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デジタル社会は障害のある人のための持続可能な開発目標(SDGs)の達成にどのように貢献できるか?

国連障害者権利条約締約国会議(CRPD CoSP)サイドイベント

2016年6月15日 午前8-9:30 国際連合本部 会議室11

開催者:
障害と公共政策サイバー大学院(アメリカン大学)
AXSマップ
世界保健機関(WHO)
日本財団
データ・ポップ・アライアンス
障害者インターナショナル
国際障害同盟

背景

デジタル化―さまざまなデジタル技術やアプリケーションを結びつけ、社会に大量導入すること―は、誰ひとり取り残さないことに重要な役割を果たすことができる。固定電話ではなく携帯電話を持っている辺ぴな村の人々は、今ではお互いに、また、村の外の人と電話をし、SMSのアンケートに回答し、登録しておいたサービスを通じて警報を受け取ることができる。障害のある人の場合、デジタル技術を通じて参加を促進できる。弱視または全盲の人は携帯電話のおかげで、公共スペースでお互いを見つけることができ、読み上げアプリを使って情報にオンラインアクセスすることができる。聴覚障害のある人は、連絡を取り合うためにSMSやMessengerなどのテキストメッセージを送ることができる。車椅子を使用している人は、どの駅がアクセシブルかをオンラインで調べることができる。

しかし、デジタル化は、これまで活用されてこなかった、障害と開発にかかわる別の機会ももたらす。それは、障害のある人のエンパワメントに向けたエビデンスを生み出すことができるのだ。もし、障害のある人が、アクセシブルではない学校や病院を見つけるたびに、自分の携帯電話に入っているアプリで報告できたらどうだろう? このようなクラウドソーシングによるデータは、アクセシビリティのニーズを満たすために改善が必要な場所を明らかにしたり、村、都市あるいは国内のアクセシビリティの程度(あるいはその欠如)を示したり、最終的には、学校や病院のアクセシビリティに関する政策と計画の指針とすべきエビデンスの基礎を築くことに利用できる。障害のある人にとってアクセシブルな場所、あまりアクセシブルではない場所、まったくアクセシブルではない場所を報告するためのアプリは、世界各地ですでに存在する(図1参照)。SDG目標4.a(障害に配慮した教育施設)、11.2(障害のある人にとってアクセシブルな輸送機関)及び11.7(障害のある人にとってアクセシブルな緑地や公共スペース)の見直しとフォローアップに役立てるために、学校、輸送機関及び公共スペース/緑地に焦点を絞った同様なアプリを作成することができるだろう。また、同じことがアクセシブルな職場についても行えるだろう。

図1.「クラウド」で報告された、ニューヨークの
数ブロック内におけるアクセシブルな場所

図1

緑色:アクセシブル 黄色:あまりアクセシブルではない
赤色:まったくアクセシブルではない 灰色:まだレビューなし
出典:www.axsmap.com

インターネットと携帯機器へのアクセスを評価するための代替情報源となるのが、障害のある人によって日々使用されているアプリのダウンロード数である。たとえば、2013年にリリースされたアプリ、BrailleBackは、これまで1万~5万回ダウンロードされた。しかし、これは世界全体の視覚障害のある人の推定数(WHOによれば3900万人)に比べれば、非常に少ない数字である。もし国別ダウンロード数が入手できたなら、そのデータからは、世界各地の視覚障害のある人による携帯機器へのアクセシビリティ格差の全容が得られるであろう。企業の支援機器(タッチフリースマートフォン、車椅子など)の販売記録も、これらに関連のあるタイプの障害を持つ人の推定数と売上高を比較することによって、ニーズギャップを明らかにすることに役立てられるだろう。また、一部の障害のある人にオンラインで書籍を提供/販売し、ダウンロード数を追跡している企業もある。2012年にはブックシェアが、視覚障害のある人や重度のディスレクシアの人など障害のある人20万人以上に対し、同社のオンライン図書館経由のアクセシブルな書籍のダウンロード請求を130万件以上処理した。これらの人はどの国にいるのだろうか? どの国の人が、これらの書籍を利用できずにいるのだろうか? これは、障害のある人のエンパワメントと、社会的、経済的及び政治的なインクルージョンの促進に関するSDG目標10.2に取り組むための重要な情報である。

ソーシャルネットワークも、世界各地での障害のある人の開発への参加という経験に、洞察を与えるものと考えられる。たとえば、経験した困難に関するツイッターメッセージ(例「スロープなし」)などがあげられる。将来的には、障害のある人の実体験を伝えることによりSDGs実施を促進する特別なハッシュタグ(例 #アクセシブルではない学校)を作成してもよいだろう。障害のある人のニーズや経験に関連のある項目のグーグル検索も、検討できるだろう。

目的

ソーシャルメディア、アプリを使用したクラウドソーシングによる情報及びその他の大規模なデジタル情報などの新たな形態のエビデンスを、障害のある人のための持続可能な開発目標(SDGs)の実施にどのように役立てられるかを検討すること。AXSマップ及びAXSスクールなど、アクセシブルな公共施設やアクセシブルな学校に関する情報を収集することができ、したがってSDG目標4.a(障害のある人に配慮した学校)とSDG目標11.7(アクセシブルな公共スペース)の実施に貢献できるアプリのプロジェクト事例が紹介される。障害のある人の状況の改善とエンパワメントにおけるデジタル情報の可能性を探る研究論文が発表され、検討される。サイドイベントでは、このテーマに関するロードマップも示される。

暫定プログラム

  • SDGsの実施におけるデジタル情報の役割(ホワイトペーパーの発表)
      国連経済社会局社会政策開発室 障害者権利条約事務局 マリア・マーティンホ氏
  • 事例研究:
    • SDG目標4.a 及び11.7の監視のためのAXSマップ/AXSスクール(AXSマップ ジェイソン・ダシルヴァ氏)
    • ビーマップ:スマートフォンのアプリケーションとインターネットブラウザのウェブサイトで提供される革新的なアクセシビリティガイド(TNFグローバルマッピングプロジェクト 垣内俊哉氏)
    • SDG目標10.2の監視のためのソーシャルメディアとコンピューターテキストの分析(障害と公共政策サイバー大学院 デリック・コグバーン氏)
    • リアルタイムデータの収集と利用への革新的な手法の適用(ユニセフ スニタ・グロテ氏)
    • 地域に根ざしたリハビリテーションアプリ:CRPD第26条の実施をどのように支援できるか(世界保健機関 ジョルディ・セラノ氏)
    • 紛争状況下の調査と義肢の使用に関する情報を通じた障害のある人のエンパワメント(ハーバード大学 パトリック・ヴィンク氏)
  • 障害のある人のためのSDGs達成に向けたデジタル情報の使用における倫理的課題
      障害者インターナショナル ドロディ・シャルマ氏
      国際障害同盟 アルント・ホルテ氏
  • 前進-ロードマップ
      データ・ポップ・アライアンス エマニュエル・レトゥゼ氏

連絡先

さらに詳しい情報やお問い合わせは、障害と公共政策サイバー大学院 マヤ・アギラー氏宛(maya.aguilar@idppglobal.org)にメールでお送りください。

このイベントは英語で行われます。CARTサービス(クローズドキャプション)が提供されます。このイベントは、国際連合広報局(UNDPI)及び障害と公共政策サイバー大学院により、インターネット配信されます。

日本障害者リハビリテーション協会 仮訳


参考ウェブページ:

IDPP(英語)

http://www.idppglobal.org/events/cosp9-side-event-disability-and-digital-societies