニーズに対応して、他の人と平等を基礎とした教育を受ける権利を強調し、17.1から「漸進的に」の削除を求めた。17.2では、様々に解釈される可能性がある「適当な」を学生本位の言葉「必要とされる」に置き換える他はEUの修正案に同意した。17.3の条文は選択の重要性を尊重し、特定の教育モデルに合わせておらず、そのままにしておくべきである。出来るだけ幅広い他のコミュニケーション手段の概念を維持することの重要性を認める一方で、タイは、手話を特別な言語として受入れるというコスタリカが追加した文言に賛成した。手話は聴覚障害者社会の文化遺産の一部であり、独特の文法構造を持つ視覚的言語で、文化的および精神的な成長の基盤である。同様に、点字は書かれた原稿を触知できる表現方法であり、印刷物を読み書きする能力と同等の基本的な読み書きの基本的道具である。中等教育についてのEUの言及および訓練に関して付け加える言葉についてのオーストラリアの提案同様、「支持する」について南アフリカが追加した文言も組み込むべきである。

ウガンダはタイトルに「訓練」を付け加える案を支持し、他の代表が助言した「漸進的に」を削除する案を支持した。17.2には次の文言を付け加えるべきである。「締約国は一般教育制度において障害のある教師の雇用を奨励するもとし、障害者が教師になることに対する法的な障壁の撤去を保証するものとし、障害のある子どものニーズに対する認識を高めるものとする。」17.2 (c)には「そして彼らの教育的ニーズを満たすための措置をとるものとする」と付け加えるべきである。なぜならば、この文言がないと、障害のある学生が自由な教育の恩恵を受けられないからである。ウガンダはまた17.5の2の条文を提案した。「締約国は、業務中に障害を負ってしまった人々に職業上の社会復帰、訓練、 再訓練の機会を与えることを保証するものとする。」

インドは次の規定を17.5の後に挿入するよう助言した。「国家は、重度、知的および重複障害者に対して継続的に機能教育を提供するものとする。」

メキシコは、本条項が全ての教育レベルを網羅するよう、コスタリカの修正案を支持した。17.1(b)では「自由」の後に「かつインクルーシブな」という文言を挿入する。17.1(d)の条文の「教育計画を個別に配慮して」は 「PWDの特殊教育のニーズを満たして」に置き換える。メキシコは17.2(b)の「方法および技術」に「材料」を付け加えるコスタリカの案を支持した。新たなサブパラグラフ17.2(d)は次のように修正する。「障害者向けの奨学金および財源の利用を義務教育を受けている者のみに制限せず、これを奨励する。」17.3では脚注 60に鑑みて「学習」を「教育」に置き換える。17.4の第1文は次のように書き換える。「締約国は、感覚的な障害のある者に学習を奨励し、彼らが勉強のプログラムを続けるよう促すため、適宜、手話または点字を利用できるように保証するものとする。」

韓国も最初のパラグラフを「障害者」に対応して修正するよう提案した。

中国は教育 は PWDにも適用されるべき経済・社会・文化的権利であることを強調することで、本条項の同国の草案に対するニュージーランドの発言に対して答えた。

トリニダード・トバゴは、条文が特定のレベルに制限されないように全ての教育レベルへの言及を含めることに加えて、タイトルに「および訓練」を加える案を支持した。本条項は全てのPWDに対応するために修正すべきであるが、子どもにとっての最大の利益についての判断を他の人に認めるように思われないように、17.1(d)の条文には子どもに対する言及を維持すべきであると述べた。

イエメンは本条項に「訓練」を組み込むよう求めた。訓練の目的は「実務知識」であるが、「教育は思考力の訓練である」。

リビアは17.3(c)を「障害者を非障害者のレベルに引き上げて、さらに高等な教育を受けることができるように、専門教育のレベルは一般教育のレベルと全く同じでなければならない」に修正した。

ヨルダンはタイトルを「教育、訓練および生涯学習」に修正し、17.3の前文の「学習」の後に「および教育」を追加し、17.2(a) でも(c) でも選択について扱っており、後者は重複しているのでこれを削除した。

