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第7回国連障害者の権利条約特別委員会

ドン・マッケイ(権利条約特別委員会議長)

仮訳:川島聡・長瀬修

障害のある人の権利及び尊厳の保護及び促進に関する包括的かつ総合的な国際条約草案(2006年3月28日付)

前文
第1部
第2部
第3部
第4部
条約草案の構成(旧・新)

この条約の締約国は、

  1. 世界における自由、正義及び平和の基礎をなすものとして、人類社会のすべての構成員の固有の尊厳及び平等のかつ奪い得ない権利を認める国際連合憲章において宣明された原則を想起し
  2. 国際連合が、世界人権宣言及び人権に関する国際規約において、すべての人はいかなる区別もなしに同宣言及び同規約に掲げるすべての権利及び自由を享有することができることを宣明し及び合意したことを認め、
  3. すべての人権及び基本的自由の普遍性、不可分性及び相互依存性と、障害のある人に対してすべての人権及び基本的自由の差別のない完全な享有を保障する必要性とを確認し、
  4. また、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、市民的及び政治的権利に関する国際規約、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約、女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約、拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約、子どもの権利に関する条約並びにすべての移住労働者及びその家族構成員の権利保護に関する国際条約を改めて確認し、
  5. 障害のある人の機会均等化に関する基準規則に含まれる原則及び政策指針が、障害のある人の機会を更に平等化するための国内的、地域的及び国際的な場における政策、立案、計画及び行動の促進、形成及び評価に影響を与えるに当たって重要であることを認め、
  6. また、いかなる人に対しても障害に基づく差別は人間の固有の尊厳を侵害するものであることを認め、
  7. さらに、障害のある人の多様性を認め、
  8. これらの種々の文書及び約束にもかかわらず、世界のすべての地域において、社会の平等な構成員としての参加を妨げる障壁及び人権侵害に障害のある人が依然として直面していることを憂慮し、
  9. あらゆる国特に途上国における障害のある人の生活状況を改善するために国際協力が重要であることを認め、
  10. 地域社会の全般的な福利及び多様性への障害のある人の既存の及び潜在的な貢献を強調し、さらに、障害のある人による人権及び基本的自由の完全な享有並びに完全な参加を促進することにより、社会の人間開発、社会開発及び経済開発並びに貧困の根絶に多大な前進がもたらされることを強調し、
  11. 障害のある人にとって、その個人の自律及び自立(自己の選択を行う自由を含む。)が重要であることを認め、
  12. 障害のある人が、政策及び計画、特に障害のある人に直接的に関連する政策及び計画に係る意思決定過程に積極的に関与する機会を有するべきであることを考慮し、
  13. 人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位に基づく複合的又は加重的な形態の差別を受けている障害のある人の困難な状況を憂慮し、
  14. 障害のある人による人権及び基本的自由の完全な享有を促進するためのあらゆる努力にジェンダーの視点を組み込む必要があることを強調し、
  15. 障害のある人の不釣合いに大多数が貧困の状況下で生活していることを認め、また、障害のある人に対する貧困の負の影響を軽減ことが必要であることに留意し、
  16. 武力紛争の状況が障害のある人の人権に特に甚大な被害をもたらすことを憂慮し、
  17. 障害のある人がすべての人権及び基本的自由を完全に享有することができるようにするに当たり、物理的、社会的及び経済的環境のアクセシビリティ並びに情報及びコミュニケーション(情報通信技術を含む。)のアクセシビリティが重要であることを認め、
  18. 途上国及び先進国の双方において、障害のある人の人権を特に取り扱う条約が、障害のある人の著しく社会的に不利な立場を是正することに意義深く貢献すること並びに市民的、政治的、経済的、社会的及び文化的分野への障害のある人の平等な機会での参加を促進することを確信して、
     次のとおり協定した。

第1部

第1条 目的

 この条約は、障害のある人のすべての人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有を促進し、保護し及び充足することを目的とする。

第2条 定義

 この条約の適用上、
 「コミュニケーション」には、口及び耳によるコミュニケーション、手話によるコミュニケーション、点字、触覚コミュニケーション、拡大文字、音声装置、アクセシブルなマルチメディア、朗読者、並びに他の補助的又は代替的なコミュニケーション様式(アクセシブルな情報通信技術を含む。)を含む。
 [「障害」……]
 [「障害のある人」……]
 「障害に基づく差別」とは、障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のいかなる分野においても、他の者との平等を基礎としてすべての人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを害し又は無効にする目的又は効果を有するものをいう。障害に基づく差別には、あらゆる形態の差別(直接差別及び間接差別を含む。)を含む。
 「言語」には、口及び耳による言語並びに手話を含む。
 「一般に適用のある国内法」とは、社会全体に適用する法律であり、かつ、障害のある人に関し区別を設けないものをいう。「一般に適用のある国内法及び国内的手続」並びに「一般に適用のある国内法、慣習及び伝統」は、それと同一の意味を有するものとし、それを準用する。
 「合理的配慮」とは、特定の場合において必要とされる、障害のある人が他の者との平等を基礎としてすべての人権及び基本的自由を享有し又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、不釣合いな負担を課さないものをいう。
 「ユニバーサルデザイン」及び「インクルーシブデザイン」とは、改造又は特別な設計を必要とすることなしに、可能な最大限の範囲内で、すべての人が使用することができる製品及び環境の設計をいう。

第3条 一般的原則

 この条約の基本的な原則は、次のものとする。

  1. 尊厳、個人の自律(自己の選択を行う自由を含む。)及び人の自立
  2. 非差別
  3. 他の者との平等を基礎とした、社会への障害のある人の完全かつ効果的な参加及びインクルージョン
  4. 差異の尊重と、人間の多様性及び人間性の一部としての障害の受容
  5. 機会の平等
  6. アクセシビリティ
  7. 男女の平等

