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「障害者の権利条約」国連特別委員会議長草案に関する意見書

第2部

第21条〔表現及び意見の自由と、情報へのアクセス〕

○修正
  1. 柱書並びに(b)について、手話、点字に加えて、「文字表示」の挿入を求める。これは難聴者の情報アクセスのためには、文字情報が不可欠であるためである。
  2. (c)と(d)について、情報に関する民間部門の重要性に鑑み、「奨励する」を、義務化するために、「要求する」」(requiring)と修正する。
  3. (e)について、手話通訳者はろう者だけが利用するものでなく、万人が必要とするものであるため、万人が自由に利用できる制度を確立しなければならないので、以下を提案する。
  4. (e)⇒「自国の手話を法的に認知し、その開発と普及を支援し、手話通訳を養成し自由に利用できる制度を保障する。」
○意見 
全般的には現在の条文案の構成を支持する。また、(a)では、論点となっている情報に関しては、現在の条文案の「公衆向けの情報」(information intended for the general public)を支持する。
○関連国内施策
  1. 身体障害者の利便の増進に資する通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に関する法律の強化
  2. 手話の国内法制化

第22条〔プライバシーの尊重〕

○意見
 現在の条文案に異議なし

第23条〔家庭及び家族の尊重〕

○意見 
おおむね支持できる条文案である。
  1. 第1項(a)では、障害者の性に対する偏見の強さ、優生学的な負の遺産を考えるに、[そのセクシャリティを経験し、]の挿入は必要である。
  2. 第1項(b)では、ジェンダーの不平等を考慮し、[並びに両当事者が平等の対等者であること]の挿入を求める。
  3. 第1項(c)も上述の理由で、[並びに一般に適用のある国内法が認める範囲内で、障害のある人が、情報にアクセスする権利、性と生殖及び家族計画に係る教育にアクセスする権利、これらの権利の行使を可能とするために必要な手段にアクセスする権利並びに生殖能力を保持する平等の機会にアクセスする権利]を支持する。

第24条〔教育〕

○修正
  1. 第2項(b)の「障害のある人が、可能な程度まで自己の住む地域社会において、インクルーシブで質の高い無償の初等教育及び中等教育にアクセスすることができること。」から、「可能な程度まで」は削除する。
  2. 第3項(a):視覚障害者の支援技術利用スキルの重要性を考慮し、※「支援技術(assistive technology)」※を以下のように挿入する。
    「点字、代替スクリプト、支援技術利用技能及び歩行技能の習得を容易にし」
  3. 第3項(c)の英語標記で、盲ろうを意味する”deaf/blind” は”deafblind”に修正
  4. 第4項に関して、「他のコミュニケーション技能」を追加して、「締約国は、手話、点字又は他のコミュニケーション技能に通じた教員」とする。また、「障害のある教員」はより具体的に「生徒と同じ障害を持つ教員」に修正する。
○意見
 現在の条文案をおおむね支持する。
※修正2について
  1. 前「意見書」(2005年12月5日)では、「支援機器(assistive technology)」と記載されているが、これを「支援技術(assistive technology)」と修正する。
    「支援技術(assistive technology)」の語は、障害者の日常生活、とりわけ情報の入出力の場面などで技術的支援が有効であることに着目して、コンピュータ技術、電子工学などの技術革新の成果を応用してこれを支援する技術の総称として用いられている。類似の用語として「適応技術(adaptive technology)」の語があるが、両者を比較した場合、前者が技術の利用段階または利用者側の視点から技術の応用場面をとらえているのに対して、後者は、開発段階または開発者側の視点からこれをとらえているといえる。
  2. 支援技術の具体例としては、視覚障害者用の音声ワープロ、スクリーン・リーダ(コ ンピュータ画面読み上げソフト)、音声ブラウザ、OCR((光学的文字認識)技術を応用した文書読み取り装置、点字編修・印刷システム、点字・普通文字変換システム、点字ディスプレイ装置、上肢障害者などに活用される音声入力システム、聴覚障害者向けのコミュニケーション支援機器などが挙げられる。
  3. こうした支援技術の発展に伴い、とりわけ情報の入出力場面で困難のある視覚障害者 の日常生活は大幅に改善されてきていますが、視覚障害者が支援技術の恩恵を享受するためには、教育・訓練の機会が確保される必要があります。現在、盲学校など特殊学校のカリキュラムでは、「自立活動」の一環として、こうした支援技術の利用について教育・訓練が行われています。視覚障害者の場合、歩行訓練など移動面での自立を図るための教育・訓練の他、音声ワープロの入出力、点字文書の編修・印刷、インターネットへのアクセス、電子メールの送受信など、主として文書処理、情報収集、コミュニケーションにおける支援技術の利用技能の習得を目的とする教育・訓練が行われています。しかし、盲学校以外の学校(大学などの高等教育機関を含む)で学ぶ視覚障害者にはこうした教育・訓練を受ける機会はほとんど保障されていないのが現実である。
  4. 技術の発展は目覚ましく、毎年新たな製品が開発されているだけでなく、その範囲も拡大しています。したがって、盲学校または盲学校以外の通常学校などの教育段階を修了した成人の視覚障害者には、生涯教育の一環として、支援技術の利用について教育・訓練を受け、技能を習得し、向上させる機会を保障していくことが重要となってきている。※
○関連国内施策
 障害者基本法第14条第3項の修正

第25条〔健康〕

○修正
(b)の(特に子ども及び高齢者の障害)は削除する。
○意見
(a)の「性と生殖に関する保健サービス」の文言を支持。

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