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第7回国連障害者の権利条約特別委員会

短報 2006年1月25日(水)

JDF(日本障害フォーラム)条約委員会

会議の様子

 今日は、昨日の第25条の続きから審議が始まり、昨日から流れで、各国からの発言から始まった。午前は25条と26条の一部を、午後は午前の続きで、26条の継続審議と27条の労働条項に移った。


○第25条(健康)の議論

 先日の報告でもすこしふれたが、この条項の議論のポイントは、まず、柱書きの「身体的および精神的な健康を享受する権利」の「身体的および精神的」という文言について、パラグラフaについて保健サービスに「性と生殖に関するサービス」をいれるかどうか、パラグラフdの「十分な説明に基づく同意=インフォームド・コンセント“informed consent”」という文言の扱いについてなどが挙げられる。

 「身体的および精神的」という文言について、削除を求める国が多かった。

 性と生殖に関する保健サービスに関しては、アメリカ、イスラム圏諸国から削除の意見が出ていた。それに対して、日本やノルウェーやWHO、IDCからは、女性の置かれている環境を考え、この文言は必要であるという立場を表明している。議長はジェンダーの要素をうまく表す文言の検討を各国に依頼した。

 インフォームド・コンセントについては、イスラエルやIDCなどが議長草案の文言の維持を主張したが、ノルウェーなどは削除を求めた。また日本政府は、インフォームド・コンセントは、各国の解釈が違い、また、完全に同意することができない場合もあるので削除をもとめ、削除できない場合はその前にある文言「~同意をもとにon the basis」を「~同意を含むincluding」に変えるよう主張した。日本ではインフォームド・コンセントは法律では努力義務に過ぎないということが主張の理由である。この日本やノルウェーの主張にIDCなどからは懸念の声が挙がっている。IDCは、十分な説明に基づく自由な同意は健康権の基本である、と強く主張している。

 他に、生命保険を認めていない国があるということで、「生命保険が国内法で認められている場合」という文言に変えるということが議論された。

○26条(ハビリテーションおよびリハビリテーション)

 第26条は、先日も述べたが、作業部会草案の「健康およびリハビリテーション」条項を第25条とに分離されたものである。これら条項の分離や、この条項の構成については、おおむね各国の合意を得ていると思われる。

 カナダ、ロシア、EU、韓国等の政府代表と国際障害コーカス(IDC)が発言。全体的にはIDC等が提案したジェンダーに対する配慮、カナダ政府が提案したピアサポート制度の促進などへの支持発言が目立った。

○第27条「労働及び雇用」

 第27条の議論でも、議長テキストに対する全体的な支持が得られており、細かい条文の表記や文言の追加等をめぐる各国政府の意見表明を中心に進められ、翌26日の審議でも本条の審議が続けられる予定。

 日本政府からは、柱書きに記された「締約国は、公的部門における障害のある人の雇用を通じて模範を示すものとし、~。」という箇所を削除し、替わりに新たなサブパラグラフを設けることと、日本で採用されている雇用率制度(雇用割当制度)を条文内に盛り込む提言等が出された。最初の新たなサプパラグラフの創設は、多数の国の支持を得たが、雇用割当制度に関しては、1、2か国から肯定的な発言が見られはしたが、雇用率制度は障害者の雇用の促進にあまり機能しないという発言もされ、支持は得られなかった。

 今日の審議は以上で終わった。明日は第27条労働条項の続きである。日本政府は今までの特別委員会において、労働の条項では必ず雇用率に言及している。しかし、大きな支持は得られていない。JDFとしても雇用割当制度については慎重に審議して行く必要があるという意見書を出している。