第4条 一般的義務

  1. 締約国は、障害に基づくいかなる種類の差別もない、障害のある人のためのすべての人権及び基本的自由の完全な実現を確保することを約束する。このため、締約国は、次のことを約束する。
    1. この条約を実施するための立法措置、行政措置その他の措置をとること、並びにこの条約に合致しないいかなる法律及び規則も改正し、廃止し又は無効にし、かつ、この条約に合致しない慣習又は慣行を抑制すること。
    2. 平等の権利及び障害に基づく非差別の権利が自国の憲法その他の適当な法令に組み入れられていない場合にはこれを定めること、並びにこれらの権利の実際的な実現を法律その他の適当な手段により確保すること。
    3. すべての経済的及び社会的な開発政策及び開発計画の主流に障害に係る事項を据えること。
    4. この条約に合致しないいかなる活動又は行為も差し控え、かつ、公の当局及び機関がこの条約に従い行動することを確保すること。
    5. あらゆる人、機関又は民間企業による障害に基づく差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとること。
    6. 次のものについての開発、利用可能性及び使用を約束し又は促進すること。
      1. 障害のある人に特有なニーズを満たすために並びに基準及び指針の開発に当たりユニバーサルデザインを促進するために万人向けに設計された商品、サービス、備品及び設備であって可能な限り最低限の調整及び最小限の費用を要すべきもの
      2. 障害のある人に適した新たな技術(情報通信技術、移動補助具、機器、支援技術を含む。)であって入手可能な価格の費用を優先させたもの
    7. 移動補助具、機器及び支援技術(新たな技術を含む。)に関する並びに他の形態の援助、支援サービス及び設備に関するアクセシブルな情報を障害のある人に提供すること。
  2. 各締約国は、経済的、社会的及び文化的権利に関しては、それらの権利の完全な実現を漸進的に達成するという観点から、自国における利用可能な資源の最大限の範囲内で、また、必要な場合には国際協力の枠内で措置をとる。ただし、それらの権利の完全な実現を漸進的に達成することが障害に基づく差別という結果になる場合は、この限りでない。
  3. 締約国は、この条約を実施するための法令及び政策を発展させ及び実施する場合において並びに障害のある人と関連する事項に係る他の意思決定過程において、障害のある人及びその団体と緊密に協議し並びにこれらを積極的に関与させる。そのような事項には、アクセシビリティに係る基準及び指針と、保健、ハビリテーション及びリハビリテーションに係る法令の策定と、保健、ハビリテーション及びリハビリテーションに係るサービスの立案、給付及び評価と、データ収集の立案及び実施とを含む。
  4. この条約のいかなる規定も、締約国の法律又は締約国について効力を有する国際法に含まれる規定であって障害のある人の権利の実現に一層貢献するものに影響を及ぼすものではない。

第5条 平等及び非差別

  1. 締約国は、すべての人が法律の前及び下において平等であり、かつ、いかなる差別もなしに法律の平等な保護及び利益を受ける権利を有することを認める。
  2. 締約国は、障害に基づくあらゆる差別を禁止するものとし、また、障害のある人に対して差別に対する平等のかつ効果的な保護を保障する。また、締約国は、あらゆる差別を禁止するものとし、また、障害のある人に対し他のいかなる理由による差別に対しても平等のかつ効果的な保護を保障する。
  3. 締約国は、合理的配慮が提供されることを確保するためのすべての適当な行動をとることを約束する。
  4. 障害のある人の事実上の平等を促進し又は達成するために必要な措置は、障害に基づく差別と解してはならない。

[第6条 障害のある女性]

[第7条 障害のある子ども]

第8条 障害に関する啓発

  1. 締約国は、次のための即時的かつ効果的な措置をとることを約束する。
    1. 障害及び障害のある人に関する社会全体の意識の向上と、障害のある人の権利の尊重の育成
    2. あらゆる生活領域における障害のある人に関する固定観念及び偏見との闘い
    3. 障害のある人の能力及び貢献に関する意識の促進
  2. このため、措置には次のことを含む。
    1. 次のことのために立案された効果的な公衆向けの啓発キャンペーンを開始し及び維持すること。
      1. 障害のある人の権利に対する理解を促進すること。
      2. 障害のある人のセクシャリティ、婚姻、親たること及び家族関係に係るすべての事項に関し、障害のある人に対する否定的認識及び社会的偏見を変更すること。
      3. 職場及び労働市場における障害のある人の技術、功績、能力及び貢献についての認識を促進すること。
    2. 教育制度のあらゆる段階(幼年期からのすべての子どもの教育制度を含む。)において、障害のある人の権利を尊重する態度を促進すること。
    3. すべてのメディア機関が、この条約の目的に合致するように障害のある人を描写することを奨励すること。
    4. 障害に関する感受性を磨くための計画を促進すること。

