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TWG-DC(障害問題作業部会)

TWG-DC第2回会議(2001年5月10~11日)議事録

(財)日本障害者リハビリテーション協会

項目 内容
発表年月 2001年6月11日
備考 英語版:原文

2001年5月10-11日 国際連合国際会議場 バンコク

SDD/SPIDGS/TWG/MINUTES
2001年6月11日
国際連合 地域調整会議
障害問題作業部会

議事録

日時: 2001年5月10日(木)・11日(金) 9時~17時
場所: 国際連合会議室 ( G室 )

開会

障害問題作業部会(TWGDC)第2回会合は、Ms. Jacqueline Desbarats(ESCAP)およびMr. Joseph Kwok(RI)を共同議長として開催された。
本会合には、4つの国連機関および専門機関の代表9名、NGO17団体の代表24名、政府機関代表5名、オブサーバー5名が出席した。3つの国連機関、NGO10団体、国際NGO1団体、政府間機関1機関、3つの政府機関、オブザーバー1名からの欠席の謝罪が受理された。
社会開発部長のMs. Lim kim-Lanは出席者を歓迎するとともに、TWGDCの活動に対する出席者およびその所属機関の貢献に謝意を表した。Ms. Limは、2000年12月11日の第1回会合で採択されたTWGDCの委任事項が局長会議(HOAM)に提出され、HOAMから極めて好意的に受け入れられたことを報告した。Ms. Limはまた、TWGDCの時間枠が限られていること、ならびにTWGDCの趣旨が「アジア太平洋障害者の十年」活動課題のそれと密接な整合性をもっていることに言及した。Ms. Limは、TWGDCの活動課題として設定されたさまざまな目標の円滑な達成を目的として第1回会合でタスクフォースが設置されたことを喚起した。これらの目標には、以下のものへのアクセス促進が含まれている:

  • 情報通信技術(ICT)
  • 起業研修、小規模事業経営と所得創出活動、開発
  • 障害をもつすべての子どもと若者のための教育(FEA)

もうひとつの主要問題は、貧困と障害の因果関係に関するものであり、その解決を目的とした援助プログラムの充実を求めることである。各タスクフォースメンバーが主導的役割を担うことによって、今回の会合終了後も決められた時間内に明確な成果を達成するという目標に向けて、協力関係が確実に継続されるだろう。
結びにあたってMs. Limは、障害者の機会均等を高め、開発プロセスへの障害者のインクルージョンを進めるという「アジア太平洋障害者の十年」の目標達成に向けた気運を持続させるためにTWGDCメンバーが極めて重要な役割を担っていることを重ねて強調した。 Ms. Limは、ESCAPのこの取り組みを継続して支援していくことをTWGDCに約束した。

仮議題採択およびTWGDC第1回会合議事録

本会合の議題が採択され、2000年12月11日に開催されたTWGDC第1回部会会合の議事録が、1箇所の修正を加えた上で確認された。2001年11月6~8日にタイで開催予定の「東南アジア地雷禁止条約の枠組における被害者援助に関する地域ワークショップ」の案内は第1回部会議事録から削除された。議事録からの問題提起はなかった。

目標達成の検証 ― 2002年までの重点活動課題

目標1(a)に関し、2001年4月19~25日にバンコクで開催されたESCAP第57回会合において、2002年に日本で開催予定の他の障害関連国際会議と併せて、「アジア太平洋障害者の十年」を締めくくる政府間上級高官会議を滋賀県で開催したいとの意向を日本政府が明らかにしたことが報告された。日本で開催予定の国際会議としては、障害者インターナショナル第6回世界会議(2002年10月15~18日、於・札幌)、国際リハビリテーション協会地域総会(2002年10月19~20日、於・大阪)、「アジア太平洋障害者の十年」キャンペーン会議2002(2002年10月21~23日、於・大阪)がある。
TWGDCの使命は、ESCAP地域各国政府が以下のプロセスを推進するための手助けをすることによって、政府間上級高官会議に貢献することにあるという点で意見の一致をみた。すなわち、

