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パネルディスカッション 野村 茂樹(日本弁護士連合会差別禁止特別委員会委員長)

 弁護士の野村茂樹でございます。日本弁護士連合会は、2001年の奈良の人権擁護大会で、「障害のある人に対する差別を禁止する法律の制定を求める宣言」を採択しました。日弁連では、障害者団体と連携をとりつつ、活動を続けてまいりまして、そうした日弁連が障害者権利条約を批准した今年ですね、函館の人権大会で、「障害者人権条約の完全実施を求める宣言」を採択したことは誠に意義あることかと思っております。それに先だって、函館で開かれたシンポジウムは、ここにおられる方にもずいぶんとご協力いただきまして、お陰さまで850名の参加、そしてそこになかなか駆けつけることができない重い障害をお持ちの方がおられるわけですので、Ustreamを通じたインターネットの生中継を行いまして、そこに延べ380名のご参加をいただきまして、実に1200名の参加を得て、進めさせていただきました。そのシンポジウムの実行委員の委員長も務めたのですが、シンポの基調報告書を作る準備活動で、実は今日は第12回、この秋に行われたジュネーブの障害者権利委員会の傍聴された報告会でございますが、その半年前になされた第11回のジュネーブにおける障害者権利委員会の傍聴をしてまいりました。オープニングセレモニーと、それからスウェーデンに対する建設的対話を傍聴して、その時は長瀬さんに大変お世話になりまして。そして、もう1つ韓国も視察に参りまして、崔さんにお世話になりました。韓国はちょうど障害者権利条約の建設対話前に訪れたわけです。してみると、私は障害者権利委員会における、国際的なモニタリングの仕組みのなかで、言わば、後ろのほうから日本に戻ってきていることが言えるかと思います。すなわち、③建設的対話、②いままでのご説明もありました通り、障害者権利委員会におけるモニタリングは、まず批准2年後に行われる政府レポートを提出するところからスタートして、それに対して、パラレルレポートをNGOかジュネーブ関係に出したりすると。その中で、ここが問題だというところについて、リストオブイシュー(List of Issues)というのが障害者権利委員会の中で作られる、つまり問題点の指摘ですね。「ここはどうなっているの?」という指摘がありまして、それに対して、締約国は2ヵ月以内に国連に回答を出すと。そして、それを経て、建設的対話が開かれるということですが。国連のプレセッションがあって、こういったことが問題であるというリストオブイシュー(List of Issues)が韓国に出された、その時に私どもは韓国に行きました。リストオブイシュー(List of Issues)に回答する政府の役所を訪れたり、あるいは人権委員会を訪ねたり、パラレルレポートをまさに作っている、報告書連帯の話を聞いて、こうやって国際モニタリングに備えているところを見ることができました。
 そして、①日本であります。日本に戻ってまいりました。日本のある意味2年後、3年後を先に行って戻ってきた感じでございます。
 今日の資料の2-1の「障害者権利条約の完全実施を求める宣言」を今回の日弁連の人権擁護大会で、満場一致で採択したものでございます。日本は障害者権利条約に批准したとはいえ、権利条約の水準からは、まだほど遠いものだと言わざるをえません。そういったことについて、我々としては今後活動していきたい。で、なんとか2年後の政府レポートを提出するまでには、国際的に恥ずかしくない、胸を張って出せるような、政府レポートが出せるように、我々日弁連としても、議連の先生方のご協力もお願いしながら、活動していきたいと思っております。
 時間が押しているので、大変話しを短くさせていただきましたが、この大会宣言、ぜひいろんなところで参考にしていただければと思います。日本弁護士連合会のHPに、テストファイル、それから、ルビ付きのものも出す予定でございます。(掲載者注:障害者権利条約の完全実施を求める宣言【日本弁護士連合会サイト】:http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/civil_liberties/year/2014/2014_1.html
 我々は人権擁護していかなければいけないグループでございます。共に障害者団体と手を携えて、日本が障害者権利条約の水準に1日も早く到達できるように、運動していきたいと思います。よろしくお願いします。

パネリスト3人の1分ずつのまとめ
(これからの日本の建設的な対話にむけてどういったことが必要か)

 これから、JDFも日弁連も国際モニタリングシステムの中では、パラレルレポートをどのように作成していくかということが1つのテーマになると思います。しかし、パラレルレポートは政府レポートに対するもので、言葉を選ばずに言えば、「政府はああ言っているけど全然だめやん」と言わば権利委員会に告げ口するようなわけですね。そうではなくて、政府レポート自体がですね、国際社会に向けて日本はこんなにちゃんとやっているよと、そういう政府レポートが出せるよう、国内施策を進めてほしい。そういう意味で、私は次のことを提案したいと思います。
 かつてJDFは、「障害者権利条約の批准の前に国内法整備を!」ということを訴えました。日弁連も同様の会長声明を出しました。今は「政府レポート提出前に国内完全実施を!」。いかがでしょうか。