第9条 アクセシビリティ

  1. 締約国は、障害のある人が自立して生活するための及び生活のあらゆる側面に完全に参加するための能力を確保するため、構築された環境、輸送機関、情報通信(情報通信技術を含む。)その他のサービスにおける妨害物を明らかにし及び撤廃することにより、障害のある人のアクセシビリティを確保するための適当な措置をとる。このような措置は、特に次のことに対して適用する。
    1. 公共の建物、道路その他の公共の目的に利用される設備(学校、住居、医療設備、屋内外の設備及び公有の職場を含む。)を構築し及び改築すること。
    2. 公共の輸送設備、通信その他のサービス(電子サービスを含む。)を充実させ及び改良すること。
  2. また、締約国は、次のことのための適当な措置をとる。
    1. 公共の建物及び設備において、点字表示及び読みやすく理解しやすい形式の表示を提供すること。
    2. 公共の建物及び設備のアクセシビリティを容易にするためのライブ支援及び仲介者(案内者、朗読者及び手話通訳者を含む。)を提供すること。
    3. 公共の設備及びサービスのアクセシビリティに関する最低限度の国内的な基準及び指針の実施を発展させ、公表し及び監視すること。
    4. 公共の設備及びサービスを提供する民間主体が、障害のある人に係るアクセシビリティのあらゆる側面を考慮することを確保すること。
    5. 障害のある人が直面するアクセシビリティに係る事項についての訓練をすべての利害関係者に提供すること。
    6. 障害のある人が新たな通信技術及び通信システム(インターネットを含む。)にアクセスすることを促進すること。
    7. 情報社会が最小限の費用でインクルーシブになるために、早期の段階で、アクセシブルな情報通信技術の設計、開発、生産及び分配を促進すること。
    8. 情報への障害のある人のアクセスを確保するため、障害のある人に対する他の適当な形態の援助及び支援を促進すること。

第2部

第10条 生命に対する権利

 締約国は、すべての人間が生命に対する固有の権利を有することを改めて確認し、また、障害のある人が他の者との平等を基礎として当該権利を効果的に享有することを確保するためのすべての必要な措置をとる。

[第11条 危険のある状況

 締約国は、公衆が危険のある状況に置かれる場合には障害のある人が特に被害を受けやすいことを認め、また、障害のある人を保護するためのすべての実行可能な措置をとる。]

第12条 法律の前における人としての平等の承認

  1. 締約国は、障害のある人が、すべての場所において、法律の前に人として認められる権利を有することを改めて確認する。
  2. 締約国は、障害のある人が他の者との平等を基礎としてすべての分野において[法的能力]を有することを認めるものとし、また、[その能力][行為能力]を行使するための支援が必要な場合には、次のことを可能な範囲において確保する。
    1. 提供される支援が、必要とされる支援の程度に比例し、かつ、その者の状況に適合したものであること、並びにその支援が、その者の法的権利を害さず、その者の意思及び選好を尊重し、かつ、利益相反及び不当な影響を生じさせないこと。適当な場合には、その支援が、定期的なかつ独立の審査に従うこと。
    2. [締約国が最後の解決手段として法律で定めるものとする人格代理人の手続を定める場合には、その法律が適当な保護(人格代理人の任命及び人格代理人による決定についての、権限のある公平なかつ独立の審判所による定期的な審査を含む。)を提供すること。人格代理人の任命及び行為が、この条約及び国際人権法と両立する原則に基づくこと。]
  3. 締約国は、財産の所有又は相続についての、自己の財務管理についての並びに銀行貸付、抵当その他の形態の金融上の信用への平等なアクセスについての障害のある人の平等な権利を確保するためのすべての適当かつ効果的な措置をとる。また、締約国は、障害のある人がその財産を恣意的に奪われないことを確保する。

第13条 司法へのアクセス

 締約国は、障害のある人がすべての法的手続(調査段階その他の予備段階を含む。)において直接及び間接の参加者(証人を含む。)として効果的な役割を果たすことを容易にし、障害のある人のための他の者との平等を基礎とした司法への効果的なアクセスを確保する。

第14条 身体の自由及び安全

  1. 締約国は、次のことを確保する。
    1. 障害のある人が、他の者との平等を基礎として、身体の自由及び安全についての権利を享有すること。
    2. 障害のある人が他の者との平等を基礎として自由を不法に又は恣意的に奪われないこと、いかなる自由も法律で定めることなしに奪われないこと、並びにいかなる場合においても障害の存在により自由の剥奪が正当化されないこと。
  2. 締約国は、障害のある人が民事上、刑事上、行政上その他の手続を通じて自由を奪われた場合には、障害のある人が少なくとも次のことに関する保障を受けることを確保する。
    1. 人道的にかつ人間固有の尊厳及び価値を尊重して、並びに障害のある人の人権を尊重し、この条約の趣旨及び原則に従い、かつ、障害に合理的に配慮する方法で、取り扱われること。
    2. 障害のある人の法的権利に関する及び自由の剥奪の理由に関する十分にアクセシブルな情報が速やかに提供されること。
    3. 次のことのための法的援助その他の適当な援助への速やかなアクセスが提供されること。
      1. 裁判所その他の権限のある独立のかつ公平な機関において、自由の剥奪の合法性を争うこと及び公正な審理(聴取される権利を含む。)を受けること(この場合には、その者は、いかなるこのような訴えについても、速やかな決定を受けるものとする。)。
      2. 他の者との平等を基礎として、自由の剥奪についての審査(適当な場合には定期的な審査を含む。)を求めること。
    4. 自由が不法に奪われた場合には、賠償を受ける強制執行可能な権利を有すること。

第15条 拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰からの自由

  1. 障害のあるいかなる人も、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けない。特に、締約国は、障害のある人が十分な説明に基づくその自由な同意なしに医学的又は科学的実験を受けることを禁止するものとし、また、当該実験から障害のある人を保護する。
  2. 締約国は、障害のある人が拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けることを防止するため、すべての効果的な立法上、行政上、司法上その他の措置をとる。