  1. 「アジア太平洋障害者の十年(1993~2002年)活動課題の実施に向けた諸目標」の達成状況を検証する。
  2. 2002年に終結する「アジア太平洋障害者の十年」以降の行動枠組を検討する。

目標1(b)および1(c)に関して、TWGDCは、アジア太平洋地域の障害者の完全参加と平等に関する宣言に署名していない国と地域、ならびに署名はしたが行動に移していない国に対して、「十年」の活動に積極的にかかわるとともに、とくに2002年に終結する現在の「十年」以降の行動枠組策定における評価プロセスに参加するよう、積極的な支援と働きかけを行う点で、意見の一致をみた。
目標2および3に関して、ESCAPより、「アジア太平洋障害者の十年」活動課題実施の進捗状況に関するアンケート調査を実施する予定である旨、報告が行われた。調査結果は2001年12月にハノイで開催される「キャンペーン会議2001」で発表される。「十年」の目標達成状況を評価するためのフォーマットおよび実施方法(政府、NGO、障害者当事者団体、その他関係するパートナーの全面的な協力による国内会合の実施手順を含む)についての提言を行う作業部会の設置が勧告された。また、国連開発計画(UNDP)関連機関支援局に対して、「十年」の目標達成状況を評価するための国内会合の開催を始めとする国内レベルでの評価プロセスを円滑に進めるよう要請することが勧告された。
WHOに対して"ビジョン2020 ― 光への権利"の議長を務めるよう要請するとともに、「全ての人に教育を(EFA)に関するダカール宣言」のフォローアップ、ならびに「世界子どもサミット」のフォローアップが議題となる国連特別総会(2001年9月19~21日開催予定)への提出に向けて現在最終作成段階にある文書"A World Fit for Children"に、障害児のインクルージョン強化を求めて積極的に働きかけることが合意された。
目標4に関して、優れた実践事例として提出されたケーススタディが8件にとどまること、ならびに国内調整、法律の整備、アクセシビリティとコミュニケーション、福祉機器、自助団体と地域協力という5つの目標分野についての取り組みが進んでいないことが報告された。なお、ケーススタディの提出期限を2001年6月30日まで延期することがメンバーに伝えられた。提出されたケーススタディは以下のとおりである:インド政府(国内調整、法律の整備、教育、福祉機器)、香港政府(法律)、バングラデシュ・開発における障害センター(法律)、ブータン政府(アクセシビリティとコミュニケーション、障害原因の予防とリハビリテーション)、FAO(訓練と雇用)、カンボジア・トラスト(福祉機器)、DPIアジア太平洋地域協議会(自助団体)。
目標5および6に関して、バンコクで開催された「キャンペーン会議2000」で、「障害をもつ女性による地域ネットワーク」が設立され、この団体から「キャンペーン会議2001」に積極的な発言が行われる予定である旨、報告された。また、アジア太平洋経済協力会議(APEC)においても女性団体が設立されたことが報告された。
2002年10月に「十年」の締めくくりとして日本で開催予定の政府間上級高官会議において、障害者およびその支持者の尊厳と連帯を象徴するような活動を行うべきであると勧告された。政府間上級高官会議に政府の代表を送るための資金動員の必要性が指摘され、参加費用の捻出が困難な政府に対する援助資金の模索が勧告された。
(1)情報技術(ICT)、(2)起業研修、小規模事業経営と所得創出活動、開発、(3)障害をもつすべての子どもと若者のための教育、の3つのタスクフォースがそれぞれ会合を開き、各タスクフォースの議論の成果と行動計画がメンバーに報告された(「別添1」参照)。日本障害者リハビリテーション協会(JSRPD)は、各タスクフォースメンバーが自由に議論できるよう、メーリングリストを開設することに同意した。

その他:

(a)東ティモール
TWGDCは、新たに樹立された東ティモール政府によって策定される予定の国家開発計画の中に、障害問題を盛り込むよう強く働きかけていくことが勧告された。東ティモールにおける障害者開発問題に対する個別的アプローチを避け、総合的かつ組織的アプローチを進めるために、TWGDCメンバー間に非公式のネットワークを作り、同国の障害者開発計画およびプログラムに関する情報交換を行うことが合意された。障害者インターナショナル・アジア太平洋地域協議会、カンボジア・トラスト、CBMインターナショナル、世界盲人連盟その他の団体が東ティモールに関するネットワークへの参加に強い関心を示している。JSRPDより、情報ネットワーク用のメーリングリスト開設の申し出があった。
(b)アジア開発銀行(ADB)
ADBは、障害ニーズへの対応方法についての理解を深めてADBの貧困軽減戦略展開の中に取り入れていくこと、ならびにADBの障害チェックリストを作成することを主たる目的として、障害および貧困軽減に向けた地域別技術援助プロジェクトを近く実施することが報告された。TWGDCは、ADBの貧困軽減プロジェクトに障害問題を明確に盛り込んでいく必要があることを強く訴えた。この問題についてはこれまでDPIが働きかけを行ってきたが、今後の活動はTWGDCが進めることが勧告された。これに関して、障害者は最貧困層に属していることから、貧困緩和を始めとする主要な社会開発課題に障害問題が密接に結び付けられるよう、働きかけを徹底する必要があることが強く勧告された。
(c)アジア太平洋障害者の十年「キャンペーン会議2001」
キャンペーン会議2001組織委員会の代表より、2001年12月10~15日にハノイで開催予定の「キャンペーン会議2001」の準備状況についての報告が行われた。同組織委員会に対して、キャンペーン会議2001の一環として、2001年12月10日10~16時の予定でTWGDC第3回会合を開催するよう要請された。
(d)国際連合レジデント・コーディネーター(UNRC)
国際連合レジデント・コーディネーター(UNRC)・関連機関支援局長・Mr. Apichai Sunchindahより、国際連合開発支援フレームワーク(UNDAF)についての発表がTWGDCに行われた。TWGDCは、政府と国連の開発関連機関との間で、また準地域レベル、地域レベルで立案される国家開発援助枠組の中に、障害問題を長期的開発課題として盛り込む必要があることを強く主張した。「世界社会開発サミット」のフォローアップ会議では、貧困軽減、社会統合の強化、雇用拡大という優先目標とともに障害問題が検討の対象とされた。弱い立場にある人々に焦点を当てた結果、「アジア太平洋障害者の十年(1993~2002年)」活動課題に基づき、障害者の機会均等推進対策の必要性が明らかとなった。TWGDCは、アジア太平洋地域各国の課題に障害関連問題を盛り込むようUNRCに要請していく意向を明らかにした。また、この意向に沿って、TWGDCの総意を表明するとともに、フォローアップ行動が進められるよう要請する公式書簡を送ることが勧告された。
この課題について行動をとること、ならびに障害関連問題がすべての開発政策や計画に、地方、国、準地域、地域などあらゆるレベルで積極的に盛り込まれるよう、あらゆる機会をとらえて働きかけていくことが、TWGDCのメンバー全員の責務である旨、強く勧告された。
(e)アジア太平洋障害センター
TWGDCは、アジア太平洋障害センターの地域レベルでの活動を行う上で、国連との緊密な連繋を構築するよう勧告した。同センターの設立は、2000年12月14日にバンコクで開催された「アジア太平洋障害者の十年」キャンペーン会議2000において採択された、「アジア太平洋地域障害者の権利促進に関するバンコクミレニアム宣言」の中ですでに言及されている。同センターは、「十年」の精神を後世に残すものとしてタイに設立されることになっている。
(f)十年推進NGO会議