ここで、NGOに発言が許された。

世界盲人連合は、国際障害同盟およびJDF(日本障害フォーラム準備会)を代表して、教育の概念を「学習」に弱めてはならないと主張した。視覚障害者、視聴覚障害者、聴覚障害者のグループの状況に加えてインクルーシブな学校の状況における教育を求める彼らが合意した、条文を理解するよう各国に対して求めた。

世界盲ろう者連盟は、視聴覚障害者に教育を与えないことは、コミュニケーションも発達も情報もないことを意味すると力説した。視聴覚障害者は、障害者の社会の中においてでさえも排除されることが多い。この文書およびこれらの協議,は、障害者の社会に妥協を越える共通認識をもたらした。

国際労働機関は、本条項およびそのタイトルで「訓練」について言及すべきである点で合意し、17.2 (b)の教師についての言及に、トレーナーおよびインストラクターの専門的訓練への言及を付け加えるよう求めた。代わりの訓練形態を扱う17.3にトレーナーの資格を含めるべきであると述べた。多くのPWDが無関係または入手できない仕事のために何年も訓練を受けているので、労働市場や国家資格の枠組みに関連した技術の開発、認識、証明の機会を提供するために、いかなる代わりの非公式訓練でも(職場の訓練を含む)利用できるようにするものとする。合理的配慮に関するEUの修正は十分ではなく、17.5の最後の文は次のように修正すべきである。「このために、締約国は、不平等の削減を目指してPWDのための訓練を促進および実施する平等の機会の戦略、措置およびプログラムを開発するものとする。」 また、利用できる書式の職業および仕事の指導および情報の組み込みならびに障害者向けの雇用カウンセリングも必要である。

国内人権機関および国内人権機関のアジア太平洋フォーラムは、漸進的な実現と教育を受ける権利は「不釣り合い」であると懸念を表明し、これは非公式の協議で対処するよう希望した。モデルは、個人の特性だけでなく、あるモデルを選択する家族や親の状況によって決まることが多いので、教育を受ける権利に対する 取組み方法の選択肢をたくさん条約で提供すべきである。この点で、EUの条文は、教育に対する様々な取組み方法の中でバランスがとれていて、取組み方法の間の偏見を取り除き、UNSRに基づいたものとなっている。EUの条文は、就職斡旋、モデルまたは供与のいかんに関わらず平等の基準を保証しているので、NHRI/APFの教育の質に関する懸念についても対処している。メキシコおよびタイの見解を支持して、教育はPWD が理解できる言語で提供されなければ意味がないので、特定の原稿および言語についての言及に加えて、様々な障害グループ、特に聴覚障害者の言語的なニーズについて認識すべきであると述べた。

議長は、話し合いを前進させるために非公式な協議の必要について指摘し、会議を終えた。


特別委員会のデイリー・サマリーは、ランドマイン・サバイバーズ・ネットワークが発行する。このネットワークは、地雷の被害を受けた6つの途上国において手足を失った者の支援網を持った、米国に拠点を置く国際組織である。このサマリーでは障害者の人権に関する条約の詳細を詰める特別委員会の議事録を扱っている。

サマリーは MS Word形式で www.landminesurvivors.org/library_learn.php. に掲載される。このサマリーは、翌日の午前10時までにwww.worldenable.netおよびhttp://www.un.org/esa/socdev/enable/rights/ahc3summary.htmに掲載される。
スペイン語(障害者インターナショナル http://www.dpi.org/sp/resources/topics/convencion/boletines04.htm)、フランス語
(ハンディキャップ・インターナショナル http://www.handicap-international.org/esperanza/news/adhoc2004.asp)および 日本語(DINF webmaster@dinf.ne.jp)の翻訳もある。
第3回会合のリポーターはマーガレット・ホルト、ロビン・スチーブンズ、ジュリア・ホワイト、編者はザハビア・アダマリーおよびローラ・ハーシーである。制作アシスタントはアニー・ガウルである。質問および意見がある方はzahabia@landminesurvivors.orgにメールを頂きたい。

ランドマイン・サバイバーズ・ネットワークは、ニュージーランド、メキシコ、タイの代表団、ハンディキャップ・インターナショナルSHARE - SEE プログラムに対して、第3回特別委員会のデイリー・サマリーの作成で支援を頂いたことに謝意を表する。引き続き、財政的または物質的支援を求めている。さらに情報を希望する方はlsn@landminesurvivors.orgにメールを頂きたい。