第16条 搾取、暴力及び虐待からの自由

  1. 締約国は、あらゆる形態の搾取、暴力及び虐待から家庭の内外で障害のある人を保護するためのすべての適当な立法上、行政上、社会上、教育上その他の措置をとる。
  2. また、締約国は、特に、障害のある人及びその家族並びにケアの提供者に対する適当な形態の援助及び支援を確保すること(暴力及び虐待の事件を防止し、認識し及び報告する方法に関する情報及び教育を提供することを含む。)により、搾取、暴力及び虐待を防止するためのすべての適当な措置をとる。
  3. 搾取、暴力及び虐待の発生を防止するため、締約国は、障害のある人のために設けられたすべての設備及び計画が独立の当局により効果的に監視されることを確保する。
  4. 締約国は、あらゆる形態の搾取、暴力又は虐待による被害者である障害のある人の身体的、認知的及び心理的な回復、リハビリテーション及び社会復帰を促進するためのすべての適当な措置をとる(保護サービスの提供を含む。)。このような回復及び復帰は、障害のある人の健康、福祉、自尊心、尊厳及び自律を育成する環境において行われなければならない。
  5. 締約国は、障害のある人に対する搾取、暴力及び虐待の事件が発見され、調査され、かつ、適当な場合には訴追されることを確保するための効果的な法令及び政策を定める。

第17条 個人のインテグリティの保護

  1. 締約国は、他の者との平等を基礎として、障害のある人の個人のインテグリティを保護する。
  2. 締約国は、いかなる現実の又は認識された機能障害であっても、それを矯正し、改善し又は緩和することを目的とする強制的介入又は強制的施設収容から障害のある人を保護する。
  3. 非自発的介入を必要とする緊急医療の場合又は公衆の健康上の危険が生じる事柄の場合には、障害のある人は他の者との平等を基礎として取り扱われるものとする。
  4. [締約国は、次のことを確保する。
    1. 代替策を積極的に促進することにより、障害のある人への非自発的治療を最小限にすること。
    2.   
    3. 法律で定める手続に従い、かつ、適当な法的保護を適用して、例外的な環境においてのみ障害のある人への非自発的治療を行うこと。
    4. できる限り最も制約の少ない環境において障害のある人への非自発的治療を行うこと、及びその者の最善の利益を十分に考慮すること。
    5. 障害のある人への非自発的治療が、その者にとって適当であり、また、その治療を受ける個人又はその家族に対して費用の負担なしに提供されること。]

第18条 移動の自由

[締約国は、次のことその他を確保することにより、他の者との平等を基礎として、移動の自由についての障害のある人の権利を尊重し及び確保するための効果的な措置をとる。

  1. 障害のある人が、国籍を取得する権利を有し、かつ、その国籍を恣意的に又は障害を根拠として奪われないこと。
  2. 障害のある人が、国籍に係る文書若しくは他の身元に係る文書を所有し及び利用する能力又は移動の自由についての権利の行使を容易にするために必要とされることのある関連手続(例えば出入国手続等)を行う能力を、障害を根拠として奪われないこと。
  3. 障害のある人が、いずれの国(自国を含む。)からも離れる自由を有すること。]

第19条 自立した生活及び地域社会へのインクルージョン

 締約国は、次のことその他を確保することにより、障害のある人による選択の自由の完全な享有、自立した生活並びに地域社会への完全なインクルージョン及び参加を容易にするための効果的かつ適当な措置をとる。

  1. 障害のある人が、他の者との平等を基礎として居所並びにどこで誰と住むかを選択する機会を有し、かつ、特定の生活様式で生活することを義務づけられないこと。
  2. 障害のある人が、地域社会における生活及びインクルージョンを支援するために並びに地域社会からの孤立及び隔離を防止するために必要な在宅サービス、居住サービスその他の地域社会支援サービス(人的支援を含む。)を利用することができること。
  3. 地域社会における公衆向けのサービス及び設備が、障害のある人にとって平等を基礎として利用可能であり、かつ、障害のある人のニーズに応ずること。

第20条 個人の移動性

障害のある人が選択する方法で及び時に、かつ、入手可能な費用で、障害のある人の移動の自由を容易にすること。

  1. 障害のある人が選択する方法で及び時に、かつ、入手可能な費用で、障害のある人の移動の自由を容易にすること。
  2. 障害のある人が質の高い、移動補助具、機器、支援技術、ライブ支援及び仲介者を利用することを容易にすること。(これらを入手可能な費用で利用可能なものにすることを含む。)
  3. 障害のある人に対し及び障害のある人と共に働いている専門職員に対し、移動技術の訓練を提供すること。
  4. 移動補助具、機器及び支援技術を生産する民間主体が障害のある人の移動性のあらゆる側面を考慮することを奨励すること。

第21条 表現及び意見の自由と、情報へのアクセス

 締約国は、次のことその他により、障害のある人が、他の者との平等を基礎として、手話、点字、補助代替コミュニケーション並びに自ら選択する他のすべてのアクセシブルなコミュニケーションの手段、様式及び形態を通じて、表現及び意見の自由(情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む。)についての権利を行使することができることを確保するためのすべての適当な措置をとる。

  1. 障害のある人に対し、様々な種類の障害に適したアクセシブルな様式及び形態で、適時にかつ追加の費用を伴わず、公衆向けの情報を提供すること。
  2. 公の対話において、手話、点字、補助代替コミュニケーション並びに障害のある人が自ら選択する他のすべてのアクセシブルなコミュニケーションの手段、様式及び形態を用いることを承諾し及び容易にすること。
  3. 公衆にサービス(インターネットによるものを含む。)を提供する民間主体が、情報及びサービスをアクセシブルかつ使用可能な形態で障害のある人に提供するよう勧奨すること。
  4. マスメディア(インターネットにより情報を提供する者を含む。)が、そのサービスを障害のある人にとってアクセシブルなものとするよう勧奨すること。
  5. [自国の手話を[発展させること][承認すること][促進すること]。]