「アジア太平洋障害者の十年推進NGO会議(RNN)」より、"障害者権利のためのパートナーシップ"をテーマとして、アジア太平洋障害者の十年の最終年を記念して一連の国際会議を中心として2002年10月に日本で開催予定の「国際障害フォーラム」のプログラム案が発表された。なお、最終版は2001年12月にハノイで開催予定の「キャンペーン会議2001」において発表するとの報告が行われた。
(g)障害者インターナショナル
障害者インターナショナル・アジア太平洋地域協議会より、新たな「十年」、すなわち"アジア太平洋バリアフリー運動(2003~2012年)"の提言がなされ、インプット、コメント、意見が要請された。2001年12月にハノイで開催予定のTWGDC第3回会合に提言の改定案を提出することが合意された。
(h)世界保健機構
2001年4月7日の世界保健機構「世界保健デー」のメッセージの中に、精神障害に関して精神遅滞が不正確かつ不適切な形で表現されていることが指摘された。TWGDCはWHOに対して、この問題についての強い懸念を表明することが強く勧告された。さらに、スポーツ行事の中でも知的障害者に対する差別があったとの事例報告があった。
(i)インクルージョン・インターナショナル
インクルージョン・インターナショナル・アジア太平洋支部より、オーストラリア、クック諸島、フィジー、ニュージーランド、パプアニューギニア、サモア、トンガ、バヌアツが参加、ESCAPが代表を派遣して、2001年4月にフィジーで行われた'太平洋障害調査'についての報告が行われた。調査結果によると、障害は各国政府の政策の中で優先順位が低く、サービスは例外なく都市部に限定されており、強力な大家族のネットワークが政府の責任を肩代わりしている。障害者の機会は限られており、その能力は過小評価され、十分活用されていないのが現状である。アジア太平洋障害者の十年への積極参加も、コストと距離の点から制限されていた。「太平洋障害開発ネットワーク」が設立された。タイに設立予定のアジア太平洋障害センターの太平洋部門を設立することが強く勧告された。
(j)インド
インド政府より、低コストの補助器具に関する情報が発表されるとともに、「補助器具、教育器材、学習教材、およびバリアフリー機能に関する展示会」(2001年8月5~9日、インド・西ベンガルにて開催予定)の通知がなされた。バリアフリーのリソースおよび連繋に関する情報をICTによってアジア太平洋地域で共有すること、ならびに途上国における測定可能な基準設定に向けた進捗状況をモニターすることが強く勧告された。
途上国向けの適切な補装具技術の開発に関する情報が報告されるとともに、このテーマでプノンペンで1995年に、さらにそのフォローアップとしてタンザニアで2000年9月に開催された会議について言及された。このテーマについてのさらに詳しい情報は、現在開設準備中のTWGDCのウェブページで公開されることになっている。
(k)カンボジア
カンボジア障害対策協議会より、「国連障害者の機会均等化に関する標準規則(スタンダードルール)」の実施に関してプノンペンで開催されたワークショップについての報告が行われた。
(l)JSRPD
JSRPDよりメンバーに対して、JSRPDおよび「ESCAPの十年」のウェブサイト上にTWGDCのウェブページを開設する作業は現在進行中であり、各メンバー機関にアンケートを送付し、回答・返送される予定である旨の案内がなされた。TWGDCは、障害ICTの専門家としてJSRPDから「ESCAP障害プログラム」に、2002年末までの2年の任期で出向している千葉寿夫(チバ ヒサオ)氏を歓迎した。
(m)FAO
国連食糧農業機関(FAO)よりメンバーに対して、FAOバンコク事務所を2001年末までにバリアフリー化する旨の案内がなされた。
(n)ビデオテープ
メンバーに、3本のビデオが上映された。そのうちの2つは、FAOの提供による"農村地域障害者のエンパワーメント"、および"タイの障害者のマッシュルーム栽培"である。3本目は、"自分の人生を描く"と題されたもので、「フランクリン・D・ルーズベルト国際障害賞」への応募作品としてタイ政府が制作した。タイは、2000年度国際障害賞を受賞した。ビデオはいずれも、メンバーから暖かい評価を得た。