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第7回国連障害者の権利条約特別委員会

短報 2006年1月16日(月)

荒川智
茨城大学

 開催に当たり、議長団選出と議題の採択が行われた。マッケイ議長からは、期間中にテキスト全34条と前文すべての読解をするためには、各条の討議に最大2時間しか当てられないが、基本原則はすでに十分に議論されているので、条文に即した議論に徹し、新しい言葉を用いることやドラフティングの提案は避けるという進め方の方針が確認された。

 なお、コスタリカのNGO代表が18時間空港で拘束、入国できなかったこと、カナダ外交官のクイーンベリーの他界のニュースがあった。 

 昼休みを利用して行われたマッケイ議長とNGOとの話の中で 、マッケイ議長が、3月にジュネーブに異動するということになっているが、今年8月に予定されている第8回特別委員会にどのように関与するかが不明であるということが明らかになった。

 また、情報保障の面で、今会議より配布資料について、点字資料が配布されるようになった。喜ばしいことであると思われる。

午前

 討議は第5条と第8条から始まり、午前中は第5条の「平等と差別」が討議された。第1パラグラフについては修正意見は出されなかった。

 第2パラグラフについては多くの意見が出され、いくつかの字句上の修正も確認されたが、「障害に基づく差別」と「他の理由とする差別」の関係、とくに他の差別撤廃条約との関係で後者の記述の必要性や権利をどこまで広げるのかについて意見が分かれた。この条約が新しい権利の創設を意図していないというのが原則なので、さらに議論の整理が必要である。

 第3パラグラフについては、第2条との関係で「合理的配慮」に関わる内容や分限に対する意見が出された。「合理的配慮」の欠如が差別となるのかが争点となるが、差別とすることを負担とする政府側と差別とすべきであるとするIDC側双方から意見が出された。JDFでも日本政府に出した意見書の中で、合理的配慮の欠如を差別とすべきであると主張している。

 第4パラグラフでは、「差別」を「差別的」に代えるというEUの提案が支持された。特別措置の際にIDC提案にある、障害者自身が受け入れることが条件となりうるかにういてはさらに検討が必要とされた。

 以上の討議をふまえ、3日後の間に議長から修正案を提示されることとなった。

午後

 第8条の「障害に関する意識向上」について討議された。

 第1パラグラフでは、「即時的な」措置という表現を「適切な」に代えてほしいという要望がシエラレオネ共和国等から出され、賛否両論が出た。第4条「一般的義務」で「権利の完全な実現を漸進的に達成する」という規定とも関わるので、関心のある国で意見調整することが求められた。

 第2パラグラフについては、とくにaの

 最後の30分程度、第9条「アクセシビリティ」に関して、EU代表のオーストリア、および数カ国から意見が出された、審議は2日目に継続される。

 全体的に、とくに混乱はなく整然と審議が経過したが、とくに午後は議論の蒸し返しもあり、時間的ロスもあったように思われる。

 第6回特別委員会と同様、公式会議ではNGOの発言が許されている。今回はIDCの議長草案の修正案がかなりの深度で議論されており、存在感を出している。