第22条 プライバシーの尊重

  1. 障害のあるいかなる人も、居所又は生活様式とのかかわりなく、そのプライバシー、家族、家庭、通信その他の形態のコミュニケーションに対して恣意的に若しくは不法に干渉され又は名誉及び信用を不法に攻撃されない。障害のある人は、こうした干渉又は攻撃に対する法律の保護を受ける権利を有する。
  2. 締約国は、他の者との平等を基礎として、障害のある人の個人情報、健康情報及びリハビリテーション情報に係るプライバシーを保護する。

第23条 家庭及び家族の尊重

  1. 締約国は、婚姻、家族及び対人関係に係るすべての事項に関し障害のある人に対する差別を撤廃するための効果的かつ適当な措置をとるものとし、また、他の者との平等を基礎として特に次のことを確保する。
    1. [一般に適用のある国内法、慣習及び伝統に従い、]障害のある人が、[そのセクシャリティを経験し、]性的関係その他の親密な関係を持ち、かつ、親たることを経験する平等の機会を否定されないこと。
    2. 婚姻をすることができる年齢の障害のあるすべての[男女][人]が、両当事者の自由のかつ完全な合意に基づいて婚姻をし及び家族を形成する権利を認めること[並びに両当事者が平等の対等者であること]。
    3. [一般に適用のある国内法が認める範囲内で、]障害のある人が子どもの数及び出産間隔について自由にかつ責任をもって決定する権利[、並びに情報にアクセスする権利、性と生殖及び家族計画に係る教育にアクセスする権利、これらの権利の行使を可能とするために必要な手段にアクセスする権利、並びに生殖能力を保持する平等の機会にアクセスする権利]
  2. 締約国は、子どもの後見、監督、管財、養子縁組又は国内法令にこれらに類する制度が存在する場合にはその制度についての障害のある人の権利及び責任を確保する。あらゆる場合において、子どもの利益は至上である。締約国は、障害者が子どもの養育についての責任を遂行するに当たり、その者に対し適当な援助を与える。
  3. 締約国は、子どもがその親の意思に反してその親から分離されないことを確保する。ただし、権限のある当局が、一般に適用のある国内法及び国内的手続に従い、かつ、法律で定める司法の審査又は他の形態の行政の審査に従うことを条件として、その分離が子どもの最善の利益のために必要であると決定する場合は、この限りでない。いかなる場合であっても、子どもは、その子どもの障害又は一方若しくは両方の親の障害を根拠として親から分離されない。

第24条 教育

  1. 締約国は、教育についての障害のある人の権利を認める。この権利を差別なしにかつ機会の平等を基礎として実現するため、締約国は、次のことを指向する、あらゆる段階におけるインクルーシブな教育及び、インクルーシブな生涯学習を確保する。
    1. 人間の潜在能力並びに尊厳及び自己価値に対する意識を十分に育成すること、並びに人権、基本的自由及び人間の多様性の尊重を強化すること。
    2. 障害のある人が、その人格、才能及び創造力並びに、精神的及び身体的な能力を最大限度まで発達させること。
    3. 障害のある人が、自由な社会に効果的に参加することを可能とすること。
  2. この権利を実現するため、締約国は次のことを確保する。
    1. 障害のある人が障害を根拠として一般教育制度から排除されないこと、並びに障害のある子どもが障害を根拠として無償のかつ義務的な初等教育及び中等教育から排除されないこと。
    2. 障害のある人が、可能な程度まで自己の住む地域社会において、インクルーシブで質の高い無償の初等教育及び中等教育にアクセスすることができること。
    3. 個人が必要とするものに対する合理的配慮
    4. 障害のある人が、その効果的な教育を容易にするために必要な支援を一般教育制度内で受けること。一般教育制度が障害のある人の支援ニーズを十分に満たすことができない例外的な環境においては、締約国は、完全なインクルージョンという目標に即して、効果的な代替支援措置が提供されることを確保する。
    5. 教育のすべての段階における、教育に従事するすべての専門家及び職員に対する、障害への認識を組み入れ、かつ、適当なコミュニケーションの手段及び様式の使用並びに障害のある人を支援するための教育技法及び教材の使用を組み入れた初期訓練及び継続訓練を充実させること。
  3. 締約国は、障害のある人が地域社会の構成員として教育に完全かつ平等に参加することを容易にするための生活技能及び社会性の発達技能を習得することを可能としなければならない。このため、締約国は、
    1. 点字、代替スクリプト、歩行技能の習得を容易にし、また、ピアサポート及びピアメンタリングを容易にする。
    2. 手話の習得及びろう社会の言語的なアイデンティティの促進を容易にする。
    3. 盲、ろう及び盲ろうの子どもの教育が、その個人にとって最も適当な言語及びコミュニケーションの様式で、かつ、学業面の発達及び社会性の発達を最大にする環境で行われることを確保する。
  4. 締約国は、手話又は点字に通じた教員(障害のある教員を含む。)を雇用することにより、感覚的な障害のある学生・生徒に対する質の高い教育を確保するための適当な措置をとる。
  5. 締約国は、障害のある人が、差別なしにかつ機会の平等を基礎として、一般の高等教育、職業訓練、成人教育及び生涯学習にアクセスすることができることを確保する。このため、締約国は、障害のある人に適当な支援を与える。

第25条 健康

締約国は、障害のある人が障害に基づく差別なしに到達可能な最高水準の身体的及び精神的な健康を享受する権利を有することを認める。締約国は、障害のある人が保健サービス(保健関連のリハビリテーションを含む。)を利用することを確保するためのすべての適当な措置をとる。特に、締約国は、

