音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

付録II バンコク勧告(The Bangkok Recommendations)

2010年6月21日-22日 バンコク
アジア太平洋障害者団体の連携:「アジア太平洋障害者権利条約の効果的な実施十年」の設定に向けた地域会議(Asian and Pacific Disabled People's Organizations United: Regional Congress toward the Establishment of the Regional Decade on Effective Implementation of the Convention on the Rights of Persons with Disabilities)

我々、24ヶ国の障害者団体(障害者団体)代表は、2010年6月21日および22日に、タイのバンコクにある国連会議センターにて、アジア太平洋障害者団体の連携:「アジア太平洋障害者権利条約の効果的な実施十年」の設定に向けた地域会議に参加し、

障害に関するすべての国際文書ならびに地域文書、特に障害者権利条約(障害者権利条約)とミレニアム開発目標(MDGs)、アジア太平洋障害者のための、インクルーシブで、バリアフリーな、かつ、権利に基づく社会に向けた行動のためのびわこミレニアム・フレームワーク(BMF)、BMFを補足するびわこプラス5の重要性を認識し、

第一次・第二次アジア太平洋障害者の十年および障害者権利条約の推進におけるアジア太平洋地域各国政府のコミットメントならびに国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)のリーダーシップを認め、

二度の「十年」の間に達成された重要な成果にもかかわらず、障害者や障害のある女性、障害のある先住民族、遠隔地および農村地域に住む障害者、重度障害者および障害のある少数民族などのさまざまな権利の認識、障害者権利条約で定められた国際的な義務を国内法に取り入れる必要性、障害を含めたデータ収集と、国の計画ならびに予算配分において障害を優先させる必要性、地域社会における自立生活と十分なリソースおよび障害者団体への財政支援の確保など、この地域における障害者の権利の実現には、いまだ課題が残されていることに留意し、

ESCAP決議66/11、とりわけ「2003年-2012年第二次アジア太平洋障害者の十年」の実施を評価する2012年ESCAPハイレベル会合に向けた準備プロセスに、障害者団体を含むすべての主要関係者の参加を促すよう、事務総長に対し要請したことを高く評価し、

さらに、新たな「障害者の十年」の実現可能性に関する関係者の見解を確認するESCAPによるイニシアティブを高く評価し、

障害者の権利を保護・促進するための、準地域的メカニズムにおける障害者の視点の主流化が、効果的に機能していることを認識し、

意思決定における障害者の中心的な役割と、このプロセスに有意義に参加するために障害者の能力開発を進めることの必要性に対する認識を一層深め、

韓国政府ならびに同国の障害者コミュニティによる、「2003年-2012年アジア太平洋障害者の十年」実施最終評価ESCAPハイレベル政府間会合の2012年開催という、「第二次障害者の十年」の終結を記念する取り組みを歓迎し、

来る2010年6月23日から25日までESCAPにより開催される、「2003年-2012年アジア太平洋障害者の十年:行動のためのびわこミレニアム・フレームワーク」実施評価専門家会議兼関係者協議会への参加を通じて、障害者団体がその責務を果たすことを明確に示し、

ここに、以下の勧告を行うことに全会一致で同意する。

  1. ESCAPは、2011年に開催される次の年次委員会において、新たな「障害者の十年(2013年-2022年)」を宣言する決議を採択することを検討する。
  2. この新たな「十年」の名称は、「アジア太平洋障害者の十年:障害者権利条約の実施促進に向けて」とする。
  3. 国レベルおよび地域レベルでの障害者権利条約の批准、実施およびモニタリングにおける障害者団体のリーダーシップを認める。
  4. 新たな「十年」では、当該地域における各国政府による障害者権利条約の批准と実施の促進に焦点を絞る。
  5. 新たな「十年」の実施のため、ESCAPは2012年のハイレベル会合において、障害者の権利を効果的に保護・促進する戦略的枠組みを採用しなければならない。この枠組みには以下を含めることができるが、これに限定されるものではない。

(a) 障害者権利条約の内容と合致した原則
(b) 障害者権利条約と一致し、当該地域内の障害者の実情を反映した目標領域および測定可能な目標
(c) 実施のメカニズム:

  1.  障害者の権利を保護・促進するための、準地域的メカニズムおよび国内メカニズムにおける障害者の視点の主流化
  2.  国内法および政策を障害者権利条約と一致させるための国内委員会の設立。ただし、同委員会では、障害者団体がリーダーシップをとり、障害者団体代表が大多数を占めるものとする。
  3.  実施とモニタリングのメカニズムにおける障害者団体の積極的な関与
  4.  政府、国連機関、地域連携機関、障害者団体、市民社会団体および企業セクターなど複数の関係者による共同の取り組みの促進
  5.  新たな「十年」の実施促進のために、バンコクのESCAP本部および準地域事務所のプロフェッショナルオフィサーとして障害者を雇用し、ESCAPの機能を強化すること
  6.  国連常駐調整官が率いる国連カントリーチームに対し、障害者権利条約の促進と、国別の開発支援枠組みにおける障害者権利条約の主流化を促すこと
  1. 障害者団体は、障害者権利条約ならびに新たな「十年」の効果的な実施と成功に向けて、市民社会団体と連携し、その参加を促進する。
  2. ESCAPは、活動計画および事業において、持続可能な方法により障害者の視点を主流化する。この取り組みには以下が含まれる。

(a) 既存および新規の建物と施設における、ユニバーサルデザインの規定に従ったバリアフリーなアクセス環境の提供
(b) 手話通訳、リアルタイム字幕、点訳および個別の介助者の費用をはじめとする、しかしこれに限定されない、アクセシビリティを強化するための情報通信技術および支援技術システムの費用を賄う制度の確立
(c) ESCAP会議で必要とされた場合、国際的な手話通訳者の提供
(d) 障害者の雇用の促進。個別の介助者、アクセシブルな交通手段および支援技術など、合理的配慮が必要な場合は、ESCAPがこれを提供する。
(e) アクセシブルな観光など、ESCAPによる開発計画のさまざまな部門における、障害者の視点の主流化の促進
(f) ジェンダー面を含む障害者のニーズと権利に関する、すべてのスタッフの意識と能力の向上
(g) 各国政府による国レベルでの手話通訳者の育成と支援およびその利用の促進