  1. 障害のある人に対して他の者に提供されるものと同一の範囲及び水準の入手可能な保健サービス([性と生殖に関する保健サービス]及び住民公衆衛生計画を含む。)を提供する。
  2. 障害のある人が特にその障害を理由として必要とする保健サービス(適当な場合には早期発見及び早期治療を含む。)並びに更なる障害(特に子ども及び高齢者の障害を含む。)を最小化し及び予防するためのサービスを提供する。
  3. これらの保健サービスを、障害のある人自身が属する地域社会(農村を含む。)に可能なかぎり近くで提供する。
  4. 保健の専門家に対し、必要な場合には、訓練を通じて並びに公的な及び民間の保健ケアに関する倫理基準の公表を通じて障害のある人の人権、尊厳、自律及びニーズに関する意識を高めることにより、他の者と同一の質のケアを十分な説明に基づく自由な同意を基礎として障害のある人に提供することを要請する。
  5. 公正かつ合理的な方法で提供されなければならない健康保険及び、国内法が認めるときは、生命保険が提供される場合において、障害のある人に対する差別を禁止する。

第26条 ハビリテーション及びリハビリテーション

  1. 締約国は、障害のある人が、その最大限の自立と、最大限の身体的、精神的、社会的及び職業的な能力と、生活のあらゆる側面への完全なインクルージョン及び参加とを達成することを可能とするための効果的かつ適当な措置をとる。このため、締約国は、特に保健、雇用、教育及び社会サービスの分野において、次のような方法で、包括的なハビリテーション及びリハビリテーションのサービスを組織し、強化し及び拡張する。
    1. ハビリテーション及びリハビリテーションのサービス及び計画が、可能な限り最も早い段階で開始され、かつ、個人のニーズに関する学際的な評価に基づくこと。
    2. ハビリテーション及びリハビリテーションのサービス及び計画が、地域社会及び社会のあらゆる側面への参加及びインクルージョンを支援し、かつ、障害のある人自身の属する地域社会(農村を含む。)に可能なかぎり近くで障害のある人に利用可能であること。
  2. 締約国は、ハビリテーション及びリハビリテーションのサービスに従事する専門家及び職員に対する初期訓練及び継続訓練を充実させることを促進する。

第27条 労働及び雇用

 締約国は、他の者との平等を基礎として、障害のある人の労働の権利を認める。この権利には、障害のある人にとって開かれ、インクルーシブで、かつ、アクセシブルな労働市場及び労働環境において、障害のある人が自由に選択し又は引き受けた労働を通じて生計を立てる機会についての権利を含む。締約国は、公的部門における障害のある人の雇用を通じて模範を示すものとし、また、労働の権利の実現を保障し及び促進するための他の適当な行動をとる。これには次の措置を含む。

  1. 募集、採用及び雇用の条件、職務継続、昇進、労働条件(平等な機会及び同一価値の労働についての同一報酬を含む。)、安全かつ健康的な作業条件並びに苦情処理に関し、法律を通じて障害のある人を保護するための措置
  2. 一般的な法令から成る国内法に従い障害のある人が労働の権利及び労働組合の権利を行使することができることを確保するための措置
  3. 障害のある人が、一般の技術指導計画、職業指導計画、職業斡旋サービス、職業訓練及び継続訓練を効果的に利用することを可能とするための措置
  4. 労働市場において障害のある人の雇用機会及び昇進を促進するための措置、並びに職業を求め、それに就き、それを継続し及びそれに復帰する際の支援を促進するための措置
  5. 自営の機会、起業の機会及び自己の事業を起こす機会を促進するための措置
  6. 使用者が、積極的差別是正措置、奨励制度その他の措置を含むことのある適当な政策及び措置を通じて、障害のある人を雇用することを奨励するための措置
  7. 職場において合理的配慮が障害にある人に提供されることを確保するための措置
  8. 障害のある人が開かれた労働市場において労働経験を習得することを促進するための措置
  9. 障害のある人の職業的及び専門的リハビリテーション、職業維持並びに職場復帰を促進するための措置

第28条 十分な生活水準及び社会保護

  1. 締約国は、自己及びその家族の十分な生活水準(十分な食料、衣類及び住居を含む。)についての並びに生活条件の不断の改善(清浄な水の入手を含む。)についての障害のある人の権利を認め、また、この権利を障害に基づく差別なしに実現することを保障し及び促進するための適当な行動をとる。
  2. 締約国は、社会保護についての障害のある人の権利及びこの権利を障害に基づく差別なしに享有することについての障害のある人の権利を認め、また、その権利の実現を保障し及び促進するための適当な行動をとる。これには次の措置を含む。
    1. 障害と関連のあるニーズに係る適当かつ入手可能なサービス、機器その他の支援への障害のある人のアクセスを確保するための措置
    2. 社会保護計画及び貧困削減戦略への障害のある人[特に障害のある女性及び少女並びに障害のある高齢者]のアクセスを確保するための措置
    3. 障害と関連のある費用を賄うための国の援助(十分な訓練、カウンセリング、財政援助及びレスパイトケアを含む。)への貧困の状況下で生活している障害のある人及びその家族のアクセスを確保するための措置(これは、自己を発展させる意欲を阻害するものとなってはならない。)
    4. 公共の住宅供給計画への障害のある人のアクセスを確保するための措置

第29条 政治的及び公的活動への参加

 締約国は、障害のある人に対して政治的権利及びこの権利を他の者との平等を基礎として享有する機会を保障するものとし、また、次のことを約束する。

  1. 次のことにより、障害のある人が、直接に又は自由に選んだ代表を通じて、一般に適用のある国内法に従い、他の者との平等を基礎として、政治的及び公的活動に効果的かつ完全に参加することができること(障害のある人が投票し及び選挙される権利及び機会を含む。)を確保すること。
    1. 投票の手続、設備及び器具が、適当であり、アクセシブルであり、かつ、理解し及び利用しやすいことを確保すること。
    2. 障害のある人が選挙及び国民投票において脅迫を受けずに秘密投票を通じて投票する権利、選挙において立候補する権利並びに政府のすべての段階において公職に就き及びすべての公務を遂行する権利を保護すること。
    3. 選挙人としての障害のある人の意思の自由な表明を保障すること、及びこのため必要な場合には、障害のある人の要求に応じて、自ら選択する者が投票する際の援助を与えること。
  2. 障害のある人が、差別なしにかつ他の者との平等を基礎として、政治に効果的かつ完全に参加することができる環境を積極的に促進し、また、政治への障害のある人の参加を奨励すること。これには次のことを含む。
    1. 国の公的又は政治的活動に関係のある非政府機関及び非政府団体(政党の活動及び運営を含む。)に参加すること。
    2. 国際、国内、地域及び地方の場において障害のある人を代表するための、障害のある人の団体を結成し及びこれに加入すること。

第30条 文化的な生活、レクリエーション、余暇及びスポーツへの参加

  1. 締約国は、障害のある人が他の者との平等を基礎として文化的な生活に参加する権利を認め、また、次のことを確保するためのすべての適当な措置をとる。
    1. 障害のある人が、すべてのアクセシブルな形態を通じて、文化的作品へのアクセスを享受すること。
    2. 障害のある人が、すべてのアクセシブルな形態を通じて、テレビ番組、映画、演劇その他の文化的な活動へのアクセスを享受すること。
    3. 障害のある人が、文化的な公演又はサービスがなされる場所(例えば、劇場、博物館、映画館、図書館、観光サービス等)へのアクセスを享受し、また、可能な限度において国の文化的に重要な記念碑及び遺跡へのアクセスを享受すること。
  2. 締約国は、障害のある人が、自己の利益のためばかりではなく社会を豊かにするために、創造的、芸術的及び知的な潜在能力を育成し及び活用する機会を有することを可能とするための適当な措置をとる。
  3. 締約国は、国際法の規定を尊重すると同時に、知的財産権を保護する法令が障害のある人による文化的作品へのアクセスを妨げる不合理な又は差別的な障壁とならないことを確保するためのすべての適当な行動をとる。
  4. 障害のある人は、他の者との平等を基礎として、その独自の文化的及び言語的なアイデンティティ(手話及びろう文化を含む。)の承認及び支持を受ける権利を有する。
  5. 障害のある人が、他の者との平等を基礎として、レクリエーション、余暇及びスポーツの活動に参加することを可能とするため、締約国は次のことのための適当な措置をとる。
    1. 障害のある人が、あらゆる段階における主流のスポーツ活動に可能な最大限の範囲内で参加することを奨励し及び促進すること。
    2. 障害のある人が障害独自のスポーツ活動及びレクリエーション活動を組織し、発展させ及びそれに参加する機会を有することを確保すること、並びにこのため適当な指導、訓練及び資源が他の者との平等を基礎として提供されることを奨励すること。
    3. 障害のある人が、スポーツ、レクリエーション及び観光の場所にアクセスすることができることを確保すること。
    4. 障害のある子どもが、遊び、レクリエーション、余暇及びスポーツの活動(学校制度におけるこれらの活動を含む。)への参加に平等にアクセスすることができることを確保すること。
    5. 障害のある人が、レクリエーション、観光、余暇及びスポーツ活動の組織に携わる者によるサービスにアクセスすることができることを確保すること。

第3部

第31条 統計及びデータ収集

  1. 締約国は、必要な場合には、この条約を実現するための政策を形成し及び実施することを可能とするための適当な情報(統計データを含む。)を収集することを約束する。この情報を収集し及び保存する過程は、
    1. 障害のある人のプライバシーの秘密及び尊重を確保するために法的に確立された保護(データ保護に関する法令を含む。)を遵守すべきであり、
    2. 人権及び基本的自由を保護する国際的に受け入れられた規範並びに統計に関する倫理原則を遵守すべきである。
  2. この条の規定に従い収集された情報は、この条約に基づく締約国の実施の評価を助長するために用いられなければならず、また、障害のある人がその権利を行使する際に直面する障壁を明らかにし及び当該障壁に取り組むために用いられなければならない。

[第32条 国際協力]

第33条 国内実施及び国内モニタリング

  1. [ 締約国は、この条約の実施に関連する事項を取り扱う中心的機関を政府内に指定するものとし、また、多様な部門及び多様な段階における関連のある活動を容易にするための調整機関の設置又は指定を正当に考慮する。
  2. 締約国は、その法的及び行政的な制度に従い、この条約において認められる権利の実施を促進し、保護し及び監視するための枠組みを国内で維持し、強化し、指定し及び設ける。]
  3. 市民社会、特に、障害のある人及び障害のある人を代表する団体は、モニタリングの過程のあらゆる段階に関与し、かつ、完全に参加する。

第34条 国際モニタリング

第4部

第_条 署名

この条約は、すべての国による署名のために開放しておく。

第_条 批准

この条約は、批准されなければならない。批准書は、国際連合事務総長に寄託する。

第_条 加入

この条約は、すべての国による加入のために開放しておく。加入書は、国際連合事務総長に寄託する。

第_条 効力発生

  1. この条約は、20番目の批准書又は加入書が国際連合事務総長に寄託された日の後30日目の日に効力を生ずる。
  2. この条約は、20番目の批准書又は加入書が寄託された後に批准し又は加入する国については、その批准書又は加入書が寄託された日の後30日目に効力を生ずる。

第_条 改正

  1. いずれの締約国も、改正を提案し及び改正案を国際連合事務総長に提出することができる。同事務総長は、直ちに、締約国に対し、その改正案を送付するものとし、締約国による改正案の審議及び投票のための締約国の会議の開催についての賛否を示すよう要請する。その送付の日から4箇月以内に締約国の3分の1以上が会議の開催に賛成する場合には、同事務総長は、国際連合の主催の下に会議を招集する。会議において出席しかつ投票する締約国の過半数によって採択された改正案は、承認のため、国際連合総会に提出する。
  2. 1の規定により採択された改正は、国際連合総会が承認し、かつ、締約国の3分の2以上の多数が受諾した時に、効力を生ずる。
  3. 改正は、効力を生じたときは、改正を受諾した締約国を拘束するものとし、他の締約国は、改正前のこの条約の規定(受諾した従前の改正を含む。)により引き続き拘束される。

第_条 留保

  1. 国際連合事務総長は、批准又は加入の際に行われた留保の書面を受領し、かつ、すべての国に送付する。
  2. この条約の趣旨及び目的と両立しない留保は、認められない。
  3. 留保は、国際連合事務総長にあてた通告によりいつでも撤回することができるものとし、同事務総長は、その撤回をすべての国に通報する。このようにして通報された通告は、同事務総長により受領された日に効力を生ずる。

第_条 紛争解決

  1. この条約の解釈又は適用に関する締約国間の紛争で交渉によって解決されないものは、いずれかの紛争当事国の要請により、仲裁に付される。仲裁の要請の日から6箇月以内に仲裁の組織について紛争当事国が合意に達しない場合には、いずれの紛争当事国も、国際司法裁判所規程に従って国際司法裁判所に紛争を付託することができる。
  2. 各締約国は、この条約の署名若しくは批准又はこの条約への加入の際に、1の規定に拘束されない旨を宣言することができる。他の締約国は、そのような留保を付した締約国との関係において1の規定に拘束されない。
  3. 2の規定に基づいて留保を付した締約国は、国際連合事務総長にあてた通告により、いつでもその留保を撤回することができる。

第_条 寄託

国際連合事務総長は、この条約の寄託者として指名される。

第_条 正文

アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とするこの条約の原本は、国際連合事務総長に寄託する。
 国際連合事務総長は、この規約の認証謄本をすべての国に送付する。
以上の証拠として、下名の全権委員は、各自の政府から正当に委任を受けてこの条約に署名した。

原文:U.N. Doc. A/AC.265/2006/1, 14 October 2005 (Letter dated 7 October 2005 from the Chairman to all members of the Committee), Annex I (Draft Comprehensive and Integral International Convention on the Protection and Promotion of the Rights and Dignity of Persons with Disabilities: Submitted by the Chairman on the basis of discussion by the Ad Hoc Committee)

条約草案の構成(旧・新)

A. 旧構成

旧条文   新条文
1 目的 1
2 一般的原則 3
3 定義 2
4 一般的義務 4
5 肯定的態度の促進 8
6 統計及びデータ収集 31
7 平等及び非差別 5
8 生命に対する権利 10
8 bis 危険のある状況 11
9 法律の前における人としての平等の承認 12
9 bis 司法へのアクセス 13
10 身体の自由及び安全 14
11 拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰からの自由 15
12 搾取、暴力及び虐待からの自由 16
12 bis 個人のインテグリティの保護 17
13 表現の自由 21
14 プライバシーの尊重 22
14 bis 家庭及び家族の尊重 23
15 自立した生活 19
15 bis 障害のある女性 6
16 障害のある子ども 7
17 教育 24
18 政治的及び公的活動への参加 29
19 アクセシビリティ 9
20 個人の移動性 20
20 bis 移動の自由 18
21 健康 25
21 bis ハビリテーション及びリハビリテーション 26
22 労働及び雇用 27
23 十分な生活水準及び社会保護 28
24 文化的な生活への参加 30
24 bis 国際協力 32
25 国内実施及び国内モニタリング 33
25 bis 国際モニタリング 34

B. 新構成

新条文   旧条文
  前文  
  第1部  
1 目的 1
2 定義 3
3 一般的原則 2
4 一般的義務 4
5 平等及び非差別 7
6 [障害のある女性] 15 bis
7 [障害のある子ども] 16
8 障害に関する啓発 5
9 アクセシビリティ 19
  第2部  
10 生命に対する権利 8
11 [危険のある状況] 8 bis
12 法律の前における人としての平等の承認 9
13 司法へのアクセス 9 bis
14 身体の自由及び安全 10
15 拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰からの自由 11
16 搾取、暴力及び虐待からの自由 12
17 個人のインテグリティの保護 12 bis
18 移動の自由 20 bis
19 地域社会における自立した生活及びインクルージョン 15
20 個人の移動性 20
21 表現及び意見の自由と、情報へのアクセス 13
22 プライバシーの尊重 14
23 家庭及び家族の尊重 14 bis
24 教育 17
25 健康 21
26 ハビリテーション及びリハビリテーション 21 bis
27 労働及び雇用 22
28 十分な生活水準及び社会保護 23
29 政治的及び公的活動への参加 18
30 文化的な生活、レクリエーション、余暇及びスポーツへの参加 24
  第3部  
31 統計及びデータ収集 6
[32 国際協力] 24 bis
33 国内実施及び国内モニタリング 25
34 国際モニタリング 26
  第4部  
- 署名 [新]
- 批准 [新]
- 加入 [新]
- 効力発生 [新]
- 改正 [新]
- 留保 [新]
- 紛争解決 [新]
- 寄託 [新]
- 正文 [新]
原文:U.N. Doc. A/AC.265/2006/1, 14 October 2005 (Letter dated 7 October 2005 from the Chairman to all members of the Committee), Annex II (Old and new structures of the draft Convention)